News >「仕事日記」2006年8月


8月3日(木) 月猫えほん音楽会 北九州芸術劇場
今年の月猫は舞台監督も替わり、照明の高見さんも顔を出さず、その点は淋しいが、吉澤・能祖のコンビは絶好調で楽しい集まりには変わりがない。北九州芸術劇場にもすっかり慣れて、バーンスタイン効果だろうか見知ったスタインウエィの鳴りがひときわよかった。さるかに合戦にいたるステージの流れが今年はことにスムースなこともあってのことだろう。
8月4日(金) 日経アジアの夕べ 大手町日経ホール
ソロボーカル、男性コーラス(デュークエイセス)、中国琵琶(エンキ)、韓国胡弓(コッピョム)、津軽三味線(阿部兄弟)という組み合わせの為のアレンジを、“上を向いて歩こう〜見あげてごらん夜の星を”というメドレーに施せ、と言う課題。ソロの人のキーがGbだというので少々迷ったが、楽器が歌にあわせるのが基本だろう、と琵琶にも胡弓にも無理を言ってそのようにしたら、なんとも快く受けて練習してくれていて嬉しかった。胡弓のコッピョムさんは自分のステージでもフュージョンタッチの曲が多く、インテンポの演奏も普通にこなす。そのバンドにはギターの松宮やベースの菰淵君、初対面ギタリストの阿部さんなどいたので、二回目(この日ふた回し)の合同場面(つまり僕がアレンジした部分)には参加してもらった。

琵琶のエンキさんは歌心たっぷり。Gbのキーも“新鮮だった。新しい響きの発見があった”と言ってくれた。 ある程度以上の人はエスニック楽器でもコンテンポラリー対応している時代なのだと感じた。
8月6日(日) キッズパラダイス 岐阜・未来会館
大太鼓ソロ
津軽三味線ソロ
コマネラの丘 ヒダノ+新田DUO
こきりこ節 3人
マリと殿様 3人
カムサハムニダ(新田曲) 3人
三味線ソロ
八木節 3人
がんけ(ヒダノ曲) 3人

ヒダノ修一(太鼓)
二代目 新田昌弘(津軽三味線)
鳴瀬喜博(B)

前のりリハーサル日の5日は当地の花火大会とて浴衣の老若巷に溢れ縁日のビールも楽しんだが、いざ宿へ帰ろうとするも町中の道路が駐車場の如き景観にて楽屋にかんづめ。避難生活とはこのようなものかなどと不届きな冗句など飛ばしながらもナルチョとの会合は愉快。新田君の22才の新鮮さも味わいつつスタッフとともに夜中のラーメンは久しぶり。
8月7日(月) グローバル・ピース・コンサート
第一部 ボサノバ
第二部 弦楽四重奏
第三部 ジャズピアノ
第四部 セッション  吉田慶子・佐山雅弘は全部参加
ルイーザ  デュオ
いそしぎ  塚野淳一(Cello)
ウエイブ  塚野淳一(Cello)田庫秀樹(Tb,Perc)
白い道  塚野淳一(Cello)小川有紀子(1st Vln) 柳沢直美(2nd Vln) 清水暁子(Vla) 山本純(Vc)
アンコール 愛の忘れ物
塚野淳一(Cello)小川有紀子(1st Vln) 柳沢直美(2nd Vln) 清水暁子(Vla) 山本純(Vc)

念願の吉田慶子さんとの共演果たす。思ったとおりの天国的歌声もさりながら、話し言葉も同じトーンでこれまた痺れる。小柄で大人しい感じは柏木玲子ちゃんを髣髴とさせてこれまた胸キュン。おじさまキラーである。

去年に続き丁寧な写譜をしてくれたチェロの純ちゃんは相変わらず好い人で、C出し移調写譜におけるホルンの問題などご教授いただき有難し。

松栄と書いてショウエイと読む、うるさ系のおすし屋さんの昼ごはんが豪華。
8月8日(火) 名古屋音楽大学 前期集中講義 第一日 リズム
たなか りかDUO ドキシー
りかちゃんは今、一押しの有望株だろう。メジャーデビューが待ち望まれる。どう弾いても受け入れ、そのまた上を仕掛けてくる。メジャーデビューしてファンが多くついてくると、ある種の責任が出てきて、こういった冒険の度合いが薄れていくものだから、今の付き合いを大事にしたいもの。
8月9日(水) 名古屋音楽大学 前期集中講義 第二日 アドリブ
 
