'99年2月


「ヴァンパイア最後の聖戦」 - John Carpenter's Vampires -

 ジョン・カーペンター監督、ジェームズ・ウッズ、ダニエル・ボールドウィン、シェリル・リー。
 ジョン・カーペンターって言うだけで、もう最近は期待はしていないんだけど、とりあえず観てしまう(^^;)。…でも、やっぱり詰まらない。

 現代社会に生きているヴァンパイアと教会に雇われたプロフェッショナルのチームとの戦い。
 親玉の吸血鬼ヴァレックも、それほど魅力的なキャラクタじゃないし、そもそものヴァンパイア観が古すぎる。観るべき所が無い。あるのは血と銃弾のハデハデな戦闘シーンのみ。

「John Carpenter's Vampires」 Official Website


「ボクらはいつも恋してる! 金枝玉葉2」

 ピーター・チャン監督。レスリー・チャン、アニタ・ユン、アニタ・ムイ。
 「君さえいれば/金枝玉葉」の続編で監督も同じ。音楽プロデューサーのサム(レスリー・チャン)、と男装の歌手ウィン(アニタ・ユン)の主人公も同じ。同棲を始めた二人に不協和音が生じるが、さらにアニタ・ムイ演ずる人気女優が絡んでこんがらがる、スラップスティックなラブ・コメディ。男装女装の入り乱れ方、男装の女性が女装するこの混乱の仕方…これが面白いのだけど、実際は、どうもうまく処理出来ていなかった。こういうシチュエーションもののコメディは香港映画は得意なのに、イマイチ、切れ味に欠ける。
 前作の方が面白かった。特にアニタ・ユンのキュートさがまるで感じられないのがイマイチ。


「鮫肌男と桃尻娘」

 石井克人監督脚本、望月峯太郎原作、野忠信、小日向しえ、寺島進、岸部一徳、鶴見辰吾、真行寺君枝、島田洋八、我修院達也(若人あきら)。

 ヤクザ組織の金を持ち逃げし逃走する鮫肌、巻き込まれて一緒に逃げるホテルの従業員、それを追う殺し屋、ヤクザの面々。
 ストーリは大した事ないけど、映像は結構いい。でも、どっかで観た様な格好よさというのがちょっと気になるけど(^^;)。それでも、それぞれのブっ飛んだキャラクタと展開の突っ走りで楽しませてはくれる。特に、若人あきらのキャラクタは傑作。
 しかし、後に残るモノは少ないかなあ。

「鮫肌男と桃尻娘」Official Website


「ワイルド・シングス」- Wild Things -

 ジョン・マクノートン監督、スティーブン・ピーターズ脚本、ケビン・ベーコン、マット・ディロン、ネーブ・キャンベル、デニース・リチャーズ

 マット・デュロン演ずるフロリダの高校の教師が、レイプ容疑で教え子二人から告訴される…この最初の30分から後は、ずーっとドンデン返しの連続で…ミステリーってのはドンデン返しするばいいってもんじゃないでしょうに(^^;)。この連続は、確かに面白い気はするんだけど、疲れてしょうがない。やはり、ドンデン返しで楽しませるなら、ポイントだけで使って欲しいもんです。

「ワイルド・シングス」Official Website


「メリーに首ったけ」 - There's Something about Mary -

 ボビー・ファレリー/ピーター・ファレリー監督脚本、キャメロン・ディアス、マット・ディロン、ベン・スティラー、リー・エバンス。
 ピーター・ファレリーと言えば、「ジム・キャリーはMr.ダマー」に代表されるように、下ネタとくだらないギャグの固まりの様な気がしていたけど…これは面白かった。

 すべてはキャメロン・ディアスの魅力で持っているようなもの。キャメロン・ディアスと言えば、「ベスト・フレンズ・ウェディング」での下手な歌うシーンの見事さが忘れられないけど、あのキュートさの魅力全開。下ネタや下らないギャグはやはり多いけど、すべて許せる。
 とにかく、お気楽に笑って楽しめる。

