読書録

シリアル番号 053

書名

時間の矢、生命の矢

著者

P・コヴニー、R・ハイフィールド

出版社

草思社

ジャンル

サイエンス

発行日

1995/4/3第1刷
1995/6/12第4刷

購入日

1995/09/27

評価

モスクワ生まれのオランダ人の化学者イリヤ・プリゴジンの弟子が書いた熱力学を根拠とする時間の不可逆性についてのしつこい解説。

300年以上も前に考えられたニュートン方程式によって支配される古典系の不安定性や、その決定論の欠点が、最近になってやっと認識されるようになった。 伝統的な学問分野である流体力学の権威ジェームズ・ライトヒル卿は、最近、何世紀にもわたって決定論の夢を実現しようと虚しい試みを続けてきた多くの研究 者にかわって、感動的な悔恨の声明を出した。「ニュートン力学の素晴らしい業績によって、いつか流体力学で予測できないことは無くなる、と先輩たちは心か ら信じていた。私たち自身、1960年以前はにはそう信じようとしていたが、今ではそれが間違いであることを知っている。1960年以降になって間違いだ と証明されたからである。ニュートンの運動の法則を満たす系の決定論についての考えを広めて、一般大衆を間違った方向に導いたことを、みんなに代わって謝 罪したいと思う」

太陽のまわり廻る地球の運動にカオス的な系の全ての要素が含まれているにみえる。天体の運動は多体効果のためポアンカレによれば非積分系である。というこ とは普通カオスが発生するはずである。ではなぜ安定した軌道にあるかといえば、コルモロフ=アルノート=モーザー(KAM)の定理がポアンカレ系は完全な 規則性と全くのカオスとの間の中間状態にあるとなる。冥王星や土星の衛星ヒュペリオンがそれである。

KAMの定理は時間の矢を止めるものだが、充分の多くの物体がある分子レベルではKAMの定理は成立しなくなりエルゴート性、不安定性、そして不可逆性が支配的になる。

カオス関連の本はこの他にも、00705305405505613129930844271010221062107810811082

Rev. June 4, 2011


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