■FR−035■
瀬戸の海は四季折々に趣を美しい

写真 左:瀬戸内海の黄昏 左中:復路瀬戸大橋を越えて間もなく新居浜へ向かい反航する僚船<おれんじ8> 右中・右:瀬戸大橋

2004年 春 久々の思い立ち、やっぱりまたもやオレンジフェリー・・・

                      

 

●航海 往路・瀬戸内海 復路・瀬戸内海
@★★★★★ 往路 大阪→東予→新居浜 四国開発フェリー=オレンジフェリー<おれんじ7>特別室右舷410号室 夜行便

C★★★★★ 復路 新居浜→東予→大阪 四国開発フェリー=オレンジフェリー<おれんじ7>特別室左舷410号室 昼行便
 総トン数:9,917.00  主機関:27,000 馬力  航海速力:22.5ノット  旅客定員:750名  積載可能車 両数:トラック139台  就航年月日:1994.3.28

●旅程 船中一泊 一泊二日
第一日目 大阪南港22:50(オレンジフェリー<おれんじ7>)→
第二日目 →06:10東予港06:40→07:50新居浜東港 新居浜東港(タクシー)→JR多喜浜駅→JR伊予西条駅→JR多喜浜駅→新居浜東港12:40(オレンジフェリー<おれんじ7>)→13:50東予14:30→22:00大阪南港

 

やっぱり思い立っての船旅はまたもやオレンジフェリーで・・・ 石鎚の名水、伊予西条へ

 実は幾度も思い立ってはいた。が、体調を崩し暫く医者のお世話になって肺の炎症ということで暫く抗生物質を飲んでいた。で、諸検査の結果を聞くことを兼ね薬をもらうつもりでかかりつけの医者を訪れた。
「どうもおかしいなぁ。抗生物質を続けているのに回復の兆しがない。効いていないようだどうも分からん。」
「・・・。」
レントゲンの影は炎症の後と思うが変化無く回復の兆しがない。うちでは分からんから紹介状を書く。」
 と、病院への紹介状を書かれてしまい薬をもらえなかった。
 翌日、朝から病院を訪れるとすごい人人人、体重測定や血圧測定、採血血液検査、レントゲンにすっかり午前中を費やし、午後からCTと一応一通りの検査に待ち時間ばかり長くてようやく医師の診察を受けることが出来たのはもう夕刻を迎える頃だった。しかも診察はといえばレントゲンとCTの画像を前にほんの数分の説明で。
「ということですから直ぐに入院の申し込みをしておきますのでそのつもりで・・・。」
 と、あっけなく入院宣告されてしまったのだ。
 やむなく思い立っての船旅は断念、以来、半年余り。紅葉真っ直中から雪化粧、桜のつぼみもふくらみ始める頃まで拉致監禁状態は続き船旅どころではなくお預けとなってしまった。ようやく解放され桜満開、花吹雪、そして新緑が芽生えるようになりようやく思い立っての船旅が再び叶うこととなった。(笑)

 

●第一日目 夜の大阪南港フェリーターミナルから

 で、久々の船旅はやっぱりオレンジフェリーと言うことでいつものように四国航路、夜行便:大阪→新居浜・暫しの四国上陸・昼行便:新居浜→東予→大阪でのんびりと言うことにした。
 思い立ったその日は月曜日、予約するまでも無かろうとは思いながらも午後に一応予約を入れ特別室をゲット。
 夜はちょっと早めに出かけて、久々のことだからまたUSJ港から天保山経由南港フェリーターミナルへのドリームシャトルでと思いながらも病み上がりでもあるからターミナル駅からはタクシーで天保山へ立ち寄り美味いと評判を聞きつけていた歴史ある洋食屋で極上のビフカツディナーをぺろりと食って体調良好を確認。
 再びタクシーで大阪南港フェリーターミナルへ時間的には十分余裕の一時間以上も前に到着した。
 予約番号と共に乗船名簿に必要事項を記入し発券窓口へ、待つこともなく乗船券を買い求め一安心。待つこと暫し、珍しく接岸に手間取った様子で頼りなげにやや遅れ上りの<おれんじ7>は眼前の岸壁に接岸した。折り返し小生が乗船する下り新居浜行きとして定刻22:50出港の予定である。


