News >「仕事日記」2006年5月


5月1日(月) 月猫絵本音楽会リハーサル 新宿村・15スタジオ
鉄製の非常階段、といっても他にないのだから正規の階段(?)を4階まで上がるだけでゼイゼイいいながらも扉を開くとそこは懐かしい月猫の世界。毎年5月から8月にかけてのシーズン仲間も8年目ともなると“ただいま〜”っと無沙汰を無視してがらりと扉を開ける寅さんの気分。

愛也さんの心境著し。
点とは何か。位置があって大きさのないもの。ちなみに線とは“長さがあって面積のないもの”。面とは“広さのあって体積のないもの”このぐらいから多少現実的にも存在してきて(テレビなど)、立体とは“体積まであって時間経過のないもの”。そして我々は四次元の世界で生きている。The Fifth Dimention は何か、という問題には触れないことにして、、、。

その四次元内でのパントマイムという“芸”がどんどん、どんどん集約されていったところで、芸だけがあって本多愛也の存在は限りなく小さく、それでいてブラックホールのようなものすごい質量の一点になっていく。あるいはその逆に、愛也そのものであって、もはや“芸”や“術”である必要もない境地。ところがこの日の彼はそれすら通り越して、何だか凄いものがそこにあるのだが、“芸”も“演者”もないのだ。能祖将夫曰く“とてつもなく凄い!憧れないけど、、、”
5月2日(火) 講師 国立音楽大学
さっそくの補講。ふたコマおこなったのだが、ひとコマ目は教室の変更の通知が徹底してなくて生徒に迷惑をかけてしまった。ただその分個人的に指導できてよかった面もある。どちらもセッション主体で楽しかった。

大学の先生と言うことでつい学術的なことに目がいっていたのだが、生徒の望みは基本的にはジャズ演奏の上達。菊地成孔(この日の彼の授業に出たが素晴らしく面白かった)が歴史の講義で学術を教授していることとも重ね合わせると、僕の授業はより実学に即した方が生徒には良いだろうとの思いを強くした。菊地君も授業で“実学は佐山さんや山下さんに”と言ってたし。それにしても思いがけず熱心になっている自分がおかしい。

補講 1 楽しいセッションと質疑応答 > 6月7日の分
ピアノバッキングの教授依頼受け個人レッスンを回りが聴講する形で30分ほど。
リズムの話。音切りの重要さなど、演奏上の基本伝授。

補講 2 楽しいセッションと質疑応答 > 6月14日の分
は大勢のセッションに。
Tp 2人 アルト、テナー、バリトン各サックス。ギター2人。櫛田氏ベース(バイオリン持参するも機会なし)
ブルース バックリフなど
ファンク(即興作曲)でのブラスセクション
5月3日(水)
京都前入り。井上先生のご招待で、先斗町の余志屋(よしや)でお食事。こういうのはルンルンしますね。このゴールデンウイークにグランビアも取ってくださってとても幸せ。ぐじ・いか・さば・たい(すだちで)のお刺身ののち、鴨饅頭、テール煮込み、、生ジュンサイなどで白鶴のお燗。シラス釜飯で〆たあと松本圭司が出ていると言うラグへ。

酔った勢いと関西ノリでいきなり楽屋のカーテンを開けて“毎度!”などとやってしまい、シラリとした空気にはっとした時はとき既に遅し。悪いことをしてしまった。鶴谷君がフォローしてくれて(これはまたお珍しい、どういった仕事のめぐりで?など)なんとか取り繕えて(ないとは思うが)知らない人もいるのだし(歌手とサックス奏者)松本君とだってさほど深い付き合いでもないのだから、気をつけましょう。
5月4日(木) 井上宏子教室30周年(!!!)記念コンサートのゲスト 琵琶湖ホール 小
演奏曲は決めずにいたが、楽屋で三木君と聞いたブラッドメルドーによるAll The Things You Are 7拍子をソロでやってみたら面白かった。途中でやってみた7拍子のストライドって聞いててどうなんだろう?
5月5日(金) 月猫えほん音楽会 琵琶湖ホール 中
 
