HV400 機能概要
HV400の様々な機能につきその概要を説明します。詳細については機能詳細をご覧ください。機能詳細は各項目をクリックしてください。
(1) 相対変位量の計測
1μsごとに相対計測し、その変位量(及び速度)を計算します。
出射光が2本の構成を念頭に置くと、1本が被測定物の変動を測定し、もう1本が基準面の変動を測定します。基準面の上に被測定物があれば、基準面の変動分は被測定物の変動ともなりますので、2本で求めた各々の値の差は被測定物だけの変動となります。つまり、基準面が仮に変動していたとしても、その影響は測定結果ではキャンセルされ、現れてきません。これが相対測定の基本的動作です。相対計測においては、2本のビームを被測定物とベースにそれぞれ入射させ、それらの反射光を別々に計測します。ベースの変動分を測定することで、被測定物の対ベースに対する変位量を求めることができます。当然プローブの構成の選択も重要な因子となります。
2本の出射光は平行ビームです。平行度合いは弊社製品(ビーム平行度測定装置)を用いてビーム拡がりは0.2mrad以下です。平行度合いのずれと測定誤差に関しては、”平行度合いのずれが及ぼす影響”の項を参考してください。プローブ内に参照面を有する、出射光が1本の構成も可能です。ユーザの要求に応えています。
1μsごとの計測は、極めて速い変動でも測定が可能なことを示しています。例えば、過渡現象測定などが可能です。
上記説明の中で、二つのデータの差を求めていましたが、測定方法によっては、二つのデータの和が必要な場合もあります。その場合にも対処してあり、選択することが出来ます
さらに、測定方式として、反射方式と透過方式からの選択も出来ます。(5)反射方式と透過方式、をご覧ください。
(2) 変位量と速度の同時計測
変位量と速度の両物理量を同時に計測しています。
デジタル出力端子(PCに接続する端子)には、1μs間隔でデータが出力されています。ただ、PCを用いた処理上、基本的に変位量を出力とします。速度の同時出力が希望の場合、オプションとしてPC上にその値を表示することは出来ます。速度は、1μsごとに計算していますが、計算方法は、速度=変位量/1μs、のため、誤差が大きくなる場合があります。そこで、次の理由により平均化処理を行っています。
《速度に関し、平均化処理する理由》
光ヘテロダイン方式の欠点は、サンプリング時間(=計測時間間隔)内に、反射方式測定の場合、半波長以上変動した場合、半波長以下の変動として認識することです。つまり、移動量に対して測定限界があります。HV400で反射方式の測定の場合、計測可能な最大速度=633nm/2/1μs=0.316 m/s、となります。時速換算すると、時速1.3kmです。人がゆっくり歩く速度です。この速度を、1nm単位で計測する理由が見当たりません。なぜなら、他の測定方法のほうが安価に出来るからです。1nm単位で計りたいと希望する速度は、1mm/s程度、が限界だろう、と認識・判断しています。これは、1nm/μs=1μm/msとも表現できます。1ms間隔で計測しても、十分な精度が得られることを示しています。言い換えれば、1μsごとの測定は、オーバースペックである。ならば、1μsごとの測定値を平均化しても何の問題も生じないことになります。これが速度を求める際の、平均化処理を行う理由です。。
(3) 2種の測定モード
測定方法には2種類の測定モードがあります。《リアルモード》と《ストレージモード》です。
《リアルモード》
リアルタイムで測定値を出力します。測定時間間隔(=出力時間間隔)は、50ms、100ms、200ms、500ms、1s、から選択します。1μsでデータを得ていますから、例えば、50msの場合、50000点のデータが発生しています。そこで、全データではないですが、一定量のデータの平均値を用いて、出力値としています。出力値はPC画面上に数値表示されるとともに、測定終了後に一括してグラフとして表示されます。測定終了後、32ビットデータで記録されます。記録時に、測定者名および保存ファイル名を入力して、日付を加えてファイルを区別しています
《ストレージモード》 測定値の記録
1μsの測定値を記録の対象にします。ただ、2μs、4μs、・・・・、4096μsと2の整数倍の時間を、測定時間間隔(=出力時間間隔)にすることも出来ます。そして、例えば、2μsの出力時間間隔場合、2つのデータの平均値で出力します。測定点数は制約があり、5k点、10k点、20k点、30k点、100k点、200k点、500k点、750k点、1000k(=1M)点、の中から選択します。測定終了後、PC画面上にグラフとして表示されます。また、測定終了後、32ビットデータで記録されます。記録時に、測定者名および保存ファイル名を入力して、日付を加えてファイルを区別しています。5k点、10k点の場合は、相対量の基本となる2つのデータをともに記録することを選択できます。
