風のささやき

秋 時候

秋の景色

晩秋は琥珀の夢にほろ酔いて

季語:晩秋

空は秋散りばめた雲影薄し

季語:秋

秋寂びの月夜葉擦れは乾ききり

季語:秋寂び

身に沁むも両腕枕子に温む

季語:身に沁む

うすら寒漁る箪笥の肥やしかな

季語:うすら寒

朝寒し眠る子胸に暖とする

季語:朝寒し

身に沁みて夕べの窓閉じ二度寝する

季語:身にしみて

頁繰る音耳につく夜長かな

季語:夜長

布団干す塩っぱい秋の夕暮に

季語:秋の夕暮

口先の南無南無の子や秋彼岸

季語:秋彼岸

寝た子供秋のけはいとおぶりけり

季語:秋のけはい

秋寂びて松脂鈍く光りおり

季語:秋

雨降れば一歩一歩と冬隣

季語:冬隣

新涼や夜半に咳きこむ子供かな

季語:新涼

澄む秋やとんかち高く響くなり

季語:澄む秋

釜めしの洩るる湯気かな秋静か

季語:秋

薄味の海老に寂しむ秋の暮

季語:秋の暮

先行きが分からなくなり秋に入る

季語:秋

病室に君取り残す冬隣

季語:冬隣

首筋もそろそろひやり9月尽

季語:9月尽

片付けのやる気どこかに残暑かな

季語:残暑

秋深しスーツに小穴ひとつかな

季語:秋深し

松島や秋の鴎の慌てよう

季語:秋

岩叩く波ひっそりと秋夕べ

季語:秋夕べ

家に入る温かさ知る秋の暮れ

季語:秋の暮

帰国する小麦の肌にそぞろ寒

季語:そぞろ寒

影ふみの影しおらしく秋の午後

季語:秋

影だけが連れ添うものよ秋の暮

季語:秋の暮

ほうき掃く音だけ響き秋の朝

季語:秋の朝