News >「仕事日記」2005年11月


11月1日(火) M’s 銀座・スィングシティ
creopatra‘s dream/Anthony’s scream
It Might As Well Be Spring
Falling Grace
Wish You
Walkin’ Down Rexingtons
Floatin’ Time
My Favorite Things
Peri’s Scope
Deep Blue
Cheek To Cheek
Yesterdays
P-Bop
The Girl From Ipanema
All Blues
Extended Play
Swingin’ On A Star
Dead Zone
I Love You
Autumn Leaves
Ladies In Mercedez
Hymn To Freedom

ここんとこホールが続いているので90分二本はかなり重労働に感じるが、各曲の演奏時間を気にせず思い切ったチャレンジができるのは楽しくもある。バッハとバーンスタインのメトロノーム練習は弾きこむうちに逸ってくる気持ちをインテンポに抑える訓練になっているようだ。
11月2日(水) 西脇前のり
ホテルが会場の横なので有難い。たんとうの金高(きんたか)女史らとイタリアン。かおりんから聞いてはいたがプリプリの元気印。キンタカ教というのがあって、説法を聞いているとコンサートに行きたくなったり主催、共催したくて矢も盾も溜らなくなるそうだ。僕も早速入信。
11月3日(木) Come Together(広原かおりDUO) 西脇アピカホール
2,3年前にアピカで行ったM’s+トク・川嶋コンサートの実行委員たちが集合。その時果たせなかった神戸“グレイト・ブルー”訪問を敢行する。村上さんの運転はとても怖い。夜の山道を反対車線でびゅうびゅう飛ばす。けいこさんの用意してくれたおむすびがどこに入るかわからない。みどりさんは何でもよく覚えている上にいろいろ辿り調べも行き届いていてマイヤーズに急に詳しくなったりする。

この日は歌手大集合、次から次へと安藤さんが伴奏してゆく。広見さんというベテランドラマーと同席。宮本直介さんらと演奏しているほどの人だが少々説教癖があるらしく、歌手のひとりにえんえんと教えていらした。無駄な気もしたが。
11月4日(金) 移動日 to 松山
西脇市駅から1時間に1本あるかないかの在来線で加古川へ。少し前までディーゼルカーだったというから残念。加古川から西明石へ出て新幹線で岡山へ。ここから瀬戸大橋を渡って四国に入り一路西へ走る右手に時々見える瀬戸内海が感動的。ホテルにチェックインして一服したのち道後温泉へ。登別とか別府のようにいっぱい並んでる中から湯屋を選ぶと思っていたものだから運転手さんとの会話がちぐはぐになってしまった。
道後温泉というのはひとつ、というか一軒なんですね。その昔は自然湧湯のみを使っていたのがいつごろか掘削して大量に出るようになっただけで、夏目漱石が通ったのと同じお風呂に今の僕たちも入っているということらしい。漱石の坊ちゃんがいつもそちらに入ったという“上等”に入る。居合わせた3人組がそれぞれ抱えているボケ老人の話をするのを半ば上の空で聞きながら小一時間ほどもつかったり冷ましたり。ようやく気がすんで待合で服を着終わると“見学なさいますか”と仲居さん(というのかどうか)。是非、とお願いすると天皇陛下行幸のための門から始まってお座りになる2畳の高畳や玉座、武者隠し、果ては雪隠まで解説付きで見せていただいた。

さぞ飲み屋も充実しているだろうと思いきや地味な商店街の横道にストリップ小屋とスナックが何軒かあるのみ。一軒だけとおぼしき今時の居酒屋にやむなく入ったが思いもかけず大正解。すまき、ジャコ天、たこのテンプラなど瀬戸内もの、ということはイコール僕の生来の口に合うものばかりで大満足。地酒も3〜4杯飲んだがいつになく快調のまま眠れた。
11月5日(土) 瀬木デュオ 愛媛県県民総合文化祭
各地方の伝統芸能が第一部。剣舞のツルギを扇に代えて踊る少年達や着物姿もあでやかに舞う奥様方も素敵だったが、一部ラストの創作ミュージカルが秀逸だった。曲も振り付けも良い出来だったし、役者達も歌詞が全部はっきりわかるなど上出来。特筆すべきは忍者の争い。殺陣ともダンスともみえる複雑な動きを見事にこなしていた。ラップもあって“ヨーヨー”というかけごえと“伊予(伊予はイーヨー)”をかけあわせたり“何故?”とか“成る程”なんていう歌詞もうまいメロディがついていて感心してしまった。プロがアマチュアの情熱と地元への愛情たっぷりに念入りに作りこんだものだろう。