(4) 測定値の記録(ストレージモード)
測定値を記録します。記録点数は最小5k点から最大1M点の8段階(各点32ビット表現)です。測定ごとにその点数を選択します。
記録されたデータは記録ファイル名をつけて、PC上のHDDに保存されます。1M点の場合、4Mバイトデータ量です。またこの記録されたデータを、解析したり、エクセル表示に変換したりと自由にデータ加工できます。
表示時間間隔の選択から、計測時間は最小5msから最大2000sまで可能となります。
記録点数が10k点以下の場合、相対測定と基準となる、被測定物の変位量(および速度)とベースの変位量(および速度)の両者の値を記録することが出来ます(相対値のみの記録ももちろん可能です)。記録点数が15k点以上の場合は、相対値のみ記録します。
(5) 反射方式と透過方式
測定方式に2種あります。反射方式と透過方式です。
《反射方式》
レーザ光が被測定物に反射して、その反射光を検出する方法。同じ空間を2度通過することになります。
《透過方式》
レーザ光が被測定物を透過して、その透過光を検出する方法。透明物質の変動を測定する際に、利用できます。
(6) 被測定物に対して複数点での計測が可能(オプション)
HV400は複数の計測が独立にかつ並列に処理されるため、被測定物の変位量計測を同時に複数点で行うことができます。つまり、複数点で得られるデータは独立に処理され、PCで処理され、独立に保存されます。これにより、記録されたデータを自由に加工して、3次元的な変動も処理することができます。
(7) リアルモードでの測定量、およびそのLED表示
リアルタイムで計測されている変位量(または速度)をフロントパネル上のLEDで表示します。表示時間間隔は約26msです。したがって、表示値は単純平均値を出力します。また、
(8) PCによるデータ収集、制御、表示および記録保存
HV400の制御(選択、設定)すべては、PCで行います。
保存ファイルは、モードに関係なく、@測定者名、A日付、B指定ファイル名、で区別されます。
c:\測定者名¥日付¥指定ファイル名
測定者名および指定ファイル名は、ユーザによる入力を要求しますが、日付は自動入力します。
《リアルモード》と《ストレージモード》では、データ処理の方法が異なります。
《リアルモード》
測定の際の設定項目は、@出力時間間隔、A取得希望のデータ点数、です。取得したデータを、リアルタイムでPC画面上に表示し、LEDボード上のLEDにより表示します。測定終了後、PCに記録されます。記録されたデータは、再度読み出すことが出来ます。
《ストレージモード》
測定する際の設定項目は、@出力時間間隔、A取得希望のデータ点数、B出力方式PC画面上に複数あるボタンや選択端子を変更設定して、計測条件を設定します。選択の順序などはPC画面上に指示が示されます。条件設定後、計測開始、記録開始のボタン操作または外部より信号入力により、測定記録が始まります。記録したデータはPCのHDD内に指定ファイルの下、保存されます。この保存により、後にエクセル表示変換や、様々な解析が可能となりました。またオプションとして、解析ソフトの作成もいたします。
(9) 測定開始、記録開始をPC操作または外部スイッチで実行
測定開始、記録開始のスタートをPC画面上の操作でもフロントパネル上のBNCコネクタへの信号附加でも行うことができます。
(10) 温度圧力によるレーザ波長の変動の修正
空気の屈折率による波長の変動を修正します。設置場所での温度、圧力を測定し、HeNeレーザ波長を修正します。測定しない場合は、標準状態での波長、632.8164253nmを用います
(11) アナログ出力(オプション)
アナログ出力も出来ます。2種あります。@リアルタイム出力;リアルモードの場合、リアルタイムでアナログ出力。Aメモリデータ出力;ストレージモードの場合、記録されたデータをアナログ出力します
(12) エクセル変換
記録対象データは、エクセル変換してから保存することも出来ます。
(13) データ解析(一部オプション)
取得したデータの解析を行うことが出来ます。
(14) デジタル出力(40ピン端子を用いての出力)
PCで制御されたデジタルデータ以外に、40ピンの出力端子を装備しています。この端子は、データ垂れ流し方式です。ユーザ様で制御してお使いください。
”光で物理量を高精度に計測”
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株式会社フォトンプローブ 代表取締役 理学博士 平野雅夫
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