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デルフト
Delft

 実に絵になる町です。旧教会、新教会の塔というランドマークという町の求心力はあちこちにあるのですが、ここはそれ以上に運河の存在が大きい。オランダにはナールデンという、建築史の教科書に出てくる 立派な星形の壕を回し、町の中心には教会の塔を唯一聳えさせるという、まさに教科書そのものの都市もあるのですが(行っていません)、ここデルフトはそこまで計画的でなく自然発生的なのだけれど、ふっと気がついてみると、運河の向こうアイストップにちゃんと教会の尖塔があるなんていう、にくい演出がなされています。

 宿をデンハーグにとった関係で、ハーグからトラムでゴトゴト15分(結構スピードだしますが)、田園風景の中を進むとその美しい町が現れます。まずは東門へ。フェルメールのデルフトの眺望は南西からだそうですが、塔の門がちゃんと残っているのはこちら東門だけですから、やはりこちらに来てしまう。塔の上端が細く長くのびるフォルムは、重力を感じさせない、まるで天に引っ張られて出来たような印象を受けます。旧市街も例えばイタリアのように緑が目につかないなんてことはなく、ここでは運河沿いの並木がとても綺麗なのですが、町外れまで来ると一層緑が豊かになります。旧市街から外に渡る橋は今では回転橋になっており、船やボートが来ると踏み切りが下り、橋本体がゆったりと90度回転し、船を通すとまたゆったりともとに戻る。そんな日常の時が流れていました。こういう空間が町中にあるというのは、なんて素晴らしいのでしょう。一日じゅうのんびりしていたい。そんな所です。

 でも旅行者はそうもいかない。マルクト広場にまた歩いてゆき、新教会の塔に上ったり、観光局のショップを覗いたりと、やはり忙しい。ここマルクト広場には市庁舎、教会双方が面しており、イタリアのように「聖」と「俗」とを分離する、つまりシニョーリ広場とドウオモ広場とを設けるといったことはしていません。大体北方系はそんな傾向にあります。塔に登ると旧市街を超えた町並みが見渡せます。南には有名なデルフト工科大学、南西にはふつうの団地群、西はインダストリー・・ここデルフトでも都市の拡大はじわじわと続けられています。でも都市と農地とは明確に区分されているのでした。


1:25000の市街地図です。これは日本で調達したもので、大昔(もう20年以上前になる?)には渋谷パルコに入っていたマップハウスが、今は神保町三省堂本店にあり、やはり重宝しています。運河が湾曲している中がいわゆる旧市街。イタリアほど新旧の密度差は出ていません。南には工科大学、南西には団地があります。

新教会。広角レンズでも縦に繋げないと収まらない高さです。下層部はゴシックの割に重厚感がある反面、上層部は納得のゴシック。そのアンバランスが面白い?殆ど最上部まで上れます。子供の足だと結構大変でした。
52 00 43.38N,4 21 37.21E
国鉄デルフト駅。トラムで来ましたが、結局ここで朝食を取りました。デンハーグは駅ビルになってしまったけれど、ここはまだまだ趣を持った駅です。
52 00 23.81N,4 21 24.09E
そして南門。双塔の点を突き刺すような鋭角が何とも印象的です。それから本文にあるように、ゆったりとした時間が流れていました。なお、この跳ね橋はなかなか上がりません。回転橋は左側です。52 00 39.03N,4 22 07.37E

市内の運河にて。旧教会のバランスが気に入っています。ちゃんと運河と教会がこうなるように考えられています。それから、このように市街地での車の存在は諦めざるを得ません。それを補って余りある運河の美しさ

新教会の塔から。左から真ん中に延びているのが南門に至る旧市街の並木。切り妻屋根の統一感が美しいと感じると共に、旧市街の密度がそんなに高くないのがお分かり頂けると思います。