2001年を振り返って

今年の出来事|今年の読書|今年のご飯|

▼今年の出来事

2001年は、21世紀の幕開けに相応しい、歴史に残るような波乱万丈な1年でした。多分世界の十大ニュースをあげるとしたら、今年は間違いなく世界貿易センタービルに始まるの米国同時多発テロがトップでしょう。多分この写真は、阪神大震災の時の写真とともに、「衝撃の写真」として後世の写真集で取り上げられるに違いありません。つい先日、アメリカで出版されたテロリズムの本を見たのですが、その表紙が正に貿易センタービルの「衝撃の写真」で、これ以上の衝撃ニュースは、なかなかでないのではないかと思ったのでした。

日本でのニュースは、小泉純一郎内閣発足かな。多分彼は大臣になって欲しいと思われつつも、絶対にならないだろうと確信されているような人だったと思うんですよね。そりゃNHKでドリフターズがコントを交えて歌うような時代ですから、何があってもおかしくないと思いますけど。同時に国会中継が異例の視聴率を得たり。あ、そうだ、もうひとつでかいニュースがありました。ようやっと皇太子ご夫妻に皇孫殿下が生まれたのでした。その後続報があまりないので、すっかり忘れてました(<ひどい)。うーん、今年の国内十大ニュースはどっちをトップにするか迷うところですね(明らかに後者だけど)。いろんなことがあった1年でした。自分の環境もすんごく変化しました。日記にリンクしながら今年1年を振り返って。

今年のボケ

私のボケのひとつ、早とちり。これだけは誰にも負けません。去年の早とちり。

「アンバサダーホテル」の意味を○○と間違える
ジョージアの浜田課長の思いやり、は違うものだった
とびきりチョコ
左右を間違え、霞ヶ関で迷子
シールを三枚おろしにした
手前の駅で降りる

うーん、いろいろありますね。。。

今年の妹

同居してた妹とも離れてしまったので、最近ボケを聞いてません。先日、ふと「そう言えば、私には妹がいたんだった」と思ったのでした。去るもの日々に疎し。

どこでも寝る妹
パン(らしきもの)を作る妹
大人の遠足に行く妹
ヘッドロックをかける妹
ヤケ食いをする妹
誕生日を忘れられる妹
社内報に載る妹

どうでもいいけど、こうやってまとめ読みすると、毎日見てる人の気分がわかってきた。。。確かに面白い(自分で言うのもなんだけど)。

▼今年のミステリ

私も『本格ミステリ・ベスト10』に投票させていただきましたが、今年はネット関係者を大幅に増やした改訂版で、知ってる名前もちらほら。皆に寄せ書きしてもらったら面白かったりするかしら(笑)。講評というと偉そうなのですが、ランキングに入ったものとリンクをはって、思うことなどつらつらと。