5月7日(日) 奥土肥美香リハーサル 新宿ミュージカルドッグスタジオ
 
5月8日(月) M’s 佐原・Con Brio 10周年記念ライブ
ホールじゃないところでは久々。客席が近くてタバコを吸って、というのはこれはこれでやはり面白い。突っ込んだ演奏も思い切って出来て、あちゃーっ、という失敗も笑えて、、、ここまでのことをホールのステージでやってもいいのだよな。むしろ大ホールに出てもそこまでチャレンジャブルになれるかどうかが問われている気もする。

Blue In Green
Autumn Leaves
Peri’s Scope
Dead Zone
It Might As Well Be Spring
Extended Play
Ladies In Mercedez
Enc: The Song Is Ended

Relaxin’ At Camariro
Falling In Love With Love
Wish You
Yesterdays
Humpty Dumpty
Floatin’ Time
Autumn Leaves
Enc: Creopatra’s Dream〜Anthony’s Scream
5月9日(火) 奥土肥美香 ライブレコーディング スイートベイジル
奥土肥美香(Vo)
三木俊雄(Ts)
道下和彦(Gi)
佐藤信一(B)
松山修(Dr)

佐藤信一君はとてもやさしい。風邪でリハーサルのときに殆ど声の出なかった歌手が今日も遅刻しているのを気遣って“大丈夫かなぁ、可哀想に”。

スリル・ミーの時のディレクター南周作に頼まれて請け負ったものの、一人でプロデュースするには荷が勝つと思い、三木俊雄も引っ張り込んでのプロジェクト。僕以外の4人はなんと同時期にバークリー音楽院にいた仲間だった。楽屋での世間話が通常以上に盛り上がるのも納得。

リハーサルの間中氷を削る音がしてバラードの合わせなど特にやりづらい。東京倶楽部のような狭い所ならそれなりの絵面にもなるが、本格的ライブハウスを謳っている店としてどうでしょう。それでいてステージは禁煙。これは音楽にさほど影響はないと思うのだが。要するにプライオリティの問題ですね。

売り上げ > 一般客 > 音楽好きの客 > 店の人 > バイト > 音楽 > バンド > バンドボーイ
5月10日(水) 先生修行 第三回 エロール・ガーナー
結局ジャズは、ビバップ以前と以後に大きく分かれる。1959年に一気にリリースされた色んな人の色んなLPで示され、その後発展した多くのスタイルとそれを包括する理論体系(バークリー理論)と美学の体型を把握することがスタイル研究の重要課題となる。よってビバップ初期の各種スタイル・語法(パウエル、モンク、ケリー、ガーランド、クラーク等)、新主流派、とたどりドルフィン・ダンスを以ってピアノ編の総まとめとしたい。
A:プレモダン
  ジョプリン
  モートン
  テイタム
  ウォーラー
  ハインズ
B:時期としてバップ以後だがスタイルとしてはプレモダン
  ガーナー   
C:時期としてバップ以後だが独自のスタイルを開発
  トリスターノ
  シャーリング

実際の授業
レコードの聴ける教室に変更(今後しばらくここにすることにする)に移って、
●ガーナー:コンサート・バイ・ザ・シーより I’ll Remenber April
バップ的というよりはフェイクと名人芸によるアドリブの様子。
●サッチモ:オチチョニア
クラリネットやトロンボーンのオブリガート、ベースラインやドラムのビート感への注意の喚起など。
●クリスチャン;After You’ve Gone <<<特に重点的に
などLPをかけながら解説と実演。After You’ve Goneをプレモダン、ビバップ、ニューオリンズマンボなど各スタイルで実演。
5月13日(土) 瀬木貴将・吉川よしひろ コラボレートコンサート 佐呂間のお寺
 
