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仕事日記
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INDEX
 
3月1日(火)ハービーハンコック鑑賞
久々に燃えた。来るべきバカボンセッションのために、3曲作る。
3月2日(水)高橋悠治 ゴールドベルク変奏曲 鑑賞 浜離宮朝日ホール
なんとも素晴らしい。無愛想な感じがまたいい。何日たってもその印象が、自分に浮かんだ心象風景が残る。これを芸術と呼ぶだろう。
3月3日(木)ファンクブラザーズ鑑賞 DVD
山岸やホトケが泣いて喜びそうな映画である。僕もちょっと泣いた。面白いのは、映画的またはドキュメンタリィ的に泣けるのと、音楽的に泣けるところが心の部分として別枠であることだ。これは先日博多で“RAY”を観て感じたこと。というよりそれからしばらくして感じたこと。というのは(寄り道になるが)

映画でも本でも音楽でも、直後は放っておく、というのが好きだから。というよりはそうでないと本当に自分が感じたことにたどりつけないと思うんである。直感はいい。判断が間違う。鑑賞直後の印象を自分であれこれ考えるという行為は、当然(自己との対話においても)言葉、言語、この自分にとってとてもやっかいな(伝えたいことと同量かそれ以上の誤解を伴う)道具を使わざるを得ないので、肉体、精神、魂それぞれが受けた影響や喜びといったものが歪んでしまう。誰かと(鑑賞物について)会話するなんてのはもっての外である。(寄り道終わり)

さて“RAY”に於ける“Georgia On My Mind”,“Funk Brothers”に於ける“What's Goin' On”このふたつとも散々聞いた曲、音源であるにも拘わらず、映画の中で出てきた時に、初めて聞いたときと同じ感動が身を襲うのである。映画の作り方が巧いのかも知れないし、自分が何かを乗せているのかも知れないが、とにかくストーリーと相俟ってではなく純音楽的に心が震える。そしてそれは映画的感動(も勿論大好きなのだが)とは別次元、根本的な(文学性をも超えた生命的な)肉体的喜び、精神的快感、魂の快楽があるように思える。

ディボースゲーム鑑賞 DVD
コーエン兄弟というのがどうやら面白いみたいだ。“レディ・キラー”“オーブラザー”など借りてくる。
3月4日(金)波多雅子の参加する芝居鑑賞
な、な、なんと!!キスシーンがある。水着になる。お父さんは許しません!

芝居は面白かった。なんともいえない間。客席に問いかけている“間”が小劇場演劇によくあって僕はそこのところに戸惑うのだけれど、おぼろげながら、そこのところが、僕の、あるひとつの芝居に対するあり様な気がしてきた。この2〜3年で絵画に対する自分自身の立ち位置、それが一般美学とどうずれていようと確固として楽しめる自分なりの鑑賞法が確立しつつあるように。

しかしキスシーンはいけません。水着も禁止。
3月5日(土)瀬木トリオ 三国・未来館
瀬木貴将
永原元

Dry Valleys
Desert
Your Life Is My Life
Adios
いるかいないか
冒険の旅路
休憩
イルシオン
コンドルは飛んでゆく
トルコマーチ
3分クッキング
風の旋律
encore : アンデスの詩

ありそうでなかったこの3人の取り合わせ。面白いものでバンドともDUOとも違う景色がいつもと同じ曲から見えてくる。
DUOの世界に元ちゃんを引っ張り込むのではなく、彼の世界を限りなく広げつつカラフルにピアノが弾けたらいいのだが、ついマイペースになっている点、反省。折に触れこの形で演奏すればまたなにか独自な境地も生まれる予感ありて愉。

大野から岡田マダムかけつけてくれて嬉。ケータリングのヨコセさんも親切。キーボードマガジンの初期の楽譜集からのファンでいてくれるそうな。ありがたいことである。

泊まるべきペンションでのセッション可能な打ち上げ、という理想的なシチュエイションであくまでドラムを叩かなかったのは、僕には残念。彼の意思の固さ、ポリシーの強さか?

