'99年6月


「スパニッシュ・プリズナー」- The Spanish Prisoner -☆

 デビット・マメット監督脚本、キャンベル・スコット、レベッカ・ピジョン。
 監督脚本のデビット・マメットは劇作家であり、「評決」の脚本なども手掛けている。さすがに綿密な脚本が光っている。
 「スパニッシュ・プリズナー」は古典的な詐欺の手口。詐欺ものが好きなので、この映画も楽しみにしていたけど、詐欺による知恵比べっていう感じではなかった。むしろサスペンスものとしては面白い。誰も信じられなくなる、追い詰められる主人公と一緒にハラハラし通し。また、ラストのどんでん返しもよかった。

「スパニッシュ・プリズナー」official Website


「キャメロット・ガーデンの少女」 - Lawn Dogs -☆

 ジョン・ダイガン監督、サム・ロックウェル、ミーシャ・バートン、K・クィンラン。
 郊外の住宅地に引っ越してきた10歳の少女デヴァン(ミーシャ・バートン)。親に理解されず、友達もいない彼女が、町の外に住み、芝刈りで生計をたてるトレント(サム・ロックウェル)と友達になる。幻想的な映像と切ない恋物語が妙な雰囲気を出している。綺麗すぎるシュールな町並み、住宅、平凡であるはずの様々なものが象徴的に使われていて、ファンタジックな印象を作り上げている。
 予告編が面白かったので楽しみにしていたが、ほぼ満足。英米の共同の映画であるが、やはりハリウッド的でない、いい味が出ていると思う。
 主人公の少女がミーシャ・バートンが凄く可愛いけど、カルバン・クラインのモデルもやっているらしい。

「キャメロット・ガーデンの少女」 Official Website


「洗濯機は俺にまかせろ」☆

 篠原哲雄監督、松岡周作脚本、宮崎和雄原作、筒井道隆、富田靖子、小林薫、鶴見辰吾。

 下町の中古の電器屋で働く木崎(筒井道隆)が主人公。ラジオのDJの仕事にあぶれ、バツイチの店の一人娘節子(富田靖子)が家に戻ってきて来て、二人が出会う。
 荒削りだけど、全体にはほのぼのとした雰囲気、ゆったりした展開が気持ちよくて、ラストもふんわりとした実にいい感じ。「ふたりぼっち」を連想させる気分の良さだった。
 しかし、富田靖も「アイコ16歳」から、出戻りを演じる年になったのかと、ちょっと感慨深いものがあった(^^;)。

「洗濯機は俺にまかせろ」- Movie Watch の紹介ページ


「フェアリーテイル」 - Fairy Tale:A True Story -

 チャールズ・スターリッジ監督、フローレンス・ハース、エリザベス・アール、ピーター・オトゥール、ハーヴェイ・カイテル。

 1917年、2人の少女が撮影した妖精の写真をコナン・ドイルが公表し世界中に論議を巻き起こした。後年、一人がトリックだったと告白する事になる、この「コティングリー事件」を扱った映画。さらに、当時、オカルトのトリックやぶりとして有名だった天才奇術師フーディーニも絡ませている。
 思ったよりは面白かったけど、内容的にはイマイチ。妖精が出てくればファンタジーだと思っていたり、妖精を信じていれば純粋で、信じていないのは夢が無いという単純な図式で映画を作られても、まったく納得出来ない。ラストの方もやたらに説教臭いし。なんでこれを、A True Storyとしているのか理解に苦しむ。

→「Fairy Tale」Official Website


「カラー・オブ・ハート」 - Pleasantville -

 ゲイリー・ロス監督、トビー・マグァイア、リース・ウィザースプーン。
 「ビッグ」「デーヴ」と良質の作品の脚本を手掛けていた脚本家ゲイリー・ロスの初監督作品だけに期待度大。まあ、内容的には満足だった。

 原題の「Pleasantville」は、映画の中に出てくる古き良きアメリカのTVドラマのタイトル。その世界に飛び込んでしまった兄と妹。カルチャー・ギャップと、白黒とカラーの世界の対比、そのアイデアの使い方がファンタジックで面白い。
  しかし、ラストが意外だった。妹はホントにあれでいいの??

「カラー・オブ・ハート」 Official Website


「鉄道員(ぽっぽや)」

 降旗康雄監督脚本、浅田次郎原作、高倉健、大竹しのぶ、広末涼子、安藤政信、吉岡秀隆、志村けん。

 高倉健が主人公、北海道幌舞駅駅長の佐藤乙松。高倉健はそれなりに雰囲気があっていいんだけど、ストーリ自体に無理があるとしか思えない。短編を一生懸命のばしているのが分かって痛々しい。ストーリ自体がほとんど展開しないので、もうイライラしてくる。だからラストに何の感動も無い
 もっとストーリを勝手に作って膨らませればよかったと思う。
 