二部のアタマが瀬木と僕のデュオ。4曲だけだが、3曲目の後の拍手が鳴り止まないなど感動的なシーンも体験させていただいた。

午前中に訪ねた正岡子規記念館もとてもよく作られていて楽しかった。和田さんや矢吹さんの書いた子規のイラストなどあって楽しめた。それよりも昨日からの散策で松山に感動することが多かった。先ず電車で松山市内に入ったときから瓦屋根の多いのに驚いた。中低所得者向けと思えるようないわゆる文化住宅のような建物でも立派な瓦が乗っていて、スレート葺きは極端に少ない。中心部にくるとさすがにビルも多いし瓦葺の家屋は少ないが、道がきれいで路面電車の軌道まわりもなんだか楚々とした清潔さがあるのだ。道後公園でトイレに入ってまた驚いた。ホテルの洗面所のようにピッカピカ。もちろん潜在や落し紙も完備している。ボランティアかプロだかわからないが何人かの熟年がそこここで落ち葉を掃いていたり、いやもう美しい日本の街と風景、そして人々、、、なのである。

夜になって繁華街を歩くとちゃんとヤンキーもして、これにあはがっかり少しとそれより少し多量の安心感。噂に聞いていたジャズクラブ“モンク”に入ったが30人ほどのコンパが入っていて落ち着かず、松山のジャズ仲間5〜6人で一杯ずつひっかけて早々に戻った。
11月7日(月) 先生 千葉ヤマハ
 
11月9日(水) 国府弘子DUOリハ 高木クラビア
新しく開いたアネックスでの弾き初めでもある。相変わらず高木さんちのスタインウエィは鳴り心地、弾き心地ともにベストコンディション。スカラムーシュ、ラプソディ・イン・ブルーも順調に進む。スタンダード大メドレーもいいアレンジになっているようで(こういうのは演奏がなれた上でなおかつお客様の前でやってみるまで結論は出ない)まずまず。
11月10日(木) 宇奈月前乗り
演奏会場は美術館まえのサロンなのだが今日明日と催し物がないどころかいつでもホールのピアノ(竹田楽器経由のスタインウエィ)が使えるように配慮していただいてあってとても嬉。バッハとバーンスタインをたっぷり弾くと2時間弱。これが最低限の練習量であるべきなのだからとほほである。

高級旅館の贅沢な夕食もレミさんと食べると、より楽しくおいしくなる。大好きな立山も地元だと一味違うのか、いつもより美味しく感じた。
11月11日(金) 和田誠トークショー
実においしい“ニッポンの朝ごはん!”をいただいてトロッコ電車に乗る。1時間半の行程は紅葉ショー。窓際の木々のそちらに黒部川。はさんだ向こう側の山肌の色模様。遠くの雪山。広がる青空。なんとも芸術的というかなごむというか。山頂の駅・売店に至るまでBGMのないのが秀逸。レミさん窓を大きく開けて座席に半立ちでキャーキャー言ってる“楽しいねぇ、あぁ面白い”そういう彼女を見てるほうがよほど面白い。全ての物事に対してこれほど素直な人もいないだろう。本当に素敵なキャラである。

終点の欅平(ケヤキダイラ)で降りて徒歩15分。僕にしてはありえない散歩をして名剣温泉につかり、川原に下りてお昼。旅館で用意してくれたお弁当の鱒寿司がいままで食べたどんな鱒寿司より飛びぬけておいしかった。仲居のリエさん(モダンな名前である)によると老舗ではないのだが自分の思う中で現在最高だと思うので取り寄せてくれたそうな。一体にこの延楽というのは美術館の様相を示しているほどに書画骨董から日用品に至るまであるものは贅を凝らし、かのものは侘びを演出して門外漢の僕でもふくよかな居心地の良さを提供してくれているのだが働いている人までが新しいものや店でも感覚を研ぎ澄まして客へのサービスに努めている点こそよい旅館のしるし、証しだろうと感じ入った。