5月14日(日) 本田竹広追悼ライブ 新宿ピットイン
以下敬称略。

素晴らしい集まりだった。出番を待つ間に、続々と現れるミュージシャンと旧交を温める時間が楽しい以上にそれぞれの演奏がカッコいいのだ。

佐藤允彦にうなり、辛島文夫にうなづき、大口純一郎に微笑む。山下洋輔に圧倒され寺下誠には少々眉を顰める。辛島氏からはジャック・デ・ジョネットとの共演話を聞き大いに得るものがあった。曰く、リズム・タイムさえ共通認識が成立していれば左手がドミソだろうがラインがどんなスタイルであろうが会話(すなわちセッション)は成立し、そこにしかない何かは生まれる。けだし名言である。“お前が常々挑戦していることを好ましく思っている”と仰るのには少し困るのだけれど。

植松孝夫のリュウとした立ち姿、井上淑彦の誠実さ。豪放磊落な中村誠一に端正この上ない峰厚介。峰氏は取りまとめ役として実に細やかな気配りも見せていて、僕にも優しい言葉を何度かかけてくれた。ファンとしてはたまらなく嬉しいんである。

林栄一の拡散するきらめき、梅津和時の突き抜ける哀愁、坂田明の天駆ける咆哮。ベースは何といっても米木康志の太さ、日野テルマサの後ろで叩く珠也が見事なできばえで感動した。山下洋輔とのセッションにおいても完璧なドラミングで克目させられた。

日本ジャズ史を俯瞰するような心持ち。とともにこの時点で一旦歴史が括られている印象も持った。

ぼくのセッションは紙上理(B)守新治(Dr)三好功(Gi)で本田竹広の“Blues At The Funk”を演奏の後、東郷輝久が“All Of Me”鈴木道子が“I Remember You”上野尊子が加わった3人で“You’ve Got A Friend”。三好は時々会って音を出しているが他の人たちとはこういうことでもないと最早セッションの機会もない。それよりもそれぞれの人がこの狭い日本の小さな小さなジャズというフィールドで活動し続けている(今日集まってくるというのはそういうことである)ことに客観的には微笑ましさと、主観的には涙がにじむような嬉しさがある。

山下洋輔に衝撃を受け、本田竹広に憧れ、板橋文夫に傾倒し、大口純一郎に私淑しながら辛島文夫を横目に見ながら佐藤允彦的境地を目指してきたものだが、好きなもの、嫌いなもの、それぞれの相手から受け取るものが変わってないのが我ながらおかしかった。成長していないのか、確固たるものが早くからあったのか。時間と経験を重ねて直感的な価値観を肉付けしてきた成長の跡を確認したというべきか。

この面子が一堂に会した写真をとると映画“ターミナル”にあったエスククァイア誌のジャズマン大集合写真の日本版になるな、と思っていたら、最後に居合わせた30人ほどの写真をとることになり嬉しかった。○○の日本版というところが、ジャズのような芸能においても何やら日本のありようを引きずっていて面白悲しいが、ともかくも感慨深い一日ではあった。
5月15日(月) 木野雅之デュオ 宮前区役所ロビー
ロビーコンサート150回記念。木野さんは50回目と100回目にも出演なさったそうで、今回のお誘いは僕にとって嬉しかった。何といっても何年か前の谷保こもれびホールでの8小節ロストが最後で、もうお誘いはないだろうと諦めていたのだから。今回はそういうわけでいつになく念入りなおさらいをして、忠実(気味)にトライ。次回はもっとはじけよう。そのための布石と信頼回復は今日でできたと思う。

1 ・エルガー/愛の挨拶
2 ・ピアソラ/リベルタンゴ
3 ・Pfソロ
4 ・Vlnソロ
5 ・甲松一/八木節
6 ・サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
En ・ボーリング/アグランド風etc
5月16日(火) バーンスタイン合わせ 高木クラビア
 
