2000年2月


「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」 - For Love of the Game -

 サム・ライミ監督、ケビン・コスナー、ケリー・プレストン、ジョン・C・レイリー、ジーナ・マローン。

 あんまり好きになれないケビン・コスナーも、何故か野球映画は「さよならゲーム」、「フィールド・オブ・ドリームス」と、すべて面白い。さらに監督がサム・ライミというミスマッチは逆に楽しみになってしまう。
 
 デトロイト・タイガースのエース・ピッチャー、チャペル(ケビン・コスナー)が主人公。オーナーからトレード話を持ちかけられ、衰えを感じているチャペルが一人マウンドに立ち、野球人の半生を回想する形式。試合の盛り上げ方も上手いし、それに上手く回想を絡めていくのがいい。そして最後には十分に盛り上げてくれる。
 サム・ライミも「死霊のはらわた」の時代とは違って「シンプル・プラン」でもアクが抜けて来たような印象がある。この映画でもサム・ライミらしい味は無いが上手い。不思議な感じがする。

「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」 Official Website


「ワールド・イズ・ノット・イナフ」- World is not Enough -

 マイケル・アプテッド監督、ピアース・ブロスナン、ソフィー・マルソー、ロバート・カーライル、デニース・リチャーズ、ロビー・コルトレーン、ジュディ・デンチ、デズモンド・リューウェリン、ジョン・クリース。

 007シリーズ第19作目。ピアース・ブロスナンのジェームズ・ボンドも見慣れてきた感じ。
 ボンドが護衛するのは、ロシアから中近東をまたぎヨーロッパにつながる石油パイプラインに取り組むエレクトラ(ソフィー・マルソー)。敵は元KGB、脳に受けた銃弾により傷みを感じないテロリストのレナード(ロバート・カーライル)。やはり、今回の007がイマイチと感じるのは、この敵役の印象の弱さじゃないだろうか。痛みを感じないという設定がほとんど活かされてないし、そもそも活躍の場面が少ないし。ロバート・カーライルは旬な役者ではあるけど、使い方が悪い。
 冒頭のテムズ川のジェットボートのチェイスなど、アクションは面白いけど、今回はちょっとノレなかった。
 
 007シリーズ全作に出演し、これが遺作となったQ(デズモンド・リューウェリン)の引退を匂わせる場面は涙モノ。
 
「007ワールド・イズ・ノット・イナフ」 Official Website


「ファンタジア2000」 - Fantasia 2000 - ☆

 1940年の「ファンタジア」は本来なら10年ごとに改定を加えるはずだったが、60年ぶりの全面改定。しかし、期待を裏切らずに面白かった。クラシック音楽とアニメ技術の融合も、技術の進歩により細かく奇麗な同期が可能となっている。CGの技術が素晴らしい。
  「魔法使いの弟子」以外は新作。特に「ローマの松」の大胆な映像感覚が気に入った。

o 交響曲第5番(ベートーヴェン)
o 交響詩ローマの松(レスピーギ)
o ラプソディー・イン・ブルー(ガーシュウィン)
o ピアノ協奏曲第2番(ショスタコーヴィチ)
o 動物の謝肉祭(サン・サーンス)
o 魔法使いの弟子(デュカ) -
o 威風堂々(エルガー)
o 火の鳥(ストラヴィンスキー)

 IMAXシアターで観たが、これはIMAXで観られてよかった。

「Fantasia 2000」Official Website


「ストーリ・オブ・ラブ」 - The Story of us -

 ロブ・ライナー監督、アラン・ツウァイベル脚本、ブルース・ウィリス、ミシェル・ファイファー、ティム・マシソン、ジェイク・サンドビグ。
 
 倦怠期の二人が、結婚を見つめなおすラブ・ストーリ。作家のベン(ブルース・ウィリス)とクロスワード・パズル作成者のケイティ(ミシェル・ファイファー)は、結婚15年目。二人のすれ違いから、息子ジョシュ(ジェイク・サンドビグ)と娘エリン(コリーン・レニソン)がサマーキャンプで留守をしている間、試験的に別居をする事になる…。
 
 テーマ的に面白いし、ミシェル・ファイファーのドタバタしながらもキュートな雰囲気が凄く魅力的なんだけど、ちょっと盛り上がりには欠ける。最後は上手くまとめて、奇麗過ぎるけどほのぼのとした気持ちになる。

