'98年11月


「ニルヴァーナ」- Nirvana -

 イタリア、フランス合作。ガブリエレ・サルヴァトレス監督脚本、クリストファー・ランバート、ディエゴ・アバタントゥオーノ。

 2050年の暮。クリストファー・ランバート演ずる仮装現実のゲーム・デザイナのジミーが主人公。ゲーム完成を目の前にして、侵入したウィルスによりゲーム上のキャラクタのソロが自我に目覚める。「同じ人生を繰り返すのはいやだ」と言うゲームのキャラクタとの言葉から、ソフト自体を破壊するべくジミーが動き出す。
 自我に目覚めた仮想のキャラクタというモノ自体が今では擦り切れたアイデアだし、展開が遅い。全体にネタの消化不良としか言えない。映像的には面白いモノがあるんだけど、ちょっと退屈。

「Nirvana」official website


「ダークシティ」 - Dark City-

 「クロウ/飛翔伝説」のアレックス・プロヤス監督脚本製作、ルーファス・シーウェル、ウィリアム・ハート。

 太陽の昇らない闇に支配された街ダークシティ、この設定自体かなりシュール。記憶喪失の男ジョンが連続殺人事件の容疑者として追われる。設定がよく判らないままに展開し、その隠された謎が観客を引き込んで行く。
 CGを駆使しイメージ豊かなダークシティのデザイン、不可解な展開、なかなか面白かった。

「Dark City」 official website


「ノック・オフ」 - Knock Off -

 ツイ・ハーク監督、ジャン= クロード・ヴァン・ダム、ロブ・シュナイダー。

 ツイ・ハークだというのに単館で、おまけに上映期間がやたらに短い中継ぎ上映だった。イ・ハークの中ではレベル低いかもしれないけど、結構おもしろかった。主演のジャン・クロード・ヴァン・ダムは、まるでジャッキー・チェンをそのまま置き換えたような役柄。
 ツイ・ハークとジャン・クロード・ヴァン・ダム組んだのは、「ダブル・チーム」から二本目。
 しかし、久しぶりに香港スタントマンの命知らずを堪能した。ちなみに、knock-offとは偽造品を意味する隠語(らしい)。

→ 「Knock Off」official website
→ 「ノック・オフ」の楽しみ方 (WERDE OFFICE)


「時雨<しぐれ>の記」

 澤井信一郎監督、吉永小百合、渡哲也、林隆三。

 昭和最後の年。渡哲也演ずる壬生(みぶ)、吉永小百合演ずる多江の二人が主人公。20年前の葬式以来、心に秘めていた恋が偶然の再会から純愛物語へと発展する。
 吉永小百合が華道の先生で北鎌倉に引っ込んで生活しているとか、なんか、もう出来すぎの設定で笑ってしまうし、渡哲也の訳の判らない力が入った演技が鼻につくし、もうどうしようもない。
 ハリウッドでも俳優が年を取ると「モンタナの風に抱かれて」なんてどうしようもない純愛物語作ってしまうけど…(^^;)。
 ところで、紅葉のシーンは多分、合成だと思う。


「アウト・オブ・サイト」 - Out of Sight -

 スティーブン・ソダバーグ監督、ジョージ・クルーニ、ジェニファー・ロペス、ヴィング・レイムス。
 原作はエルモア・レナードの犯罪小説、…らしいのだけど未読。面白いという噂。

 銀行強盗のジャックが刑務所から脱走、偶然に居合わせた連邦保安官カレンを連れ逃げる。犯罪者とFBIの二人が絡むおしゃれなで不思議な恋模様が面白い。時間が複雑に絡み、幻想も入り組むので構成は複雑。でも、それが説明的じゃなくて、効果的に使われていて楽しい。

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「チャイニーズ・ゴースト・ストーリ スーシン」 -

 アンドリュー・チェン監督、ツイ・ハークが脚本、声優。他に声優としてアニタ・ユン、ケリー・チャンなど。
 当然、ツイ・ハークが監督、ジョイ・ウォン主演の「チャイニーズ・ゴースト・ストーリ」のアニメによるリメイクだけど…つまらない、オリジナルが好きなだけに許せない。