写真 左:出港時の大阪南港フェリーターミナルビル 右:暗闇に浮かび上がる遠ざかるフェリーターミナル
 定刻二十分ほど前に乗船開始。乗船し特別室410号室のキーを受け取り、さきほど食べたばかりなのにちょっと食い気、で、レストランへ行くと美味そうな塩サバの焼き物、それにじゃこ天新バージョンが現れていたのでそれをゲット。部屋に持って行く。
 ほど無く定刻22:50を迎えたが出港の気配がない。十分あまり遅延で静かに出港した。

 我が<おれんじ7>の場合、特別室は三階と四階に左舷と右舷に各一室、計二室ずつあり合計四室ある。410室は四階右舷の部屋で下り便の場合は東予までは本州側、東予からは四国側で殆ど常に沿岸が眺められる。夜行便では大阪湾から神戸、明石辺りまでの夜景が楽しめるし、丁度明石海峡大橋通過は午前0時頃であるから眺望が楽しいお気に入りの部屋だ。実は発券された乗船券は310号室になっていたのだが案内所で変更してもらったわけだ。
 まどろみながら塩焼きサバをぺろりと食し、じゃこ天もちょっとつまんで夜景満喫。明石海峡大橋を前方に見つめるころのんびりバスタブに浸かりご満悦。ここ暫く梅雨のような天気が続いていたが今宵は穏やかな海で本船は滑るように静かに航行して行く。
 いつしか明石海峡大橋を後方に見送りながら就寝。

 

●第二日目 新居浜上陸四時間あまり、ちょっと美味しい水、美味しい瀬戸の幸を求めて

 間もなく東予港へ入港するというアナウンスに目覚め気分爽快。のんびりぐずぐず身を起こしお気に入りの特別席、室内デッキの椅子に腰を下ろし窓外を眺める。ぼんやりと霞の中に夜が明けて行く。


写真 左:小生の特別席、室内デッキの大窓に面した椅子 右:四国沿岸の夜明け


写真 東予港出航後、間もなく行き交う船舶
 東予港へは定刻06:00に入港着岸。僅か四十分の停泊で右舷に常に四国沿岸を眺望しながら新居浜へ向かう。
 東予から新居浜に至る沿岸はいわゆる臨海工業地帯の一角で行き交う船舶は小型の燃料運搬船や貨物船が多い。多くの乗船客は東予で下船して行き船内には静けさが漂っている。移動手段としてこの航路を利用する人たちにとっては東予で下船した方が時間的にも短く、また、連絡バスなどの関係もあり利便性にも優れているのであろうから当然のことなのであろう。
 小生の如き、ひたすら<おれんじ7>に乗船するためにだけやってくるような乗船客はきっと皆無に等しいのだろう。けれども人様のご事情はともあれのんびりゆったり船旅を楽しむには人口密度の低い船内はひとり独占気分を満喫できる嬉しいひとときなのである。パブリックスペースにも屋外デッキにも今日の場合は全く人影がない。
 客船への乗船経験のない小生にとっては比較云々する資格はないとは思うのだが、きっと客船ではこんなに人口密度の低い船内は願うべくもないことであろう。定期航路なればこその所以か。


