ランド・ラビッチ監督脚本、ジョニー・デップ、シャーリズ・セロン、ニック・カサヴェテス、ジョー・モートン。
「あれは何だ」という言葉を残し、NASAの宇宙飛行士スペンサー(ジョニー・デップ)は、宇宙船の船外作業中に2分間交信を絶つ。奇跡的に生還したスペンサーに、妻のジリアン(シャーリズ・セロン)は違和感を持ち、やがて疑惑は深まる…。
ホラーとSFの混ぜ方は上手い。展開は地味ながら、妻を追い詰めていくジョニー・デップの無表情な演技が恐い。
妊娠の持つ不安と恐怖といういう所が、「ローズマリーの赤ちゃん」的に上手く効果を出している。 しかし、最後は何とも、普通の映画になってしまっていて面白くない。もっと心理的な恐怖で迫って欲しかった。
原題の「Astronoaut's Wife」は「ローズマリーの赤ちゃん」のひっかけだと思うんだけど。
→ 「ノイズ」 Official Website
金庫やぶりのアルマン、コンピュータに強いクレール、ドライバーのゼロ、詐欺師のユレールが集まり、2000万フランの強奪計画を立てる。しかし手に入ったのは、リトアニアの王子だった…。
なんとも退屈な映画だった。どこが面白いのかさっぱり判らない。犯罪ものとしては中途半端だし、コメディ路線でも笑えないし。
→ 「キッド・ナッパー」
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黒沢清監督、役所広司、池内博之、大杉漣、洞口依子、風吹ジュン。
人質事件の中、犯人は"世界の法則を回復せよ"という謎の言葉を残して死んでいった。人質も犯人も救えなかった刑事の薮池は、何かに導かれる様に、ある森へ向かう。そこでは一本の木を巡り、さまざまな人間が争っていた。
良くも悪くも、黒沢映画。特に技巧的にも内容的にもタルコフスキーの「サクリファイス」「ノスタルジア」を連想させる所が多い。特にラストはあんなもんでいいのかなあ、と思わせる。決してつまらなくは無いのだけど、邦画をリードする黒沢清だからこそ、気になる。
ブルース・ベレスフォード監督、アシュレイ・ジャッド、トミー・リー・ジョーンズ、ブルース・グリーンウッド。
夫殺しの罪を着せられ刑務所に服役したリビー(アシュレイ・ジャッド)は、真実を追い、奪われた息子を取り戻すために奔走する。それを追う保護監察官がトラヴィス (トミー・リー・ジョーンズ)。
「ダブル・ジョパディー」とは、"誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない"という合衆国憲法修正第5条の事。タイトルになっているこの設定自体は、実際にはまるで有効に使われてない。死んだはずの夫を追う様や、それをさらに追いかける所なんか面白いのだけど。
→ 「Double Jeopardy」
Official Website
堤幸彦監督、西萩弓絵脚本、中谷美紀、中谷美紀、鈴木紗理奈、徳井優、小雪、竜雷太。
TVの「ケイゾク」の続き。15年前に起きた豪華客船沈没事件の生存者たちが厄神島に集められる。そこに何故か招待された捜査一課二係の柴田純(中谷美紀)、真山徹(中谷美紀
)。やがて連続予告殺人が起こる。
なんか、設定も事件も「ケイゾク」っぽくなく、まるで「金田一少年の事件簿」みたい。根本から違和感ある。
私はトリックが簡単に判ってしまって、なんか謎解きが遅くてイライラして退屈してしまった。
→ 「ケイゾク/映画 Beautiful
Dreamer」 Official Website
ポール・トーマス・アンダーソン監督脚本、ジェレミー・ブラックマン、トム・クルーズ、メリンダ・ディロン、フィリップ・ベイカー・ホール、フィリップ・シーモア・ホフマン、リッキー・ジェイ、ウィリアム・H・メイシー。
有名TVプロデューサーのアール(ジェイソン・ロバーズ)は、死の床に際し音信不通の息子との再会を望む。
その息子フランク(トム・クルーズ)は、セックスの教祖として人気を誇っていた。