 青年と美女幽霊の恋物語という大筋は同じだけど、細部ではオリジナルと随分とストーリは違う。まあ、そんな所を云々する以前にまったく面白くない。アニメも、セルとCGを組み合わせたチャチなちょっと前のTVゲームみたいな画面。

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「知らなすぎた男」

 ジョン・アミエル監督、ビル・マーレー、ピーター・ギャラガー、ジョアン・ウェイリー。

 誕生日に英国の弟を尋ねた米国人のウォレスは、邪魔者扱いされ、参加型演劇体験ゲームを楽しむ事になる。このヘンが「ゲーム」を意識した設定かもしれないけど、中身はスラップスティックなコメディ。「裸の銃を持つ男」シリーズみたいな、巻き込まれ型だけど気が付かないうちに解決するタイプのヒーロ(^^)。特にクライマックスのバカらしさは賞賛に値する。見事。古典的だけどバカらしくて、とにかく笑える。

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「踊る大捜査線 THE MOVIE」

 本所克行監督、織田祐二、柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、いかりや長介、小泉今日子。

 TVシリーズはまるで観てなかったけど、これは面白かった。
 謎の水死体から始まり、副総監誘拐事件、ネット犯罪、猟奇連続殺人、湾岸署内の窃盗と事件が絡み合う。サラリーマンとしての警察官という視点を上手く使っている。
 それぞれの事件は未消化だし、どっかで見た事あるシーンの連続、「天国と地獄」の稚拙な引用など、不満な所は山のようにあるけど、不思議な面白さの魅力を持っている。

「踊る大捜査線」official website
「踊る最捜査線 THE MOVIE」東宝 official website


「リング完全版(ビデオ)」

 飯田譲治脚本、鈴木光司原作、高橋克典、三浦綺音、立原麻衣。

 最初にTVで放映された時に観ているのだけど、映画「リング」原作「リング」と比較したくてビデオで観る。

 印象的には、原作に忠実。怖さでは劇場版が遥かに上。
 ただし、原作に忠実であっても、主人公の子供についてを省略したのは不満。鈴木光司はやはり、父性の作家であって、この原作のテーマである。筋立ては原作には忠実であっても、本質的には忠実とは言えない。

映画「リング」感想
原作「リング」感想


「始皇帝暗殺」 - 荊軻刺秦王-

 チェン・カイコー(陳凱歌)脚本監督製作、荒俣宏原作、コン・リー、チャン・フォンイー、リー・シュエチン。
 「花の影」以来の、チェン・カイコー監督。ただし、以前とは打って変わって、壮大なスケールの歴史劇。紀元前3世紀の中国戦国時代、秦王は武力による侵攻を続け、天下統一を進める。コン・リー演ずる趙姫は無血の天下統一を計ろうと燕へと向かう。さらに暗殺者荊軻との恋愛が絡み…。

 全体に壮大なスケールはいいけど、やはり2時間48分は長すぎてダレてしまい、マイナス。ただ、最初の殺しのシーン、最後の暗殺シーンが非常に上手いと思うので、結果的にはよかった。
 宰相の呂不韋は、チェン・カイコー監督自身がやっている。

→ 原作「始皇帝暗殺」感想
「始皇帝暗殺」 official website


「スライディング・ドア」- Sliding Doors -

 ピーター・ホーウィット脚本監督、シドニー・ポラック製作、グウィネス・パルトロウ主演。

 電車のドアに開閉によって別れた二つの時間。同棲中の恋人の浮気を知って別れ新しい出会いをする、あるいは浮気を知らずに付き合い続ける。自分でオフィスを構え新しい仕事を始める、あるいはウェイトレスの仕事につく…。岩井俊二の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」をやったTVシリーズ「ifもしも」を連想させる。
 構成というか、二つの世界の擦れ違いが面白かったけど、結果的にハッピーな感じがなくて何か寂しい気分。

 映画館で、ドアが閉じるシーンの後に入ってきた二人連れがいたのだけど、彼女らはちゃんと理解出来たのだろうか??途中から観ると非常に難解だと思うのだけど。

「Slidig Doors」official website


「ショムニ」

 渡辺孝好監督、一色伸幸脚本、安田弘之原作、遠藤久美子、高島礼子、濱田マリ、袴田吉彦、キング・トーンズ。

 TVシリーズの江角マキコのイメージが強いため全体のイメージがかなり違う。しかし監督の渡辺孝好、脚本の一色伸幸はそれを逆手に取って、映画や原作とまるでカラーを変えて作っている。そこはある程度は成功しているかもしれない。

