ダイちゃん事件資料集−ダイちゃん事件の流れ

ダイちゃん事件の流れ

1991年
 6月 4日 フィリピン共和国サンバレス州のピナトゥボ火山が今世紀最大級の噴火。同国国内の郵便事情が急激に悪化する。
7月から8月頃 日本人の父が胎児認知に必要な書類の準備を開始。
 8月22日頃 父が母子手帳を持参して役所に出向き、胎児認知届けの一般的なことを問い合わせ。
 9月12日 父が役所に出向き、胎児認知する意思を表明。役所は母の出生証明書がないことを理由に受理せず。火山噴火によりフィリピンの家族へ送付を依頼した出生証明書などが届いていなかった。
 9月18日 ダイちゃん誕生。父は日本国籍、母はフィリピン国籍、婚姻関係なし。
 9月30日 父が26日に到着した母の出生証明書と翻訳文、母の同意書を役所に持参、役所は9月30日付けで認知届けを受理。胎児認知とはならなかった。

1992年
 2月12日 役所の指示により認知の追完届。戸籍面では2月12日の認知届となる。
 8月31日 広島入国管理局入国審査官、母とダイちゃんを出入国管理および難民認定法24条1号に該当すると認定。母とダイちゃん、口頭審理を申し立て。
 9月30日 父、家庭裁判所に認知届受理の審判申し立て。
10月16日 広島入国管理局特別審査官、入国審査官の認定に誤りなしと判定。母とダイちゃん、法務大臣に異議申し立て。

1993年
 3月22日 法務大臣、上記異議に理由なしと裁決。広島入国管理局主任審査官、母とダイちゃんに退去強制命令発布処分を行い、入国管理局庁舎の部屋に収容。
 3月24日 仮放免(4月22日に退去強制執行の予定)
 3月30日 家庭裁判所、父の家事審判申し立てを却下。
 4月13日 父、家裁の申し立て却下に対し、高等裁判所に即時抗告。
 4月28日 広島高裁、父の即時抗告を棄却。
 4月30日 母とダイちゃんの裁判。(1)行政執行停止の申し立て、(2)退去強制命令等取消請求、(3)国籍確認請求。
 5月20日 広島入国管理局主席審査官外1名、父に対し暴言。「今回の裁判は、お前の本意ではなく、弁護士や支援者に踊らされてやっているのだろう。そうであれば、ただちに手を引くことをすすめる。」「お前の職場や家庭に情報を漏らして対処するから覚悟するように」等。
 5月28日 弁護士ら、上記暴言に書面にて抗議。
 6月 3日 広島地裁、「強制退去命令書に基づく執行は、送還部分に限り、本案訴訟の第1審判決の言い渡しまで停止する」との決定。
 6月10日 母とダイちゃん、および広島入国管理局主任審査官とも、広島地裁の決定に対し即時抗告。
 7月15日 本案、第1回口頭弁論。
 7月20日 広島地裁、6月10日の抗告に対し「本件各抗告をいずれも棄却する」との決定。
10月 7日 本案、第2回口頭弁論。

1994年
 1月20日 本案、第3回口頭弁論。
 2月25日 「ダイちゃんの国籍を考える集会」開催。(於:エルおおさか)
 3月 8日 第1回事務局会議、事務局体制を作る。
 4月14日 第4回口頭弁論。
 6月 9日 第5回口頭弁論。
 7月23日 「アンデレ君とダイちゃんの日本国籍を求めて−−子どもの権利条約と国籍取得を考える集会」開催。(於:東京・飯田橋、中央労政会館)
 7月24日 支える会の崎阪、今西、高畑がフィリピンのFさん宅訪問。
 9月 1日 第6回口頭弁論。
11月23日 広島の支援グループによる「子どもをとりまく日本の国際性を考える集会」開催。(於:広島弁護士会)
11月24日 第7回口頭弁論。ダイちゃんの父が証言台へ。

1995年
 3月 9日 第8回口頭弁論。
 6月 3日 「国際婚外子と国籍法」集会開催。(於:弁天町市民学習センター)
 6月15日 第9回口頭弁論。
10月 5日 第10回口頭弁論。Fさん証言台へ。

1996年
 2月29日 第11回口頭弁論。Fさんへの尋問が続く。
 4月 1日 明石書店より『国際婚外子と子どもの人権』出版。
 5月24日 出版記念パーティー開催。(於:NTT大阪内本町会館)
 6月13日 第12回口頭弁論。
 6月24日 日弁連から法務大臣と広島入管へ警告書交付。
 7月30日 法務省入国管理局より「日本人の実子を扶養する外国人親の取扱について」と題した通達交付。Fさんのような外国人に在留資格が認められることが明文化された。
 8月30日 第2回出版記念パーティー開催。(於:とよなか国際交流センター)
 9月19日 第13回口頭弁論。
11月18日 広島地裁で和解協議が行われ、ダイちゃんに日本国籍を認め、Fさんに在留特別許可を与えるという事実上の合意に達する。
12月末 ダイちゃんの戸籍が完成。

1997年
 1月28日 Fさんに在留特別許可。
 2月

Fさんにとって9年ぶりの里帰り。ダイちゃんもおじいちゃんやいとこたちと会う。

Fさん一家と上原弁護士、崎阪



|目次|発刊にあたって|広島での活動状況|日弁連の警告書|日本人の実子を養育する外国人親に定住者の在留資格|戸籍課への事務連絡|
|メッセージ|ある昼下がり|ライブラリー|訴状など|意見書|新聞記事|支援ニュース|編集後記|また胎児認知届けの受付拒否