8月10日(木) 名古屋音楽大学 前期集中講義 第三日 ハーモニー
国立音楽大学の夏期講習のメニューを一項目(五細目)丸一日(1時間半を4コマ)かけて講義できたのがよかった。
8月11日(金) Dust 三ケ日・パラディソ
 
8月12日(土) Dust 大阪・ダルマード
お盆渋滞。夜中の二時ごろパラディソを出発して、朝の10時に僕が目を覚ますとまだ京都にも着いていない。やっと12時過ぎに天王寺で車を降りて別行動。僕はずっと寝ていたが伝兵衛と石井は起きっぱなしでつらかろう。それでも僕に気遣ってくれて“我々はそれぞれ予定がありますが佐山さんはどうします”と問うのに“そうだなぁ、よく寝たし、司馬遼太郎記念館でも行ってこようかな”とあまりに呑気な事を言って顰蹙を被ってしまった。 

京都よりの来客(井上先生、三木克弘)二人ともにお土産持参。えびすめと黒ゴマ生八ツ橋。嬉。京都人は義理堅い(?)
8月13日(日) Dust 和歌山・ラバーソウル
はなちゃん(ラバソの共同経営者にして本業は有名料亭の名物板前)にハモの骨切りに付いて解説してもらい、やっと理解できた。ダルマードのマスターも居合わせて、昨日ダルマードでいただいたハモは、そのように内田君が(文字通り)骨折ってくれたのだと、改めて感謝。ダルマード打ち上げはいつも豪華で愛情たっぷりだが、昨日は特に素晴らしかった。
8月14日(月) 伊太山伝兵衛商会+村上PONTA秀一 那覇・パレット
久々再会のポンタさん。酒絶ち70日目とかで極めて流麗なプレイ。嬉。舞台仕上げまで間があるので浜中と二人でジャッキーへ。3連荘になるとはこのときは思わず。
8月15日(火) 伊太山伝兵衛商会+村上PONTA秀一 那覇・アデュー
アジャズ、という沖縄そばや。アジャという地に、ジャズ好きの人が作ったそばや。店内にはいかしたジャズが流れている。沖縄そばにはラフテー(バラ肉)が標準的についていて、その肉を骨付き肉(スペアリブ=ソーキ)に入れ替えてトッピングしたのがソーキそば。両方頼んで食べ比べ。甚だ期待薄の感のあった浜中君も絶賛。特に、唐辛子を漬け込んだ泡盛をそばのつゆに適宜混ぜて出てくる味わいには全員が感動。ぼくも空港のソーキそばくらいしか食べたことがなかったので、ボリュームもさりながら味覚自体のゴージャスさに沖縄そばを再確認した。

このままでは夕方になってもステーキが食えないぞ、と宜野湾海水浴場へ。たて100m、よこ500mほどにロープで区切ってあってプール状態なのは極めて僕向き。内側の紺碧と対照的にその外側はコバルトブルー。きっと急に切り込んで深くなっているのだろう。たまらず、短パンで泳いだ。

まったりと部屋に帰って昼寝。全身マッサージ器が部屋に備え付けてあって、もうトロトロ。18時に待ち合わせてジャッキーへ。その間ユッキーは楽器のセッティングなど。彼は本当によく働いてくれる。これほど人の役に立ったことが自分の過去にあっただろうか。
8月16日(水) オフ
ステーキ〜渡嘉敷島〜昼寝〜沖縄居酒屋〜セッション
の予定だったのが、朝寝はしたいね、と13時待ち合わせでジャッキーに行った時点でフェリーは不都合になり、伝兵衛の沖縄観光に金魚のフンとは相成った。首里城をたっぷり見学。明治4年の廃藩置県から8年後に尚泰王が上京して沖縄県として日本に組み込まれる経緯を、つい最近ドナルド・キーンの著作で読んでいたので楽しめた。

あとひと観光できるのだがアウトドアをしないので適当なイベントもなく、シネコンに行って時間のあう「日本沈没」を見る。吉田日出子(特に秀逸)、柄本明など上手な演技には感動するとともに救われる思い。特撮での都会崩壊のシーンが比較的早めに洪水でマスクされるのがもったいない。折角作ったセットだったらギリギリまで撮りきりたいだろうに、と思っていたら、逆なんですね。今はCGだから、あと何秒かシーンを延ばすのにいちいち莫大な手間や経費がかかるのだ。

