風のささやき

薄味の海老に寂しむ秋の暮

その夜は海老を買って食べました
特に食べたい訳ではなかったのですが
大振りの茹でた海老の赤い色に惹かれました

久しぶりに口にする海老は
独特の食感で味も悪くなかったのですが
何故か口に寂しさが広がりました

室生犀星さんの遺作で
「老いたるえびのうた」という作品があるのですが
その詩との連想で感じたものなのでしょう

秋の憂いは胸に沁み
ときどき困惑させられます

 #2007 秋に