5月17日(水) 講義 国立音楽大学
ビバップ入り口 いよいよビバップ。結局ここからが説明しやすくなるのだ。論理的整合性が取り込まれてくるから。ビバップから初めて遡ったり下ったりしてスタイルを追うほうがわかりやすいかもしれない、と今にして思った。

バド・パウエル Creopatra’s Dream セロニアス・モンク Round about midnight を聴きながら耳についた説明しやすいフレーズをその場で板書して解説。プリントにしてくれたら有難いとの声有り。そりゃそうだ。だがそのためには予習時間が飛躍的に増えるのだが、、、。

今日のふとした悩み。一年の授業が終わった時に生徒達に何を残せばよいのだろう。
今までの態度。毎週の課題を自分なりに研究してその研究発表のように各スタイルを解説することで各自が受け取りたいことを受け取れば、、、。

ところが、
皆、実践的なことを知りたがっている風が感じられること。
歴史は菊地、理論は栗山、アンサンブルは山下・金子、それぞれいい授業の模様。
を鑑みるに僕の授業はより具体的な“コツ”的なものを表層的でいいからずらずらと惜しげなくばらまくってのはどうだろう。

山下教授アシスタントの櫛田君に助けてもらって佐山クラス親睦会。洋輔さんも来てくれてセッション大会。途中山下さんの持ち込んだピアニカを借りて“オメガメタ星人”の芸をやったらさすがに音大生には受けたが、そんなことよりちゃんとしたセッションをもっとやりたがっていた。喜ぶべきだろう。山下さんはレストランのアップライトピアノの黒鍵を二つ剥がしてしまう熱演。生徒へのサービスに見せかけて連弾できたのがファン的に嬉しかった。

3時間ほどのパーティの間、携帯電話を取り出すものが一人もいなかったことに後から気付いた。いい子たちだと思った。服装や喋り口調は街で見かける若者と僕には区別がつかないのだが、ある程度のレベルの音楽学校に入るまで習い事が続くというのは、それなりのマナーが身につくものなのかも知れない。
5月18日(木) 白内障手術
全く痛くもないし時間も短いのも知っているから昼寝のつもりでいるのだが、点滴の注射(これが全作業中最も痛いことなのだから推して知るべし)を3回もするこたないだろう。血管が浮きにくいらしい。

事務手続きのミスで手術日が遅れ、白濁が随分進行していたので場合によっては二回に亘るかもしれなかったのだが、幸い全工程を完了することが出来た。

医者というのはえらいものである。目ン玉の中身を顕微鏡の拡大モニターでテ作業するのだから。ケニーGを聞きながら。
5月19日(金) 浜松 伝兵衛堂
佐藤さんの調律がバッチリ決まってアップライトがまぁ良く鳴る。伝兵衛の“雨だけ~がぁ~”っていう歌でHigh G が綺麗に出ているのにびっくり。“誓い”の最後のFも見事でした。

打ち上げで伝兵衛堂ご主人のサプライズバースデーパーティあり。居合わせた画家さんと抽象論、表題論など楽しいお酒。青木シゲルとエゴン・シーレをチェックのこと。
5月20日(土) 伝兵衛DUO 姫路・ライラ
冒険フレーズの途中で到着地点が霞むことはよくあるが、その先がなんだか昨日今日はうまく行くのだ。片目裸眼というのがなんだか集中できてよいのかも知れぬ。
5月21日(日) スパーVol.21 悲しみの向こう側 鑑賞
名倉ダンススタジオの中堅6人によるダンスパフォーマンス。面白かった。G線上のアリアが途中からダブになったり、そのバラードテンポの中でR&Bっぽいユニゾンダンスがあったり、楽しくてショッキングな試みが随所にあった。