写真 新居浜港着岸目前の案内所ロビー、スカイラウンジ。
 この航路は年末年始やお盆の繁忙期を覗いては概ねゆったりのんびり出来ることが嬉しい。こんなに閑散としているとついつい大丈夫かな? などと、各地で次々と航路が廃止されて行く状況をお思い出してしまうのだが、長距離トラックやコンテナ輸送などはどうも好調な様子であるから心配は無用なのであろう。 昨夜の乗船客は約百名あまりであったように思うが殆どの乗船客は東予で下船した様子で新居浜港着岸寸前のパブリックスペースはご覧の通り閑散としていてまさに小生独占状態。(笑)
 そんな船内を朝の散歩とばかり散策しながらデッキに出ると本船前方には新居浜港が視界に入ってきた。行く手前方左方向に新居大島、右前方にマリンパレスのヨットハーバーを眺めながらやがて港内へと速度を落としゆっくりと航行して行く。


写真 左:凪の海面に白波を描き順調に航海する<おれんじ7> 右:前方に新居浜港

写真 新居浜港に入港、間もなく接岸
 新居浜港に入港すると程なく右舷前方にターミナルビル。その前まで微速前進した本船はぐるりと旋回し舳先を翻し左舷側で接岸する。狭い水路のような港内でいつものことながら見事に旋回して着岸する様子には感心する。

●新居浜上陸 伊予西条へ向かう

写真 左・左中:新居浜港着岸中の<おれんじ7> 右中・右:多喜浜駅の真新しい時刻表と駅
 定刻07:50入港接岸、下船してターミナルビルを出る。待ち受けているタクシーに乗り込みものの五分あまり。JRののどかな無人駅多喜浜駅に到着。時刻表示の看板が新しく取り付けられていた。
 程なく下り列車に乗り込む。丁度通学時間帯で制服姿の高校生たちの姿が目立つ。通勤通学ラッシュと言うにはほど遠い状況で混雑していると言うほどでもないのだが閑散とした車内が常の普通列車の車内としては賑わいを見せていた。それも次の新居浜駅までのことで学生たちや通勤客の多くが下車すると車内にはゆったりとしたローカル列車の趣が漂う。
 程なく新居浜駅を後にすると中萩駅に停車、上り列車との離合待ちのため数分の停車の後、伊予西条へ。

●伊予西条

写真 左:JR伊予西条駅舎 左中:新四国の道と記された道標? 右:観光案内板

写真 左:駅前のビジネスホテル 中:同ホテルの朝食500円 右:宝石店の前、でも何故かワゴンセール品はてづくりの地元産らしき漬け物に野菜が並ぶ。
 新居浜港に定刻入港で順調に伊予西条まで来ると九時前に到着してしまう。早いのはいいのだが九時前では町中の散策というわけにも行かず、まずは朝食をというこになる。駅前のビジネスホテルの一軒が朝食をやっているのでひとまず朝食、松花堂のような弁当景色の和食は嬉しい四国価格か500円、しかもここはおいしいエスプレッソコーヒーを飲ませてくるのだがこれが食後であればなんと100円なのだ。結構繁盛していてビジネス客がいそいそと次々朝食を済ませ出かけて行く。こちらは急ぐわけでもないからのんびりと食らいながら食後のコーヒーブレイクもこれまたのんびりと。
 さてどうするかと迷いながら今日は商店街で美味い海産物でも買い求めようと思い立った。かれこれ一時間ほどの朝食で丁度時刻は十時前、ぶらっとしている間にお店も開くだろうとまずは商店街の町中の入り口へタクシーで向かう。
 商店街はローカル色豊かで楽しいところだ。丁度開店時刻を前にあちこちのお店はシャッターを揚げ始めていた。のんびり歩きながらところどころのお店の軒先を覗く。
宝石店、店先には何故か漬け物や野菜が並ぶ。(笑) 他にも店先は八百屋で奥は洋品とかのお店もありまか不思議な雰囲気を持ったお店がいくつもある。
 やたら用品店が多いのが目につくが、瀬戸の海の幸を扱う店も多い。ねらいは瀬戸の幸!
 のんびり歩きながら中程の乾物屋さんに入る。磯の香りが漂い新鮮な瀬戸の幸の乾物が並ぶ。どれもこれも新鮮でうまそうな物ばかり、どれを欲しいというわけでもないがついついあれもこれもと手が伸びる。魚姿を綺麗に整えた極上の煮干し、珍しい太刀魚の干物やキスの浜焼き、ウルメイワシの干物、無着色の桜エビ、美味そうなちりめんじゃこ、あれこれついつい買い込んでしまった。
 小生だどころ事情には詳しくないが新鮮な割にはかなり格安ではないかと思う。
 余談だが、衣料品は普及品が驚くばかりの高さのように感じた。これではユニクロが繁盛するのも無理はないと言った印象。
 ぶらりぶらり、のんびり商店街を見て歩いても小一時間余り駅前道路に至る出口を過ぎてしまう。この駅前道路へ突き当たると向かいには小さなかまぼこや天ぷらを製造販売している店がある。以前にちょっと買い求め船中で食って激美味で驚いたことがあった。今回はちょっと持ち帰るために買い求めようと立ち寄る。
 ゴボウ天、鳴門巻、かまぼこなどあれこれ買い求める。これまた激安の感あり。


