インドのここがいい

「インドのどこがいいの」という質問に対して、
言葉で伝えられないもどかしさを感じます。
どこがいいを文字どおり場所として捕らえれば、
ラージャスターンとかカルカッタ(今のコルカタではなく敢えて旧名称)と
いくらでも地名を挙げられます。

しかし、理由となると
言葉の概念の違いから説明しないと正確には伝えられないと思うのです。

とりわけ個人的なお気に入りは理屈ではないというか、
理屈を並べると嘘臭くなるような……。

 実は2001年の南インドの旅について書けない……というより、収穫のない旅と自分自身で勘違いしていたのもこの点にありました。あっと驚くような出会いに満ちたテキスト的な旅ではなかったのです。
 旅の一場面を描く「旅考記」が点だけを示して、点と点を結ぶ線は読者の想像に委ねたのに対し、この「インドで散歩」では線の部分を写真で示します。キャプション以外のテキストは極力削りましたから、何が起きたのかは自由に想像して下さい。
 何も起きなかったかもしれません。