'97年1月


「スティーブン・キング痩せゆく男」 - Stephen King's Thinner -97/11/29

 キングがリチャード・バックマンの名前で出したのが原作ですが、この小説自体、キングの中でベスト5に入るぐらい好きです。

 映画化もそれなりにいいです。ただし、小説の好きな部分はちょっと違ってました。小説の中では、探偵のジプシー追跡劇が好きでした。あと、後半の「白人の呪い」という考え方が、非常に怖かった(^^;)。ジプシーが放浪するのが、白人の呪いのためであるというのは非常に怖い。斬新だと思いました。

 メイクが苦労しているんでしょうが、あまりうまくは無かった(^^;)。


「弾丸ランナー」97/01/25

 実は、「女優霊」を観にいったんだけど、日にちを間違えて、しょうがないので観てきました(^^;)。
 俳優のさぶが有志を集めて作った映画。ホントに走り続ける映画、かなりの力技という気はするけど、それほど悪くなかった。あまりに単純過ぎるけど、つまらないとは思わなかったし、退屈はしなかった。
 トモロヲはいい役者だと思う。


「秘密と嘘」 - Secrets & Lies - 97/01/25

 カンヌを制しただけあって、かなり混んでいました。もう2カ月近くやっているのに。
 最初、俳優とか撮影とかヘタだなあと思いつつ観ていく…、顔も知らずに養子に出した娘と母親の再会のドラマ。結局、それだけの話なんだけど、実に丁寧に淡々とエピソードを重ねていく。まあ、相手の手に乗りすぎたという気もするけど、ラストの方は感動的ではありました。2時間半近いのだけど、まったく長いという印象は無かったです。


「グリマーマン」 - The Glimmer Man - 97/01/23

 主人公はスティーブン・セガール。元特殊工作員だが現在は東洋思想にかぶれた仏教徒。当然、殺生は禁止(^^;)。L.A.に転任して、黒人の刑事と新コンビを組む。事件はキリストの磔を模した連続殺人。ここにC.I.A.や死の商人、ロシア・マフィア、密輸事件が絡む。

 …と、こう書くと面白そうなんだけど、実はイマイチだった。この設定を説明し終わるまでは結構面白かったんだけど。結局、悪役がイマイチだったのが大きいのと、セガールと渡り合えるほど黒人警官に魅力が無かった、格闘アクションの撮影があまり旨くない、など悪い部分ばかりが目立ちました。


「フェノミナン」 - Phenomenon - 97/01/19

 これは意外に面白かった。まあ、ほとんどは内容を知らなかったのと、期待してなかったからかもしれないけど。
 予告編を見て判るのは、トラボルタ演じる極普通の男が不思議な光を見た時から突然、天才的な知能や超能力を持ちはじめる、それに恋愛が絡んでいる…ぐらいの事しか判らなかった。能力の部分はSF的なネタではよくあるパターンだったけど、恋愛部分が結構よかった。

 結果的に恋愛映画としてうまく成立していると思う。…しかし、後でぴあを読んでみたら最後の方のネタばらしまでしていた(^^;)。楽しく観たい人は読まない方がいいかも(^^;)。


「月下の恋 」- Hunted - 97/01/25

 英国の田舎の屋敷で繰り広げられるゴシック調ホラー。
 双子の妹を事故で失った心の傷から心理学者になった教授になった男が主人公。インチキな心霊現象を暴く本で有名になり、田舎町の屋敷からの霊に悩む老女からの手紙で出かけていく。その屋敷に住む美女と恋に落ちる。
 こういうストーリ自体、東洋にも多くあってすぐにネタはばれる。だから心理的な恐さは少ないのだけど、ショック的な仕掛けは結構うまい。展開に意外性は少ないです。
 中盤ちょっと退屈だった。


「アンフォゲッタブル」 - Unforgettable - 97/01/18

 脳医学者の発明による、脳髄液による記憶の移植。自分の嫌疑を晴らすため、また妻の死の復讐のために、これを捜査に使う検死官が主人公。
 殺人の調査のために、殺される瞬間を何度も追体験するシーンがなかなか迫力あります。でも、他人の記憶を得る事による恐さとか、医学的な深さは無いです。逆に犯人探しが、より複雑化していき、そのミステリー的な一面の方が面白いです。
 もうちょっと面白く出来たと思うけど。


「グロテスク」 - The Grotesque - 97/01/18

 英国の田舎に来た執事のスティング(!)を中心とするブラックなストーリ。製作も英国で、もうちょっと英国らしいブラックさを求めていたんだけどイマイチ。スティングをはじめ、役者それぞれはアクが強くていいんだけど、
 ストーリ全体となるとボヤけた印象しかない。ちょっと残念でした。
 
 見る前は「デリカテッセン」のようなイメージでいたんだけど、あそこまで行って欲しかった。


「流れ板七人」97/01/17

 意外な事に結構面白かった(^^;)。もっとメチャクチャつまらないと思っていたのに。俳優はみんなダメなんだけど、最近の映画の中で料理がちゃんと描かれていたのに関心しました。素材とかその調理とか丁寧。去年の「美味しんぼ」が料理を描く事から逃げているのに対して好感が持てました。脚本はまあまあ、俳優はみんなダメ(^^;)、料理は良しという印象。