 江角マキコの「ショムニ」を期待するとまるでハズレ。そもそもパンツルックの千夏なんか誰が観たいいんでしょ(^^)。遠藤久美子は好演していると思うけど。
 この映画、あんまり面白くないけど、凄く惜しい気がする。一晩の物語。うまく行けば、日本の「アメリカン・グラフティ」、そこまでは行かなくても「ふたりぼっち」ぐらいの面白さになったかと思うのに。ちょっと惜しい。

 満帆商事代表取締役社長津田勝一役の佐藤允が、なんか凄かった(^^;)。

「ショムニ」 official website


「トゥルーマンショー」- The Trueman Show -

 ピーター・ウェアー監督、ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー。「ガタカ」の監督&脚本をやったアンドリュー・ニコルが脚本。

 企業が養子を取り、人生すべて24時間を生中継する。SFでは似た話はあるけど、壮大で奇想天外な設定が面白い。宣伝では、ある程度中身をバラしていたけど、映画自体では中盤までずーっと、設定を隠している。これを何にも知らずに観ていたらかなりショックじゃないかなあと思った。判っていても、かなり面白かった。

 隠しカメラは周辺がケラれているとか、最初のタイトル「Trueman as himself」とか、細かい芸が気が利いている。

→ 「The Trueman Show」official website


「流★星」

 東京国際映画祭シネマプリズム。
 山仲浩充監督、緒方拳、江口洋介、清水真実。

 地方が舞台、多分仙台あたり。G1のサラブレットを盗んだ老人、チンピラ、少女が組み、身代金を要求する。設定自体面白いけど、展開が単純過ぎる所が多い。それでも、なんとなくほのぼのしていて面白い。特にラストはちょっと唖然とするほどの意外性があって…ここは楽しめた(^^)。


「オール・ザ・リトル・アニマルズ」 - All the Little Animals -

 東京国際映画祭国際審査委員長作品特別上映。

 「戦場のメリークリスマス」「ラスト・エンペラー」のプロデューサのジェレミー・トーマスの監督デビュー作。ウォーカー・ハミルトンの同名原作。ジョン・ハート、クリスチャン・ベイル。

 子供の頃に交通事故で脳に障害を受け、家庭の中だけで育った青年ボビーが母の死をきっかけに、独善的な義父の家を去り、車にひかれた動物の埋葬を続ける奇妙な老人との同居生活を始める。
 不思議な雰囲気を持っていて面白い所もあるんだけど、なぜかラストは活劇になってしまっていて、そこは不満。


「リプレイスメント・キラー」 - The Replacement Killers -

 アントワ・フークア監督、チョウ・ユンファのハリウッド進出第一作、ジョン・ウーが製作総指揮。

 「男たちの挽歌」シリーズのジョン・ウーが絡んでいるだけあって、香港スタイルの様式美がうまく生かされている。
 足抜けしようとする殺し屋が組織に追われるというストーリ自体は単純だし、ほとんど裏が無いので、その点は不満。全体にスピード感はあるけど、単純さが全体に退屈な感じを作り出しているのは確か。まあ、今回はチョウ・ユンファのハリウッド進出が成功したという事で満足という事かな。

 偽造屋メグを演じるミラ・ソルビーノが、活躍しないで魅力不足なのがちょっと残念。香港だと徹底的なタフなキャラクタになりそうなのに。


「枕の上の葉」- Daun DiAtas Bantal -

 東京国際映画祭コンペティション。

 ガリン・ヌグロホ監督、インドネシア映画。
 つまらなくは無かったけど、さほど面白くも無かったというレベル。
 インドネシア、ジャカルタのストリート・チルドレン3人が主人公、そして屋台店を出すシアーがみんなの母代わり。さまざまな悲劇が絡み合う。背景に3人のストリート・チルドレンが母を求める思いが常にある所が、泣かせる。事実をベースにしている。


「フラワーズ・オブ・シャンハイ」 - 海上花 -

 ホウ・シャオシェン監督、トニー・レオン、羽田美智子、ミッシェル・リー。
 19世紀末の上海、娼館を舞台に、舞台的な閉鎖した空間の中で人間の愛憎の入り交じりった展開。それは、娼館らしい金と愛の駆け引きという所が結構面白い。でも、全体の舞台っぽい実験的な演出が退屈。


