homeパリ、ブルゴーニュパリあちこち>アラブ世界研究所


アラブ世界研究所
Institut du Monde Arabe

48 50 56.32N,2 21 25.68E

 ジャンヌーベルを有名にしたかなりの部分はこの建物だと思います。イスラムの幾何学模様的とも言えるけれど、実は曼陀羅ではないかと密かに思っているこの窓は、やっぱりとても革新的。ここも建築されてから初めて訪れたパリだったもので、子供まで連れて来てしまいました。来るのは簡単。アパートのすぐ脇を67番のバスが通っていたので、それに乗って行くとサンルイ島を抜け、研究所の殆ど目の前まで一気に連れて行ってくれました。
 グランパリプロジェクトは、やはりインパクトがあります。オペラ座も、第二凱旋門も、ヴィレットも、オルセーも、ルーヴルも本当に戦略的にパリを改造するという信念のもとに組み立てられています。この力こそフランスの中央集権の象徴でしょう。これをやれるのは世界中で多分この国だけです。ロンドンもニューヨークもこの力は備えていません。そうした中でアラブを持ってくるという所に、この国の国際戦略を感じ取ります。街を歩けばどれだけの黒人がいるのか。宗主国としてどんどんアフリカから移民してくる様を踏まえ、しっかりとグランプロジェに組み込み、彼らの精神的拠点を作ってしまおう。本当にそうなのかどうかは判りませんが、その意気込みはしっかりと伝わってきます。(でも差別から来る暴動も起こったりと、この国の抱える悩みは深いものがあります。)
 ヌーベルのこの建物は、そうした期待に十分に応えることの出来たものとなりました。この絞り窓のインパクトは、こういうプロジェクトを本当に利用しようという意図が明確に伝わる主張あるものでした。でもイスラム建築が、そのフォルムではなくディテールで主張するように、この建物も実におとなしい外見ながら、このディテールで目一杯の主張をしているのです。

              

外側から見ると、確かに曼陀羅ですよね。宗教的色彩を出していくとある種普遍的なものになる気がします。

単なる平面を覆う窓群。全く凹凸を付けず、その代わりにこの絞り窓を配置しています。

内部の廊下から見るとこうなります。何も知らない人にこれを見せたらどんな反応になるのでしょうか。本当こういう光景そうはないかな。

絞りの拡大写真。いろんな絞り方があります。よくぞここまでと思ってしまう。

屋上にはカフェもありました。西方を見るとごらんのような眺め。パリですねー。サンルイ島が右手です。

アラブ世界研究所