雑 記
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2024年11月2日
海老沢泰久原作のテレビドラマシリーズ『無用庵隠居修行8』を鑑賞。
ここニ、三作ほどは原作から離れてオリジナル色が出てきてはいたが、今回の作品は完全にテレビ版オリジナルである。『桃太郎侍』みたいな、昔ながらの勧善懲悪の時代劇になっている。深みは感じないが、原作にも勧善懲悪になっている作品もあった。
そのことを考えると、まあこのパターンで毎年制作されていくなら大歓迎である。 |
2024年6月3日
曽野綾子さんのエッセイや小説を読むようになって三十年以上経つ。
きっかけは海老沢氏が一九九四年二月に上梓した『快適な日々』で、曽野さんの『夜明けの新聞のにおい』について書いたことだ。『夜明けの新聞のにおい』は短編エッセイ集なのだが、海老沢氏はその中の一編を取り上げて、曽野さんのものの考え方に共感していた。ぼくはすぐに書店に行って『夜明けの新聞のにおい』を購入し、丹念に読んだ。そして海老沢氏同様、曽野さんのものの考え方に共感した。
海老沢氏から教わった作家で、今も勉強させていただいている貴重なお一人である。 |
2024年5月5日
小説の登場人物の思想は必ずしも作者の思想だとは限らないが、明らかに海老沢氏の価値観が反映されている作品もある。
「駐車場にて」(『快適な日々』収録)というエッセイで、海老沢さんはイギリスに住んでいたころ、駐車場に料金所がなかったエピソードが書いている。
「それぞれが自分の判断で駐車券を買い、そしてその判断にはそれぞれが責任を持つという前提で運営されている駐車場だったのである。(中略)イギリスというのは何と成熟した国なのだろうとあらためて思ったのである」
このエピソードはそのまま「女の気持」(『廃墟』収録)という作品で書かれているのである。 |
2024年4月1日
海老沢氏は著書『星と月の夜』の巻末「解説にかえて」でこう言っている。
「長編ばかり書いていると短編が描きたくなり、短編ばかり書いていると長編が書きたくなる」
そしてこう続いている。
「ある期間、二十本なら二十本の短編を書き尽くすと、もう書くことがなくなっちゃう。じゃあなぜまた書くのかというと、一定の時間がたつと、ぼく自身の人間に対する考え方とか思想とか哲学とかが変化したり深まったりするわけです。それを書く」
ぼくは、それは例えば、どんなものでもいったん表に出してしまえばあとは消えてしまうものだという話が多い初期の作品群から、喪失から再生に向かう物語が多くなる後期の作品群への変化が一つの具体例だと思う。
「イヴニング・ライズ」は「結婚した男」の続編のような作品。「結婚した男」の主人公は渓流釣りが大好きな男で、相棒の男とよく出かけるが、ある日相棒が結婚すると言ったことから二人の関係がギクシャクするという物語。そして「イヴニング・ライズ」は、相棒を失った男が一人で渓流釣りに出かける物語である。ここに海老沢氏の「深くなったり変化したり」した部分が垣間見える気がする。 |
2024年3月11日
女の子を手に入れるまではワクワクして楽しいが、手に入れてしまうとその高揚は消えてしまう、という物語がいくつかある。「虚栗」(『帰郷』収録)、「イヴニング・ライズ」(『帰郷』収録)、「熱い氷」(『星と月の夜』収録)、「週末の釣り」(『夏の休暇』収録)、「夏の休暇」(『夏の休暇』収録)、「あしたの約束」(『夏の休暇』収録)、「結婚記念日」(『夏の休暇』収録)、「服を着て、そして帰って」(『サルビアの記憶』収録)である。 |
2024年2月2日
海老沢氏は学生時代の一時期、築地で軽子のアルバイトをしていた。その経験がそのまま出てくる作品が三作ある。「朝の笑い」(『二重唱』収録)、「森の生活」(『男ともだち』収録)、「魚河岸の空気」(『快適な日々』収録)である。 |
2024年1月5日
海老沢氏は十九歳という大人になり切っていない不安定な年齢に非常に興味があったようだ。十九歳の青年をたびたび小説に登場させている。以下がそれに該当する。
「フィレ・ミニヨンの夜」(『夏の休暇』収録)、「夢からはじまる」(『さびしい恋人』収録)、「十九歳」(『廃墟』収録)、「夜の色」(『彼女の哲学』収録)、「スヌーク」(『孤立無援の名誉』収録)、「最高の時」(『さびしい恋人』収録)。 |
2023年12月2日
「愛すべき、ゴルファーという人種」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。これで『彼女の哲学』『サルビアの記憶』『オーケイ。』『男ともだち』『星と月の夜』『廃墟』『帰郷』『孤立無援の名誉』『さびしい恋人』『夏の休暇』『二重唱《デュエット》』『スーパースター』『みんなジャイアンツを愛していた』『ヴェテラン』『快適な日々』『暗黙のルール』『ぼくらのスコットランド紀行』『巨人がプロ野球をダメにした』『「読売巨人軍」の大罪』に続いて『ぼくの好きなゴルフ』を丸々書写したことになった。トータル二十冊。 |
2023年11月27日
「遠くには海が視界から去らぬ」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年11月23日
「あらゆるものを受け容れられる日は」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年11月19日
「想像以上に壮大だったオープンの概念」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年11月15日
「永遠なるボビー・ジョーンズ」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年11月11日
「世界で最も美しいトーナメント」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年11月7日
「これを買う、ぼくはその場で宣言した」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年11月3日
「ごまかさない、が前提のゲームなのに」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月29日
「グリップどころの話じゃなかった」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月23日
「いつだって、毎日だって行きたい」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月22日
九月二十八日放送の『無用庵隠居修行7』を観た。原作から離れてオリジナル作品になっている点については大変良いことだと思うが、一つでもグッとくる場面がほしい。そして、どうか来年以降も続いていってほしい。 |
2023年10月19日
「とんでもない。あきらめるものか」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月14日