まずは今年の『このミス』と、『ミステリベスト10』ランキングから。

宮部みゆき『
模倣犯は、もう今更という感じ。私も「今更」と書きながら投票しましたが、これは今年1位っていうのはあらゆる意味で頷けるところです。本格ミステリでは9位でしたが、「今更これに投票しても」という人が多かったというだけでしょう。奥田英朗 『邪魔は、 これってミステリなのかなー。それなりに面白かったですけど。彼もこのミス常連になりつつありますね。山田正紀『ミステリ・オペラ』は、あの印象的な表紙とタイトルを見たとき、買おうか非常に迷いました。山田正紀は「これだけ著者が並んでいながら、この作家を読んでないのですね」とメールを貰う筆頭で、他にも薦められている本はある著者です。しかし時期が悪かった。未読本は積みあがり、かつ私生活でも仕事でも忙しくなった4月。あの厚さの本で、しかも1度も読んだことの無い著者。・・・というわけで見送ってしまったのでした。機会があったら読んでみますね。東野圭吾『超・殺人事件が入ったのは、ああ、これはなるほどーって感じです。バカみすとしては一級品。でもここまで票を集めるとは正直思いませんでした、はい。どっちかっていうと京極夏彦の『今昔続百鬼』のほうが来るかな、と思ったのですが。舞城王太郎『煙か土か食い物は、テンションの高さについていければOKのミステリ。私は票を入れないなあ、という作品でした。逢坂剛 『相棒に気をつけろ』は、未読。逢坂剛は結構好きなので、読もうかな。小野不由美『黒祠の島は、正直、この本がこの位置・・・と意外な印象。私はこの本は評価しないかな。自衛隊ミステリという異色な作品を出しつづける古処誠二の『未完成。『少年たちの密室』には劣ると思うのですが、こちらのシリーズも続きが気になります。「本格ミステリ」6位に入った、黒田研二『硝子細工のマトリョーシカ。私はこちらよりもやっぱり『ペルソナ探偵』のほうが面白かったな。やりたいことが透けてしまったのが難点かも。こういうのも1回はびっくりだけど、何度も続くとダメですね。このミスでは意外と順位が伸びなかった、大倉崇裕『三人目の幽霊。これはわたし的には文句なし。もっとランキングが高くてもよかったんじゃないかと思います。詳しくは私の投票へ。bk1で大倉崇裕氏のインタビューが載ってますが、「本格的にミステリを読んだのは大学から」っていう著者の言葉に、なんとなく「染まってない」書き手の作品は、様式にはまりすぎてない分(過去の呪縛を受けていない分)、新鮮な面白さがあるんじゃないかな、という気がしました。いや、もちろんそれ以上に才能は必要ですけど。 有栖川有栖『絶叫城殺人事件は、これぞ本格ミステリ、といった感じの連作短編集。この程度の微妙な位置でランクインするかもというのは予想の範囲でしたが(実際私はランキングに入れようか迷った)、初心者ウケはしないかも。鯨統一郎の『九つの殺人メルヘンも入れようか最後まで迷った作品でした。メルヘンをテーマとする安楽椅子探偵もの。こういう人の話を聞いて見事な推理をするという話は、本格ミステリの中で、私が叙述ミステリと並ぶくらい好む形式です。読んで損はなし。 殊能将之『黒い仏はどうなんだろー。笑えるとは思いますけど、ちょっとな。というわけで、このミス10位中既読3冊、本格ミステリ10位中既読6冊と、なんだかんだ言いながら、本格ミステリが好きなのかもと思った私でした。

それでは私の投票から

そして私の投票。言い訳がましくなるかもしれませんが、プロの物書きでない私は、あの短いコメントでは、言いたいことが全く表現できなかったので。

1. 宮部みゆき『模倣犯
このミス1位、本格ミステリ6位。文句なしの今年1番の話題本でしょう。○○ページ、上下段2分冊。厚さだけとっても今年のトップだと思います。厚さを言うときに、よく使う(使われる)常套句、「厚さを感じさせない面白さ」。もしその言葉の典型例をあげるとしたら、この本、と思うに違いありません。

2. 大倉崇裕『三人目の幽霊
いろいろ悩んだ挙句、2位はこれにしました。連作短編集。日常ミステリと言われるものは数多くありますけれども、この雰囲気に1票。

3.恩田陸『MAZE
本当は今年の恩田陸は『ドミノ』が1番だと思うのです。でも『ドミノ』はどう考えても本格ミステリではない。この本も本格ミステリではないかもしれないのですが、謎に満ちた迷路が一体何なのかを解き明かすホラーともミステリとも言えるこの作品に1票。文章でここまで背筋を寒からしめるこの本、なかなかですよ。

4.柴田よしき『ふたたびの虹
料亭おかみが聞き役となって、店の客が持ち込む様々な謎を解き明かす安楽椅子探偵連作短編集。ミステリ部分よりも、おかみの人柄、それをとりまく人々との触れ合いが非常に印象的な作品。去年の『桜さがし』に続いて、柴田よしきの恋愛小説的ミステリの傑作です。来年は本格的に恋愛小説に取り組むということも「隠し玉」にかかれていて、非常に楽しみ。これも投票したのは私だけかな?