その他、アールの若い妻、アールの看護人、癌を宣告されたクイズ番組の司会者、クイズ番組の天才少年、昔のクイズ番組の天才少年など、さまざまな人々の24時間の物語を平行して描き、見事に絡み合わせていく。
ラストに隠されたモノは特に驚きであったけど、冷静に考えてみるとかなりあざとい。しかし、まあ、妙に心に残る映画ではある。
→ 「マグノリア」 Official
Website
→ 「Magnolia」
Official Website
井坂聡監督、野沢尚原作脚本、黒木瞳、陣内孝則、山下徹大、筧利夫、白井晃、篠田三郎。
原作は第43回江戸川乱歩賞受賞作、それも原作者自らが脚本を書いている。
首都テレビの報道局、映像編集者の遠藤瑤子(黒木瞳)は、汚職に絡む殺人事件を扱った内部告発のビデオを郵政省官僚から受け取る。ビデオを元に遠藤が編集した番組を放送、それが原因で殺人容疑をかけられた麻生(陣内孝則)はTV局に抗議に現れるが…。
後味が強烈に悪い。井坂聡監督の前作「Focus」も強烈に後味が悪いが。しかし、つまらない映画では無く、強烈な印象を与える。最初に観客が描いていく筋と微妙にズレて話が進んで、物語に引っ張っていかれる所も、また「Focus」みたいな感じがする。一種、独特の個性を持っている面白い監督ではある。
「Focus」もメディアに対する批判みたいな意味が強かったが、また違う角度から同じ様なテーマに挑んでいる。映像を操る魔力に魅せられた遠藤の描き方は上手い。
# その後、原作を読んで見るとこの後味の悪さは原作の力だと思った。井坂監督の感覚に妙にマッチしたのかもしれない。
→ 「破線のマリス」
Official Website
→ 原作「破線のマリス」感想
ジョー・ジョンストン監督、ホーマー・H・ヒッカム・Jr原作、ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、L・ダーン。
炭坑町コールウッドで暮らすホーマーは、ソビエトの人工衛星スプートニクの打ち上げに刺激を受け、仲間たちと手作りロケットの製造に打ち込む。炭坑町に住む若者の閉塞感と、抜け出したいというパワーの表現が上手い。見守る街の人々の暖かさも心地よい。実話ベースの物語であり、素晴らしく感動的であり、面白かった。オタク心をくすぐられた。
原作も面白いらしいので、是非読んでみたい。
→ 「October
Sky」 Official Website
→ 原作「ロケットボーイズ」感想
ジョン・ラセター監督、アンドリュー・プロトキン脚本、声はトム・ハンクス(ウッディ)、ティム・アレン(バズ)、ジョン・キューザック(ジェシー)。
ウッデイは、レアものとして日本のおもちゃ博物館に売ろうと企む男アルに誘拐される。前作の恩を返そうと、バズを始めおもちゃのみんながウッディの救出に向かう…。
ストーリの単純な表層の下に、子供とおもちゃの関係や、金のためにおもちゃを集める大人などテーマを上手く組み入れてる。これにより物語をより深くし、大人にも楽しめるエンターテイメントに仕上げている。
特に、新キャラクターのジェシーが歌う物語は、悲しくはあるが素晴らしい出来。ディズニーの真骨頂だと思う。
→ 「トイ・ストーリー2」
Official Website
↑このサイトで人形のコレクターの紹介をしているが、何か映画のテーマに反している気がするんだが…
→ Pixar
塚本晋也監督、脚本、美術監督、照明、撮影監督、編集、主演。全部自分でやっているだけあって、撮影も照明も出来が悪い部分はある。真野きりな、中村達也、村瀬貴洋、井川比佐志。
CM制作会社の社員、合田(塚本晋也)の恋人桐子(鈴木京香)が突然自殺。合田は"死"と"銃"のイメージに取り憑かれていく。そんな時、不良グループに恐喝されたのがきっかけで一人の少女千里(真野きりな)に惹かれていき、さらに彼らの抗争に巻き込まれていく…
