'99年5月


「プラクティカル・マジック」 - Practical Magic -

 グリフィン・ダン監督、サンドラ・ブロック、ニコール・キッドマン、ストッカード・チャニング。
 魔女の家系に生まれた二人の姉妹が主人公。地味な性格の姉のサリー(サンドラ・ブロック)と奔放な性格の妹のジリアン(ニコール・キッドマン)。
 人気の二人を主役にして、魔法を取り混ぜちょっとファンタジックに洒落た恋愛物語に仕立てようとしているんだけど、結局ストーリが面白くなくてイマイチ。

「プラクティカル・マジック」 Official Website (ワーナー)


「ヴァイラス」 - Virus -

 ジョン・ブルーノ監督、ジェイミー・リー・カーティス、ウィリアム・ボールドウィン、ドナルド・サザーランド。
 「アビス」、「ターミネーター2」、「トゥルーライズ」とキャメロン監督と組んで、視覚効果を担当していた、ジョン・ブルーノの初監督作品。それなりに期待はあったのだが…まったく詰まらなかった。
 宇宙からロシアの衛星探査船に未知の電磁波宇宙生命体(なんだそりゃ)が侵入し、クルーを怪物に変えてしまう。
 展開は、単にばたばたしているだけ。宇宙から電波でウィルスが侵入するってアイデアが命だと思うのに、そこはまるで活かされていない。血が撒き散らされるだけで恐がると思っているのだろうか。南太平洋の超大型ハリケーンで閉ざされた船の中、軍事衛星から世界へ電磁波宇宙生命体がまき散らされるまでのタイムリミット、怪物化したクルーたちとの戦い、これだけ面白い設定を活かせないのは残念。
 所詮は視覚効果しかやった事が無いから、映画全体の作りが見えていないのかもしれない。ドナルド・サザーランドの怪物なんか、なんか笑っちゃうほどヘンだった。

「ヴァイラス」 Official Website


「RONIN」- Ronin -

 ジョン・フランケンハイマー監督、ジャン・レノ、ロバート・デ・ニーロ。

 RONIN=浪人というタイトルが、東西冷戦の時代に国に忠誠を誓って活動していたスパイたちが対立構造の崩壊とともに、浪人と化して依頼人から仕事を受ける存在になった、という意味らしい。
 まあ、そういうプロ集団冷の物語のはずだったのだけど、予告編の印象と随分と違った。「ミッション・インポッシブル」もそうだったけど、プロ集団という割には穴だらけの気がする。そういう粗が出てくる前は結構面白かったんだけど。
 話自体はストレート。どんでん返しも無い。基本的にはジャン・レノと、ロバート・デ・ニーロの友情物語にしているが、まあ、その辺はそこそこ楽しめる。
 「RONIN」ってタイトルや赤穂浪士のフィギュア作っているじいさんはまあ、許すとしても、全体には期待程ではなかった。


「ブレイド」 - Blade - ☆

 スティーブン・ノリントン監督、ウェズリー・スナイプス、スティーブン・ドーフ、クリス・クリストファーソン。
 現代のバンパイアもの。バイパイアと人間のハーフのブレイド(ウェズリー・スナイプス)が主人公。世界制覇を目指す吸血鬼のフロスト(スティーブン・ドーフ)との対決。

 アメリカン・コミックを原作とするSFホラー・アクション。めちゃくちゃ面白かった。
 全盛期の香港アクション好きならば堪らない映画。派手な銃撃戦に、妙な見栄や外連味、ワイヤーアクション、カンフー。スタントも多くが中国人。オマケに主人公の長いコートとサングラスは挽歌シリーズのチョウ・ユンファそのまま。元はアメコミかもしれないけど、香港映画の影響が強いのは明らか。
 CGの使い方も小気味よい。

「ブレイド」 Official Website


「ライフ・イズ・ビューティフル」 - La Vita e Bella - ☆

 ロベルト・ベニ−ニ脚本、監督、主演、ニコレッタ・ブラスキ、G・カンタリーニ。
 
  第二次世界大戦前1939年のイタリア、ユダヤ人の主人公グイド(ロベルト・ベニーニ)が教師の妻と知り合う所から物語は始まる。子供が生まれ、やがて第二次世界対戦が起こり、ユダヤ人の彼は収容所に送り込まれる。幼い子供をホロコーストの恐怖から守るためにグイドは力を尽くす。

  第71回アカデミー賞3部門、外国語映画賞、主演男優賞、作曲賞(ドラマ部門)を受賞。
 文句無く面白かった。監督、脚本、主演のロベルト・ベニ−ニの多才振りには驚かされる。十分に笑わせながら、ファシスト批判や人種差別批判を盛り込んでいく。サービス精神と、多才ぶり、おどけた顔の下に強い精神を持っている所はチャップリンを思い出させる。
 イタリア映画とは思えない、コメディ、恋愛物語、戦争、親子愛と、ハリウッド的な盛り沢山の展開。最後は悲しいけど、ハッピーエンドな所が素晴らしい。荒削りな面もあるけど、文句なくよい映画。

