'99年8月


「バッフォロー'66」- Buffalo '66 -

 ヴィンセント・ギャロ監督脚本音楽出演。
 1966年NY州バッファロー生まれのビリー(ヴィンセント・ギャロ)は刑務所を出所したばかり。妻を連れて帰ると両親に言ってしまったため、途中で見知らぬ女レイラ(クリスティーナ・リッチ)を拉致する。面白いんだけど、結構つかみ所がない映画。心理的には同調出来ない部分が多いけど、主人公とヒロインの情けないけど純真な所は泣ける。

「バッフォロー'66」Official Website


「ラン・ローラ・ラン」- Lola Rennt -

 トム・ティクヴァ監督脚本音楽、フランカ・ポテンテ、モーリッツ・ブライプトロイ。
 トラブルに巻き込まれた恋人のため、20分以内に10万マルクを届けなければいけないローラがベルリンを走る。単純にそれだけのストーリを、「スライディング・ドア」やドラマ「ifもしも」みたいな、3つの"IF"で描く。
 ストーリ的にも映像的にも斬新で、勢いがあって面白い。細かい所では文句はあるんだけど、それをはねのける面白さがある。

「ラン・ローラ・ラン」 Official Website


「金田一少年の事件簿2 殺戮のディープブルー」

 西尾大介監督、天樹征丸+さとうふみや原作。
 劇場版のは「金田一少年の事件簿」はイマイチ面白くないとは思っていたけど…、やっぱり詰まらなかった。大体、劇場版になると巻き込まれる事件が大き過ぎて、逆につまらなくなる。沖縄、海底遺跡の眠るリゾート・ホテルの島という舞台も全然上手く使われていないし。
  トリックとしては、まあ、どーでもいいレベル。

「金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」感想
「金田一少年の事件簿」(「オペラ座館殺人事件」)感想
「金田一少年の事件簿の部屋」- 金田一少年の事件簿関係の情報、クイズ、掲示板など


「メッセンジャー」

 馬場康夫監督、飯島直子、草なぎ剛、矢部浩之、京野ことみ、別所哲也、加山雄三。

 尚美(飯島直子)は有名ブランドの広報担当でバブリーな生活を送っていたが会社倒産。自転車便・メッセンジャーで働く事になり、やがて宿敵のバイク便と対決する。
 飯島直子は結構頑張っていたと思う。草薙は平凡。矢部浩之、京野ことみ、加山雄三の使い方は下手。特に「岸和田少年愚連隊」であれだけいい演技を見せた矢部浩之に薄っぺらいキャラしか与えないのは理解出来ない。
 映画的には良くも悪くも、ホイチョイ的。見せ場の作り方とか盛り上げ方とか音楽とか上手いけど、タイアップの仕方とかいかにもなアザトイ部分が目立つ。バブリーでリッチな設定から、メッセンジャーなんてドロ臭い線を狙ったのはいいけど、時代はホイチョイに振り向いてはくれない。かなり、浮いている感じはする。

「メッサンジャー」 Official Website


「エントラップメント」 - Entrapment -

 ジョン・アミエル監督、ショーン・コネリー、キャサリン=ゼタ・ジョーンズ。

 伝説の名画泥棒マック(ショーン・コネリー)を捕らえるため、保健会社の調査員ジン(キャサリン=ゼタ・ジョーンズ)が近づく。古典的な善人泥棒ものに、ショーン・コネリーの渋い演技…でも一番の見せ場はキャサリン=ゼタ・ジョーンズのナイス・ボディか。
 マレーシアの世界最大のビルが目標とスケールが大きい風に作っているけど、実際は相変わらずの赤外線探知機のビームくぐりとは(^^;)…数十年前から何も変わっていないとは、なんか情けない。それでも、2000年問題とか巧みに入れているトコは好感持てるけど。
 ラストは無理なドンデン返しとロマンスを入れているけど、この辺は取って付けた様で驚きもしない。
 「マスク・オブ・ゾロ」に続いてキャサリン=ゼタ・ジョーンズは魅力的…でも演技は美味いとは言えないけど(^^;)。

「エントラップメント」 Official Website


「ウォーターボーイ」- The Waterboy - ☆

 フランク・コラチ監督、アダム・サンドラー、キャシー・ベイツ。

 水オタク、31歳、マザコンの主人公ボビー(アダム・サンドラー)が、フットボールの素質を見抜かれ、大活躍。なんか訳のわからない設定だけど、ちゃんとスポ根になっていて、それなりに感動出来るし、無条件に笑える。不思議な魅力を持っている。お薦め。
  主人公のアダム・サンドラーは「ウェディング・シンガー」でもいい味だしていた。脚本制作総指揮主演と、なかなか芸達者。キャシー・ベイツもぶっ飛んだキャラで好演。