映像も演出も脚本もすべて荒っぽいけど、結構、面白かった。パワーとしては「鉄男」なんかの方があると思うけど、面白さ、パワー、判りやすさのバランスが取れていると思う。表現しているモノは面白いのだけど、メッセージ性が無いのが、全体を薄っぺらな感じにしている。
真野きりなは、「がんばっていきまっしょい」とは全く違ったキャラでちょっと面白い。
→ 「BULLET
BALLET/バレット・バレエ」 Official Website
ロバート・アルトマン監督、グレン・クローズ、リヴ・タイラー、チャールズ・S・ダットン。
舞台は米国南部のミシシッピー州のリー・スプリングス。老婦人クッキー(パトリシア・ニール)の自殺を隠そうとする姪のカミール(グレン・クローズ)により、殺人事件がでっち上げられる。それに巻き込まれる、
カミールの妹のコーラ(ジュリアン・ムーア)、コーラの娘のエマ(リヴ・タイラー)、ウィリス(チャールズ・S・ダットン)。
一見平凡な田舎町に一つの事件が起こり、隠された秘密が浮かび上がってくる、というありがちな図式で見ていたが、まあ、その通りの展開でやや退屈。しかし最後に隠された秘密は、なかなか面白く、ほのぼのとさせてくれた。
南部ののんびりとした雰囲気を上手くかもし出す、ウィリス役チャールズ・S・ダットンが上手い。のんびりとした映画で、のんびりと楽しまないとダメかも。
→ 「クッキー・フォーチュン」 Official Website
奥原浩志監督、柳拓次、市川実日子、近藤太郎、余貴美子、若松武史 、木場勝己。
「ピクニック」がPFFで入選した、奥原監督の劇場用長編第1作。
微妙に三部構成の物語。時間が止まったような古びたビリヤード場、そこで一緒に音楽を作る河本とチカコの会話もあまりに静かな時間の流れを持っている。ピアノ調律師、謎の中年の男と、どの登場人物も、どこか社会と隔たった時間を持ち物語は流れていく。どこが面白いという映画ではなく、見終ったあと何かの時にふと思いだしてしまうような、不思議な魅力を感じる種類の持った映画ではある。
ステファン・エリオット監督脚本、ユアン・マクレガー、アシュレイ・ジャッド。
英国情報員のEYE(ユアン・マクレガー)は、調査中に謎の女性ジョアナ(アシュレイ・ジャッド)の殺人を目撃する。彼女を追跡するうち、EYEは守護天使の様にジョアナを見守りようになる…なんとも奇妙で、かなり掴み所がないミステリー+ロマンス映画。
部分、部分は結構面白いんだけど、ストーリ的には訳の判らなさが強いかも。
監督は、「プリシラ」のステファン・エリオット。「プリシラ」が凄く好きだったので期待していたが、期待外れだった。
ユアン・マクレガーも「トレインスポッティング」、「リトル・ヴォイス」、「スター・ウォーズ」、「ブラス!」と同じ様に、役柄的には繊細な面を上手く出しているけど、なんか判らない映画だった。
おまけに邦題はほとんど意味が無い。
→「Eye of the Beholder」 Official Website
アナンド・タッカー監督、エミリーワトソン、レイチェル・グリフィス、ジェイムズ・フレイン。
幼い姉妹、ヒラリーはフルート、ジャクリーヌはチェロと一緒に音楽を楽しむ幼い姉妹だった。姉のヒラリーはフルートでいつも優勝して母の自慢。妹のジャクリーヌは必死になって練習し、やがて逆転していく。若くして多発性硬化症にかかった天才的な、女性チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレを描いている。
実際の姉のヒラリーが執筆した著書を映画化だけに、実に生々しい。どこまで実話か判らないのだけど、姉と妹と関係や、天才の苦悩、不幸みたいなモノは非常に上手く出ていて、観ている時よりも見終った後に心にしみてくる映画として、面白い。英国映画。
→ 「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」
Official Website