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ブルージュ
Brugge

 時代の流れから忘れられてしまった故の美しさ。ブルージュには全くその言葉にふさわしい町です。水運によって栄えてきたけれど、その運河の浚渫がままならなくなり、船が運航出来なければ都市の役割が果たせず・・・でも朽ち果てることなく現代に都市は受け継がれ、結果世界中から多くの観光客を引き寄せ、魅了させているこの歴史の妙を感じさせる所です。

 ここの見所はというと、街並みそのものでしょう。メムリンク美術館とかに入ってもいいけれど、それより町を気ままにに歩くのが一番です。例えば建物と運河との関係が素晴らしい。オランダだと律儀に運河の両側に必ず道路を配し、ゆったりと空間を確保しているのですが、ここはそれが場所によって全然違う。建物と運河が直接面していたり、その運河の反対側には広場がり、そこで骨董市やっていたり、小さな通りからいきなり運河を渡る橋に出たり、その融通無碍さが実に楽しい。オランダの町の規則性とはかなり表情を異にしています。中世の迷路性が北方で味わえるのはなかなか得難いものです。
 そしてその迷路空間の先に大きな緑がある。全く愛の泉公園なんて気恥ずかしくてつけないですよね。ベギン会の清楚さ、これは神への愛なのでしょうか・・でも白鳥が一杯遊んでいるのを見ると、何となく納得してしまうのはこの町の成せる技。しかしここはかつては港だったところであり、衰退のシンボルとも言える所なのです。ここが立派な公園になっているということは、港なぞとうの昔になくなってしまった訳ですね。

 マルクト広場は、グランプラッツの所で少し触れたように、田舎の広場です。ちょっと広すぎていて囲まれた感がしない。鐘楼は十分すぎるほど大きいけれど、広場全体のバランスから見ると少々欠ける所がある・・なんて少々あるけれど、ここの素晴らしさは、美しい破風が特徴の建物群でしょう。ガイドブックの表紙になったり、ブルージュというと必ず紹介される一角です。アムステルダムは5,6階建ての破風の建物が特徴だけれど、ここは3階+αしかないものが綺麗に並んでいる。この可愛ささえ感じるものこそがブルージュの売りなのです。

 ここには約20年振りに再訪したことになりますが、今回行ってびっくりしたのは、中心部から車が消えている点でした。かつて来た時は、マルクト広場の真ん中に停まっている車が邪魔でしょうがなかったのですが、今回それがすっかり撤去され、車は脇の方をを通過するのみ、全体が大きく歩行者のための広場に生まれ変わっていました。で、車はどこに行ったかというと、例えば市の西にあるザンド広場の地下などに地下駐車場を作り、そこに収容するよう、大改造をしていたのです。そして、ザンド広場も歩行者のための広場になっています。(ザンド広場の西側、鍛冶屋の門に行く通りには地元の人たちのためのお店が連なっており、とても重宝した一角です。)

 町を昔のまま維持する努力を、ヨーロッパの人たちは絶え間なく行ってきた結果今の街並みがある訳で、単に石の文化だから昔のものが残っているなんていう単純なものではないというのを、改めて知らされたのでした。 


ブルージュ全図。かなり整った形をしています。そのベースになっているのが運河、特に環状に掘られたものというのが分かります。そしてそうした運河ネットワークの中心とみられるのが愛の泉公園。幅広の運河を町中に引き込んだ唯一の場所ということからも、確かに昔港だったといわれれば、そんな気がします。そして後に作られた駅も、この環状運河の外に位置しています。
一方ダムへの船着き場は、駅と反対側、町を出て道を間違えたのではと言う程歩いた先にありました。


中心部の赤枠の部分を下に拡大しました。

泊まったホテルはマルクト広場の直ぐ脇で、本当鐘楼の足下という位置です。
ザンド広場の先まで行くと、観光客はパッタリといなくなり、変わって地元民相手のお店が出現し、ここでかなり買い出しをしました。またスーパーをホテルの近くに見つけたし、メインストリートと言っていいウーレ通り(Woolestraat)には高級総菜店デルディッケがあります。
また魚市場は運河の向こう側です。(結構ガイドブックにも出ています)
ブルージュのほぼ中心、運河が屈曲している所。(上の地図の魚市場の文字の下の角)左には観光船乗り場、右には高級フレンチレストラン ダック・ド・ブルゴーニュがある、昼間は観光客でごったがえする所ですが、今はまだ6時前。誰もいません。そして水面も全くさざ波が建っていないこの静けさ。
夜明け前のマルクト広場。やはりブルージュの印象は、運河とこの切り妻屋根の建物です。

愛の泉公園にて。でもここが港だっったなんてやはり信じられない。
51 12 04.44N,3 13 27.80E