5. 黒田研二『ペルソナ探偵
『硝子細工のマトリョーシカ』がベスト10入りしたネット出身作家のくろけんさん。わたし的には『マトリョーシカ』よりもこちらのほうが好きだな。これまた投票したのは私だけかも(笑)。

今年の読書

ミステリベスト10の原稿を書いているときから思ってたのですが、どうもミステリから離れつつある今日この頃。多分世間一般的にはミステリの範疇に入るものを読んでいるとは思うのですが、その範囲があまりに広がってしまって、所謂推理小説みたいな本は読まなくなったなあという感想です。

というわけで、今年の私的ベストです。2に出てきたものと重複するものは適当に省いて、その他のものを中心に。

ロボットは人間になれるのか、ロボットの社会的位置付けは?今後出てくるであろう様々な問題を提起する小説、菅浩江『アイ・アム。難しい問題を抜きにしても面白い本です。今年一番かな、と思ったのは、荻原浩『誘拐ラプソディー。誘拐というと岡嶋二人と私は思っていたのですが、それに勝るとも劣らない出来の作品。笑いあり、感動ありのユーモアミステリです。先ほどもあげましたが、今年の恩田陸はやはり『ドミノです。たたみかけるように次々と起こる事件、事件、事件。それが徐々にからみあって・・・。ドミノ小説の秀作。そして設定がよかったと思ったのが、受験生青春小説、竹内真『風に桜の舞う道で。そしてホラーでは夏の滴。ホラー小説ってどこかお馬鹿なところがありますけど、受け入れられる(面白い)おばかと、単なるテンションの違いと二通りあると思うのです。これは前者。だから面白かったですね。つらつらとあげましたが、なんとなくトリックを捻ったものよりも、生々しい人間が最近の私の好みなのかもしれません。

▼今年のご飯

食道楽大食いバカ、食費 vs 書籍費に頭を悩ます片桐が、今年うまかった店を羅列。あえて住所・電話番号などの詳細情報は載せません(単に自分が調べるのが面倒なだけです)。行きたい方は、がんばって探してみましょう(意地悪)。

よく考えると、どの店も地図があっても行きにくいところばかり。天邪鬼ぶりがわかるリストになってしまいました。

1. 軍鶏丸 (軍鶏料理 / 恵比寿)

2度目行ってもやっぱりおいしい。値段もリーズナブルで、言うことありません。焼き鳥もおいしいですが、特に生でも食べられるという軍鶏のツミレが絶品です。混んでるので要予約。 焼き鳥も鍋も味わえる、軍鶏鍋コース3900円

2. 川安 (うなぎ / 足助[愛知県] )

相方のご両親に連れてってもらった鰻屋。うなぎがこれほど美味いものだとは知らなかったです。ここのを食べたあと、麻布十番の「やつめや」にも行きましたが、川安のほうがおいしかったな。地元の有名店だそうで、混んでました。

3. ダズンロージス(フランス料理 / 京橋)

フランス料理といったら値段、雰囲気も含めて私はココ。狭い店なので、うるさくなくて良いですよ。 ワインもいろいろそろっているので、お好きな方はそちらも楽しみなのでは。ランチタイム、週末の夜は予約が必要かも。ランチ1800円〜、ディナー 4500円〜

4. 波奈寿司 (寿司 / 酒田[山形県])

出張に行ったときにI課長に連れて行ってもらった寿司屋。車で行ったのですが、「着いた」といわれても、どこがお店なのかわかりませんでした。多分地図があっても、知ってる人と行かないとわからないでしょう。寿司の割に安いし、ネタも良い。1人前に、穴子(でかい!)と卵をつけるのが良いらしいです。余裕がある方は是非トロを。すごーくおいしかった。

5. 芳醇楼 (京料理 / 青山)

渋谷でごはんを食べようと思って難儀をしているところに見つけた、宮益坂上の料理屋。コースの一番安いのでも十分満足できます。特に雫さんを囲む会のときのコースがよかったな。 座敷は座りづらいので、2,3人で行ってカウンターに座るのがいいですよ。コース 5800円〜 日祝はお休み。