「ウォーターボーイ」Official Website


「アイズ・ワイド・シャット」 - Eyes Wide Shut -

 スタンリー・キューブリック監督脚本制作、トム・クルーズ、ニコール・キッドマン。
 
 妻の昔の浮気心の告白に嫉妬心を覚える夫。夜の街を彷徨い歩き、やがて怪しいパーティに忍び込む…。いかにもキューブリックらしい、不可解な映画。部分、部分のシーンは面白くて引きつけられるのだけど、全体ではよく判らないとしか言いようが無い(^^;)。
 室内の装飾など、キューブリックの完璧主義が現れていて素晴らしい。あと、杖の音が異常に恐かった。
 これが遺作になると思うと公平な評価が難しい。

→ 「アイズ・ワイド・シャット」Official Website


「プリンス・オブ・エジプト」- The Prince of Egypt -

 ブレンダ・チャップマン監督、ヴァル・ギルマー(モーセ)、レイフ・ファインズ(ラメセス)、ミシェル・ファイファー(ツィッポラ)、サンドラ・ブロク(ミリアム)声。

 チャールトン・ヘストンの「十戒」で有名な、モーセの旧約聖書の「出エジプト記」の物語。
 歴史的な重厚さと、子供にも楽しめてエンターテイメントが両立するとは思っていなかったので、今回はまったく期待していなかった。でも、結果的にかなり楽しめた。エピソードの抜き出し方や、映像の楽しさ、キャラクタの面白みとなかなか上手い仕上がりになっていると思う。
 CGは実験的なものも含めて、面白い部分が多い。水などの自然描写の部分に巧みにCGを使っていて、アニメの絵にアクセントを加えている。見所である、海が割れる奇蹟のシーンは音も含めて圧巻だった。
 ストーリ的には、「旧約聖書」エピソードのダイジェストって感じもあるのだけど、上手いテンポで出来ていると思う。

 そうえいば、「ハムナプトラ」とコレとエジプト物が続いた。「ハムナプトラ」に出てくる十の災害も旧約聖書に出てくるのと同じだし、共通したイメージが多い。

→ 「プリンス・オブ・エジプト」Official Website


「フランダースの犬」- A Dog of Flanders -

 ケビン・ブロディ監督、ウィーダ原作、ジェレミー・ジェイムズ・キスナー。

 子供向けではあるんだけど、それにしても詰まらなかった。
 ネロはいかにも子役って感じだし、パトラッシュはボロぞうきんの固まりみたいで可愛くないし、ストーリ的にも最後が好きじゃない。 この映画は、ハッピーエンド版と、アンハッピーエンド版の二つが用意されていて、国ごとに変えている。日本では、アニメや原作と同じ悲劇で終わる。一応、来世救済って雰囲気で終わるけど、子供に対してこういう結末でいいのか疑問。ハッピーエンド版を見たかった気がする。大人としては、悲劇版の方が懐かしいという気持ちは判るけど。大人の郷愁を子供に押しつける必要は無い。
 
 ネロの母親については原作にない部分が入っていた。ネロの出生の秘密、父親が誰かも匂わせている部分があるけど、中途半端。このエピソードは原作には無いはず。


「踊れトスカーナ!」 - Il Ciclone -

 レオナルド・ピエラッチョーニ監督脚本主演、ジョヴァンニ・ヴェロネージ脚本。
 舞台はトスカーナの片田舎。会計士のレバンテは、偶然からスペインのフラメンコ・ダンサーを自宅の農園に泊めることになる。ダンサーの一人、カテリーナに一目惚れして…。という全体的には、しょーもない人間たちのしょーもない物語なんだけど、能天気に人生楽しめればいいんじゃないって態度が心地よい感じはする。ラテン系ではあるのだけど、どこか内証的であって、そこが映画に深みを与えている。
 ヘンな画家の弟、レズビアンの妹を筆頭に、わき役がみんな面白い。

「踊れトスカーナ!」 Official Website


「スウィーニー・トッド」 - Sweeney Todd -

 ジョン・シュレシンジャーー監督、ベン・キングスレー、ジョアンナ・ラムリー。
 実在の連続殺人鬼、床屋のスウィーニー・トッドをモデルにしている。客を剃刀で殺し、その肉はミートパイとする猟奇殺人。
 18世紀ロンドンらしい陰鬱な雰囲気、そして残虐なだけで、あんまり面白くなかった。かなり眠かった。最初はよかったんだけど、ストーリ展開が緩慢で引きつける力がまるで無い。展開が簡単に読めてしまうし。ブラック・ユーモアを出そうとはしているのだろうけど、失敗している。