○ 宇奈月の秋半月に空青し
○ 成正の無念も見たか秋の月
○ 我が胸に 散り来もみじ葉 なぐさめに

和田さんは佐山雅弘のコンサートになんだかおしゃべりをつける演し物だ、と仰るがやはりつきない薀蓄を楽しむ会だと僕は思う。とにかく楽しいんだからタイトルやしつらえはどうでもいいんだけど。もっとやりたいから今後のために何かいいタイトルをつけてもいいかもしれない。

司会に登場した李京龍(イ・ギョンヨン)さんが和田誠フリークで、本人の忘れてることまで年代も含めて何でも知っていて驚き。今日がレミさんの父君の命日だということまで知っている。打ち上げでも喋りっぱなしで面白かった。矢吹さんなど呼んで和田誠を語る会を是非やろうと仰る。それも楽しそうだけど李さんが喋りっぱなしで終わりそうでこわい。

京都生まれだが韓国ケイシュウに長く居たそうで、レミさんを案内するのに僕も誘われた。初韓国を深みのある解説者と訪ねるのは実に興味深いのだが、やはりず〜〜〜っと話を聞いてるかと思うと腰が引けるかも。
11月12日(土) 瀬木デュオ 新宿文化センター小ホール
ゲストが鬼怒無月。久々の共演。目を見張る音楽の強さ。

乱入の松田昌。“無我夢中”で白熱のソロ。瀬木とのフリー対決で伝家の宝刀“ゾウさん頭弾き”で大受け。

スキーの和田さん、ギターの太郎丸君、ボリビア仲間の岡野夫妻も来てくれていて嬉しかったが、飛鳥のお客様、市毛さんと楠本さんがそれぞれご夫婦で見えたのが実にほのぼのした喜びがあった。
11月13日(日) 瀬木デュオ 六日町・トミオカホワイト美術館
旅行社(経営しているのかどうかは不明)の小柳さん主催のこのシリーズも僕が参加してからだけでも4回目。4年経つ。佐山史では48歳から52歳。当地での毎年のコンサートが僕の誕生日近い時期ということもあって、ある種の感慨がある。

瀬木とラブラブツアーを周り始めた初年に体験した北九州響ホールでのピアノの音に感激し、小原孝君との出会いも相俟ってホールやバッハを何気なく志し始めて4年経ってみたらオーケストラと共演するやらバッハはなんだか恒例化するわで、気付いてみると環境の変化の著しさは30代40代に比べて勝るとも劣らぬ。他人の変貌を楽しむように自分を眺めてしまうこの頃であることだ。

瀬木っちに十日町まで送ってもらいほくほく線で金沢へ。22時ころもっきりやに行くとキネマ旬報編集長の関口女史発見。金田君もいて嬉しい驚きだが、解説されてみると今回は映画系のイベントなのだから理屈は通る。昨日働いて明日の和田さんを見たら夜行で戻るらしい。それは寂しいから残れ残れなどと盛り上がるが店内ワサワサしてるのでカオルさんのペイパームーンへ移動しようと立ち上がるとベースの山根さんがいる。はっきりとは解らぬが同年代の尼崎人であることは覚えているのだが、あったのがここ金沢ではなかった気がするので問いただしてみると、国中勝男さんのデビューを手伝った時のツアーで博多に行った時に初対面して以来だというからゆうに20年は経っている勘定になる。同国人の印象というのは斯くも強いものか。

ドラムの中沢君とトリオで、やがて何人か歌ってくれもして楽しいひと時だった。
11月14日(月) 映画とジャズ
前のりはいい。当日の午前から午後にかけて実に有意義に使える。

