Changings will be changing ?

 今後「変わる」大国としてインドが注目されている。キーワードは「発展・成長」といった、要するに経済やビジネス領域の話である。
 そこが肝心なのだ。
 要するに経済やビジネス領域の話なのである。

 おそらく多くの日本人が「インドは変わる」と聞いて、勘違いしていると思う。
 私は冗談めかして「インドの常識、世界の非常識」と言っているが、インドの面白さは一般的な概念が根底から覆されることが多々あり、常識の検証を余儀なくされる点にあると思っている。
 インドでは「変化」という概念も違っているのだ。むしろ、日本での「変化」という概念が特殊なもので、同じく特殊な概念のインド的「変化」とのギャップがいや増すと考えられる。

 日本で「変わる」と言えば、古きものを壊し、捨て、顧みず、新しきものと全取っ替えすることを指す。それは廃仏毀釈、廃刀令、敗戦後の民主主義、鬼畜米英からアメリカ万歳、日本橋の上の高速道路、バブル時代、地上げ、ポケベル、カセットテープ等々と枚挙に暇がない。こういった呆れた歴史状況の中で生きてきた日本人にとって「変わる」という概念が極端なものになるのは仕方ないだろう。

 インドは違う。
 古代インダス文明の時代と変わらぬ荷車と国産の自動車が共存し、博物館に展示されてもおかしくない水瓶とジェット機や人工衛星が生産されている国なのである。
 インドにおける「変化」とは置き換えではなく、『追加』を意味する。
 わずか数年で買い替えることを前提にした自動車や電気製品などを生産し、期間限定の店舗などを平然と作ってしまう馬鹿げた国・日本とは根本的に異なるのだ。
 この点を押さえておかないと、今後のインドについて大きな勘違いをしてしまう。
 昨今はIT大国と呼ばれているが、平たく言えばIT部門が追加されたと考えるべきだろう。

 ただし、インドにおける「変化」の概念も変わるのではないかと危惧していることも否めない……。