終演後から移動の間の短い時間に整体師山内さんにもんでもらう。摂生してるから調子よさげでしょうというと、肝臓よりは腎臓に気配があるとのこと。げげっ。網膜剥離、父親との死別、と続いた伝兵衛の後追いの続きが腎臓になるのだったら洒落にならん。

ペンションのオーナーの前身はドイツに15年在住しながら世界中を飛び回っていた企業戦士。突如ドイツはフランクフルトに訪ねてきた“テラダ・リン”という画家(男性)との因縁話が最高に面白いのだが、その話題は翌朝の出発時だったので尻切れ。この会話の継続のために近々三国に行こうと思う。主催のウエデさんによると僕が三国に来るのは4回目だそうである。いわれてみればJRSMで小屋の景色など見覚えがあるような気がする。土地柄、風景などに興味を持つようになったのはついこの3〜4年のことであることを実感した。瀬木〜伝兵衛で日本中を見ているが、東尋坊あたりの海岸線はどこでも見たことのない不思議な色と線を描いていて特異なバオブレーションを感じた。
3月7日(月)瀬木貴将ネイチャーワールド 舞浜・クラブイクスピアリ
新曲多し。どれもいい曲。ミステリオなどかなりフリーキィで特に良し。客少なし。
3月8日(火)Masumi NHK歌謡コンサート 生本番
小夜鳴鳥(さよなきどり)一曲。ニューブリードに交じって伴奏。
ますみさんは近頃デビューした歌手でとてもうまい。性格もよい。スタジオやテレビで会う人はみな、とりあえず振舞いはよいので本当のところはわからないが、わからないままで過ぎさるのみのことが多いのだからよくできているともいえる。
NHKの夜ドラマの主題歌に抜擢されたことで、次回作には相当プロモーションをかけることになる。それでも売れるかどうか、当たるかどうかはわからないにせよ、少なくとも大手が“売る”と決めたものどもの中で、売れるもの残れるものの競争が行われる。とすれば世に出たいもののターゲットは客でなく仲間でなく取り巻いている中で最も狭い範囲の中での一番獲得ということになる。少なくともそこから順番にクリアーしていくことになる。
若人よ、頑張れ。いやになって前進することはまずない。世を嘆いているうちは世も身も変わらぬ。

節制挫折。
昨日岡野さんの禁煙話を聞いてなんだか禁煙できそうな気になった。ある年の大晦日に“もうやめよう”と思い立ってみたらそれから一本も喫ってないと仰る。その語り口のあまりのさりげなさに僕もやってみるか。と、この緩やかな決意、というものが以外に効くのであることを経験上知っているのでその日の24時に最後の一本を喫った。
これは来るべき36時間飛行機移動=強制禁煙(トランジットはあるものの)の予行演習も兼ねている。あれぇ、永久禁煙は端から考えてないのね。ともあれ翌朝食後も昼食後もさほど禁断症状出ず、しめしめ緩やかな決意の効果絶大であるワイとほくそえみつつNHKには煙草不持参。
音リハ、カメリハと順調に機嫌よく進んで長い待ち時間も読書やPC,夕食などと有意義に過ごす。ちょっと禁断症状出るがニコレットでかるくいなす。本番終わって帰宅して21時半。0時からの禁煙なので計算しやすし。第一目標の36時間まではあと一眠りすればよいのだがここで、、、、ダラスには着いている勘定だとばかり1本てをつけると、旨いのなんの。この一週間良く働き勉強し節制できたので中休みでビールを一杯。遠ざけていた動物性蛋白質への思い押さえがたく玉子焼きなど作る。シアワセが身に沁みて第何期かの節制期間が見事に挫折終了を迎えたのではあった。なかなか楽しんでやっておるのだが、これを繰り返していると着実に内臓脂肪が定着するとの説有之。真偽のほど如何。
3月9日(水)Come Together 渋谷・エレクトーンシティ
CFIIIはさすがに生でいい音。しかし個体差が随分あるのに最近気が付き始めた。

S氏H氏の人肌脱ぎに感謝。N氏も駆けつけた。ヤマハ酒井氏も前半だけでもと来館、嬉。岡山からなぎちゃん応援。街のとんがりマスクの多いを見て“都会やワァ”とはおくゆかし。

柏木玲子ちゃん義理堅く見に来てくれて、相変わらずまっすぐ帰る。長い付き合いの秘訣か。いただいた曲の進行取り違えあり、申し訳なし。松田昌曲、佐山曲ともに良。
3月11日(金)ヒダノ修一セッション 野毛・ドルフィ
ヒダノ修一(和太鼓)
鬼怒無月(Gi)
土井啓輔(尺八)