「スモーク・シグナル」 - Smoke Signals -

 東京国際映画祭コンペティション。
 クリス・エア監督の長編第一作、アダム・ビーチ、エバン・アダムス主演。
 アリゾナ州フェニックス、インディアンの居留地に住む青年が主人公。インディアンの10年前に消えた父親の訃報を知り、遺品を受け取りにいく親友と共に旅に出る。

 ロードムービーとしてはなかなか面白い。相棒のキャラクタから実にいい。インディアンというアイデンティティと、旅する二人のキャラクタが上手く噛み合っていて映画全体にいい雰囲気を出している。
 インディアンもの(ネイティブアメリカンもの)と言えば、マイケル・チミノの「心の指紋」を思い出す。

 ティーチインも結構面白かった。「『ダンス・ウィズ・ウルフス』はインディアン映画ではないとか、「我々はネイティブアメリカンなんて言葉は使わずに、インディアンと呼ぶ」とか。ネイティブアメリカンなんて使うのは白人だけらしい(^^;)。


「フェニックス-PHOENIX-」 - Phoenix -

 東京国際映画祭特別招待作品。
 招待作品ならすぐにでも公開されるどだろうから、特に観たいものでは無かったのだけど、時間が空いていたので予定に入れたという作品。
 ダニー・キャノン監督、レオ・リオッタ、アンジェリカ・ヒューストン、ダニエル・ボールドウィン。

 「不法侵入」「乱気流・タービュランス」など、ちょっとキレた悪役ばかりのレオ・リオッタだけど、この映画でもいいキャラクタになっている。共同製作もしている。

 ギャンブルで身を持ち崩しているレオン・リオッタが演じる刑事が主人公。仲間の刑事と 悪徳金融を襲い、やがて泥沼にはまっていく。ハードボイルドの味を持ちつつ、悪役ではあるけれど、アンジェリカ・ヒューストンとは純愛を見せるあたりがちょっと上手い。

 バイオレンスの味や、ほこりっぽい街の映像とか、ちょっと「L.A.コンフィデンシャル」を彷彿とさせる。ちょっと意識しているかも。


「レクイエム」 - Requiem -

 東京国際映画祭コンペティション。
 アラン・タネール監督、フランシス・フラパ、アンドレ・マルコン。

 「ジョナスは2000年に25歳になる」(未見)や「白い町で」などのアラン・タネール監督。ある程度実績あるというのに、何故に今さら映画祭のコンペティションも出るんだと思うけど…ま、中原俊、深作欣二、黒沢清が出ているのもヘンか。

 リスボンの白昼の港から物語は始まる。主人公はポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアの幽霊を待つ。レストランの主人、売春宿の女将、タクシー運転手たちとの交流、生きているのか、死んでいるのか判らない、時間の越えた登場人物たちと、ストーリの展開。
 ヨーロッパ映画的な眠たさがあるけれど、そこそこはノレる。

 まるで幽霊たちとの物語、生と死との境界の曖昧さは、ちょっと「フィールド・オブ・ドリームス」や「異人たちとの夏」を連想させて面白かった。


「カサバ-町」- Kasaba -

 東京国際映画祭コンペティション。
 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督。 家族を引っ張り出して撮った予算ゼロの映画。

 トルコの田舎に住む11歳と少女、7歳のその弟が主人公。四部構成になっている。ティーチインの話では、第一部を最初に取って、残りはずっと後に撮ったらしい。
 第一部は小学校が舞台、生徒達の姿を描く。これが一番、面白かった。映像が非常に綺麗で、それぞれのカットが、一葉のポストカードになった様な美しさを持っている。
 第二部は自然の世界、第一部の様な綺麗さはあるけれど、ちょっと観念的で眠い。
 第三部は夜の会話にみられる大人の世界、第四部は夢と現実の交錯、段々と訳が判らなくなってくる(^^;)。

 全体に通して考えてみると、非常に自己中心的、自己満足的な監督である。クレジットの最後に暗やみのなかで二分間の音楽を流すのだけど、そーいう所にもいかにも監督のわがままな性格が出ている。


