'98年8月


「夢翔る人 - 色情男女 - 」

 イー・トンシン/ロー・チーリョン監督・脚本。レスリー・チャン、カレン・モク、スー・チー。
 映画制作の現場が舞台。レスリー・チャン演じる監督シンに一年ぶりに来た仕事がポルノ映画。トラブルだらけの現場でやる気が出ないシンの気持ちが次第に変わっていく様が見事。ある意味、シンの成長物語となっている。脇役のポルノ映画の男優、女優役、それぞれいい味出している。
 カレン・モクの出番が少ないのが寂しいけど…。


「ANNA」

 アンナ・カリーナ、セルジュ・ゲンスブールの共演。
 '66年のフランスのミュージカル映画。当時のおしゃれ最先端という感じで、ポップな色使いやファッションがちょっと面白い。でも、まるで展開しないストーリにはイライラさせられるし、その癖、ラストはまったくのフランス映画的。
 しかし、メガネをかけたら別人なんて昔の少女漫画的な設定は受け入れられないなあ。


「鬼畜大宴会」

 PFF準グランプリ。熊切和嘉監督・製作・脚本、三上純未子など。

 70年代の左翼グループが、カリスマ的存在の相澤の死をきっかけに、エゴから狂気に変わっていく様を描く。それぞれのパワーの均等が崩れ、そこに狂気が入り込んでいく展開がちょっと面白いと思ったけど、それは中盤までで後半は単純過ぎてあまり面白くなかった。グロさで評判だったけど、それも単に気持ち悪さだけで一歩踏み込んだ狂気の凄みが感じられなかった。これなら「ブレインデッド」の方が遥かに意味があるグロさを持っている。
 あんまり、面白くなかった。


「スクリーム2」 - Scream 2 -

 「スクリーム」の続編。ウェス・クレイヴン監督、製作・脚本ケヴィン・ウィリアムソン。

 「スクリーム」が大好きなだけに期待が大きかったのだけど、「ラスト・サマー」がまったく面白くなくてちょっと不安を感じ始め、実際観てみると…これは、つまらなかった(^^;)。
 舞台も「スクリーム」と同じ。「スクリーム」のホラーのパロディの面白さは無いし、ストーリ展開は犯人当ての部分を妙にコネくり回していて退屈。「ラスト・サマー」と同じで、ミス・ディレクションに終始している感じ。

 シャワーのシーンが、ヒッチコックの「サイコ」そのままの撮り方をしているけど、これはラストの部分にかかる複線でしょう。そこだけちょっと面白かった。

→ 「スクリーム2」アスミック Offcial Website 
→ 「Screem 2」Official Website


「SFサムライフィクション」☆

 中野裕之監督・製作、斎藤ひろし脚本。布袋虎秦、風間杜夫、吹越満、緒川たまき、夏木マリ、藤井フミヤ、谷啓。

 面白かった。白黒映画、部部的にカラー映画、オープニングの殺陣がかっこいい。ここでゾクゾクきて、完全に映画の中に引きずり込まれた。布袋虎秦の正体不明な雰囲気、ぼくとつで生真面目な風間杜夫、主人公のはずだけどどう見ても道化役の長島藩士・犬飼平四郎役の吹越満、それぞれの役者がいい、その絡め方も見事。ちょっと黒澤明の「椿三十朗」「用心棒」を連想させるストーリ展開。

 殺陣も最高とは言えないけど、最近ではかなり満足がいくレベル。中野裕之がこんな映画を作れるとは、ちょっとびっくりしました。

 夏木マリの登場シーン、あのキセルのくわえ方にはクラクラきました(^^;)。おまけに、谷啓の芸達者は実に見事です。

→ 「SFサムライフィクション」 Offcial Website


「仮面の男」- The Main In The Iron Mask -

 「ブレイブハート」の脚本ランダル・ウォレスが監督、脚本を担当。四銃士がジェレミー・アイアンズ、ジョン・マルコヴィッチ、ジェラール・ドパルデューの名優揃い、ルイ14世がレオナルド・ディカプリオ。

 17世紀のフランスのルイ14世と双子の弟を巡る物語。当然、二役のディカプリオが主人公のはずなんだけど、どうしても四銃士の存在感の前では影が薄い。その点不満なんだけど、ストーリ的にも引っ張る力があるし、楽しめた。

 後半の半分は、実は香港帰りの飛行機のなかで見てしまったので、結末を知っていたんだけど、でも面白かった。

→ 「仮面の男」 東宝Official Website
→ 「The Main In The Iron Mask」Official Website


「ねじ式」

 原作つげ義春、監督石井輝男、浅野忠信、藤谷美紀。
 石井輝男がつげ義春の映画を作るのは二度目、「つげ義春ワールド ゲンセンカン主人」以来。「ゲンセンカン…」では主人公は佐野史郎だったけど、今回は浅野忠信。両方とも結構イメージ的には合う。二人とも経済力が無さそうなのが似合っている(^^)。

 つげ義春の「もっきり屋の少女」「ねじ式」「別離」「やなぎや主人」を一つのストーリに仕上げたもの。無理なくつながっているけど、一貫したストーリも無いので、オムニバスでも別にいい気がする(^^;)。

