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XVI THE TOWER 〔塔〕 ◆聖炎騎士レクトール&少女マリーシア ■作成者名 有馬水樹さん ■作成者サイト ターコイズ ■作者コメント 塔という構図から、最初は頂上周辺の図を思い浮かべていましたが 最終的には見上げる形に修めました。 塔のモチーフはピサの斜塔です。 不安定な場所へ引きずられて行くレクトールを思って描きました。 |
■ 正位置と逆位置 〔ウェイト版より The Rider Waite Talot Deck〕 |
このアルカナのテーマは、破綻です。 このアルカナは、行き詰まった状況がついに破綻を来たすということを意味しています。 正位置では、古いものが破綻に至るまでの経過に焦点が当てられ、逆位置では、古いものの崩壊により、新しいものが生まれることに焦点が当たっています。 逆位置の方が良い意味になるカードです。 ●正位置のキーワード 逆境、災難、爆発、破局、終局、破産、改革、革命 ●逆位置のキーワード 解放、改革、抑圧からの脱出、事故が大事にならない、突然の変化、現状の崩壊、現状の革命的改革 |
■ タロットの解説 〔ウェイト版より The Rider Waite Tarot Deck〕 |
![]() 稲妻が塔に落ち、塔は壊れ、人が落下しています。 塔は行き詰まった状況の象徴です。星は希望の象徴です。 ところが、空には星がありません。状況が行き詰まっていることを星のない真っ暗な空で象徴しているのです。 状況が行き詰まってしまうと、もはや小手先の改良では通用しなくなります。 根本的な改革に着手しなくてはならなくなります。 しかし、根本的な改革は、これまで築いてきたものを否定することになります。 これを稲妻の一撃で表現しています。 塔を作っている人達は、気が付いたら自分が作った塔の中に閉じ込められていたのです。レンガを積めば積むほど、身動きが取れなくなっていきます。 塔はこうした人間の営みの象徴です。人間は、自分の行為の結果に縛られて、次第に身動きが取れなくなっていくのです。 一度、有名になると、体面を気にして気さくさを失ったり、行動の自由を失ったりします。 例えば、一度優勝すると、次もまた優勝することを期待されたり、日常生活でも模範的に振る舞うことを求められたりします。いい加減で許してはくれません。 王冠は成功を意味し、塔はそれが自分を束縛するという状況を象徴しているのです。 「自分はこういう人間なんだ」という思い込みや「良い妻というものは、こういうものだ」というような固定的な考えも、塔で象徴されます。 こういう思い込みは、それに自分を合わせようと努力すればするほど、あなたをがんじがらめにするからです。 稲妻は啓示の光を象徴します。 暗闇の中で暗中模索している時、稲妻の閃光は、一瞬にして状況の全貌を浮かび上がらせるからです。 |
■ 光と闇の神話 〔古代ペルシア神話より〕 |
若者の魂はベルゼブブとベリアルの配下の悪魔達に捕えられた。 悪魔達は、彼の翼を切り落とし、手枷や足枷をはめて重い鎖で彼を闇の牢獄に繋いだ。 若者の魂は泣いていた。 嘆きの塔と呼ばれる闇の牢獄の中で、毎日悪魔の手下達に拷問され、激しい苦痛と絶望に悶えていた。 悪魔達は、彼に苦い水を飲ませ、炎で苦しめ、辱め、あざけった。 彼は、いっそ死んでしまいたいと思ったが、死ぬことは出来なかった。 彼は天使達が、コスモクラトールと呼ぶ者のことを思い出した。 天使達は、いつもこの名を口にしていた。彼のことを語る時には、天使達は深い畏敬の念を込め、彼らの顔は希望に輝いていた。 その名は、天使達に希望と力とを与えていた。 彼の名は何というのだったのだろう? 若者は、その名を必死に思い出そうとした。 彼は苦痛の中で、必死にその名を探し求めた。 突然、その名が彼の頭に浮かんだ。 それは、まるで闇の中に閃く稲妻のようであった。 彼は叫んだ、「おお、ミトラ様! 私の光よ!」 すると、その声に合わせて、たくさんの声が唱和した。 牢獄の中で苦しんでいるのは彼だけではなかったのだ。 牢獄の中には、たくさんの独房があったのだ。魂達の呼び声は一つになって、次第に大きくなっていった。 「来れ、ミトラ! 我らのために!」 「来れ、ミトラ! 真理の光、聖なる声よ!」 「来れ、ミトラ! 光の使者よ、無敵の光よ!」 「来れ、ミトラ! 苦しむ者の解放者よ、傷ついた者の癒し手よ!」 「祝福と勝利と共に来れ、ミトラ、我らの救い主!」 祈りの声が一つになって、闇の牢獄を揺るがせた。 悪魔達は彼らを黙らせようとしたが、黙らせることは出来なかった。 合掌が最高潮に達した時、一つの稲妻が闇の牢獄を打ち砕いた。 |