 広末の出番はほんのちょっぴり。その上、あんなラストでは広末はまるで死神みたい。
 原作「鉄道員ぽっぽや」の方がずっと面白い
 
原作「鉄道員ぽっぽや」感想
「鉄道員(ぽっぽや)」 Official Website


「菊次郎の夏」

 北野武監督脚本、ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、大家由祐子、吉行和子。

 前評判がめちゃくちゃ悪かったので…思ったよりは楽しめた。でも、やはりつまらない。とにかく、ギャグがひどい。ギャグ映画のつもりで本当に作ったのだろうか?それなら失敗だと思う。
 タケシの演技は今までで最低だった。子供との絡みでは、「ほしをつぐもの」を思い出すけれども、あの演技と比較すると雲泥の差。
 こんなもんをカンヌに出したかと思うと恥ずかしい、まあ「みんな〜やってるか!」よりはいいけど。

「菊次郎の夏」Official Website


「催眠」

 落合正幸監督脚本、福田靖脚本、松岡圭祐原作、稲垣吾郎、菅野美穂、宇津井健。

 「緑の猿」の謎の言葉を残し、奇怪な自殺者が続く。櫻井刑事(宇津井健)の依頼来で調査に参加したカウンセラーの嵯峨(稲垣吾郎)、やがてTVに出演する催眠術にかかる女性の由香(菅野美穂)に注目する…。

 原作の「催眠」がミステリ路線なのに比べて、まったくのホラー路線。「CURE」みたいな路線を狙っている感じがする。確かに恐いが、ストーリ的、心理的な恐さは少なく、どちらかというと音と映像を巧みに使ったショック系の恐さ。この辺にちょっと不満を感じる。
 「富江」に続いて、菅野美穂は確かに役にまっていて、恐かった。しかし、続いてしまうと、こういう役ばかりになりそうな気がするけど。宇宙人の人格とか、原作から無理に入れる所は、全体に違和感があった
 しかし、ライター一発で簡単に催眠にかかってしまう稲垣吾郎の立場ってナニ??

原作「催眠」感想
「催眠」Official Website


「メッセージ・イン・ア・ボトル」- Message in a Bottle -

 ルイス・マンドキ監督、ケビン・コスナー、ロビン・ライト・ペン、ポール・ニューマン。
 女性記者テリーサ(ロビン・ライト・ペン)は瓶に入った差出し人不明の愛の手紙を浜辺で拾う。その実直な文面に心を打たれ、新聞を使い差出人を探す事に成功する…。
 甘ったるい映画でケビン・コスナーのファンにはいいけど、ちょっと退屈。年寄りの俳優の回顧趣味にしても、まあ、「モンタナの風に抱かれて」なんかよりはずっといいけど。
 コスナーよりも、の父親役のポール・ニューマンの方がかっこいい。

「メッセージ・イン・ア・ボトル」Official Website


「ソルジャー」- Soldier -

 ポール・アンダーソン監督、カート・ラッセル、ジェイソン・スコット・リー
 
 生まれた時から兵器として育てられた男トッド3465(カート・ラッセル)が主人公。彼等も遺伝子操作によって生まれた新世代の戦士にとって代わる運命にあった。この世代間の戦いを軸にした、近未来のB級SF。まあ、B級SFと割り切って見れば、それなりに楽しめる。
 しかし、最新鋭の部隊があれほど弱いとか、ヘンな所はいっぱいある。「モアイの謎」などに出てくる、ジェイソン・スコット・リーが存在感があってちょっと面白い。

「ソルジャー」 Official Website


「奇蹟の輝き」- What Dreams May Come -

 ヴィンセント・ウォード監督、ロン・パス監督、ロビン・ウィリアムス、キューバ・G・ジュニア。

 天国と地獄を舞台にした家族の愛の物語。でも、まったく「大霊界」みたいな感じ。
 映像は見るべき所が多い。黒澤が「夢」の中でやろうとしていた映像を、完全にやってのけたという感じがする。多分、「夢」の影響を受けていると思う。だからと言って、やはり面白くは無い。
 
「奇跡の輝き」Official Website


「カラオケ」

 佐野史郎監督出演、竹内銃一郎脚本、段田安則、黒田福美、野口五郎、美保純。
 
 あまり期待してなかったから、思ったよりは面白かった。
 アイドル歌手と電撃結婚して生まれ故郷に帰ってくる林(佐野史郎)。それを知った写真館を営む児玉(段田安則)は同級生を集めて飲み会を開催する。昔の恋愛関係が絡み、中年の男女の心情を上手く描き出している。音楽や、細かいエピソードは40歳過ぎぐらいの郷愁を誘って、うまい演出。
 細かいトコでは子供のエピソードがつまらないとか、間が悪いとか文句はあるけど。


「ラスト・サマー2」- I Still Know What You Did Last Summer -

 ダニー・キャノン監督、ジェニファー・ラブ・ヒューイット、ブランディー。
 前作の「ラストサマー」の続編。前作の「ラストサマー」「スクリーム」を意識してして犯人当てに重点を起き、ミスディレクションに終止してまっていた。結局、ストーリ自体の構造に手を抜き、観客には混乱だけを与えてしまって失敗していた。
 今回の「ラストサマー2」は「13日の金曜日」などの様に、いたって単純なショックもの。単純な分、面白い。