 「ねじ式」の方がエロチシズムが強い気がする。というか、強すぎる気もしないでもない。オープニングの暗黒舞踏も、個人的にはあんまりイメージが合わなかった。


「スウィートヒアアフター」- The Sweet Here After -

 「エキゾチカ」のアトム・エゴヤン監督脚本制作、イアン・ホルム、サラ・ポーリー、カナダ映画。

 ハリウッド的ストーリから観ると判りにくい構成かもしれない。しかし、その引き込み方は、ハリウッドよりも上。スクールバス事故により子供を失った村に訪れる弁護士のミッチェル。事件も人間も謎を引っ張ったまま展開する様が上手い。また、「ハーメルンの笛吹き男」の寓話とイメージを重ね合わせ方も見事。

 坦々としたストーリでありながら、この魅力の深さはなんなのだろうか。


「オースティン・パワーズ」 - Austin Powers -

 「ウェインズ・ワールド」のマイク・マイヤーズが脚本制作主演。監督はジェイ・ローチで、制作にはデミ・ムーアの名前もあがっている。
 マイク・マイヤーズ、とりあえず彼の映画なら面白いのは間違いない。多少外す所もあるけど(^^;)。
 1967年に冷凍冬眠すた英国スパイが、同じく冬眠していた世界制服を企むイーブル博士と対決する。全体はスパイ映画のパロディ。主に「007」シリーズだけど、他にもパロディ満載。60年代のパロディも面白い。ともかく、能天気に楽しむ映画でしょう。

「Austin Powers」Official Site
「オースティン・パワーズ」Official Site
松竹「オースティン・パワーズ」Official Site

「オースティン・パワーズ・デラックス」感想


「ミステリアス ピカソ 天才の秘密」 - Le Mystere Picasso -

 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督制作、パブロ・ピカソ。元もとの題名は「ピカソ・天才の秘密」。
 ピカソと言えば、去年の「サバイビング・ピカソ」もあったが、これはドキュメンタリー。ほとんどは、ピカソが実際に絵を書いている過程をそのまま映画にしている。

 1956年の映画。何度か観た事あるけど、感想としては前と同じ。半分眠いけど、半分、かなり面白い。

Picasso Official Web Site
SunSite,Picasso
Artchive,Publo Picasso


「釣りバカ日誌10」

 栗山富夫監督、やまさき十三/北見けんいち原作、山田洋次脚本、西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、金子賢、宝生舞。

 10周年10作目、とりあえずいつもと同じようなレベルで同じように笑える、安定した映画。宝生舞の魅力はもう無いなあ。

→ 松竹「釣りバカ日誌10」Official Site


「どつきどつかれ」

 小松隆志監督脚本、ネプチューン、及川麻衣、栗林みえ、レッツゴー三匹。

 岸和田利一原作の「岸和田少年愚連隊」シリーズは、新監督や関西お笑いをうまく抜擢していい映画を作り続けている。前の「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」とはまた違った面白さがありながら、シリーズとして筋は一本通っているのがいい。
 ミンチ、ガイラ、リイチのキャラクタの面白さがうまくネプチューンにはまっていた。


「スレイヤーズこうじゃす」

 原作脚本上坂一、原作イラスト/キャラクター原案あらいずみるい。作画監督相澤昌弘、監督わたなべひろし。
「機動戦艦ナデシコ」の併映なのでついでに観たけど、まあ、しょうもないアニメだった。前に観た「スレイヤーズ 」もそうだったけど。ま、いいか。


「劇場版 機動戦艦ナデシコ」

 佐藤竜雄監督脚本、キャラクタ原案麻宮騎亜、作画監督後藤圭二。

 ストーリ的にはテレビアニメの続き。
 エバほどでは無いにしろ、これだけ人気が出ていれば劇場版も観ない訳にはいかないでしょう。艦長ホシノ・ルリの美少女キャラクタに「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河英雄伝説」の宇宙艦隊モノの味を加えて、お笑い系のエッセンスを組み合わせた、いいトコ取りの作り。特にホシノ・ルリのキャラクタはオタク心をくすぐるうまい設定です(^^)。

→ 東映「劇場版 機動戦艦ナデシコ」Official Site


「リーサル・ウエポン4」- Lethal Weapon 4 -

 リチャード・ドナー監督、メル・ギブソン、ダニー・グローバー 、レネ・ルッソ、ジョー・ペシ、リー・リンチェイ。
 今回は中国マフィアとの戦い。
 シリーズ最後という噂もあるけど、実際どうなんだろう?いつの間にやら、コメディ・タッチが強くなり、アクションも「ルパン三世」的(^^;)。シリーズ最初では銃口を加えて自殺しようとしていたマーチン・リッグスはどこへ消えてしまったのだろうか(^^;)。もう、このシリーズは止めた方がいいというのは正直な感想だけど。

 ハリウッドではジェット・リーという名になっている、リー・リンチェイの使い方はもったいない。

東映「リーサル・ウエポン4」Official Site
「Lethal Weapon 4」Official Site


「キリコの風景」

 明石知幸監督、森田芳光脚本、杉本哲太、小林聡美、勝村政信、利重剛、田口トモロヲ。
 「免許がない!」の明石知幸監督だけど、まったく違う演出力。不思議なストーリを不思議な演出でうまく作っている。上手い。

 超能力が使える様になった杉本哲太が函館を訪れ、二人の男と知り合いになる。そして、一緒に元妻を探す事になる。キャラクタ全部が不自然なほど現実感が無いのが面白い(^^;)。


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