こういう小さい会でのチャレンジャブルな公演というのはいい。ビートルズがリバプールの小さな店で生まれ育ったように“2006年5月21日東京の片隅千歳烏山の、とある地下スタジオでダンスの革命が起こっていた。”なんてこともないとはいえない、少なくとも商業的なイベントからはそういうことは起こりにくいだろう、なんて思いながらのりぴーやさくらちゃんたちの汗を間近に感じるのは悪くない。ぼくはダンスや踊り子さんがとても好きなのだ。
5月22日(月) 佐山クインテット+1 水道橋・東京倶楽部
三木俊雄(Ts)
秋山卓(As)
岸徹至(B)
紺野智之(Dr)
ゲスト 馬場孝喜(Gi)

NYで会う前に馬場君と東京で一度セッションをしよう。
     +
ダグでのセッションが楽しかったから近々同じ面子でライブをしよう。
を合体させたはいいが盛りだくさん過ぎてどうしようかと一時は迷ったが、何とか楽しい一夜になってよかった。

ファーストクライの二管ピアノフィーチャーアレンジがうまくいった。馬場君の持ってきたS.O.Sも面白かった。

秋山卓のうまさを堪能した。息の長い一筆書きのように目を見張る流麗なフレージング。また一息が呼吸としてもフレーズとしても長〜いのだ。これは想像以上の逸材かもしれない。28歳。三木のテナーと音色の相性も申し分なし。

岸君は何があってもリズムを死守するベースらしいベース。紺野君はテナーソロに一段と輝きを発する。
5月23日(火) クリスマスコンサート打ち合わせ ミューザ川崎
東京交響楽団トロンボーンの荻野さんと今回出演でなくアレンジだけを頼んだ村田陽一との楽しい打ち合わせ。選曲、アレンジの方向など話が進むうち両トロンボニストのプライベートトークで盛り上がる。

M’s バーンスタイン対策会議
先日打ち合わせしたアレンジ下書を書けないまま今日を迎えてしまい焦っていたら、小井政都志がコンピュータ譜面で元のピアノパートも含んだ譜面を作ってきてくれてスムースなアレンジ完成を見た。

5拍子と7拍子が交錯するパートでもうろうろしている僕と小井を尻目に、大坂はポリリズムのパルスをどんどん入れ込んで複雑なアレンジにしていく。ピアノとベース、ドラムはブラシで新聞紙をこすっているだけなのに強力にスイングする。一番てこずっているマスクの部分もスイング感の残る程度に速くすることにしたのでピアノ技術上の問題は一安心。
といっても結構速い。
5月24日(水) 講師 国立音楽大学
ビバップ百花繚乱 ピアニスト編:
●ハンプトン・ホースを聞いてリズムチェンジ
●ウイントン・ケリーの枯葉を聞いてリハモニゼーションとベースライン
●ホレス・シルバー、ソングフォーマイファーザーでファンキーの中のハイブリット、、、というほどでもないのだがまぁジャズ的なナインスボイシング
●レッド・ガーランドガーランドとジョージシアリングのアレンジ法

それまでと何がどう違ったか:
●フェイクラインと新旋律(決まったコード上の旋律作曲)
>>スケールラインとアルペジオ、適度なブルーノート
●ハネる要素多い(主にダンスのため)
>>シンバルレガートやベースラインの水平化(ダンスの拒否、ミュージシャンズミュージック化)
●ソックシンバルがハイハットになる話。
●ジャズとドラムセットは一緒に発展してきた話。

使用譜面:
●ウイントン・ケリー/枯葉 
テーマ部分のコピー譜(右手とベースライン) アドリブの部分コピーでバップ的なラインを分析
●ホレス・シルバー/ソングフォーマイファーザー
アドリブ1stコーラスの両手コピーでモダンコードとブルーノートの両立具合を解説
●トミー・フラナガン/Relaxin’ At Camariro
テーマ部分と1st、2nd コーラスのコピー譜(右手)
●アイガットリズム/メロディシート
●ソニー・クラーク/Softly As In A Morning Sunrise
テーマの弾きかたのコピー譜、時間切れで解説に至らず残念
5月25日(木) M’s 函館・金森ホール
僧侶斉藤さんのお導きでの函館2デイズ。初日の内容はシークレット。到着してすぐに五島軒。オムライスだボルシチだ、ついでにビールだと盛り上がる。大坂のスープカレーも僕には珍しかったが、小井の頼んだファンダメンタルなカレーにエドワード風というタイトルのついているのが可笑しかった。

