読書録

シリアル番号 007

書名

カオス

著者

ジェイムス・グリック

出版社

新潮文庫

ジャンル

サイエンス

発行日

1991/12/20初版
1992/3/5第3刷

購入日

1992/03/05

評価

カオス理論の発生の歴史があざやかに記述されている。

現在この本は紛失しているが記憶では気象学者エドワード・ローレンツのローレンツアトラクタが紹介されていたと思う。彼は1960年に、初期変数を色々変えて初歩的なコンピュータシミュレーションによる気象モデルを観察していたところ、気象パターンが初期値のごく僅かな違いにより大きく発散することに気づいた。計算結果の検証のため同一のデータを初期値として複数回のシミュレーションを行うべきを、二度目の入力の際に手間を惜しみ、初期値の僅かな違いは最終的な計算結果に与える影響もまた小さいだろうと考えて、小数のある桁以降の入力を省いたところ、結果が大きく異なった。

この繊細な初期状態依存性は「バタフライ効果」と後に呼ばれるようになった。エドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会でおこなった講演のタイトル『予測可能性-ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』に由来する。

ローレンツ自身は、1963年にニューヨーク科学アカデミーで自分の発見を掲載した中で「ある気象学者は、この説が正しいとすると、カモメのたった1回の羽ばたきが気候の成り行きを未来永劫変えうることに気付いた」と書いている。他にも「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」や、「アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる」という表現が使われることもある。

ついでロジスティック方程式がカオス現象を示すことも紹介されていたように思う。

天気予報はなぜ当たらないか?水や煙の流れ、人口など生物個体数の増減はなで正確に予測できないのか?データ不足による誤差が予想を不確実にするのか?データの精度を上げても初期値がある範囲に入るとカオス現象を示すことをカオス理論は 教えてくれるのである。

相対論、量子論に続く今世紀最大の発見についてわかり易く解説してくれる。

プロジェクト管理で悩んでいたグリーンウッド氏はプロジェクトに内在するカオス現象に気づき2000年10月3日、山梨大学のキャンパス開催PM学会 で「プロジェクトのカオス現象」(pdf 253kb) を発表した。

ジョン・ホーガンの「科学の終焉」で引用。

カオス関連の本はこの他にも、00705305405505613129930844271010221062107810811082

Rev. September 11, 2009


トップ ページヘ