「メリーに首ったけ」Official Website


「ランナウェイ」 - Moneytalks -

 ブレット・ラトナー監督、クリス・タッカー、シャーリー・シーン、ポール・ソルビノ。

 クリス・タッカー演ずる主演のダフ屋が脱走事件から、ダイヤ密輸グループと警察に追われるはめになる。
 ちょっと脚本が粗く感じられるけど、基本的にはクリス・タッカーの口八丁な話術を楽しめればいい映画だろうから、よしとしようか。
 '97年の映画だけど、「ラッシュアワー」の監督、主演コンビのだめに注目されて公開されたのだと思う。

「ランナウェイ」official website


「ワン・ナイト・スタンド」 - One Nights Stand -

 マイク・フィギス監督製作脚本音楽主演…多才(^^;)、ナスターシャ・キンスキー、ウェズリー・スナイプス、ロバート・ダウニーJr.。

 「リービング・ラスベガス」のマイク・フィッギス監督の最新作。「リービング・ラスベガス」はあんまり好きじゃなかったけど、この映画は結構好き。
 それぞれに家庭を持っている二人の男女、ナスターシャ・キンスキー演ずるカレンとウェズリー・スナイプス演ずるCMディレクターのマックスが偶然に出会い、恋に落ちる。それが一晩限りのはずであったが、一年後、エイズの親友の見舞いで偶然に再会してしまう。
 結末のつけ方がなんとも不思議な感じだけど、面白かった。

 ウェズリー・スナイプスはこの作品で1997年(第54回)ヴェネチア映画祭主演男優賞受賞。

「ワン・ナイト・スタンド」 official website


「ユー・ガット・メール」- You've Got Mail -

 ノーラ・エフロン監督脚本製作、トム・ハンクス、メグ・ライアン、パーカー・ポージー、ジーン・ステイプルトン。

 NYで子供のための書店を営むメグ・ライアン演ずるキャスリーン、近くにチェーンの大型書店を作るトム・ハンクス演ずるジョーの二人の恋物語。商売敵という事を知らないでメールのやりとりで惹かれあう。NYの雰囲気がいい。

 ノーラ・エフロン監督、トム・ハンクス、メグ・ライアンの組み合わせは「めぐり逢えたら」と同じ…だけど、「めぐり逢えたら」の方がずっと好き。特に、ラストの方の心の動きの表現が曖昧だと思う。前半の方はずっとよかったのだけど。

 メールを使ったラブ・ロマンスと言えば、真っ先に森田芳光「(ハル)」を思い出させる。「(ハル)」の純粋な感じもよかったけど、「ユー・ガット・メール」の大人の純粋さってのも楽しい。
 …しかし、メールにあんな、気のきいた言葉ばかりかけるものか(^^;)??

「You've Got Mail」 Official Website
「ユー・ガット・メール」Official Website


「リング2」

 中田秀夫監督、高橋洋脚本、中谷美紀、佐藤仁美、深田恭子、松嶋菜々子、真田広之、小日向文世、石丸謙二郎、柳ユーレイ。

 「リング」の続編。鈴木原作の「リング」の続編は「らせん」「ループ」と続いていて、映画でも「リング」「らせん」とちゃんと作っているけど…。その「らせん」をチャラにして、映画として「リング」の続きを作りたかったというのは面白い。鈴木光司自体、ホラーの作家とは言えないので「らせん」を純粋なホラーとして仕上げるのは無理があったという事か。

 前作「リング」が凄すぎて期待が高すぎたかも…満足というレベル。深田恭子が意外によかった。

「リング2」アスミック official website
「リング2」東宝 official website


「死国」

 長崎俊一監督、板東眞砂子原作、万田邦実原作、篠田昇撮影、夏川結衣、筒井道隆、栗山千明。

 長崎俊一は「ロックよ、静かに流れよ」「妖女の時代」と昔は好きなのが多かったけど、最近はさっぱり冴えないのばかり。今回は原作もいいし、期待していたのだけど…、なんとも安っぽいし、のめり込ませる力がストーリにない。原作「死国」の田舎の排他的な雰囲気や、日本古来の呪術的な世界観がうまく出てないのがダメだし、愛憎関係がうまく描けていない。

