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05飛鳥記
中編
北緯71°12′7″ 東経25°42′
ノールウエイが北の道、ノースウエイのことだというのも初めて知ったが、ノールカップ即ち北岬に辿り着いた0時15分にデッキパーティ有り。一角獣の如くそびえるスカンジナビア最北端を洋上より眺むるは稀有なる体験なりとは今朝の案内で知る。その15分前に酔って寝てしまった身としては多少の航海有之と雖も過ぎたこととて是非もなし。
73.8kg 30.5% (6・1 12:25)
ソロコンサート
ライムライト(チャップリン)
左手のノクターン(スクリアビン)
赤とんぼ(山田耕作)
川の流れのように(?)
ラプソディインブルー(ガーシュイン)
ゴールドベルクのアリア(バッハ)

待ち時間にチャイコ5番赤入れ。余裕があるより限定された時間のほうが勉強が進むとは何事か。
73.4kg 30% (6・2 9:50)
旧作はだめよ
今日の句会は準備せずに参加したので前作の中、つまりいいのを出した残りから三句だしたら、やはり選に洩れた。俳句は作っては落とし、選び終わったら新たに作るべきものとは見えたり。権太桜師匠がひとつだけ拾ってくれて場内の小受けは取れた。

嗚呼日本人 北の白夜に寅次郎
(6・2 19:00)
ビデオ三昧
いや困った。寅さんが見られない。

乗船三日前の大分で甲斐さんが選別にとくれた“男はつらいよ”1〜24巻。毎晩寝る前に一本ずつ順番に観るのが習慣になっているのだが、池内淳子の次の回のDVDがどうしてもかからないのだ。仕方なく一本とばして八千草薫を見始めるとおいちゃん役が森村信から松村達夫に代わっている。ある時期に森村さんが亡くなって、以後は松村さん。やがてもう一度代替わりするのは知っていたが今回からなのか前回からなのか気になって夕べは早々に切り上げてしまった。

船内シアターの“ラジオ”観る。いい話ではあるのだが、やはりホームコメディないし文芸モノは僕には性が合わないのか、長く感じた。

そこへいくと寅さんはいい。同じパターンのようでいて毎回工夫が効いている。世間に定着していったであろう過程とそれに対応する制作ムードがよく見える。2〜4作くらい監督が替わってそれぞれの持ち味も面白く、再び山田監督に戻ってズシンとしまる。決まり文句やズッコケも踏襲しながら山田ヒューマニズムが浮き彫りになるところが凄い。

甲斐さんがくれたもう一つは“ジャズヒストリィ”10巻組。要所要所にウィントン・マルサリスがコメントを入れる。これがまた実に的確かつ公平で小憎たらしいくらいに勉強になる。小憎いというのは、、、知れば知るほど、感動すればするほど、血として肉として自らのアイデンティティに立ち返らざるを得なくなるからだろうと思う。

自分対ジャズ、ジャズマンとしての自分と世界の関わりなど一連のスタンスはとれているつもりでも、あとづけの思考性(思想とは言わぬ)、外来モノを身に纏うことについては折々に足元の確認・根締めを必要とするのだろう。外来芸能、伝統芸術あるいは職種を問わぬことであるかもしれない。
インフルエンス
それにしても左肩の痛みが取れない。佐藤さんによると、五十肩の部位ではないからある種の筋肉痛だろうということだが気になる。腫瘍だったらどうしよう。いかん、いかん。大坂昌彦みたいになってきた。

大体“朱に交われば赤くなる”というが、M’sがうまくまわっているこの何年間かでチト自分が変わってるかも知れん。集合時間の30分前には着替え終わって忘れ物チェックをしてる。三日後のホテルを確認する。ホテルの箪笥を整理する。A型っぽい几帳面さに自分でハッとする時が間々ある。

まずはもらった切符に乗って、、、
■目的地に辿り着いたらお迎えがあって(1.ホテルへ行きますか、会場入りが先ですか、などと聞かない)
■車で連れられるままに(2.お腹が空いたとか、食事は何時ごろに、などと尋ねない)
■目の前にピアノが出てきたら弾いて(3.ピアノの機種、調律の具合など問いたださない)
■酒が出てきたら飲んで(4.銘柄を指定しない。薀蓄も述べない)
■宿に連れられたら寝て(5.もう一軒、などと絡まない)
■お迎えの電話が鳴ったら起きて(6.予め集合時間など確認しない。まして朝食の時間帯を教わらない)  
■ロビーでにこやかに挨拶(7.今日の行程など問いたださない)

という、まぁ為すがまま為されるがまま、が身上なのだが、括弧の中のひとつやふたつは常々口に出すことが多くなった。人間としての鷹揚さに欠けて面白くない。
噂をすれば何とか(独り言によるのも噂というのか)で、丁度レイキャビクに着いた。二人を迎えに出る。
(6・3 8:30)
俳句三昧
少年が算術にすすり泣く 夏

15と2. 破調の見本として被教。

片頬を炬燵にのせて眠る母

なんの話題につられて出たかは忘れたが、昨日の夕食で俳句の山崎先生と同席は楽しかった。多少揺れたので部屋でじっとしている人が多かったのだろう。普段より客席が空いている。100日行程のツアーも半ばを過ぎて疲れも出ている頃だとは先生の弁。

山崎よしを氏。NHKの話が出たのでそちらで番組でも?と聞くと、いや職員だったそう。俳人は概ね他に本職を持っているものだそうだ。そりゃそうかも知れない。江戸時代の諸国を渡り歩く文人・画人ならいざしらず。
令嬢のカズミさんがアシスタントについていて、詠まれないのですかと水を向けてみたが、小さい時から散々聞かされているので、と小さく笑う。
そりゃそうかも知れない。
74kg 30.05% (6・3 9:00)
M’s乗船
レイキャビクは美しすぎる街だった。雪国と思えぬ建物の綺麗さ、清潔さは毎春の塗り替えによるそうだ。電信柱がない。世界でも珍しい二つの地殻プレート(北米とユーラシア)の重なりの割れ目(ギャウ)の影響による地熱を利用した発電でほとんどのエネルギーが賄われている。公害がない。