シャクソン(土井)釈尊、、、ではなく尺八というのはとかく損な楽器だということらしい。

イカルス
たわけ第二楽章
竹田の子守唄
まりと殿様
がんけ
サラ(土井)
ソング・フォー・ビルバオ(P.メセニー)
Always And Forever(P.メセニー)
ばてれん
八木節

ヤマハの中型ピアノ、頑張っていい音は出ているが太鼓とギターに埋もれる。そこがいい。聴こえにくいほうがイメージの音が透き通る。妙にPAで聞こえる音にしちゃうとその人工的な音色で音楽を作ってしまうので心の川底にことりと届かぬ。
3月12日(土)M's 浜離宮朝日ホール
Cheek To Cheek
You And The Night And The Music
The Girl From Ipanema
---MC
Creopatra's Dream〜Anthony's Scream
My Favorite Things
Lullaby Of The Birdland
All Blues
---MC
Softly As In A Morning Sunrise
The Song Is Ended
Yesterdays
Swingin' On A Star
Encore : Spain
Double encore : Cantalope Island

なんとダブルアンコールまであった。嬉。ゴールドベルクのときと違って仲間のいることだからと安心していたが、やはり上がっていたのだろう、後半にいつもの走り癖が出た上に腕がだるくなっていった。

走り癖について:
先回10日間のM'sツアーで決心したことと獲得したことがある。過去の自分に照らし合わせて目下の行動規範を作らないということ。今が全てなのだから、自分はこうだよなぁ、こうだからと気にしたりしている暇などない。たったいま自分を創りつつあるのだ。自分の成りたい自分になろうとすること。そう思えると過去の失敗もいい方向に活かせる。逆の考え方だと過去の失敗が今の失敗や諦めのための経験にしかならない。この違いは大きい。
大分の甲斐さんの影響なのだがなぜかストンとそう思えた時に、ポンタボックス時代から劣等感になっていたドラムフレーズへの苦手意識やタイムがスリップ気味になる自分の傾向は単に過去のものとして、瞬間瞬間に大坂昌彦のドラムに食らいつくことが出来たのだった。それでもその一瞬一瞬をとりこぼすのだがその都度“えいや!”とばかりに頑張る。すると音楽も気持ちもベクトルが前方あるいは上方に向かうのが手に取るように判って形態上の結果はどうあれ演奏はいきいきしたのだった。
これは50にしてすごい進歩をとげたものだわい、と内心にまにましていたものだ。が、なんと!なんと!なんと!浜離宮の大舞台に立ってみるとやはりそこは付け焼刃だったのだろう、獲得したはずのあの境地がやってこない。やってこなかったのを後から気付くくらいそこの精神状態に行かないのであるな。それをこそ付け焼刃と言う。付け焼刃をなんどもすることで体が覚えていくのだから落ち込みはしないのだが多少の残念感はのこる。ただそれだけこのコンサートのことを体の芯が大事に捉えてた証拠でもあるので、その意味ではいいことだ。Positive thinking.

腕のだるさ、あるいは他力本願について:
二年前ゴールドベルク変奏曲を演奏するたびに腕が重くなった。それはグールドへの憧れと思い込みで不自然で必要以上のタッチコントロール(アンコントロールといったほうが近い)によるものだった。最近折りに触れて弾くゴールドベルクはとてもラク。弾きこみがすすんで全体像のイメージができてきたことと、ペース配分が身についてきたのだろう。それ以上に高橋悠治のゴールドベルク変奏曲をCDおよびコンサートで体験したことが大きい。20枚ほど集めたゴールドベルク変奏曲の中で唯一と言っていいほど共感できる(というのも口幅ったいことだけれど)。解釈と演奏法に対する共感とはすこし違う場所だが実にあっけらかんとピアノに向かっている様子に勇を得たものである。軽く考えると言う風にとられたくはないのだが“弾けることを弾きたいように弾くのになにも肩肘はらんでも”というところなのだが、グールド、マリア・ティーポ、スコット・ロスなどをイメージするより、高橋悠治や和田誠さんに書いていただいたバッハと握手のイラストなどをイメージして演奏に立ち向かうほうがなんだか胸の中がすうと流通して無心に向かえる。無心になることはとても遠いが無心に向かうコツはあって、ひとつのことに沈潜していけばよい。好きな人のこと絵でもいいし南氷洋の氷山でもいい。それを表すのではなくて(たとえその時演奏しているのが瀬木の情景的な曲であっても)ひとつのイメージを想定することで突き抜けた無心状態に入りやすくなるわけ。