 それ以上に今回、嫌いだったのが篠田昇の撮影。無意味な手持ちばかり多くて、画面が不安定で観ていて疲れてしょうがない。この人、古くは相米の「ラブホテル」、最近では岩井俊二の「Undo」「Love Letter」「スワロウテイル」なんかを撮っていて嫌いじゃないんだけど、今回は駄目だった。

 死者の谷の石柱のセットがあまりの安っぽくて、今の日本映画界を象徴しているようで、寂しかった。

「死国」official website
→ 原作「死国」感想


「ウェディング・シンガー」- Wedding Singer -

 フランス・コラチ監督、ドリュー・バリモア、アダム・サンドラー。

 アダム・サンドラー演ずるウェディング・シンガーは人気者。しかし、自分の結婚式では花嫁に逃げられる。一方、ドリュー・バリモア演ずるジュリアの婚約者は性格が悪い。この二人のラブロマンス。
 舞台は1985年、音楽も'80年代のノリ。この時代と言えば、ジョン・ヒューズが「すてきな片思い」「ブレックファースト・クラブ」「プリティ・イン・ピンク」(これは製作脚本)を作っている。この映画自体も、ジョン・ヒューズの味わいを狙っている様に感じる。

 「スクリーム」のドリュー・バリモアと思えないキュートな雰囲気で最高。しかし、彼女ってこんなに太っていたっけ(^^;)?。

「ウェディング・シンガー」official website
 


「必殺!三味線屋・勇次 」

 石原興監督、中条きよし、藤田まこと、天海祐希、阿部寛、名取祐子。
 
 前シリーズは「必殺!主水死す」で取りあえず終わりで、これは新シリーズ。でも、藤田まことは別役で顔を出している。
 まあ、相変わらずの「必殺」シリーズだけど、設定が回春薬を扱う悪徳薬問屋と役人の癒着というのが面白い。バイアグラねたに、厚生省の汚職を暗示しているようで(^^;)。
 野村沙知代の出演は余計。


「沈黙の陰謀」- The Patriot -

 ディーン・セムラー監督、スティーブン・セガール、ゲラード・サーテン。

 「沈黙の断崖」に続く断崖シリーズ。シリーズだけど、主演製作がスティーブン・セガールと同じだけで、監督などは違う。ストーリは同じ様なもんだけど(^^;)。

 モンタナの田舎町に立て篭る右翼武装集団が細菌テロを起こす。そこにいる自然治療の地元の医師、セガール演ずるウェスリーが実は、元細菌兵器を研究していた免疫学の権威…というご都合主義の相変わらずの設定。結末の付け方なんかまるで笑ってしまうけど、展開の仕方などは、「沈黙の要塞」「沈黙の断崖」よりはずっと面白い。
 藤谷文子がちょっと主演して親子共演。

「沈黙の陰謀」official website
 このサイトでは監督脚本はポール・モーンズになっているが、どっかで変更になったのかなあ。


「レッセー・エヴィル」 - The Lesser Evil -

 デヴィッド・マッケイ監督製作、ジェレミー・レヴィン/スティーブン・シュルツェ脚本、コーム・フェオーレ、トニー・ゴールドウィン、アーリス・ハワード。

 高校時代の仲間4人が、卒業前に起こした隠された犯罪。22年の後に、田舎の山荘に集まった4人の恐怖心、猜疑心、葛藤が交錯する密室劇。密室劇の部分はまあ上手いと思うし、過去との交錯の仕方も面白かったのだけど、後半に行くほどなんか詰まらなかった。ストーリを引っ張る謎がまったく弱い。ラストの、あれがドンデン返しというのでは納得出来ない。

 密室劇といえば、最近では「アルビノ・アリゲータ」を思い出すけど、比べて観ると、「レーッサー・エヴェル」の方が格段に落ちる。「ユージュアル・サスペクツ」とも比較されるけど、まるで勝負にならない。


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