軽い朝食とコーヒーで目を覚ましてから追取り刀でサーカスのリアレンジを仕上げた。空いてる時間をすべてバッハとバーンスタインに費やす態勢がやっと整ったわけだ。11月1日からそうしたかったのだが間々そうは思うようにはいかぬ。

去年のコケラで弾いたベーゼンドルファーが今日は何だかとても弾きやすい。タッチバランスもよくとれているし整音もいい。と思ったら“竹田です。”なんと直ちゃんの父上だったのだ。代々のピアノやさん、調律師であるとか、本店・支店ともに大店(オオダナ)であるところから経営者然とした恰幅のいい年寄りを想像してたのが見事にはずれ、均整の取れた、どちらかというと痩せ型の、腰の低い、それでいて目に力のある職人気質な雰囲気が素晴らしい人だった。富山に帰らなければならないぎりぎり、一部の最後まで見届けてくれたのも自らの仕事にたいする責任感と誇りを感じたが、リハのときにびっくりした出来事がある。

京都からギターの馬場孝喜君を呼んで手伝ってもらったのだがピアノの生音がギターのアンプ音をかなり絞ってもらっても前面に出ないのだ。位置を変えたりいろいろしているのを見かねて竹田パパ“わかりました。音量を出しましょう、3分下さい。”というやなにやらごそごそ。なんとまあ、まるまる生音のピアノが3割がた音量が上がってしまうではないか。どのようなテクニックかは聞かなかったが、ご様子から察するに最後の手段みたいな作業であまり出したくないというか頻繁に使っちゃいけない技術なんだろうな。

和田さんの話はいつも本当に面白くためにもなるのだが、宇奈月と続いた今回はまたガラリと出てくる映画や曲が変わっていて奥の深さに感じ入った。もっきりやでの打ち上げもわいわいと楽しく盛り上がった後ペイパームーンに流れるのも恒例のこと、どうやって宿に帰ったか覚えてないのは恒例化したくないものである。
11月15日(火) 佐山雅弘トリオ&サーカス 二戸
サーカスとはアレンジの提供やJ&Oのブルーノートツアーなどなにかと付き合ってはいるが、しっかりしたコンサート(といっても半分はワークショップ)をがっぷりやってみて見直した。実力+誠意+愛情で客席をどんどん味方にしていくのだ。くわえて幸せな気持ちに自然に持って行く。“昔に何曲かヒットのあるグループ”などでは決してないのだ。

中学校のPTA仲間から発した“二戸ライブの会”が地元の理解と協力を得てこんなに大きいイベントが出来るように成長したのも素晴らしい。
11月16日(水) オフ・イン八戸
道後に前日入り、宇奈月も前日から温泉三昧、そして今度はオフを取っての三沢温泉である。ざまぁみろと言いたい。だれに?午後一杯使えるのだから入ったり出たりする合間にパソコンの用事でも、と思ったが、3時間や4時間くらいはお風呂でぼんやりするだけで過ぎてしまうものであるな。新発見。

とろとろに仕上がった頃にスグルのお迎え。やつも風呂の用意をしてきてはいたのだが容赦なく八戸へ向かう。途中美容院で洗髪してもらい、チェックインを済ませて呑ん兵衛横丁(勝手に呼んでるだけ)をひとわたり見て北浜寿司へ。見事なお仕事!最初の白身はかれい。ひらめがはだしで逃げるだろう旨みとコク。鯖の〆具合(イキのいい素材にほんのひとしめ)いかの醤油漬けにわたを少々載せてあったり、とびうおのコドモに似てちょっとちがうあれはなんだったか。地酒が3種類あるのを一通りいただいて満足。すこしずつハシゴする目論みはみごとに崩れ去ったのであった。

ジュニアの開店にはちと早いのでサハラというジャズのかかるバーでジントニックなどやりながらサッカーの劇的な日本勝利も素直に喜びつつ、なんとかいうオネェサマのいるスナックに流れる。ママはジャズファンで何周年だかのパーティには本田竹広さんのトリオ(米木と珠也)を呼んだという。本格的ファン。打ち上げで店に戻って本田さんが弾いたというにせピアノで僕もひと演奏。昔懐かしい赤本があったのでカスバの女をジャズにして弾いたら楽しかった。