ホテル側の居酒屋をタクシーに教えてもらう。ありようはいつも行くようなところと同じだが、壁にかかっている短冊のメニューの半分近くがわからない。あれこれ聞きながら注文しつつ、いずれも美味しくいただくも愉。

約束の時間に少々遅れてアデューにつくとポンタ氏未登場。中尾彬さんと楽しくお喋りしたり、サトシさんのい〜い声とベースとセッションしたり。ゆかちゃんという沖縄の古謡を研究している女性は“床”と書くそうで、経歴も現況もユニーク。沖縄古謡の成り立ちのお話を伺った。日中両属から沖縄県、そしてその後のあまりの日本政府の都合に振り回されるありようはなんとなく知りつつも、文化的混合とその基盤についての長年の疑問が少しく解けた気がした。

池波志乃ご夫妻がお帰りになったと入れ替わりにポンタ氏が登場したころ、僕は既に潰れていた。
8月18日(金) 横浜・イギリス館
森みきこ(Vo)
加瀬達(B)
8月19日(土) 吉川よしひろDUO 花巻・童話村
新花巻にお迎えはジャズサークルのスタッフ、そのこさん。緑の気持ちよい野外劇場にたどり着くと多田さんが迎えに出てくれて、リーダー格(?)の浅井さんとご挨拶。浅井さんは“ぐがん”というジャズ喫茶をなさっていたはずだが、一階の泥鰌屋一本に今は絞っているそうで少々残念。
盛岡から自称佐山弟子・吉田弁護士が当地花巻の美女しょうこちゃんと登場。楽しく飲んでるうちにしょうこちゃんが僕に、清水みっちゃんのような、語りとピアノのピン芸を身につけるべきだと提案。あさって会うから相談してみるか、、、。
古澤良治朗バンドのころの知り合い、というかコンサートスタッフ・うつみ君だとは飲み始めにはわからなかったが、ハッと気付いて思い出を辿るとなんと懐かしいことか。お互いまるで変わってないのは、20年が平行移動しているだけのこと、と笑いあうも愉。
8月20日(日) 平野レミ 歌入れ 乃木坂ソニースタジオ
 
8月21日(月)
平野レミ 乃木坂ソニースタジオ
枯葉 再録
誰でも誰かが コーラス入れ
清水ミチコ、石川セリ、阿川佐和子

豪華なコーラス陣。僕は次があるので早く作業したいのだがおしゃべりがいつまでも止まらない。お土産のやりとり、服装の褒めっこ。セリさんはシンデレラと見紛うかのキラキラ靴で目を引く。レミさんも可愛いジャケットを羽織る。仲良し4人組とはいえ、ある種の対抗意識があるに違いない。
クロニクルコンサートリハーサル 中野ゼロホール リハーサル室
三木俊雄のアレンジは想像以上に素晴らしく、ダークな予想を裏切ってかなりゴージャス。ピアノが前面から退くも可、と思っていたのに、より浮き立って綺麗。今日はハイブリッドなサウンドの波間を上手に漂うくらいまで到達したが、その上を、その波から飛翔してまだ見たことのない世界が見えるか、聴いたことのない音が聞こえるかどうか、が本番に向けての課題。
8月22日(火) 平野レミ トラックダウン 乃木坂ソニースタジオ
私の旅、ひまわり、枯葉、と3曲終了。

和田さんと上原デパールで飲む。作ってもらったビデオや今度のM’sスペシャルの話から、佐藤允彦さんや八木正夫さんの話に興がのる。
8月23日(水)
ミスター・ピンストライプ 初顔合わせ 飯倉 K-Links
11月の末に青山劇場で3日間のミュージカル・ガラ。
主演・構成・演出・振り付け/玉野和紀
構成・訳詩/忠の仁
振付/平澤智
音楽/佐山雅弘
歌唱指導/古賀義弥

という錚々たるメンバーのうち、平澤さんを除く四人とプロデューサーの砂田氏、計5人でたたき台が出ている荒構成を詰めて行く。出演者の多さ(メイン8人サブ4人ほかにコーラスラインあり)と曲数の膨大さ(メドレーも数え上げて40曲前後)に目眩がしそうになっていたが、古賀さんと言う歌の専門化がソロ・コーラスを問わずアレンジ・指導をしてくれるシステムだと知って一安心。玉野さんはタップの名手でもあるそうで、アステアのフィルムでしか見たことのない砂タップ(もっともこれは青山劇場のセリの関係で許可が下りそうにないが)やサンバでのタップとバンドのチェイスなど、面白いアイデアがいっぱい出て楽しかった。
平野レミ トラックダウン 乃木坂ソニースタジオ
私の心はバイオリン
弦カルが生々しく心地よい。大きい編成もよいが、各声部の有機的なつながりが如実に味わえるのはやはり弦カル。