写真 左:名水の町を標榜する路傍の石版プレート 中・右:路傍の名水噴水
 駅前道路は名水の町を歌い上げるかのように歩道脇には綺麗に整備された噴水が散在する。これもまたのんびり歩きながら立ち止まっては眺め駅まで僅かな距離をゆっくりと散策。
 多喜浜へ戻る列車の時刻は11:38発の観音寺行き普通列車が好都合だ。それまでにはまだ小一時間を余していた。駅前には美味しい石鎚の水で沸かしたコーヒーを飲ませてくれる喫茶店がある。ここは九時からの営業で到着時にはあいていないがこの時刻には営業をしている。以前にも立ち寄り味を占めているのでコーヒーブレイク。テーブルには可愛いキャンディーが置かれ、コーヒーと一緒にクッキーなどを供してくれるちょっと一服には嬉しいお店だ。石鎚の美味しい水もよく冷やしてたっぷりポットで供してくれる。
 コーヒーブレイクを楽しむうちにゆっくりとしたときが流れやがて程なく十一時を過ぎる。ちょっと早めに駅へ、と言っても駅は目と鼻の先、駅前のロータリーを一回りして駅舎へ到着。乗車券を買い求め頃、時計の針は十五分前辺りを示していた。


写真 左:出港時の大阪南港フェリーターミナル 右:瀬戸内海の黄昏
 どういう訳か食い気が元気になる。少し時間はあるがゆっくり食うほどではないのだが駅の讃岐うどん店が気がかり、ドアの前に昼定食のプレートが掲示されていて以前に訪れたときにはじゃこ飯とうどんのセットがあった。覗いてみると今日はじゃこ飯ではなくアサリご飯になっていた。
 店内を覗き込むとカウンターの上に寿司やおにぎりなどの小皿が並べられていた。
アサリ飯だけでも売ってくれるかなと訪ねてみると。
「気軽にいいですよパックに入れてあげますよ。」
 と、炊き立てのアサリ飯を炊飯器からパックに山盛り入れてくれた。
「はい、200円。」
 なんと驚きの200円、食い切れそうにないほどの山盛りでなのだ。ちょっと安さにびっくりで少々味が心配になるが、それを手に改札へ向かった。目の前一番線に早くも列車は入線して早速乗り込む。手のひらに伝わる暖かみがほかほか、仄かに漂う香りもいい。ちょっと食ってみるかとパックを開ける。