満を持してジュニアへ。キャノンボール・イン・シカゴやモントルーのビル・エバンスなど聞いて今日もゴキゲン。乾き物じゃないつまみはありますか、と問うて出てきたメニュウには驚いた。レコードばかりかつまみまでもが僕の好きなものばかり。“ここからここまで”とほぼ全部頼んでしまった。冷奴。出し巻き卵。生ハム。○は(ソーセージ炒めのこと)おしんこ。音楽とお料理、そしておしゃべりで、いいちこがすすむことよ。
11月17日(木) 矢野沙織クァルテット 銀座・スィングシティ
渡辺香津美君のセッションデイで初対面した矢野嬢はあらためて共演してみるととても頼もしい若者。若い人はこうでなくてはいけない。ぐいぐいと攻撃的な演奏が疲れも見せずにどんどん続く。

Bauncing With Bud や Groovin’ High など知ってはいたが初めて演奏する曲も楽しかった。すでに4枚目となる新作のツアーを控えているらしいが、ガンガンいっちゃっていただきたいものである。極力大坂昌彦を使えば成長はさらに早まるだろう。あとは今の時期(デビューしばらくの19歳)に土岐さんあたりにじっくりとレッスンを受ければ理想的なのだが。
11月18日(金) M’s 山形・文翔間
新幹線が福島を通り過ぎたあたりで窓からの紅葉をみてふと、この世に色の在ることをなんだかコトリと実感してしまった。宇奈月の温泉・もみじ狩り〜二戸・三沢の温泉行のつながりだろうけど、演奏に取り入れることが出来そうな、というよりもこういう漠然とした、それでいて決定的な体感が演奏や作曲に周りまわりしながら現れてくるものだろうことは経験則として知っているので、このことを忘れ果てているだろう別の機会にハタと気付く時が楽しみだ。<<<東京駅で高村薫の新刊を夢中で立ち読みしたので、長い文章になってしまったのだろう。
 
 Creopatra’s Dream〜Anthony’s Scream
MC
 Floatin’ Time
 Peri’s Scope
 The Girl From Ipanema
小井 MC
 Yesterdays
 Autumn Leaves
 My Favorite Things
 The Song Is Ended
大坂 MC
 Extended Play
 All Blues
 Spain

昔の議事堂となりの会議室(ともに重要文化財)でのコンサート。明治の洋館の素敵さにひたりながら気持ちよく弾けた。ブレイク中の詰まりがなくなってきた、とお褒めの言葉有難し。本当に身に付くにはまだまだかかるが少しでも成長していることは嬉。アンコールを含む最後の2曲でその方面の緊張感切れてパヤパヤのシオシオリズム感になってしまい悔。

新庄のレキシントンホールの高橋さんやみっちゃんが駆けつけてくれて嬉。大泉先輩(初対面の飲み会でのノリで先輩後輩になってしまっているのである)も律儀に来てくれて人目あったら照れくさそうにさっさと帰ってしまうところがまたかわいい。

目当てのおでんやが満員でその路地奥にある地味な方の、これもおでんやに入ったら思いの外大当たり。ナントカねぎが実に良かった。Csの細川さん、何かの拍子に森進一の“東京物語”を1番丸まる歌えたのには驚いた。友達になれる。M’sとODUに頼んでお手伝いした森進一さんのニューアルバム、セルフカバーがやっと出たら僕の担当した5曲(全20曲)のうちの“女のためいき(M’s)”が冒頭第一曲目で嬉しい。ODUによる“ニューヨーク物語”も出色の出来。ほかには“冬のリビエラ(ODU)”“盛り場ブルース(M’s)”。“東京物語”はなんと大坂昌彦・小井政都志・本田雅人・鶴谷智生(perc)という混合チーム。楽しいレコーディングだった。今日の日記じゃないが。
11月19日(土) M’s 多賀城市民会館
車移動の高速はフェンス低く空が広い。大坂がアイポッドをカーステレオにつないでお気に入りをかけている。