無心あるいは悟りに限りなく近いということはある意味もっとも遠くにいるということでもあるから、キリスト教における教条主義(イエスを受け入れること以外の全てを肯定する)にも似た“正義に限りなく近い故の最大の悪”という一面も無きにしも非ず。

いまだにバラード演奏にちょっとした気の迷いがある時など、“キースのように”なんておまじないですんなりうまく行ったりする。それでいてキースのフレージングやボイシングを使ってどうこうという事ではないのだから、状態を表す述語としての他力本願はアリの筈。ゴーギャンがカンバスに向かう時に“さぁセザンヌをやろう”と言っていたそうだがセザンヌへの憧れともらった勇気を自分に活用する述語だと思えば納得のいくところ。

他力本願の本来の意味は他力があって始めて自我も成立していることを銘記すべしということだろうから、内外両面から見ても他力本願というのはいい姿勢なんじゃないか。

朝日ホールにおける腕の痺れ、だるさはその他力本願、この場合はメンバーに対する信頼を忘れて自力で何とかしようとした焦りの結果だろう。マイケルジョーダンが得点王の時はブルズは優勝しなかった道理で、パスを出さなければより高い結果は出ない。それにしても二人には助けられた。やんちゃなピアニストを“しょうがないなぁ”とニコニコフォローしながらそんな状況をも楽しく音楽にしていまうリズムセクション。この図式はM'sの特徴の一面ではある。
3月13日(土)DUST 新宿・白龍館
ベーゼンドルファーを以前弾いた時はさすが名器ながらもメンテに物足りなさを感じたものだが、今回はそれを受けて何回にもわたる調整を水谷名人がしてくれていたおかげで、タッチの水平さ、発音の滑らかさ、魔法のピアニシモなどベーゼン本来の頬擦りしたくなるような楽器になっている。本番前もずっと弾き、本番中は絶好調(休符を弾くという体感があるほどに存在自体で音楽に重みを与える、これはすでに楽器という存在を越えている)、終わったあともずっと弾いていた。

尺八の山本さん、打ち上げより参加。音程と言い音質と言いそれ以上にセッションに滲み出る音楽性が素晴らしい。

楽器の特性があり、それを乗り越えたコンテンポラリーな会話に到達し、そこに至って後もとの楽器の特性(尺八であることや南米の楽器であること、あるいは日本人であったこと)の素晴らしさに立ち返るという道程を経てこそ感動は生まれる。楽器の民族性や個性という第一段階を、売り物またはよりどころにしているのはスタート地点に立ったという素晴らしさがあるのみ。身障者が楽器に立ち向かうことについても同じ。人生的感動より音楽的感動のほうが少々冷酷であることだ。
3月15日(火)DUST 岡山・モグラ
前回のM'sからここのアップライトがコントロールしにくいと思ったら、僕自身がいつからかは判らねど、コントロールの基準ないしスタートが以前はフォルテだったものが今はピアニシモ。石井にメゾピアノ以下の白タマは不可能につきベースのポジションより積極的なアンサンブルを望む旨を告げ、ピアニッシモが弾きたい時は休符。音符を出したくなったら状況に拘わらず最低限メゾフォルテ。この作戦は大成功。納得のいく音数と景色であった。

あえと久々会えて嬉。伝兵衛〜アエで一夫多妻(逆でも良いらしい)論に花。
3月16日(水)
映画アレキサンダー鑑賞。

ピアノバーに行くとマスターの矢野さんとてもいい声。感激して二曲目から早速伴奏を申し出る。やがてギタリストのホーリー氏(日本人)登場。My Funny Valentine , Alone Together と大定番を楽しくセッション。横浜でハコバン経験あるそうで、失われたバンドマン精神について大いに盛り上がる。マスターのオリジナル、ビールの歌にしびれた。

ルービ ルービ やっと二人だけになれたね
君さえいればあとはなにも、、、
3月17日(木)DUST 沖縄・アデュー
沖縄国際ホテルというからさぞ立派な所だろう。水着を持って来ればよかった。ホテル内にプールくらいありそうだよ。などと伝兵衛がいうので期待はいやがうえにも高まったのだが辿り着いてみると、国際通りにあるビジネスホテルニューおきなわ。大分のビジネスイズグレイトホテルをもう少しきたなくしたくらい。