本番後は函館一と平山けんちゃんおすすめのおすし屋さん。確かにどのネタも極上で酒が進んで困った。
5月26日(金) M’s 函館・ビーズビー
ゆっくり起きても温泉に入れて朝市にも行けて満悦。うに丼と超辛塩引き鮭にイカ刺しは食べ過ぎ。
地方で連泊の午後は映画に限る、とダビンチ・コード。なんと3人並んで見てしまった。こういうバンドってなんとなくへタッピーな感じがする。

Dead Zone
Peri’s Scope
The Girl From
Ipanema
I Love You
Yesterdays
P-Bop
All The Things You Are >>>新アレンジ出来 ライブレコーディングが益々楽しみ
On A Clear Day >>>これも最近の新レパートリィ。コクが出てきた。
Falling In Love With Love
My Favorite Things
Extended Play
Swingin’ On A Star
Spain

総じて(2部は特に)次回作を意識しての内容。ムフムフ、、、悪くない、悪くない。
5月27日(土) 不安の時代 予行演習コンサート 高木クラビアサロン
ジャズ講座付きコンサート。千葉ヤマハ時代の人々も大勢来てくれて嬉。なんといっても半年間頑張ってくれた石井・中島ご両人に多謝。
5月28日(日) コウダ・クミ 収録 フジテレビ“僕らの音楽”
“神々の宴”の頃の音響スタッフと会えて懐かしがる。普段とは違うだろう服部隆之のジャジーなアレンジでも立派に歌っていて好感を持った。誰かがベースのフレーズに対する質問の時にチェロと仰り、こういう時は即座に誰かが訂正してあげないともう最後まで言いにくくなっちゃいますね。ズボンのチャックと同じで、好意が仇になって本人に恥ずかしい思いをさせてしまう。
5月29日(月) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハ
今年の新作は“さるかに合戦”久々の和物。子供4人とお父さん2人を舞台に上げるという。金の卵を産むニワトリ、で味を占めたのだろう、能祖・吉澤のプロデュース組が本多愛也をいじろうと手薬煉(<テグスネでこんな漢字が出てきた。知らなんだ)ひいている(<こちらは漢字がいっぱい出てきてわからなくなってしまった)のが可笑しい。

蟹、猿、栗、蜂、臼、牛糞、それぞれに沿ってマイムを作りながら曲のモチーフを作ったり借用したりして当てて行く。この作業はいつもながら月猫の中でもある意味最も面白い時間なのだが、今回はモチーフが異常に多く、最後にみんなで後進する時には六声対位法になるではないかと、不安。

郵便局隣の“とんがらし”にて能祖さん最近のお気に入りの泡盛で炭火焼などいただく。
5月30日(火) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハ
行進が2人になったところでダブルメロディがマイムにとって煩雑になり、対位法処理が早くも却下。音楽的には残念だが作業上は随分助かる。牛糞のテーマにチャイコフスキーを当てたところが吉澤・本多の真骨頂。小節数合わせに苦労していると吉澤さんのサジェスチョンでオーケストラスコアから別パート見つかる。ここまで音楽に詳しい演劇関係者というのも珍しいのではないか。

能祖君ラップに苦しむ。半拍休んでリズムに乗ること、逆に半拍引っ張り出して喋る、いわゆるアウフタクトが苦手。かわず飛び込む水の音って言うときは頭に“ン”が入るでしょう?と指導。台本のセリフのアタマに“ン”と書き込んでいたが、うまくはなってなかった。
5月31日(水) 講師 国立音楽大学
モード:コードチェンジが機能和声によって小節ごとのストーリー性を持つ中で、その物語をなぞり発展させる形のアドリブに対し、モード形式は浮遊した和音感覚の中で個人的な物語を語る。そこにダイナミックなドラマツルギーはなくてよい。あってもよいが。