●多喜浜に戻り新居浜港へ
 心配はあのおばちゃまに失礼千万であった。脳天をえぐられるくらいの美味さにびっくり驚きついつい半ば食ってしまった。程なく列車は出発、中萩、新居浜を経て多喜浜到着十二時少し前。<おれんじ7>の新居浜出港は定刻12:40でほどよい時刻である。タクシーの多喜浜営業所まで徒歩数分、途中によろず屋のような食品店がある。以前にちりめんじゃこやトマトを買い求め持ち帰ったことがあった。
 そこに立ち寄りあの美味かった柔らかくて新鮮なちりめんじゃこがあればと見渡す。おじさんの鎮座するレジの前にそれはあった。200gたんまりと無造作に入ったビニール袋一袋が680円、二袋あったので買い求める。
 と、おじさんが何やら勧める。
「これ美味いよ。食いながら行けばいい、このままでたまらなく美味いから・・・。」
 とイワシバーグなるコロッケのような代物を勧めてくれる。ついついそれも買い求める確か一個60円だったような記憶。今回は珍しく瀬戸の幸のおみやげをショッピングバッグいっぱいに詰め込んでの帰還。

●新居浜港からの復路
 タクシーで新居浜港まで戻りターミナルビル二階の待合室へ。待ち人おらず、つまり徒歩での車なし乗船客は小生だけの様子。程なく<おれんじ7>に乗船。レストランへ直行すると先客のドライバーの人たちがグループでテーブルの一角を占めていたがやはり一般客は皆無に等しい。
 ねらいを定めていたいつもの魚フライ(新鮮なアジ)を注文しテーブルに。出来上がるまでにイワシバーグなるものを食したがこれまた異常に美味い、どうしてこうここまで海産物が美味いのか、いつもこんな美味しいものを食べられる地元の人たちがうらやましい。


写真 新居浜から東予辺りの沿岸で行き交う小型船
 ゆったりのんびり昼食をしている間に本船は静かに出港していた。部屋に向かいひとまずバスタブに湯を満たし浸る。そしてうとうととうたた寝暫し、いつしか本船は既に東予港を後にしていた。
 昼行便の醍醐味はなんと言っても瀬戸の海の眺めを堪能できることにある。今日は海も穏やかで航海も心地よく爽快だ。空模様はどうも雲がたれ込めどんよりとかすんでいるがそれでもそれはそれないに趣のある景色が楽しめる。
 時にごろ寝、時にうとうと、で、時々には室内デッキの特等席から行き交う小舟を撮影する。沿岸近くには小型貨物船の姿が目立つのだがちょっと沖合は好漁場なのであろうか小さな漁船の姿が多い。



写真 瀬戸の海、行き交う小舟もおもしろい。その多くは漁船のようである。

写真 前方に瀬戸大橋の雄姿が迫り来る頃、海面に浮かぶ赤いブイに迎えられる。
 まどろみながら小舟をカメラにおさめ、くつろいでいる内に瀬戸の海を順調に航行した本船は右舷側に四国側の点在する小島を見送って行く。観音寺沖の伊吹島辺りを過ぎると程なく再び四国沿岸は迫ってくる。多度津、丸亀辺りを過ぎると何時しか前方には瀬戸大橋が視界に入ってきた。いつものことながらゆっくりした時の流れでありがら退屈することもなく時が過ぎる。
 デッキに出て写真を撮ることにして部屋をでる。


写真 瀬戸の海、臨海工業地帯の近くでは小型貨物船や作業船が目にとまる。
 
四国沿岸を背に行き交う小型貨物船や作業船が目にとまる。正面に瀬戸大橋が迫る頃には本州側に近い島々や下津井などの本州の町とを結ぶ連絡船やフェリーが時折に舳先の向こうを過ぎって行く。
 間もなく瀬戸大橋が眼前に迫り、巨大な橋桁の下を本船がくぐり抜ける。橋梁を真下から見上げる圧巻は正にこの船旅ならでは感動であろう。


写真 真下を航行する本船から見上げる瀬戸大橋の巨大な橋梁は感動である。

写真 瀬戸大橋を見送りながら左舷前方に大槌島を認める。

写真 眼前に迫る瀬戸大橋、後方に遠ざかる瀬戸大橋、黄昏迫る海面は夕映えを映し出す。
 いつしか晴れ間が訪れていた。曇天模様の中でのつかの間の晴れ間は丁度瀬戸大橋通過前後と何だか幸運に恵まれたようであった。迫る瀬戸大橋、見送る瀬戸大橋をデッキをあちこち行き交いながらシャッターを切る。