○ 手をつなぎ 舞い降りる雲や 空高し
○ 多賀城の秋空高し ジャズ聞こゆ
○刈入れの終わりし田にぞ秋の陽の降る 

 Creopatra’s Dream〜Anthony’s Scream
MC
 Floatin’ Time
 Peri’s Scope
 The Girl From Ipanema
小井 MC
 Yesterdays
 Autumn Leaves
 MC
 My Favorite Things
 The Song Is Ended
大坂 MC
 Extended Play
 Cheek To Cheek
 Spain

瀬木のオーケストラ共演で尽力いただいたチェロの塚野さん来る。ここんとこのオーケストラ仕事の話などして盛り上がっていたら着替えぬままに本番5分前を向かえてしまった。

宿泊は仙台。わかねが連れて行ってくれた新しいお店はジャズライブも出来る仕様でどこか見覚えのある内装だと思ったら、、、株式会社“麦”、といっても解らないだろうが、吉祥寺のサムタイムの会社にいた井上さんだった。といっても井上さんのことを前から知っていたわけではないが、小井とともに懐かし話に花。なに料理というわけではない。ピザのあとに鍋が出てきたりするのだがどれも極上に美味しい。ワインを置いていないところも気に入った。いや、ワインが嫌いとか最近の風潮が気に食わぬと言うのではない。これだけ料理の上手く酒の目利きも出来る人が手を出さぬというのは、本当に自信の持てる事柄で勝負しようとしているのだろうと察して、その静かながら意思の強い意気込みに感動するのである。

ジャムセッションの果てに“すんまへんブルース”を歌ったのは余計だったかもしれない。
11月20日(日) M’s 藤沢・縄文会館
 Creopatra’s Dream〜Anthony’s Scream
MC
 Floatin’ Time
 Peri’s Scope
 The Girl From Ipanema
小井 MC
 Yesterdays
 Autumn Leaves
 MC
 My Favorite Things
 The Song Is Ended
大坂 MC
 Cheek To Cheek
Extended Play
 All Blues
 Spain

藤沢といっても岩手県の南部。南部と言っても青森県の南部地方じゃなくて南のほうね。あぁややこしい。

300人くらいか、小さくも手ごろなホールなのだが、お客様の拍手がとてもきれいに大きく響いて気持ちよかった。

打ち上げで出してくれた小芋汁が絶品。山菜とともに今日の昼間に山で掘って来たというから驚き。“おごごどうぞ”と言われてきょとんとしていたら“おこうこ”が出てきた。これはこの黄色い大根の漬物をいうのであるか、それとも一緒に盛られている白菜の漬物なども含む総称だろうか。ともあれこの白菜漬けがまた手が込んでいて、噂に聞くキムチの漬けようのごとく、葉の一枚一枚の間に人参の千切りなどが挟み込まれていて美味。関山(カンザン)という地酒、程よく癖のある僕好みで“お燗したらおいしそうですね”というと会議室での打ち上げという不自由をおしてダイレクト薬缶燗をしてくれた。予想通りひときわ旨みが増した。大坂昌彦の父君も見えて楽しくも有意義な一日、そして三日間のM’sホールライブツアーだった。
11月21日(月)
二戸の大沢女史に以前から勧められていたシャンソン歌手、カイヤマさんのライブを新宿に訪ねた。大沢さんも何人かの友人といらっしゃって楽しくワインを飲んだが、聞いていて想像していた以上に圧倒的な歌のうまさにしびれた。ピアニストのお名前も忘れてしまったが随分以前に永六輔さん、平野レミさんともども銀パリにお邪魔して乗っ取り演奏した時にいらした方だった。いまさらながらに往時の失礼をお詫びした上で今日も一曲乗っ取り演奏。なんでもカイヤマさんがソニーロリンズの前ウタ(!)を務められた折にアメリカンスタンダードにもなったシャンソン“I Wish You Love”を歌ったらロリンズ先生が出てきて吹いた(!)というエピソードを聞いたのでそれを弾いた。アンコールがかかったので“群集”をやってみた。
バルバラはシャンソンの中でも専門店があるくらい人気の高い歌手・作家だがそれだけに異端視される向きも多く、みたところ極めて中道的なこの店“ウナ・カンツォーネ”では憚るかともチラリと考えたが、走ったりもたったり止まったり、ジャズ演奏では到底出来ない手法でやってみたら意外というか案の定と言うかのびのびとワイルドにできて気持ちよかった。バッシングもなさそうでよかった。
11月22日(火) NHKふれあいホール打ち合わせ+リハーサル
小原孝・島健両先生を迎えての出し物が“ラジオ体操の曲”とは誠に申し訳ない気もするが実に楽しいアレンジが出来上がった。久しぶりのさねよしいさこちゃんとの共演も楽しい。独自の世界を持っているというのはそれを維持すること自体が大変なことでもあるだろうにひょうひょうと年齢不詳(出会ってから十年は経とうというのに全く変わらぬ童顔なんである)の不思議ちゃん。
11月25日(金) 新潟前乗り
チェックインの後、前日練習をお願いしてあったジャズフラッシュへ。少し遅くなったので客の何人かも居たら申し訳ないなと思いきや、ついにバッハとバーンスタインを弾き終わるまで誰も来ず。嬉しいような嘆かわしいような。やがて小川さんと大五郎(というニックネームの可愛い女性)たち現れてしばし飲むうちに他のお客様もいらして少しく安心。
11月26日(土) ゴールドベルク変奏曲 新潟・大四ホール
マーサ
ゴールドベルク変奏曲
ラプソディ・イン・ブルー