「さして役立つとは思えないが」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月9日
「最高のゴルファーになるために」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月5日
「グリップ変わればスイングも変わる」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年10月1日
「こんな簡単なゴルフをしていたんですか」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年9月26日
「ハンディキャップなんか知らない」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年9月21日
「それぞれの冬の黄昏」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年9月17日
「やると決めたらすぐにやりたい」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年9月12日
「クラブたちの故事来歴」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年9月8日
「同人誌とカレー屋の青春時代」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年9月3日
「何といってもすばらしかったのは」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月29日
「アマチュアゴルファーの都合、不都合」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月25日
「手腕も名声もないけれど」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月20日
「韮餃子とエコヒイキの関係」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月16日
「ぼくは最後の救いを求めた」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月11日
「いま、ぼくはためされている」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月6日
「楽しい騒々しさに満ちていた」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年8月2日
「期待はつねに裏切られる」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年7月24日
「ゴルフには極上の楽しみがある」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年7月19日
「ボールの進化とスコアの変化」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年7月14日
「ゴルファーを笑ってはいけない」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年7月9日
「道具を変えてスコアアップすれば」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年7月4日
「『分かった。さあ、行こう』」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年6月22日
「地理音痴の“快挙”伝えた悲劇」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年6月17日
「ぼくはようやく奮い立った」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年6月12日
「ライバルがいないことの不幸」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年6月7日
「『確信』を自分で証明する」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年6月2日
「あの夏の心躍りも消えうせて」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年5月28日
「控えの間からメインルームへ」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年5月19日
「頭をかかえる日が続いた」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年5月14日
「高くて険しい90の壁」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年5月9日
「何度裏切られてきただろう」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年5月4日
「『天啓』がぼくの頭におりてきた」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年4月27日
「いずれ劣らぬゴルフ好きの文士」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年4月20日
「友がまた、友を呼ぶよろこび」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年4月13日
「青空すら憎らしくなるとき」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年4月5日
「ファンサービスの『苦痛』」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年3月29日
「長靴は持っていないけれど」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年3月22日
「想像力は悲観的にはたらく」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年3月14日
「空中の『夢』、地上の『不安』」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年3月6日
「沈黙を呼ぶ『悲劇』」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年2月24日
「そんなパーはパーではない」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年2月16日
「ゴルフは審判のいないゲーム」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年2月8日