小雨ふる径(みち)
全体にそうだがアレンジのよさに自惚れる。たまにはいい気になってもいいだろう。少なくとも前回のレミさんとのアルバム作りのときからは(そのアルバムのサウンドも気に入ってはいるが)格段の進歩を見せているのだし、ね。

ラ・セーヌ〜パリの空の下セーヌは流れる
小貝さん、完璧なTD。大ストリングス、アコーディオン、ピアノ、場面場面でのアレンジの意図を十分に汲み取った音のまとめに散り一つ分の注文もなし。それにしても桑山氏はうまい。
8月27日(日) 伊太地山弦楽団 鶴見崎展望台
大分の、ということは九州の東端、三方海はとてつもなく気持ちよい。リハーサルに呼び上げられるまでずーっと眺める。本番中もつい、客席に背を向けて海を見ながら自分のアレンジにうっとり。

ここでライブがしたい、という伝兵衛の意を受けて地元の顔役、江藤さんが大勢のボランティアスタッフの協力よろしきを得て実現。PAその他ステージに存在する物体の全てが、我々が歩いてきた悪路と石段を人力で運ばれたのだと思うと感謝感激の念に堪えない。

蒲谷克典に聞いたタバコエピソード。
居酒屋で隣り合わせた四人組の打合せの一人が、たばこを吸うのはよいが、エチケットだとばかりに仲間から顔をそむけて煙をはく。その先には蒲谷君。しばらく我慢していたが遂にたまらず“こちらに煙をはかないで”と要望した。くわえたばこで。

それをきいて思い出した僕のタバコエピソード。
六本木のもつ鍋や。4人テーブルふたつの座敷席の片方で三人連れで楽しく飲み食い。やがてタバコを吸いたいタイミングになったところで隣に若い女性の3人連れ。とりあえず我慢するがやはり吸いたい。諒解を求める一声をいよいよ掛けようとそちらに向き直ると、、、。彼女達のうちの二人がもうもうと吸っている。気を使うほどのことはなかった、のはよいが、彼女達は飲み物待ちにしてもこちらのテーブルは食事が佳境なのだから、向こうがこちらに一言あっても然るべき所ではなかろうか。
8月28日(月) 三木クァルテット
大分で二泊してちとのんびり、などと目論んではいたのだがそうはならず、三木君のクァルテット、リズムセクションは名古屋のファーストコールコンビ、島田剛(Bass)と黒田和良(Dr)と聞いては是非参加。クローズな集まりながら通な人が多かったと見えてかなり突っ込んだ演奏に大きな拍手が嬉。
8月29日(火) 高木クラビア
千葉の教室は円満に終わったのだが、発表会リズムセクション付き、というのを遣り残しているので後二回のレッスンと一回の発表会を行う。生徒にもレパートリィの割り振りをして、一通りの演奏を聴くとジャズ演奏の発展史が俯瞰できる仕組みを考えたのだが、、、どのように仕上がっていくか。不安と楽しみ。ベースに石井康二、ドラムは往年の伝兵衛商会の繁泉。現役リズムセクションからのコメントも有難いし、彼ら自身も勉強したり宿題研究をしてくれそうでそちらも楽しみ。

高木クラビアの最高のピアノ環境で、というのがお値打ち。
8月30日(水) サーカス リハーサル
9月末の神戸公演のためのリハーサル。いつもの富士見が丘。譜面ワンセットと資料音源、そしてこの日録音したMDの入った封筒が駅前の西友ストアに届いている、との報告あり。プラプラ歩いているうちに落としたのだろうが、西友から電話があるまで気付かないところがすごい。サウンド・サーカスから佐山宅への郵送ラベルが張り付き残っていたのが幸い。
8月31日(木) アレンジ日
11月末の公演“Mr.Pin Stripe”の練習ピアノ用譜面をいち早く用意しなくてはならず、徹夜気味にて一気に片付ける。打ち合わせやある程度の稽古の後の最終決定を待って本アレンジに入る段取りだが、36曲は今から気が重い。

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2006年