6. 銀座きんせん(和食 / 銀座)

虎屋が経営する和食料理屋。非常に上品で、見た目も楽しいお料理を提供してくれます。お酒の種類が少ないので、お酒を飲む方には、ちょっと物足りないかも。コース5800円〜。コースに付く和菓子は特におすすめです。お昼は行ったことないのですが、結構OLに人気だとか。日比谷にすこーし安い支店があります。

7. シェ・松尾 青山サロン (フランス料理 / 青山)

披露宴で招待されたので、値段のほどはわかりません。オフィシャルページがあるので、行きたい方はそちらを。値段もきっと良いのでしょうけれども、何が違うかって素材が違います。肉がやわらかいこと!グラタンでさえなんだか違う食べ物に思えました。デザートは(いろいろ食べ[過ぎ]たけど)アップルパイが生地もサクサク、ほどよい甘みでおすすめ。デザートはシェ・松尾直営の喫茶店もあるので、そちらでも味わえます。

8. 銀座 木屋 本店(うどん / 銀座)

銀座でご飯を食べる(飲むんじゃなくて)ときって結構困ったり。ご飯を求めてさまよっていたとき、ここを発見! 平日の夜行くと、「これから出勤よ」といった感じの、きれいなお姉様方に会うことができます。時間がかかっても太麺がおすすめ。 鴨汁1400円

9. 浪花家総本店 (たいやき / 麻布十番)

大江戸線開通で大分有名になりましたね。というか、大江戸線は麻布十番のためにできたんじゃないかっていうくらい、大江戸線沿線案内だと十番が出てきますね。確かに麻布十番駅が出来て、便利にはなりました。が、便利じゃないから「古い東京」が残っていたのに。再開発されたりしたらやだな。その十番の名所のひとつ。豆源の煎餅も捨てがたいですが、やはり浪花家の鯛焼き。甘すぎないあんこと、ひらぺったい形が素敵。いくらでも食べられてしまいそうです。冷めてもおいしいけど、あつあつなところをがぶりと。買いたい方は要予約。鯛焼き 1個150円

10. 華都飯店 (中華料理 / 三田)

マンションの下にある、一見お店とわからない中華料理屋。お昼の坦々麺は雑誌・テレビでも何度も紹介されているようで、早めに行かないと「今日は終わりました」と言われる人気メニューです。先日、初めて夜行ったのですが、「アボカドとふかひれのスープ」、噂には聞いていたけれども、これほどうまいとは。アボカドってこんな味だったのね。コース6000円〜(だそうです)

次点: セピアの庭で (珈琲 / 渋谷)

渋谷の穴場? コーヒー飲むのにも苦労する場所って嫌い。珈琲と書くのが非常に似合う、風情のある喫茶店です。コーヒーはお好きな銘柄を(「ホット」とか「アメリカン」とかは無しね)。マスターが、その人に合ったカップをえらんでくれます。どんなのが出てくるかも楽しみのひとつ。一緒にチョコレートクリームケーキがおすすめ。コーヒーは500円〜1000円程度、ケーキが400円。

▼最後に

2001年を振り返って、いかがでしたでしょうか。21世紀っていうと「少なくとも車は空を飛んでると思ってた」という同僚の話。確かにそのとおり。子供の頃「21世紀の絵を描く」って課題がありましたが、車は飛んでるし、宇宙は旅行に行く場所で、ドラえもんが開発されてるような時代だと思ってたわけですよね。「思ってた未来と違うけど〜」って「明日があるさ」じゃないですが、一部ではやはり当時考えられていた未来の姿に近くはなっていても、夢のような(皆が幸せな)21世紀はやはり来てくれませんでした。そう言えばアトムの誕生日がもうすぐだそうですね。さすがに空飛ぶロボットが開発されるのは、まだ先かな。

というわけで(<無理矢理終わりに持ってこうとしてるのが見え見え)、今年も1年間、HPLを読んでくださった皆様ありがとうございました。おかげさまでこのページも5周年。HPLも6年目に突入です。早いものです。来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。


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