こういうことは結構あるので平気。かえって想像している時間を楽しめてよかったくらいのもんである。マージャンも実際に上がるのは3〜4回に一回だけど、毎回“あぁなってこうなって、、、、、うっしっし”と取らぬ狸を楽しんでいる時間が一番楽しかったりするもんね。

そんなわけでホテルほ荷物を入れただけですぐお散歩に。大阪から去年こちらに居を移したベーシスト、ヒロちゃんに案内を乞う。サングラスとサンダルのお買い物。なに、買い物などは実はどうでも良いのだ。ちょっとした買い物をいいわけにして芯にしてぶらつけばいいんである。商店街の百円ショップでサンダルの有無を聞くとさすがに無い。サングラスも勿論ない。二軒となりのスーパーで1600円のサンダルを買って外に出るとチープなサングラスが85円。迷わず買って次の百円ショップへめがねケースを買いに行く。当然のようにめがねケースはあったのだがなんとこちらの店にはサンダルが(当たり前だがひとつ100円で)山積み。16個買えたではないか。

ヒロちゃんの知り合いの店というのに入ってコーヒーを飲む。国際通りをわきに20mほど入ったところ。オープンカフェの外は狭いアスファルト道路を挟んで向かいのビル。ちょっとした青空が見えるだけのところを人や車が忙しくも無く間遠でもなく行過ぎる。

なんだかいいんである。ニューオリンズで山岸と過ごしたなんでもないがゆったりと楽しい二時間ほどのお茶の時間を思い起こした。

今、と言う時間が過去と未来をつなぐ過程としてではなく、大事な今、というだけの独立した時間としてそこにある。というと大仰な気もするが、その感想を持つにいたる動機が久々の沖縄に対する過剰な期待の結果であるのか、逆に久々なだけにストンと肌で感じることができているのかはともかく(両者には大きな開きがある)時間の経ち方に関しては“今が長い”ということだろう。シーサーズというこの店は今月末に渋谷のパルコに出店を出しというくらいだから流行っても入るんだろう。トイレの心地よさなどちょっとした細かいところへの配慮に感心したりもした。でもパルコじゃこの時間はないんだろうなきっと。

ユッキーおすすめのステーキハウス“Jackey’s”へ。表のポスターは車がジャッキアップされているイラストで、力がつきます、とのコピーがご愛嬌。テンダロインの300gが1900円。それがなんとも旨い。日本国である以上アメリカ牛には制限があるはずだがなんとも旨い。米軍駐留の歴史で熟成度や切る焼くといったことに至るまで伝統的に上手なんだろうとは伝兵衛の説。

アデューのライブはDUST久々のアウエイゲームということもあってか、実に緊張感のあるいい演奏になった。僕は何だか最近調子がいい。今しかないんだ、ということが素直に身体でわかっている演奏になっている。いつまでも続くものじゃないだろうが今はいい気になって楽しんでいよう。

沖縄は夜が長い。僕たちの演奏が終わった23時頃からもぞくぞくとお客様が来るので、隣の居酒屋で飲んでいるとやがて演奏の音が聞こえてきた。戻ってみると懐かしい。ベースのサッシーが弾き語ってピアノはマコト。ママのナオコさんも伊勢崎町ブルースをイングリッシュファンキーアレンジで参加。一年前の出会いの夜と同じ光景で随分と盛り上がる。
3月18日(金)DUST 沖縄・アデュー
深酒したはずなのに早起きしてしまった。10時半。
コインランドリーを聞いて行ってみるとその前には中くらいの公園。中学生がスリーオンスリーを半面コートでプレイしているのを眺めているうちに洗いも乾燥も済んでしまう。普段のようにサテンに行ったり本を読んだりしないところにゆるやかな時間をまたも感じる。そのあとは今日も昨日と同じコース。シーサーズのちジャッキーズ。シーサーズでは沖縄セット。ゴーヤチャンプルー、もずく、ジューシー、石井の沖縄そばにも手を出して満腹。ジャッキーズでは昨日と同じテンダロイン。一つ違いはその間に糸満ビーチが入った。
ユッキーの車で90分ほども走ったら雑誌テレビでおなじみの沖縄の海を見下ろしていた。遠浅に歩きこんで岩場に腰掛けて永遠でも眺めようとしたが果たせず。まぁまぁいい気分だわいと砂浜に戻ると石井が“反省は終わりましたか”。

