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マドレーヌ寺院
La-Madeleine

 町の入り口からずっと一本道の坂を上っていき、最後に現れるのがお目当てのマドレーヌ寺院。一番奥のもう殆ど町外れというべき場所にここはあります。因みにと、教会堂と集落との関係を思い返してみましたが、一番奥の町外れというのはあまり無いような。たとえばイタリアで登場させたシエナ、オルヴィエトといった比較的大きな町でも、マルティーナフランカ、サンジミニャーノやトレヴィといった小さな集落でも、教会はみんな町の中心に広場と一緒にあるのです。しいて言えばアッシジのサンフランチェスコ教会位しか町外れにあるのは思い当たりません。アッシジはサンフランチェスコの死後、大規模な教会堂を作ったことからその余地が町外れにしかなかったと推測されます。

 その点ここヴェズレーは多分地形上教会を最も高い場所に造ろうとしたからではないかと感じました。だからでしょうか。その結果、本当日本の神社と、その門前に拡がる仲見世のような空間で町全体が出来上がっています。そう、日本の神社はアプローチが大切で、その後ろに回ると大体何も無いというのが多いでしょう。正にここもそうでした。それだけアプローチを期待させる作りでした。

 で、教会内はフォントネーの後訪れたことも影響しているのでしょうか。とても暖かく包み込んでくれる、ヒューマンスケールの空間という印象をとても強く持ちました。一時期ゴシックの聖堂を追い求めていましたが、その天を目指す正に上昇志向よりも、身の丈のロマネスクの方が何となく好きになっています。ここは後陣がゴシックで建てられたりして、純粋ロマネスクではないのですが、ネイヴ(身廊)の見事さは、はるばると来ただけのことはあります。見事な半円アーチ(尖頭アーチではない)、特徴的なまだら模様のリブ(本当にイスラムの影響なのでしょうか)、装飾の無いヴォールト(天井)、その代わりと言っていい柱頭の素朴な石の彫刻群。しっかりとしたクリプト(地下礼拝堂)。見るべきものは本当に沢山ありすぎて幾ら時間があっても足りません。そしてそれを締めるのがナルテクス(玄関広間)のタンパン(入り口上部の壁面)にある「栄光のキリスト」でしょう。身の丈のロマネスク彫刻にあって、このタンパンの荘厳さは異彩を放っています。巡礼の人たちにその使命をはっきりと自覚させるだけの力を持っているのです。

マドレーヌ寺院西正面。素朴な印象です。広場の駐車場化がやはり残念。あちこちできちんと整備しつつあるのですから、ここもしっかり車を排除して欲しいものです。

ナルテクスから内陣を見る。昔はこのナルテクスに巡礼者を泊めたとか言われています。上部が栄光のキリスト。人々を超越した大きさで描かれています。特に手が大きい。

教会堂内に設けられたキリスト降誕の場面。とってもクリスマスしていますね。

内陣。ロマネスクの先にゴシックが見えるちょっと特殊な作りです。リブのまだら模様がイスラム的ともいわれますが、何の装飾もない半円ヴォールトが変に新鮮に見えます。

寺院裏手に回るとごらんのような田園となり、本当に門前町だって感じになります。結構上昇志向ではなく平べったい感じに取れる建物です。
柱頭を見るのはとても大変。約5mの高さにあり、当然見上げるしかない。段々外も暗くなってきて、ストロボを一杯たいてしまいました。

マドレーヌ寺院