「ライフ・イズ・ビューティフル」 Official Website


「ニュートン・ボーイズ」 - The Newton Boys -

 リチャード・リンクレイター監督、アン・ウォーカー=マクベイン、マシュー・マコノヒー、イーサン・ホーク。

 実在の強盗団「ニュートン・ボーイズ」を描いた映画。1919年刑務所を出た主人公のウィリスは、刑務所仲間や兄弟たちと「1人も人を殺さない銀行強盗」を計画する。金庫がダイナマイトで開いた時代。
 ストーリ自体は平凡で退屈。実際に、エンドクレジットに流れる、モデルになった本人のインタビューの実写が一番面白かった。

「ニュートン・ボーイズ」 Official Website


「トゥエンティフォー・セブン」 - Twentyfour Seven - ☆

 「ブラス!」「マイ・スウィート・シェフィールド」「フル・モンティ」などと同じ、現代の英国の鬱屈した気分をうまく描いている映画。
 中年のダーシーが、ぐうたらに暮らしている近所の若者を集めボクシング・ジムボクシングを始める。いやいやながら始める皆も、やがてボクシングに生き甲斐を見い出していく。淡々とした表現ながら、実にいい映画。白黒の映像が深みがあっていい。ラストも非常に泣かせる。
 タイトルの「Twentyfour Seven」は、一日24時間、週7日間、同じ事のくり返しの単調な日々を象徴した言葉。


「スター・トレック/叛乱」- Star Trek: Insurrection -

 ジョナサン・フレイクス監督出演(ウィリアム・ライカー副艦長役)、パトリック・スチュワート、ブレント・スパイナー、レバー・バートン。シリーズ9作目。

 香港へ行く機内映画で観たが、吹き替えだったの一応劇場でも観た。しかし、二度観るような映画では無い事は確か(^^;)。
 バクー人の不老不死の秘密を巡り、ピカード艦長率いるエンタープライズ号のクルーとソナー人が対立する。まあ、スタートレック・シリーズについては、こんなもんでしょという感想しかない。最初の1979年の「スター・トレック」の様な壮大なものもまた観てはみたいのだけど、今はテレビ・シリーズの拡大版ぐらいでしかない。
 全体に、相変わらずの能天気な世界観。まあ、そこがいいのかもしれないけど。
 ラストの宇宙での戦術はちょっと面白かったけど、全体にはまるで印象が薄い。
 
「Star Trek:Insurrection」 Official Website


「ペイバック」 - Payback - ☆

 ブライアン・ヘルゲランド監督、メル・ギブソン、グレッグ・ヘンリー。

 面白かった。強盗犯のポーター(メル・ギブソン)は中国人マフィアから裏金を盗むが、相棒のヴァル(グレッグ・ヘンリー)は分け前を持ち逃げする。九死に一生を得たポーターは分け前を取り戻すべくヴァルを追う。
 タフ・ガイ、ハードボイルドという格好良さよりは、一本気なバカな所がいい。損得抜きで、貫き通す男の像が実に魅力的。
  ストーリも最初からいいスピードで展開していってまったく飽きさせない。
 67年ジョン・ブアマン監督作「殺しの分け前/ポイント・ブランク」のリメイクらしいけど、これは未見。

「ペイバック」 Official Website


「ビッグ・ショー!ハワイに唄えば」

 井筒和幸監督脚本、室井滋、尾藤イサオ、都はるみ、加藤茶。
 「のど自慢」の続編。でも、ついでに作ったという感じがする(^^;)。
 恋物語など入っているけど、全体は上手く言ってない。恋物語あたりは随分と無理があるのではないか??台詞の間がへんに感じる所なんか、「のど自慢」と同じ。全体のセンスも古く感じられる。
 
 「大阪しぐれ」を都はるみと一緒に唄う所が一番の盛り上がりだと思うのだけど、そこまで感動を持っていくのが上手いとは言えない。エモーションのコントロールが上手くいってない。

「ビッグ・ショー! ハワイに唄えば Official Website  


「8mm」- Eight Millimeter -

 ジョエル・シューマーカー監督、ニコラス・ケイジ、ホアキン・フェニックス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、キャサリン・キーナー、ペーター・ストルマーレ。

 主人公の敏腕の探偵(ニコラス・ケイジ)が 、富豪の遺品から見つかったスナッフ・フィルムの由来を調べるように主人公の探偵が依頼される。やがて明かされる真相…。しかし、その真相には、まるで意外性が無いし、ラストの方の行動はまるで共感出来ないし、はちゃめちゃになっていると思う。
 ポルノ・ショップの店員がいかされて無いのも不満。
 
 スナッフ・フィルム/ビデオと言えば、映画「ブレイブ」その原作を連想させたけど、そもそも予告編がスナッフのショッキングなイメージを与えているのが間違っていると思う。
 ところでニコラス・ケイジの顔が、やっぱり志村けんみたいで 締まりが無くてヤダ。