首里城に行っていたという伝兵衛と店で落ち合い楽しくライブをし、今日はマイヤーズにありついて機嫌よく飲んでいると、10年ほども前に屋良さんの寓話で一緒だったと言う人が懐かしげに声をかけてくれて話すうち、なんとマコが去年死んだと言う。40過ぎくらいのはずなのに、ショックである。ナントカキンシュというそうだが、そのくらいでは死なないだろうという病気らしい。黒目がちの透き通るように色白の美人だった。和田誠さんに初めて銀座のフランス料理屋に連れてもらったある年の12月30日にマコを同伴した時にはまだ小学生の唱君も一緒だった。
3月19日(土)DUST 大阪・ダルマード
沖縄のそばも肉もゴーヤもうまいが、大阪に帰ってきて鯖の煮付けやかけうどん、じゃこおろしなど水屋から取り出した食べる一膳飯屋の食事はやはり変えがたいと感じてしまう。今夜は夜走りで洲本なので町の銭湯。ケチったわけではなく懐かしい気持ちで10円の一枚刃剃刀を買ったら、何箇所か切ってしまった。ヤワになったもんである。
3月20日(日)洲本にてオフ
伝兵衛石井デュオにくっついてきたオッカケで〜す。なんていいながらいつもの蛸のてんぷらを夕食にご馳走になったり、打ち上げはしっかり一番飲み食いしたりしているのだからいい気なもんである。やぁ楽しい。
3月21日(月)和田誠個展の中のイベント
大阪は道頓堀のキリンビールのビル全体を使って和田さんの映画に関する個展が開かれている。大したもんである。唱ちゃん、レミさんと一家でブレイク(!?)

上野尊子さんがよかった。和田さんと同い年だというからお二人ともに衰えを知らぬパワーがすごい。年齢は内緒。

上六の有名なお好み焼きやさんで打ち上げた後ロイヤルホースに流れたら、たまたまのレミさん誕生日にシャンパンを空けてくれた。いい感じのオリジナルソウルバンドに飛び入りしてハッピーバースデイを弾いた。その後小一時間ステージが終わるまで喋ることを控え、マナーとはいえ、お喋り好きのソンコさん、レミさん、僕ともども間モチが悪かった。またバンドのMCが長いので、出て行って喋りたくなってしまう。イカンイカン。終演後はバンドの人たちの何人かとも楽しく過ごせてよかった。
3月22日(火)セッションクインテット 銀座・スィングシティ
松島啓二
太田剣
小井政都志
横山和明

Dig miles 初演奏
Along Came Betty Benny Golson
Jitter Bug Waltz Fats Waller 初演奏
You Don't Know What Love Is
Cherokee
Stairways To The Stars 知らなかった曲
Hommage Charles Lloyd 知らなかった曲
Baton Rouge Blues Wes Anderson 知らなかった曲
Duke Ellington Sounds Of Love Charles Mingus 知らなかった曲 すごくいい曲
In Case You Missed It Bobby Watson 知らなかった曲
Peri's Scope Bill Evans
Whisper Not Benny Golson
Marry Antoinette Wayn Shorter 知らなかった曲
Moon Alley Tom Harrel 知らなかった曲
Sticks Cannonball Adderley 知らなかった曲

なんと知らない曲の多いことか。しかも全部佳曲。つまりはピアノトリオものを中心に覚えてきたということだがそれにしてもねぇ。僕は日本人としてはジャズの曲を多く知ってるほうだと思い上がっていました。今後の楽しみが増えたってもんです。
太田も松島も素晴らしいが横山君が期待大。
3月25日(金)黒葛野敦司クァルテット+ちあ 岐阜・アフターダーク
黒葛野敦司
北川弘幸(B)
岩瀬立飛(D)
ちあ(Vo)

Hegitation
My Romance
Sicily
---以上インスト
Fly Me To The Moon
Lovin' You
My Favorite Things
My One And Only Love
Resume(佐山新曲)
It's Easy To Remember
Donna Lee
---以上インスト
Old Devil Moon
Pure Moon
All The Things You Are
愛の夢
Moon River サックスと歌のデュオ カラオケつき

