2001年7月 


「A.I.」 - A.I.-

 スティーブン・スピルバーグ監督、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウ、フランシス・オーコナー。

 温暖化による海面上昇によりわずかな陸地しか残されていない未来社会。不治の病に侵された息子の代わりにの、愛する感情を持つロボットの少年デイビッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)はあっけなく捨てられ、スーパートイのテディ、ジゴロ・ロボットのジョー(ジュード・ロウ)と共に、様々な冒険を続ける…。
 観る前にあまりに悪評を多く聞いていたので、思ったよりは良かった印象。全体には展開がギクシャクしていた感じ。キューブリックがどの程度まで着手していたのか判らないが、ヘンに呪縛があって、伸び伸びと作れなかったのでは無いかと想像してしまう。
 「シックス・センス」に続く、オスメントの名子役ぶりが随分と賞賛されているようだけど、ロボット的にはジュード・ロウの方がずっと上だった。
 ルージュ・シティのデザインとか、細部のデザイン、工芸品は金がかかっていてちょっと面白かった。
 
「A.I.」Official Website
→ 原作原案「スーパートイズ」感想


「ラマになった王様」- The emperor's New Groove -

 マーク・ディンダル監督、クスコの声藤原竜也。
 南米の国の王様クスコはわがままし放題。魔女のイズマの恨みをかって、ラマに変えられてしまう。そんなクスコを助けたのは心優しい農夫のパチャ。喧嘩ばかりの二人は、なんとか人間に戻るために力を合わせていく….

 字幕版を観たかったのだけど、全部「日本語吹き替え版」なのかな。
 ディズニー映画ではあるけど、「ムーラン」「バグズ・ライフ」「ターザン」「トイ・ストーリ2」などに比べたら大人にはイマイチ。ノリは良かったが、深い魅力には欠ける。ただ、しょうもないギャグが結構面白いのが不思議。

「ラマになった王様」Officiall Website


「ザ・コンテンダー」- The Contender -

 ロッド・ルーリー監督、ジョーン・アレン、ゲイリー・オールドマン、ジェフ・ブリッジス、クリスチャン・スレイター 。

 死去した副大統領の後継最有力候補のジャック・ハサウェイ知事(ウィリアム・ピーターセン)は自動車事故の救出劇で英雄と称えられた。しかし民主党ジャクソン・エヴァンス大統領(ジェフ・ブリッジス)はレイン・ハンソン上院議員(ジョーン・アレン)を副大統領候補に指名。これに反対する共和党議員のシェリー・ラニヨン(ゲイリー・オールドマン)は、大学時代のレインが乱交パーティー参加の証拠写真を入手する…。

 基本的には固い映画であるのだけど、エンターテイメントとしてもよく出来上がっている。特にFBI捜査官や、若手議員ウェブスター(クリスチャン・スレイター)の絡ませ方が、政治的サスペンスものとして面白みをくわえている。また、レイン・ハンソンの正義と信念はフェミニズム的な面からも映画を観られる。政治の物語を立派にエンターテイメントに出来るのはお見事。

「ザ・コンテンダー」 Officiall Website


「ココニイルコト」

 長澤雅彦監督脚本、最相葉月原案、真中瞳、堺雅人、中村育ニ、小市慢太郎、黒坂真美。

 広告代理店コピーライターの志乃は上司との不倫がばバレて大阪に転勤、営業に回される。隣の席は、お調子者の前野(堺雅人)だった…。
 前半、このままダラダラしたラブ・ストーリに突入するのかと思ってかなり不安だったが、その後の鮮やかな展開は素晴らしい。地味ではあるが、心にしみる映画。「ニュースステーション」のスポーツキャスターとは思えない真中瞳の、まっすぐな視線の演技と、「ま、ええんとちゃいまっか?」的ちょっとひねった堺雅人が上手く噛み合い、いい雰囲気になっている。

「ココニイルコト」 Official Website
原作原案「なんという空」読書感想


「ディスタンス」☆

 是枝裕和監督脚本、ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信、りょう、中村梅雀、遠藤憲一、 中村梅雀。

 水道水にウィルスを混入、無差別殺人を行った新興宗教"真理の方舟"。その実行犯の遺族四人、敦 (ARATA)、勝(伊勢谷友介)、実(寺島進)、きよか(夏川結衣)は冥福を祈るために年に一回夏に集まる。そんな時、偶然に元信者の坂田(浅野忠信)と出会い、ロッジで共に一夜を過ごす事となる…。

 オウム真理教の事件をこういう切り口から映画にするのかと関心。何しろ、加害者遺族という視点が斬新、是枝裕和の手腕には脱帽。複雑な構成に一時も目が離せずに、緊張しっぱなし。そして見終った後は、複雑な心境ながらも爽やかな印象が残るのも不思議。

「ディスタンス」Officiall Website


「Stereo Future」

 中野裕之監督脚本撮影編集、永瀬正敏、桃生亜希子、竹中直人、麻生久美子、緒川たまき、ピエール瀧。

 4つのストーリー。1) 「Samurai Fighter」-圭介(長瀬正敏)は売れっ子女優久美(麻生久美子)に気に入られ、高山(竹中直人)、監督の槙野(風間杜夫)の時代劇に抜擢される…。2) Silent Female-圭介との判れのショックから声が出なくなったエリ(桃生亜希子)は、植物専門家ダニーに出会う…。3) Sound Funky-圭介の友人、健吾(ピエール滝)は子分の俊介(松岡俊介)とニセモノ高級スピーカーを売り歩く…。4) Stereo Future-エリの姉、薫(緒川たまき)は環境問題の番組を製作する…。
 4つのストーリは交錯しながらも、大きな盛り上がりもなく展開する。最後にはホンワカとした気持ちが残るのは上手い。ただ「SFサムライフィクション」みたいな威勢の良さ、勢いが足りないのは残念。