「ラフをティーにしてしまう」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年2月2日
「あるがまま、がゴルフの命」(『ぼくの好きなゴルフ』収録)の書写終了。 |
2023年1月25日
「あとがき」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。これで『彼女の哲学』『サルビアの記憶』『オーケイ。』『男ともだち』『星と月の夜』『廃墟』『帰郷』『孤立無援の名誉』『さびしい恋人』『夏の休暇』『二重唱《デュエット》』『スーパースター』『みんなジャイアンツを愛していた』『ヴェテラン』『快適な日々』『暗黙のルール』『ぼくらのスコットランド紀行』『巨人がプロ野球をダメにした』に続いて『「読売巨人軍」の大罪』を丸々書写したことになった。 |
2023年1月19日
「勝利数と勝率」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2023年1月17日
「清原の純情」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2023年1月4日
「勘違いでバカバカしい『演出』」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年12月21日
「『低視聴率』が本当に意味すること」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年12月14日
「哀れなテレビ局」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年12月6日
「さらば、『プロ野球ニュース』」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年11月18日
「野球人のレベルが問われる事件」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年11月9日
「スポーツの本質」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年11月1日
「裏金を合法化するだけのドラフト改革」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年10月26日
九月二十日放送の「無用庵隠居修行6」をやっと観た。
年に一度のテレビ放映もついに六年目を迎えた。じつに良いことだ。前回あたりから、海老沢さんの原作から離れ、番組オリジナル作品の傾向が強まっている。これもじつに良いことだ。
しかし今回が興味深い作品に仕上がっていたかどうかとなると、首を傾げざるをえなかい。これなら二時間の枠は必要ないとさえ思えた。海老沢作品独特の凝縮感とは反対のスカスカ感しか湧かなかった。
とはいえ、来年も新作が制作されることを誰よりも楽しみにしている。 |
2022年10月25日
「世界への挑戦を歓迎するサッカー、いやがる野球」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年10月17日
「NHKにジャイアンツ戦を売って何がどう変わるのか」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年10月6日
「だからこそ、彼らは海を渡る」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年9月28日
「開いた口がふさがらない」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年9月20日
「『契約』が球界のうさん臭さを助長する」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年9月9日
「選手会よ、おおいに闘え」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年9月2日
「無様な結末」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年8月25日
「鳥肌が立ったワールドシリーズ」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年8月16日
「『55本』の価値」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年8月8日
「同時多発テロに己の存在意義を問うた大リーガー」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年7月21日
「なくならない審判問題は誰のせい?」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年7月8日
「サイン盗みは終わらない」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年7月1日
「首位に不思議の首位あり」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年6月23日
「ドラフト下位選手の活躍がうれしい」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年6月16日
「『ミーティング』がニュースになる愚」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年6月9日
「『いいこと』は強いチームで起こる」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年6月2日
「二人の『英雄』がいた」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年5月2日
「そして、ファンには無力感だけが残った」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年4月21日
「長嶋茂雄二度目の監督就任が意味するもの」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年4月15日
「プライド」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年3月29日
「『ジャイアンツファン』であることの絶望」(『「読売巨人軍」の大罪』収録)の書写終了。 |
2022年3月17日
「あとがき」(『巨人がプロ野球をダメにした』収録)の書写終了。これで『彼女の哲学』『サルビアの記憶』『オーケイ。』『男ともだち』『星と月の夜』『廃墟』『帰郷』『孤立無援の名誉』『さびしい恋人』『夏の休暇』『二重唱《デュエット》』『スーパースター』『みんなジャイアンツを愛していた』『ヴェテラン』『快適な日々』『暗黙のルール』『 |