去年作ったチアちゃんのデビューCDの発売記念。まどか組来てくれ嬉。と思ったらこのアフターダークはこの間までまどか、今はメグミママのお店“ティアラ”のお隣さんだったそう。
それはともかく滋子ママは長良川ジャズフェスの創設者でもあるえらい人。ずらりと揃ったジャズの名盤もさりながら、日本人のLPがいっぱいあるのが懐かしくも嬉しくも頼もしい。笠井紀美子さんのデビュー盤を聴く。高校生の時にジャケ買いした懐かしのLP。あこがれが嵩じて夏休みに上京して銀座のジャンクへ。前座だと思っていた人が後になって本人だと知ってショックを受けたのも微笑ましい思い出である。だってジャケットが超美人なんだものね。
しかし改めて聴くとこれはとてもいいLPである。大野さんもゴンさんも若々しい熱とすでに確立したテクニックが相俟ってその後のどの作品よりいいんじゃないか。小原さんもぐいぐいと切れのあるいいビートが出ている。なによりケメさんの声のハリが素晴らしい。その後のハンコックとの共演盤もよいが、総じてデビュー盤が一番の作品になるのではないか。ということで“This Is Honda”を聴く。鈴木良雄、渡辺文雄のゴールデントリオ。これも文句なし。僕が高校生の頃は普通に日本人のジャズアルバムが巷に出回っていたのであるな。とともに、僕自身アメリカにも憧れはありつつ、一面日本ジャズのファンなのだと気付いた。日野さんの“白昼の襲撃”とか、Jojoさんも参加しているサダオさんの“Sadao Watanabe”なんて大好きだもんね。
3月26日(土)黒葛野敦司クァルテット+ちあ 岐阜・ナチュラル・カフェ
黒葛野敦司
北川弘幸(B)
岩瀬立飛(D)
ちあ(Vo)

Hegitation
My Romance
Sicily
---以上インスト
Fly Me To The Moon
Lovin' You
Old Devil Moon
Pure Moon
My Favorite Things
愛の夢
Moon River サックスと歌のデュオ カラオケつき

―――――――――入れ替え

Resume(佐山新曲)>>>>>>>立飛ベストプレイ
It's Easy To Remember
Donna Lee
---以上インスト
Old Devil Moon
Pure Moon
All The Things You Are
My One And Only Love
My Favorite Things
------------------------------------------------
愛の夢
Moon River サックスと歌のデュオ カラオケつき>>>カラオケ出だし不調にもめげず頑張る

亀がいる。土ガメ。名前はイワオ。ゆっくりと歩くが気付くと遠くにいる。気配が無い。気付く客も少ない。こんな存在感でありたいものだ。マイペース。

今日はこちらの打ち上げを失礼してまどかの店、ティアラにお邪魔する。斉藤さんと楽しく飲む。地下の店からマイヤーズを取り寄せたらマスターもついて来た。ファンのようでファンで無いと言う。彼の好きなアーティストを追うとなんだかどこにも佐山が顔を出しているのだそうだ。望むところである。年代も、好きなものも似ていて(算術的に当然である)山岸潤史や山下達郎、ホトケや房之介など話がいくらでも広がって楽しく飲んだ。
3月27日(日)松田昌デュオ 稲沢市民会館
星川楽器店主催。専務の星川さんが国府宮駅までお迎え。裸祭りで有名なところだそうだ。岐阜と名古屋の中間点で田んぼの広がるのどかな町。実にいい。はやりが過ぎたのかスケジュールがタイトなせいか俳句は出てこない。ピアニカ隊が80人。これには驚いたが150人だったこともあるというからすごい。
サイン会をしているとノリゾウ発見。次は佐呂間か!

黒葛野敦司クァルテット+チア 名古屋・スターアイズ
超満員でバンド席なし。チアちゃん頑張るの巻である。打ち上げはなつかしの味仙。
3月28日(月)SOEN セッション
京都に入ってそのままグランビアへ。駅ビルのきれいなホテルというのは実にいいもんである。鼻歌交じりでシャワーを浴びて髭剃って、スッパで本など読んでいるとお迎えが来て。もう理想的な展開である。

CP80で頑張っているSOENにピアノを入れようというセッションである。ボランティアである。関係ミュージシャンが集って収益金をピアノ購入費にあてよう、別口の募金もしようという趣旨だが店に着いてみたらなんとアップライトピアノがあるではないか。途中経過てきなことらしいが素晴らしい展開を見せている。応援のお客様も多く満員の客席が実に真剣にそれでいてリラックスして(この二つは矛盾しない)気持ちよく演奏できた。