「EM エンバーミング」

 青山真治監督、雨宮早希原作、高島礼子、松重豊、鈴木清順、三輪ひとみ。
 
 エンバーミングとは損傷した遺体の修復技術の事。、    
 主人公の美弥子(高島玲子)はエンバーミングの専門家。美弥子は転落死した高校生、由樹の遺体をエンバーミングするが、霊安室からその首だけが盗まれる。遺体売買組織、新興宗教、ブラック・ジャックみたいな謎のエンバーマー、主人公の出生の秘密…、なんか盛り沢山だけど、ストーリ的には薄っぺらさを感じる。どっかで観たような話ばかりだし、人物の設定も希薄、映像も美しく無い。退屈はさせないのだけど、満足はできなかった
 猟奇殺人、サイコ・スリラーに対峙する主人公の物語ではあるのだけど、全体には妙な映画の感じが強い。そもそも、エンバーミングに思い入れがありすぎるというか、なんかエンバーミングの宣伝映画みたいな雰囲気が漂っているのは何故だ?


「恋は嵐のように」- Forces on Nature -

 ブロンウェン・ヒューズ監督、サンドラ・ブロック、ベン・アフレック。
 結婚を目前にしている平凡な会社員の男、自由奔放な女。二人が飛行機の事故で知り合い、共に旅する事になる。そこからは災難続きのロード・ムービー。面白くなるはずの設定なんだけど、なんかイマイチ乗れない。物語の展開は退屈。サンドラ・ブロックの魅力に頼り切っている感じがする。
 ラストをどういう風にまとめるかだけが楽しみだったのに、なんか上手くない終わり方で欲求不満だった。

 サンドラ・ブロックは、「プラクティカル・マジック」「微笑みをもう一度」「スピード2」と最近はロクなのに出ててないなあ。「評決の時」のわき役はよかったのに…つまりはサンドラ・ブロックに頼ったのは駄目という事か。


「エンカウンター3D」- Encounter in the Third Dimension -

 退屈だった。
 アイマックス・シアターの3Dもの。新たな立体映像技術、エクストラ3Dというふれ込みだったけど、普通の3Dとほとんど変わらない。ストーリ的にも東京ディズニーランドの「ミクロ・アドベンチャー」のパクリみたいな内容だし、詰まらない。
 3Dじゃない「IMAXデジタル・エフェクト」の方が面白かったな。

「東京アイマックス・シアター」Sony Website内


「パラサイト」 - The Faculty -

 ロバート・ロドリゲス監督 ケビン・ウィリアムス脚本、ジョシュ・ハートネット、イライジャ・ウッド、J・ブリュースター。
 面白かった。舞台はテキサスの高校。肉体を乗っ取っていく謎の寄生虫に、高校生6人が挑む。設定のSFっぽさは、本編に出てくる通りに「盗まれた街」のそっくり。随所にSFやホラーのパロディを盛り込んでいて楽しめる。このパロディ精神は「スクリーム」のもの。
 そこに、いじめられっ子、繊細な不良少年、学園の女王、フットボールのスタープレイヤーと個性豊かな青春群像劇を上手く盛り込んで、さらに"誰がエイリアンのボスか"というミステリー要素を足して、ロドリゲスらしい、いいテンポで展開させる。これが詰まらない訳は無い。「スクリーム2」はイマイチだったけど、今回のケビン・ウィリアムソンの脚本はいい。

「パラサイト」Official Website


「中華英雄」

 香港のGV旺角で観た。夜の9:55の回だけど50%ぐらいの入り。最近の香港映画は、上映館が少ないかマイナーな時間に押しやらえているので観るのが大変。「中華英雄」は大ヒットのはずなんだけど。
 イーキンは主役の割には、予想外に出番が少なかった。最後の自由の女神の対決よりも、彼が出てこない中盤の日本での他の対決の方が面白かったりして、イーキン・ファンにはちょっと不満かも。
 「爆裂刑警」も結構面白そうだったので、観られなくて残念。


「ワイルド・ワイルド・ウェスト」 - Wild Wild West -

 バリー・ソネンフェルド監督。ウィル・スミス、ケビン・クライン、ケネス・ブラナー。
 日本では正月映画らしいけど、香港で観た。
 舞台は西部開拓時代。大統領の命を狙うマッド・サイエンティストと、連邦捜査官の戦い。西部劇の時代設定ではあるけど、そこの珍発明、巨大メカが登場するのが一つの見所である。この当たり、かなりスチーム・パンクの影響を受けていると思う。
 まあ、そこそこ面白いし、お正月映画らしい適当に笑って、楽しめればいいと感じの映画。多大な期待をしなければ、楽しめる。ちょうど、「メン・イン・ブラック」みたいなノリで観ればいいと思う。


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