写真 瀬戸大橋を通過後、程なく大槌島近くで本船は新居浜へ向かう下り便の<おれんじ8>と反航する。
 右舷に高松市を遠望する頃、一気に前方を横切る船舶が増える。その多くは高松と宇野や新岡山港を、小豆島などを結ぶ定期フェリーや連絡船である。瀬戸銀座の感を呈する海域である。
 一路航路を東進する本船は瀬戸大橋を背に順調に航海を続ける。


写真 四季折々に楽しませてくれる瀬戸の海、この日の黄昏は海面を一面金色に染めていた。

写真 瀬戸大橋を越え僚船<おれんじ8>と反航すると程なく黄昏時、レストランで夕食に舌鼓
 見送る瀬戸大橋、反航する<おれんじ8>を撮影しながらデッキをあちこち動き回ると気がつけば食い気がもりもり。はてさて今宵のレストランでは・・・と期待しながら行くとちょうどレストランはオープンしていた。アラカルト料理と一緒にオレンジ定食が並べられていた。
何やら余り見かけないおいしそうな焼き魚一匹に冷や奴、焼きなす、みそ汁にご飯、でなんと650円。
 一も二もなく迷うこと無くオレンジ定食に決定、ジューシーで結構美味いトンカツの単品も一緒に注文し暮れゆく瀬戸の海を眺めながらのんびりとたんまりたらふく満腹。

 瀬戸大橋付近で束の間の晴れ間を見せていた空も薄雲に一面覆われ幻想的な夕暮れを描く。金色に輝く海面が美しい。四季折々にどうしてこうも美しい海の夕暮れなのだろうか。幾度も航海を楽しんだ同じ海でありながら、いつもいつも新鮮な感動を覚える嬉しいひとときである。
 船室に戻ると、まどろむうちに夜の帳はすっかり降りて船窓からは行き交う船の明かりが海面にオレンジ色の輝きを散りばめていた。心地よい眠気に誘われながらベッドに身を横たえると間もなく航海は夢の中。
 いつしか明石海峡大橋を通過していて右舷前方には関西空港辺りの夜景が遠望できる。新居浜乗船から九時間、本船は後三十分ほどで大阪南港フェリーターミナルに到着する。


写真 大阪南港フェリーターミナルに着岸時の<おれんじ7>
 半年あまりの間、治療に静養の日々で病は小康状態を保ちそれなりに気分良好の日々を送ってはいたもの、やはりこの特効薬に勝るものはない。ゆったりとした時の流れ、さわやかな瀬戸の風、美味しい石鎚の水、新鮮汗との幸。健康保険のきかない自然治癒を目指した対症療法と言ったところであろうが、まさにその最たる小さな旅となった。
 定刻22:00我が<おれんじ7>は大阪南港フェリーターミナルに入港接岸。病み上がりの思い立っての船旅もまた、いつものようにいつものままで思い立っての船旅は至福の時を極めさせてくれながら大満足の内に無事幕を閉じた。(^^)

 

■ORANGE ROOM■

オレンジフェリー

 

2001 H13
■FR−015■  ■FR−016■  ■FR−017■  ■FR−018■  ■FR−019■  ■FR−020■  ■FR−021■  ■BANGAI-2001■
2002 H14
■FR−022■  
■FR−023■  ■BAGAI-2002A■  ■BANGAI-2002B■ 
■ORANGE ROOM■
■FR−024■  ■FR−025■  ■FR−026■  ■FR−027■  ■FR−028■  ■FR−029■
2003 H15
■FR−030■
  ■FR−031■  ■FR−032■  ■FR−033■  ■FR−034■  ■FR−035■  次なる思い立っての船旅は・・・■FR−036■

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