1st  
1. 枯葉 (佐山雅弘P/大塚雅子B/斎藤洋平D)
大塚雅子のベースは地に足が着いているので安心して間があけられる。斉藤ヨウヘイは趣味もいいしピアノのことも良く聴けている。きれいな音色があとひと味すっきり感を獲得すれば、いま出来ている多くの素晴らしいプレイがより際立つだろう。それにしても二人とも初見でM'sアレンジをよくこなすもんである。
2. For Heaven's Sake (1とメンバー同じ)
インストとしては初めて演奏するがい〜い曲であるな。右手を立つ音のメゾピアノ、左手をピアニシモの和音、、、にしたいところだがこのあたりの絶妙のバランスがアップライトだと取りにくい。がしかしジャズたるものはそんなヤワな微妙さとは別の骨太のロマンティシズムによって発展したのだ、と気持ちを切り替えメゾフォルテの中でバラードを弾き進める。するとそれはそれで世界が広がるのだな。接触の浅さの悲しさよ、大塚のベースソロの歌い上げをすべて掬い取ったとは言い切れず、念が残る。
3. Here's That Rainy Day (1+馬場孝善G)
馬場を入れてのボサノバ。バスドラだけでもリズムをウキウキと推進するような手法につき研究修行の要有之。
4. Swingin' On A Star (3とメンバー同じ)
念願のギターバージョン。馬場君の完璧な予習に当方大はしゃぎ。
5. Tears Of Nature (佐山雅弘P)
待ち時間のあいだにかかった“Hymn For Nobody”やはりいいアルバムだよねと三木君と語ったこともあり、ステージ上でこの曲に決定。覚えていて良かった。自作でソロ、というのは気楽でいいですね。忘れてたら作ればいい。
6.

What Is This Thing Called Love (佐山雅弘P/大塚雅子B/斎藤洋平D)
ヨウヘイ君の好きな曲というので選曲したが、ビートに対するちょっとした物足りなさを突込み気味の音符で気を済ます、という旧来の僕の悪いクセが出て迷惑をかけてしまった。

2nd  
1. Old Folks (佐山雅弘P/平口充AS)
い〜い音色。平口さんとは年代も似ているので二人にしか見えない、出せないデュオの味わいがあったと思う。
2. Billy's Bounce (篠崎雅史TS/平口充AS/笹井真紀子P/西脇敦子P/佐山雅弘P/武藤謙一G/羽柴哲G/山本久生B/藤井進也D/山口幸雄D)
ジャムセッションにしては珍しく管楽器は2人だけ。2曲12場面に振り分けての楽しいセッション。
3. Oleo (平口充AS/篠崎雅史TS/大野綾子P/濱口一博P/三木克弘G/馬場孝善G/TANIDA B/岸俊介D/中田圭祐D)
1〜3コーラスでつないだのはオトナ。
4. 天上の弦 (入山ひとみVIN/上村美智子P)
5. Hymn To Freedom (佐山雅弘P/大塚雅子B/斎藤洋平D)
6. Love Goes Marching On (5+入山ひとみVIN)
Enc. Sticks (平口充AS/篠崎雅史TS/入山ひとみVIN/笹井真紀子P/大野綾子P/濱口一博P/佐山雅弘P/羽柴哲G/武藤謙一G/三木克弘G/馬場孝善G/斎藤洋平D/藤井進也D)
つい先日太田剣に教わった曲。ワンコーラスが短く、ジャズロックでそこそこシカケもあるので持ってきたが思いの外みなさんてこずっていた。でもその様子がまた微笑ましくも楽しいのであった。
3月29日(火)ふれあいホール収録 渋谷・NHKテント

中川晃教の3日間のうち2日目のゲスト。

1. Catch Fire (デュオ)
デュオでファンク〜サンバ系はきつい。中川君は良く歌う。歌自体にウラハクもビートも乗っかってるので二人でリズム〜グルーブを出す感じがとても良。
2. Sand Witch 3-2-3 (トリオインスト)
ポンタボックス以外での演奏は初。あの感じにはならないが逆に自作の感興起こりてこれも良。
3. ラ・ビ・アン・ローズ (トリオ+Vo)
4. You Are So Beautiful (二人で弾き語り)
なんと歌手デビュー!あらためて資料を見ると、歌詞を覚え間違えていた箇所もあったが、プロならぬ身としては急な変更をあえてせずに臨んだ。
5. ジェラシー (トリオ+Vo)
6. What A Wonderful World
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