具体的にコードとしてのDmにおける各ノート(ソとかドとか)がある方向(ファとかシとか)から受ける引力とモードとしてのD Dorian での各ノート(ソとかドとか)がそれ自体で浮遊している感じをピアノで表す。

バッキングのボイシングはどうなっているのか、との質問あり。なかなか鋭い。解明できないまでも、ナニがタネがあるに違いない、と見破られた感じ。騙すつもりはないのだがモード世界を潜在的に醸し出す四度堆積の割り出し方は説明がものすごく複雑なので省いていたのだが、大雑把に解説することになった。

各モードに於けるキャラクターノートを含む和音が本来ならばモード世界にはないドミナント性を持つ。キャラクターノートを含まない適度の四度堆積を用いるとモード独自の浮遊感がより明確に(正確には“不明瞭間が正しく不明瞭に”)現れる。
この時点で寝てしまった生徒が2人。

カインドオブブルーを聞いてマイルスのソロを1.5コーラス、ピアノを使ってアナリーゼ。喰らいつくものと悩む顔、8小節目くらいで諦めた様子などさまざま。このコーナーが終わる頃に寝ている生徒が5人。そりゃそうだろうな。

モーダルコーダル:ジョーヘンダーソン作曲のインビテーションを使ってモードとコードの使い分け及び相互乗り入れの感じを解説。アドリブ2コーラスを含む実演。本格的に演奏すると皆起きる。

わかるかわからぬかは構わずに(この1回の説明できっちりと理解出来たら天才だろう)コーダモーダルの究極“Dolphin Dance”のアナリーゼ。

生徒に何を伝えるか、を考えた場合、生徒自身の目的によって3種類の対応があり、それぞれに応用のきく授業を目指そうと思った。

【1】ジャズの実演家を目指すもの:
掘り下げて研究し、音源は擦り切れるほど聞き、肉体的(楽器上の)訓練を徹底してカラダに理論ごとたたきこむ。
【2】音楽家にはなるがジャズを専門にするわけではないもの:
窓の外から部屋をのぞくように、あるいは庭くらいには入り込んで造作がどうなっているのかを把握できる程度に理論や独特の音列、リズム、そして歴史などを身近に感じることが出来るようになる。
【3】教養としてジャズのことを知っておきたいもの:
副科のピアノ程度の技術ででジャズのアドリブくらいはできる。一年経ったらブルースの一曲くらい、楽器は問わずアドリブセッションに参加できるようになる。

【3】の目標には生徒全員達しさせたい。
 
今日の配布プリント:
●モード一覧表(生徒が埋めるべき空欄多くあり)
●マイルスソロ トランスクライブ48小節
●インビテイション リードシート
●ドルフィンダンス リードシート
●セブンスにおけるアベイラブルノートスケール(生徒が埋めるべき空欄多くあり)
●訓練するべき必要十分な二種のスケール即ち長音階と旋律的短音階(生徒が埋めるべき空欄多くあり)

前回まで板書で済ませてきたことも然るべくプリントにし、今後の講義についても要所要所を文章や楽譜にしていくと、小冊子的な講義要教本が作れるかも知れぬ。

月猫絵本音楽会リハーサル 青山劇場Bリハ
台本の最終まで曲作り到達!なんとかなるもんだ。今日の飲み会は明治通り沿いの居酒屋“千”。がらっぱちのオヤジさんの笑い声の中、珍しく言葉論、芸術論になる。これで3日続けて飲んでるがどこまでも楽しく、飽きずに色んな話になって行くのがたまらない。波多・能祖対決や、吉澤本気トーク、本多さんが(彼にしては、だが)多弁なのも良かった。

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2006年