「スパイシー・ラブ・スープ」☆

 東京国際映画祭コンペティション。
 チャン・ヤン(張楊)監督、中国初のインディーズ映画でありながら、大ヒットを飛ばした映画。
 北京の現在の市井の人びとの生活を切り出しているのが、評価されたらようだ。

 花婿と花嫁、少年と少女、カメランと恋人など、数組のカップルに視点を向けたストーリ。恋の始まり、終わり、結婚など、それぞれのエピソードがいい味を出していて、また構成としてその交錯の仕方が上手い。


「超級公民」

 今だ未見だけど、「超級大国民」が人気あったので楽しみにしていた。券は早く売りきれるし…、でも、期待外れだった。有休取って観に行ったのに(;_;)。
 ワンレン(萬仁)監督。

 子供を事故で無くした青磁活動家アドゥが主人公。タクシードライバーとして働いていた彼が、殺人を犯し逃げていたマァルウを乗せる事から二人の奇妙な関係が生まれる。マァルウが死刑となった後もその幽霊との交流が続き、先住民族である彼との交流を通して、アドゥの持つ湾人のアイデンティティを再認識していく。
 …と書くと面白そうなんだけど、余りにラストがひどい。納得出来ない。


「あ、春」

 東京国際映画祭特別招待作品。
 相米慎二監督、佐藤浩市、斎藤由貴、山崎努。

 ある意味、前作の「夏の庭」に似ている。「夏の庭」では少年たちと老人の交流から、生と死を見つめていたが、今回は家族の問題となっている。

 情緒不安定な妻の斎藤由貴、バブルがはじけた後の証券マンの夫の佐藤浩市、突然現れた死んだはずの傍若無人な父が山崎努。それぞれのキャラクタがいい味を出ていて、安心して楽しめた。


「ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」☆
- Lock,Stock and Two Smoking Barrels -

 東京国際映画祭コンペティション。今回の映画祭の中では一番面白かった。これで一番というのも、ちょっと今回の映画祭は情けないという証拠か(^^;)。

 ガイ・リッチー監督。英国映画。
 初の長編劇場用の監督になる。ミュージック・プロモーションやコマーシャルを手がけていただけあって、スピード感のあるカットの多用や、ハイスピードカメラの粋な使い方など、映像的に随所に見せる所がある。

 ストーリ的にも面白い。「トレイン・スポッティング」を思い出させる、ちょっと抜けているけど憎めないロンドン気質の主人公たちがいい。
 強盗計画、人物の絡み方、麻薬と金の流れ実にうまい脚本だと思った。


「ヒロイン!」

 「燃えよピンポン」の三原光尋監督、脚本。室井滋、伊原剛志、中川安奈。
 大阪の下町が舞台、スーパーの開店により危機をむかえるしんみち商店街。酒屋を切り盛りする百合子(室井滋)は、スーパーのオーナー夫人が幼なじみの紀子(中川安奈)と知り、ライバル心を燃やす、バレーボールでの対決を申し込む。

 まったく設定が「燃えよピンポン」と一緒というのが逆に笑ってしまう。まあ、「燃えよピンポン」は習作という事か(^^;)。
 「ヒロイン!」の方がずっと丁寧に作ってあって、ああ、ちゃんと作れるんだと逆に感心してしまった。


「ムトゥ 踊るマハラジャ」- Muthu -

 K.S.ラヴィクマール監督、ラジニカーント、ミーナ、サラットバーブ。
 「ラジュー出世する」の面白さで、インド映画がブレイクするのは予想出来たけど、しかしここまで人気が出るとは…あまりに混んでいて、結局、終了直前にやっと観られた(^^;)。
 「ラジュー出世する」より、さらにサービス精神満載、人気No.1男優ジニカーントに、これまた人気の美女ミーナがヒロイン、ミュージカル、アクション、人間ドラマを盛り込んで、これでもかこれでもかという、いかにもマサラ・ムービー。

 単にエンターテイメントだけで無く、「自分が主人」という唄は東洋っぽい哲学を感じるし、すべてを捨てて行者(サドゥー)になる姿など、根っこの部分で本当のインドを感じさせる所が好き。最近、「身体にやさしいインド」「深い河」「インドの樹、ベンガルの大地」と続けてインドものの本を読んだせいもあるかもしれないけど…(^^;)。

→ 「Muthu」Official Website


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