 監督の和泉盛聖治はしょうもない映画が多いんだけど、「この胸のときめきを」なんて、なかなかいい映画を突然作ってしまって…、この監督、捨て切れないだよなあ(^^;)。「この胸のときめきを」は畠田理恵の他、松下由樹が若いときに出てます(^^)。


「評決のとき」- A Time To Kill - 97/01/14

 グリシャムの処女小説が原作。さすがに処女作だし、彼の中でも一番社会性が強い代わりに、ストーリテーリングはちょっと弱いという、原作の印象があります。

 原作に負けずに映画も長尺で2時間30分。でも、飽きずに見られます。ストーリは比較的原作に忠実ながら、サンドラ・ブロック演ずる脇役を引き立たせるなど、キャラクタに対するスポットの当て方が原作よりうまい。どちらかというと、原作より映画の方が面白かった。

 ポイントとなる最終弁論の語り口などなかなか巧み。この部分、(原作をほとんど忘れていたので、特に)、非常に感動的でした。


「天使の贈りもの」- The Preacher's Wife - 97/01/12

 潰れそうな教会を守る牧師の妻がホイットニー・ヒューストン。教会を守るためにつかわされた天使がデンゼル・ワシントン。配役は豪華だけど、ストーリは平凡。誰が作ってもこうなりそうだという展開。
 途中のホイットニーのボーカルはさすがに聞きごたえがありました。

 ホイットニーは、「ボディ・ガード」「ため息つかせて」に続いて映画は3本目かなあ?やっと、まともに演技出来るようになった気がします(^^;)。

 オリジナルは「気まぐれ天使」らしいが、未見。


「世にも憂鬱なハムレットたち」 - In The Bleak Midwinter - 97/01/11

 監督、脚本がケネス・ブラナー。
 田舎の教会、ハムレットを演ずるために集まった人々の群像劇。それぞれが一癖二癖ある連中ばかりで個性としては面白い。ストーリ的には単純だけど、まあ、単純に楽しめばいいのかな。


「恋の闇、愛の光」- Restoration - 97/01/04

 17世紀、志高い医者が宮廷に取り入れられが、やがて追放。メグ・ライアン演ずる精神を病んだ患者と出会い、医者としての自分を取り戻していく。
 展開としては意外にスピーディで飽きさせない。宮廷の再現とか、かなりうまい。とは言え、見終わった後の印象はちょっと薄いなあ。

 17世紀の精神病治療の主なモノが瀉血というのが恐い(^^;)。そこに行動治療みたいな先進的なモノを取り入れていくのが斬新だった。


「カップルズ」97/01/04

 エドワード・ヤン監督の中ではなじみやすい方かな。青春群像劇というのは同じだけれど、ストーリ的に単純だし、それぞれのキャラクタの役割がはっきりしているからかな。
 好きだけど、ちょっと平凡という印象。


「フェティッシュ」- Curdled - 97/01/04

 徹底的にブラック・コメディ(^^;)。
 殺人を目撃した少女時代の体験から、殺人事件マニアになるのが主人公。これが殺人現場専門の掃除業に就職する。もう一人の主人公がBlue Bloodと呼ばれる殺人鬼ウィリアム・ボールドウィン。この二人の接点からドラマが始まるんだけど、一発アイデアだけで終わってしまっているのが残念。元々は30分の卒業制作短篇を膨らませた長編だからでしょう。ストーリ展開をもっと広げれば、さらに面白くなったと思うんだけど、残念。
 サルサを踊りながら殺人を再現するダンスが圧巻(^^)。


「サラリーマン専科・単身赴任」97/01/06

 意外な事に面白かった(^^)。非常に小市民的なコメディだけど、状況的ギャグなんか使い古されたパターンだけどよかった。
 「男はつらいよ」の後を一本で引き受けるだけの力は無いかもしれないけど、シリーズとしては悪くないと思う。

 いかにも小市民的セコさを演じる三宅祐司はうまい。


「虹をつかむ男」97/01/06

 地方の映画館を守る西田敏行が主人公。「男はつらいよ」の後を引き継ぐ、山田洋次の人情喜劇なはずなんだけど…、これはダメじゃないかな。特に、西田敏行が語る昔の名画、映画讃歌の部分がよくないなあ。映画を語るにはあまりに直接的過ぎて興ざめしてしまう。


「モスラ」 97/01/01

 観る気は無かったけど、合成をほとんどMacでやっているというのが気になって観ました。
 全体には、最近のゴジラよりはずっといい。あのヌイグルミ的モスラに耐えれば、まあ、悪くないかも。ゴジラほど金もかかってないのが
良かったのかも(^^;)。ストーリ的にも、結構こじんまりしてます。都市部で暴れないのは、多分、ミニチュア・セットを作る予算がなかったのでしょう…。


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