油絵入門、みたいなきれいな青空。公園かくあるべし、といわんばかりの水鳥群れる人口湖(じゃないかも知れないが)。その横に建つモダンアートな市庁舎に並んで、世界初の民主議会が行われた中世の石造りによる議事堂。“美しい”と呟きながらも妙な落ち着かなさを感じる。そう“True Man Show”なのだ。何かの弾みで真っ青な空の一部がほつれてセットの骨組みが出てきそうな予感。
僕はビール、大坂は赤ワインでのアウトドアレストランは実にヨーロッパな午後。瀬木はインターネットカフェでビジネス。小井は船室でグロッキー。37度5分の熱。乗船二日前に瀬木と落ち合って衣装のこと、持つべきアメリカドルのことなど詳細に取材したというから恐れ入る。自分でAAにネット通信してマイレージカードを獲得。飛行機の座席をエンジンから遠いところに指定しなおした。おかげで大坂は隣席が空いてゆったりと出来たが、小井のほうは人気の高いシートラインの故に両側を挟まれての13時間。どっちが得だったろう。

乗船をお迎え。船内案内より楽器チェックにいくところがエライ。グランドホールへ。大坂はおいてあるバスドラの大きめなセットを一瞥して“わかりました”と手も触れず。小井に出されたふたつのウッドベース。ひとつは韓国製でボディもネックも真っ黒にラッカーが塗ってある。勿論もう一つの茶色いほうを手にとってチューニングなどする。ほっとしたのだろう、途端に目が空ろになってコーヒールームでおさらば。瀬木にもらった薬(彼はあらゆる薬を常備している)で夕食の集合時間までゆっくり休んで復活して欲しいものだ。今夜から北大西洋横断。揺れるだろうから。
(6・3 17:20)
介護間近
“なにをしようと思たんやったかな、、、目薬や、、”
思い立って洗面所に行く3歩の間に忘れているんである。おまけに口に出しての独り言。昨夜の夕食後のピンポンで鉄柱にぶつけた左脛がまだ痛む。天井から床までつながっている直径10cmが死角になっていたのだから怖い話である。スマッシュが決まってバンザーイと両手を挙げた途端に左肩付け根にぴりぴりと痛みが走るし、まったくもう!である。肉体年齢が高いんだろうな。無ちゃな使い方はしてきたもんね。殆ど楽しいことばかりだった来し方の決着(オトシマエ)だと思えば左半身に集まる種々の不都合もまた愉し。

目覚ましもかけずに必ず起きる8時半。ところがこのところ一日に一時間ずつ増えているので時計を7時半に戻す。これはラクですね。一昨日ダンスの大泉先生に聞いたところに拠ると、人間の排泄周期は25時間でそれをなんとか24時間に習慣上アジャストしているのだそうだ。だからクルーズによって東回りの時は一日が23時間ずつになっていくので睡眠もさりながら、リズムが大変。逆に西回りは理想的なのだ。“ウンチクでした”というオチまでついた。
(6・5 8:30)
M’s飛鳥初コンサート
Creopatra's dream/anthony's scream
The Girl From Ipanema
My Favorite Things
Extended Play
Swingin' On A Star
Spain


6月6日からは判で押したような毎日。朝ごはんで皆と一緒になってコーヒー後マージャン。市毛さんが大坂の後ろについて教えてくれたり、後半は市毛さんが交じってくれて大坂は後ろで見学というスタイルになった。

お昼に8階のリドカフェに集まって5階のセットメニューと8階のブッフェメニューを比較検討してから移動したりしなかったり。5階食堂ののち8階ということもある。これは太りますね。午後はばらけて僕は15時からの句会に備えて作句したりチャイコフスキーを勉強したり。全員ピアノラウンジの空きを狙って練習(小井)や作曲(大坂)したいのだが船内同好会が多く、中々空いている時が少ない。ガーシュインの譜読みがしたくて行ってみたら、コーラス同好会に遭遇して一緒に歌ったり踊ったり。それはそれで楽しい。

夕食後はショーを観た後ピンポン!これはいい。2対2の全ての組み合わせ(=3種類)による11点サーブ得点方式でざっと一時間小走りするので、大浴場閉鎖直前の汗流しの後体脂肪を計るのが楽しみになる。ぼくは目指せ豚!29%で豚と並ぶというのだからがっかりである。

8日は10時から13時までピアノラウンジを予約させてもらい、NYライブのための思い出し稽古。大坂の新曲“Deep Blue”も瀬木と合わせた。

夜のパーティショーではマリオネットのフィリップ・フーバーさん、二つあるハウスバンドのうちのフィリピン組の歌姫エリザベスと共演。子犬のマリオネットがピアノの上を歩いてきてキスしてくれた。
フィリップさんは“マルコビッチの穴”でのあの見事なあやつりをした人で、謙虚な人柄もよかったが、なんと言っても一人ショーが素晴らしかった。最大80本の糸を操る技術も凄いが、それ以上に人形に託した彼の“夢”みたいなものがどのマリオネットからも発散されていて、汚れなき瞳を大きく見開いて食い入るように半身を乗り出している子供、、、に我が身がなる。

9日はM’s2回目のショー。乗船前の約束は1回だったのだが好評につきアンコール公演。ゲストに瀬木を入れて大坂の新曲はイマジネイティブな佳曲。
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