「Stereo Future」Official Website


「テーラー・オブ・ザ・パナマ」- The Tailor of Panama -

 ジョン・ブアマン監督脚本、ジョン・ル・カレ原作、ピアーズ・ブロスナン、ジェフリー・ラッシュ、ジェイミー・リー・カーティス。

 MI-6の英国スパイ、アンディ・オズナード(ピアーズ・ブロスナン)はスキャンダルで左遷、赴任地のパナマは1999年12月31日で米国から運河の所有権を返還される。アンディは仕立て屋「ペンデル&ブレスウェイト」のベンデルを誘い込み、ニセ情報を流す…。

 原作よりはストーリが単純化され、判りやすいけど、なんか古臭い感じはある。古きよき時代を残すパナマらしさは出ているけど、展開にテンポが無くて、その点、原作に近い。「ワールド・イズ・ノット・イナフ」などの007役のブロスナンを使いながら、アクションが無いジョン・ル・カレ的な正統的スパイものに仕上げたのはちょっと面白い。

原作「パナマの仕立て屋」感想
在日パナマ大使館ホームページ


「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド」- The Mummy Returns -

 スティーブン・ソマーズ監督脚本、ブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ、ジョン・ハナ、アーノルド・ヴォスルー、フレディ・ボース、パトリシア・ヴェラスケス、ザ・ロック。

 「ハムナプトラ」の冒険から8年、黄金を持ち帰ったリック(ブレンダン・フレイザー)とエヴリン(レイチェル・ワイズ)はロンドンで息子のアレックス(フレディ・ボース)とともに豪邸住まいをしていた。
 そして再び現代に甦ったイムホテップ(アーノルド・ヴォスルー)、5000年前にアヌビス神に魂を捧げながら彼の軍団とともに地底に閉じ込められたスコーピオン・キング(WWFレスラー、ザ・ロック)、三つ巴の戦いとなり、アム・シェアのオアシスに存在する黄金のピラミッドに導かれていく…。

 全編、怒濤のSFXとアクション、細かい疑問点なぞオカマイ無しに一気に進む展開は、見事というしかない。ここまでエンターテイメントに徹してくれていれば素晴らしい。
 スコールピオン軍団の圧倒的なCGなどILMの仕事の凄さを実感させてくれるが、一方、スコーピオン・キングのサソリ男はゲームのボスキャラみたにチャチな感じ。この仕事の差はなんなんだろう?
 ミラ(元スーパーモデル、パトリシア・ヴェラスケス)とエヴリン(レイチェル・ワイズ)のスタントを使って無い格闘シーンは見事。

「ハムナプトラ」 Officiall Website


「ギフト」- The Gift -

 サム・ライミ監督、ケイト・ブランシェット、ジョヴァンニ・リビシー、ヒラリー・スワンク、グレッグ・キニア、キアヌ・リーヴス

 ジョージア州の小さな街。工場の事故で夫に先立たれ、三人の子供を女手ひとつで育てるアニー(ケイト・ブランシェット)は、生まれながらの超感覚的才能を活かし、占い師として生計を立てている。失踪事件への協力を依頼されるが…。

 幻想シーンなど映像的な見所がちょっとあるくらいで、ストーリ展開は全体的には平凡。サム・ライミらしい味はほとんど無い。
 ブランシェットは疲れた感じが、ちょっと面白かったぐらいか。わき役は、「ボーイズ・ドント・クライ」の主役ヒラリー・スワンク、「恋愛小説家」の隣人の画家役グレッグ・キニア、「プライベ−ト・ライアン」のジョヴァンニ・リビシーなどが味があっていいのだけど、あまり活かされてはいない。

「ギフト」Officiall Website


「ミリオンダラー・ホテル」- The Million Dollar Hotel - ☆

  ヴィム・ヴェンダース監督、ジェレミー・デイヴィス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ピーター・ストーメア、アマンダ・プルマー、ティム・ロス、メル・ギブソン

 L.A.のミリオンダラー・ホテルはアウトサイダーたちが住む古びたホテル。麻薬常習者イージーの墜落事故を調査するFBI特別捜査官のスキナー(メル・ギブソン)。彼が捜査するのは、ちょっと頭の弱いトムトム(ジェレミー・デイヴィス)、トムトムが慕う少女エロイーズ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)、絵描きのジェロニモ(ジミー・スミッツ)など…。
  ヴェンダースの映画の中では、明快でかつ映画的な面白さ豊富という事で、一番好き。市井の人々を見守る暖かくもあり、突き放した視点という点が非常に上手く出ている。音楽、撮影、演技それぞれに素晴らしく、特にトムトム役のジェレミー・デイヴィスの抑制が効いた演技は素晴らしかった。
 原案はU2のボーカル、ボノ。

「The Million Dollar Hotel」 Official Website(独語)


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