アンコールにラプソディ・イン・ブルーは無茶だったがのびのび出来て評判も良かった様子。それにしても今回はみっちりと練習を重ねたのにやはり忘れてしまうところ有之。それも外しようのないところ。これが練習をみっちりして外すということだと学習したはいいがお客様にはやはり申し訳ない。3年続けて演奏させていただいて一応の気は済んだということにして以後は簡略譜面を置こうと思う。バーンスタインもスコアを見ながらやろう。

ジャズフラッシュに近くの居酒屋から出前を取っての打ち上げはリラックス出来て良い。人数も気の置けない10人弱。とはいっても九州博多・名古屋・大阪と盛りだくさんの方言で一様に新潟の取材でヒフミちゃん応対に大忙し。
11月27日(日) バーンスタインリハ 渋谷・高木クラビアサロン
ゴールドベルク翌日は休みたかったが年内にバーンスタインのピアノ合わせを済ませるにはこの日しかなく、生徒達にも無理を言って付き合ってもらったらこれがやはりやっておいて良かった。
CDを聞きながら把握するのとはまるで違って構造が身体に入ってくる。メトロノームの速度を順に上げて行く個人練習は以後もこつこつ続けなくてはナラヌが“アワセ”になるとやはり二割がた弾けることがアップする実感も掴めた。ゴールドベルクもそうだが、自身の解釈とテンポで音楽に入り込むのは本番だけでいいような気がしてきた。練習とはコツコツ緩やかに確実にメトロノームですることであって、ある程度弾けてきた箇所に自ら酔うことは残りの部分の仕上げを遅らせることにしかならぬ。とはいうもののそれでは音楽の楽しみというものがなぁ。
11月28日(月) NHKふれあいホール収録
越智順子・伊太山伝兵衛(Vo)
小井政都志(B)・紺野智之(Dr)

トリオ演奏
You’ve Got A Friend
Wesが聴こえる
Summer Time
Hymn For Nobody

服部まこさんの進行よろしく和気藹々。
11月29日(火) NHKふれあいホール収録
さねよしいさ子(Vo)・山口とも(Perc)
両人ともに不思議キャラでいい味を出していた。奥平ファミリー呼ぼうとしたが果たせず残念。
11月30日(水) NHKふれあいホール収録
小原孝・島健

スカラムーシュ
アイネクライネ1楽章
ノーグレイターラブ
ラジオ体操で世界めぐり
サヤマンボ

ふれあいホールのステージに3台のピアノ。それもフルコン。品のいいお二人に囲まれて僕はとてもラク。是非この3人でまたやろうと約す。どうもピアノ複数台に芸風が偏ってきているような、、、。

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2005年