「I Still Know What You Did Last Summer」 Official Website


「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」- The Mummy -

 スティーブン・ソマーズ監督脚本、ブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ、ジョン・ハナ。

 同じ監督でも「ザ・グリード」よりはずっと完成度が高い。
 幻の古代都市、パムナプトラ。元傭兵のリック、兄のジョナサン、考古学者のエヴリンが協力し、ハムナプトラを目指す。敵味方入り乱れたアクション。そして、3000年前に極刑でミイラにされてしまった僧侶イムホテップがミイラとなって蘇る…。
 単純な冒険活劇なので、単純に楽しめば面白い。まるで「インディ・ジョーズ」そのままな感じが多いけど、軽いノリでサラっと楽しめばいい映画。実際、ミイラも同情すべき点も多いのだけど、そんな事を考えさせないテンポの良さに救われている。ミイラとなるイムホテップは、「テラコッタ・ウォーリア 奏傭」の蒙天放みたいな位置だけで、この映画ではまったく悪役で可哀想。

 ミイラの動きをモーションキャプチャでやっているけど、あまりに動きが滑らか過ぎてミイラっぽくないのが変。もっと、ミイラっぽい動きを研究しないと。
 他のCGはさすがにILMと思わせる上手さ。

→ 「ハムナプトラ失われた砂漠の都」Official Website


「IMAXデジタル・エフェクト」

 はじめてIMAXシアターという所に行った。正確には、つくば博の時に入った事はあるけど(^^;)。
 やはりこの映像に驚いて、中身の印象は薄い。
 内容は、「スターウォーズ特別編」など。

「東京アイマックス・シアター」Sony Website内


「25年目のキス」- Never Been Kissed -

 ラジャ・ゴズネル監督、アビー・コーン/マーク・シルバーステイン脚本、ドリュー・バリモア、デイビッド・アークェット、モリー・シャノン。

 シカゴの新聞記者のジョジー(ドリュー・バリモア)は、現代の高校生のルポを書くために、実際に高校生となって潜入取材する事になる。25歳になるでキスの経験も無く、高校時代はダサくていじめらえっぱなしだったジョージは、皆に溶け込もうと努力する…。
 基本的にはドリュー・バリモアの魅力だけの映画。球場で待つシーンはダサイし、プロムの言葉も説教っぽくてよくないと思うが、まあ、ドリュー・バリモアの魅力だけで許してしまう。この映画は「エバー・アフター」よりはずっといいけど、「ウェディング・シンガー」の魅力よりは落ちる。しかし、元ドラック中毒とは思えない爽やかさ。
 「E.T.」に出ている彼女の姿をチェックしようと思っているんだが…。

「25年目のキス」 Official Webbsite


「ブラック・ドッグ」

 ケビン・フィックス監督、パトリック・スウェイジ、ランディ・トラビス。
 仮釈放中のジャックは一万ドルを稼ぐために、裏の運送の仕事を引き受ける。仲間の三人と共にアトランタを出発するが、武装した敵に教われる…。ストーリは単純。裏切りなど、もうちょっと上手く使えばいいネタを活用してないのが残念。敵も魅力に欠ける。

→ 「ブラック・ドッグ」Official Website


「サイモン・バーチ」 - Simon Birch -

 マーク・スティーブン・ジョンソン監督、ジョン・アーヴィング原作、ジョセフ・マゼッロ、イアン・マイケル・スミス。

 アーヴィングの原作は有名らしいが、残念ながら未読。
 生まれつき体が小さなサイモン・バーチ、私生児のジョーは親友同士。二人の友情物語がメイン・ストーリ。ジョーの母親や、隠されたジョーの父親の正体、ラストの事件など、各エピソードはなかなか上手いと思う。全体にはいい映画になっているけど、運命論的な所が気になる。似たようなストーリでは、「マイ・フレンド・メモリー」の方が夢があって好き。


「アドレナリンドライブ」

 矢口史靖監督脚本、石田ひかり、安藤政信、ジョビジョバ。
 
 レンタカーでバイトする悟、お人好しの看護婦の静子が偶然からヤクザの二億円を強奪して、逃亡を図る事になる。
 「ひみつの花園」などの依然の作品に比べると、洗練された感じはするけど、逆に勢いみたいなものが感じられなくなった。特に主人公二人の恋愛からみになると、途端に物語のスピードが落ちてししまう。レストランのディナーシーンとか泪が出るほどダサイ。二人とも最初から引かれあっていて、あそこまで反発がほどんと無いのがストーリ構成的には不備だと思う。
 婦長とか、脇の使い方は上手かった。

「アドレナリンドライブ」 Official Website
「矢口史靖サイト 矢口ちゃん」


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