HV400 
"温度圧力によるレーザ波長の変動の修正"


機能詳細

レーザ波長は温度、圧力により、非常にわずかですが変化します。
そして、HeNeレーザ波長の温度、圧力依存性に関する実験式が数種類提案されています。
ここでは、そのうちのひとつEdlinの式を用います。
その実験式によると、空気の屈折率、n(p、T)、は温度、T,圧力、p、により
                     0.00138823p
   n(p,T)−1=(n0−1)×ー−−−−−−−−
                     1+0.003671T
と記述されます。ここで、n0は標準状態での空気の屈折率です。圧力は[Torr]単位、温度は[℃]単位です。
理科年表によりますと,633nm波長での標準状態での空気の屈折率は、
   1.0002766
です。
真空中では1mの距離でも、レーザ光測定では1.0002766mになります。つまり、276.6μm、だけ長いと判断してしまいます。
絶対距離では、この大きさになりますが、変位量測定において、1mの変位はありえなく、100μm程度です。この場合、真空では、100μmの変位ですが、標準状態の空気中では、100.02766μm、の変位と観測されます。つまり、100μmの変位に対して、28nm程度の誤差が発生します。ただこの誤差は系統的誤差ですので、上記のような判断をすれば、解決できます。
問題は、圧力、温度が変動している場合です。この場合にはレーザ波長が変化しますので、時々刻々のレーザ波長を用いないと、その誤差を解消することができません。ただ、これから説明しますように、温度圧力の依存は特殊でない限り、あまり考慮しても意味がありません。

”特殊でない限り、どうしてあまり意味がないか”を説明します。
環境が変わって低気圧が近づき、980mbに下がり、温度が5度上がったとします。空気の屈折率は、1.0002630になります。標準状態に比し、0.0000136の変化です。つまり、変位量の0.001%の誤差が発生することになります。この誤差は非常に小さく、他の要因がはるかに問題になります。また、通常、この程度の制度測定を行う環境は5度変動をもたらさないと思われますので、更に小さいと思われます。
では、特殊な場合につき説明します。
プローブから被測定物までの距離が長い場合が特殊な場合です。HV350でも説明させていただいていますが、この距離は30cm程度までに抑えることが好ましいのですが、測定条件では1m、2mの場合もあります。2mは往復で4mです。今の場合を当てはめてみると、標準状態では、4.011064m、の計測値となり、環境変動で、4.001052mとなります。なんと、10mm近く値が揺らぐことになります。

これを防ぐには、2つの方法があります。
ひとつは、”相対計測”をすることです。この方法はHV400で行っています。これにより、往復が4mであっても、被測定物とベース面が10mm程度の差であれば、環境変動でも、0.000136mm、の誤差に抑えられます。ありえない環境変化でも、この程度ですので、環境を整えれば、高精度計測の必然性が知りえます。
もうひとつは、相対計測の高精度化に加えて、時々刻々変動する環境に合わせて、波長の値を変えて計測値を算出することです。


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      ”光で物理量を高精度に計測”


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