「8mm」- Official Website


「エバー・アフター」 - Ever After -

 アンディ・テナント監督、ドリュー・バリモア、アンジェリカ・ヒューストン、ダグレイ・スコット、パトリック・ゴッドフリー、ジャンヌ・モロー、リチャード・オブライエン。
 シンデレラの物語をベースにしているが、魔法使いや、かぼちゃの馬車などのファンタジックな部分はすべて排していてる。
 展開がそのままなので、ストーリに新鮮味を出すのは難しいだろけど、レオナルド・ダビンチの絡ませ方などは面白い。ダビンチは童話で言えば、魔法使いって役所。
 ラストは当然ハッピーエンド。ストーリ的に楽しむよりは、ドリュー・バリモアの魅力を楽しむ映画かな。でも、「25年目のキス」とか「ウェディング・シンガー」の方がずっと彼女の魅力が出ていると思う。

→ 「エバー・アフター」 Official Website


「ラウンダーズ」 - Rounders -

 ジョン・ダール監督、マット・デイモン、エドワード・ノートン、ジョン・タトゥーロ、ジョン・マルコヴィッチ。

 前途有望な法学生で、ポーカーの天才のマイク(マット・ディモン)が主人公。ろくでなしでイカサマ師の友達のワーム(エドワード・ノートン)を始め俳優はいいし、映像はいいし、特にポーカー・シーンは緊張感があってよかったけど、ストーリはいまいち面白くなかった。ギャンブルの魅力に取り付かれた男がこれで描けているのか疑問なので、ラストは納得出来なかった。
 ポーカーといえば、「ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」の映像の方がバツグンにかっこよかった。


「四個厨師一圍菜」

  香港で見た映画。
  第二次世界大戦、1945年、上海の解放、勝利記念宴会の料理を再現するために集められた四人の調理人の話。結構笑えるコメディになっているし、また真面目な料理モノとしても面白かった。小春がいい味を出している。
 「金玉満堂」なんかよりはずっと面白かった。


「恋におちたシェークスピア」- Shakespeare in Love - ☆

 ジョン・マッデン監督、、マーク・ノーマン脚本、グウィネス・パルトロウ、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ、コリン・ファース、ベン・アフレック、ジュディ・デンチ。

 これは傑作、文句なく面白かった。脚本だけじゃなくて、雰囲気、美術、役者のすべてがいい。
 想像上の人物であるヴァイオラ、と実在したシェイクスピア、この二人を軸に「ロミオとジュリエッット」の誕生秘話を巧みにでっち上げた力は見事。見事に虚実混交の物語が出来上がっている。
 物語で「芝居は真実の恋を描けるか」という賭をするが、うまくラストでも「真実の恋」な結末にしていると思う。演劇と現実を巧みに交錯指せていく手法は、「ハーモニー」を連想させる。
 
 アカデミー賞主要七部門受賞(最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、最優勝助女優賞、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀衣装デザイン賞、最優秀作曲賞、最優秀美術賞)は見事。
 
「恋におちたシェークスピア」 Official Website


「39 刑法第三十九条」

 森田芳光監督、鈴木京香、堤真、岸辺一徳、吉田日出子、山本未来。
 
 主人公の小川香深(鈴木京香)は、精神鑑定を依頼された猟奇殺人の容疑者の青年に多重人格の疑いを持つ…。サイコサスペンス調の展開ではあるが、ラストの方はいたって固い調子で刑法第三十九条に対する疑問を投げかける。エンターテイメントとこの辺のシリアスさのアンバランスがちょっと気になる。
 鈴木京香の肌の色の悪さと、肌の荒れ方が恐い。山本未来も恐い。吉田日出子もかなりキてた。
 銀のこしの画像や、アウトフォーカスの使い方が凄い。神経を逆撫でする感覚にまいってしまったけど、相手の術中に入ってしまったような感覚だった。
 
銀残し(Silver Retention) イマジカのwebsite内
「39 刑法第三十九条」Official Website


「グッドナイト・ムーン」- Stepmom -

 クリス・コロンバス監督、ジュリア・ロバーツ、スーザン・サランドン、エド・ハリス。
 
 カメラマンとして成功しているイザベル(ジュリア・ロバーツ)、その恋人は二人の子持ち(エド・ハリス)、その前妻は完璧な母親になろうと努力しているジャッキー(スーザン・サランドン)。自分が癌に侵されている事をジャッキーは知り、やがて家族の関係は変化していく…。
 まあ、女優はかっこいいのだけど。ストーリ展開がありきたりで、実際は役者以外に印象が残らない映画になってしまっている。ロバーツ、サランドンの二人が製作もやっているので、当然かっこいいのは分かるけど、深みがないのが残念。実際、印象が薄い映画

「グッドナイト・ムーン」 Official Website


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