浄水 Purification

作成者  BON
更新日  2005/07/30

 ここでは水道における浄水技術に関する情報を収集します。「浄水」とは原料である「原水」を水道用に使用できるような水質に加工するプロセスです。普通,何かを洗う時には水や溶媒を使用するはず。「水を洗う」ために水道屋さんがどんなことをやっているか考えてもらうため,treatment ではなく purification にしてみました。

 水道における浄水処理は,固液分離プロセス個別処理プロセス消毒プロセス,の3つのプロセスを組み合わせて行われます。また,これとあわせて,施設が故障することを防ぐための保安プロセス,水から分離された固形物を汚泥等として処理する汚泥処理プロセスが組み合わされます。各種の浄水に関する情報を分類するため,主要な浄水処理方法を整理します。

保安プロセス
 浄水施設の維持が主目的の施設。
固液分離プロセス
 水からの懸濁質の除去を目的としたプロセス。懸濁質とともに一部の溶解性成分も除去します。
個別処理プロセス
 固液分離プロセスで対応できない項目に対応するためのプロセス。
消毒プロセス
 水系伝染病を防止するための消毒プロセス。水道技術が導入されるようになったきっかけでもあり,非常に重要です。
汚泥処理プロセス
 水から取り除かれた固形分の処分のためのプロセス。
水源・取水
 水源や取水については別項目にて。水源水質水源監視取水施設などの情報を掲載。

【参考】


保安プロセス

 保安プロセスとは,原水とともに入り込む異物の侵入を防止したり,原水の異常をキャッチしたりして,その後の浄水システムが安全に運用できるためのプロセスを括った呼称です。(一般的ではないかもしれませんが)

 取水施設として扱われることが多いのですが,着水井までがこの範疇に入るものと考えましたので,ここでも取り扱います。(取水へいくかも...)

取水施設
 流芥の侵入を防止するため,原水を漉します。取水施設に設置されます。取水の項目にあります。
沈砂池・沈殿池
 沈砂池は,表流水のなかの粗い砂や石を除き,ポンプなどへのダメージを回避します。原理は沈殿池と同じですのでまとめました。
粗ろ過設備
 コンベンショナルな処理に高度処理を追加したり,膜処理を利用する場合に,安全装置的に必要になる場合があります。
着水井
 浄水処理プロセスに入る直前,水位の調整や観察用に設ける調整槽です。

【備考】


固液分離プロセス

 固液分離とは,水道原水における異物のうち,水に混じらない異物(懸濁質)の除去を行う方法の総称です。流水の場合,懸濁質の除去によって,細菌類や溶解性分の一部がともに除去されます。原理的には,大きく分けて以下のような方法があります。

 固液分離を行うためのプロセスには,主として以下の3種類のシステムがあります。原水の濁度(懸濁質の多さ)によって,無処理(消毒のみ),緩速ろ過,急速ろ過と使い分けるのが一般的ですが,原水が清浄な場合は固液分離プロセスを省略する場合があります。

緩速ろ過システム
 水質の改善が期待できる点が最大の特徴。技術力をあまり要しないが,濁度の変動に弱く,清掃などは人手に依存する。
急速ろ過システム
 装置化でき,敷地に対する効率が高いが,凝集沈殿の運用には本来専門技能が必要。自動運転はある程度可能。
膜ろ過システム
 自動化が前提である点が魅力。原水水質を選び,コストを要するが,処理水質は安定(条件不全はコストに影響する)。

 また,各プロセスは,それを構成する施設で構成されています。その組み合わせの概要を以下に示します。

  消毒のみ 緩速ろ過 急速ろ過 膜ろ過
薬品注入設備 (凝集剤) 凝集剤,助剤,
pH調整
(凝集剤)
沈殿プロセス 普通沈殿
(凝集沈殿)
凝集沈殿 (凝集沈殿)
ろ過プロセス 緩速ろ過 急速ろ過 膜ろ過

※凝集沈殿は急速ろ過以外のプロセスでも適用される場合がありますが,この場合はあくまでも補助的なものとして使用されます。

 各プロセスのうち,単位施設について以下にまとめます。

薬品注入設備
 凝集沈殿では凝集剤を投入します。個別処理プロセスと共通で。
浄水用薬品
 凝集剤他,薬品を整理。
沈砂池・沈殿池
 普通沈殿池,凝集沈殿池について。原理は沈砂池と同じですのでまとめました。
緩速ろ過池
 砂によるろ過池。緩速ろ過では比較的単純な構造になります。
急速ろ過池
 砂によるろ過です。急速ろ過池の方が施設仕様は厳しいです。

【備考】


個別処理プロセス

 原水の水質のうち,固液分離で対応できないものについて対応するプロセスをまとめます。問題となる水質項目に従ってさまざまな選択肢がありますが,水道でいう「高度処理」プロセスがその代表といえます。高度処理一般論について以下にまとめました。

高度処理の概要
 高度処理の概要に関する一般情報。

 ただ,組み合わせの検討が難しく,プロでも迷うことが多いのが特徴です。個別のプロセスについては以下にまとめました。実証実験を導入することができればいいのですが...

活性炭処理
 活性炭のより微量有機物等を吸着する方法。
オゾン処理
 オゾンの酸化力を利用する方法。
ばっ気処理
 空気による酸化。井戸水の改質などに使用。
生物処理
 微生物を利用した溶解性有機物等の除去システム。
Miex(R)
 イオン交換法を利用した比較的有機物負荷が高い場合用の特殊処理。
海水淡水化
 海水の淡水化技術について。
硬度除去
 硬度のページに掲載しましたので別項です。
水質項目別情報
 除去対象物質が明らかな場合はこちらをどうぞ。

【備考】
 高度処理に関する情報は,浄水技術ガイドラインに詳しいです。また,水道水質ハンドブックなどでもその概要を取り上げています。これらの書籍は是非参考にしてください。


消毒プロセス

 水系伝染病を防止するため病原性をなくするプロセスです。さまざまに優れた点があるため,日本においては塩素消毒が法的に義務付けられていますが,その他の消毒法も研究されています。

消毒とは
 消毒に関する情報。消毒の定義消毒法の選択などについて。

 各消毒法については以下を参考してください。

塩素消毒
 塩素消毒,次亜塩素酸に関する情報。派生法としてクロラミン法もあります。
二酸化塩素消毒
 二酸化塩素による消毒について事例の紹介など。
オゾン処理
 オゾンによる処理も消毒の一種です。クリプト対応など塩素より強い酸化力を持ちますが,残留性は低くなります。副生成物の問題は塩素消毒よりも複雑です。
紫外線消毒
 紫外線による消毒について。
膜処理
 膜によって細菌類を除菌してしまう方法も消毒法の一つ。飲料工場などで使用されます。

【備考】


汚泥処理プロセス

 沈殿池の沈殿汚泥,ろ過池の洗浄水など,不純物の濃度の高い水をさらに処理し,「固形物を取り出す」ことを目的とするプロセスです。

産業廃棄物管理
 産業廃棄物についての一般知識。
排水処理と回収水
 汚泥の分離とその過程で得られる回収水のお話。
汚泥処理
 汚泥脱水施設天日乾燥床など。濃縮槽などについては工事中。
汚泥処分
 汚泥の分類や処分上の注意など。

【備考】


その他処理

 水道としての浄水処理では採用されていない処理も市井では使用されているようですので,場所を作ってみました。今後どうなるか...

その他処理
 まずは場所を作成。

【備考】


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