「ストーリ・オブ・ラブ」 Official Website


「アンナと王様」- Anna and the King -

 アンディ・テナント監督、ジョディ・フォスター、チョウ・ユンファ、バイ・リン、トム・フェルトン、シード・アルウィ、ランダル・ダク・キム。

 1956年「王様とわたし」のリメイク。厳密に比較はしてないけど、印象は随分と違う。
 夫を失ったアンナ(ジョディ・フォスター)は、息子のルイ(トム・フェルトン)とともにシャム王国のモンクット王(チョウ・ユンファ)の元に家庭教師としてやってくる。東洋の封建的社会で戸惑うアンナも、次第に王とも心を通わせていく。しかし、その裏では政治的陰謀が始まっていた…。
 ユル・ブリンナーの「王様とわたし」の印象が強すぎるので、違和感があるが、単独でみてみれば結構面白い。一つの山場であるダンスシーンも、雰囲気を変えて上手く作っているし、最後までエンターテイメントとして面白く仕上げている。オリジナルの「王様とわたし」にとらわれないで作っている所は好感が持てる。

「アンナと王様」 Official Website


「富江Replay」

 光石富士朗監督、伊藤潤二原作、山口紗弥加、宝生舞、窪塚洋介、松尾政寿。
 
 院長をはじめ、医師や看護婦が次々と姿を消していく森田病院。院長の娘の由美(山口紗弥加)は、失踪した父の行方を、入院患者の大学生、佐藤文仁と探す。由美は1人の医師から、奇怪な内容の父親の日記を渡される
 前半から中盤までは、なんとも面白くなかった。後半から謎が判ってくると、結構引きつけられるものがあったけど、全体では退屈な感じ。前作の「富江」の方が、個人的には好き。
 
「富江Replay」 Official Website
「富江」感想


「うずまき」

 Higuchinsky監督、伊藤潤二原作、初音映莉子、FHIFAN、佐伯日菜子、シン・ウンギョン、高橋恵子、大杉漣。

 「富江Replay」の併映で、やはり伊藤潤二原作。
 五島桐絵(初音映莉子)は、幼なじみのボーイフレンド(斉藤秀一)から駆け落ちを迫られる。桐絵の通う高校では飛び降り自殺が起き、さらに町の人々が少しずつ「うずまき」に魅せられ、おかしくなっていく…。
 ビデオによる映像が汚くて、なんか、あんまり乗れない映画だなあとぼんやりと観ていたが、まあ、思ったよりは面白かった。盛り上がりとか展開のテンポとかダメで、エピソードの羅列なんだけど、それぞれちょっと面白い所があって、原作の「うずまき」の雰囲気はよく出てた。

→ 「うずまき」Official Website


「釣りバカ日誌イレブン」

 本木克英監督、やまさき十三原作、西田敏行、三國連太郎。

 舞台は沖縄。人気シリーズ13作目。
 今回から監督は栗山富夫に変わって「てなもんや商社」の本木克英。やはり、笑いのセンスが新しい様に感じる。吾郎の恋愛話や、漂流した無人島でのセンスなど、結構いい感じ。

「釣りバカ日誌イレブン」Official Website


「スリーピー・ホロウ」- Sleepy Hollow -

 ティム・バートン監督、ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、クリストファー・ウォーケン。

 1799年、ニューヨーク市警のイカボッド・クレーン(ジョニー・ディップ)は、郊外のスリーピー・ホロウ村で起きた首なし連続殺人事件の調査を依頼される。古い因習にとらわれた村の人々は首なし騎士の亡霊のしわざだと信じているが、クレーンは科学捜査を重んじ、地主の娘カトリーナ(クリスティーナ・リッチ)と父親を殺された少年マスバス(マーク・ピッカリング)の協力で捜査を進める…。

 原作は19世紀の作家ワシントン・アーヴィングの古典ホラー「スリーピー・ホローの伝説」らしいがまるで知らなかった。死人の木、首なし騎士、郊外の暗く湿った村、粉ひきの風車小屋など、いかにもゴチック・ホラーな道具立てが、ティム・バートンぽい道具立てで面白い。そこに科学捜査で挑むクレーンの存在がやや道化的ではあるミスマッチもいい。
 まあ、全体にはノリが悪い部分はあるけど、ティム・バートン的世界を楽しめる娯楽作品としては結構面白かった。

「スリーピー・ホロウ」 Official Website


「シュリ」☆

 カン・ジェギュ監督、ハン・ソッキュ、キム・ユンジン、チェ・ミンシク、ソン・ガンホ、ユン・ジュサン、パク・ウンスク。

 韓国情報機関の情報部室長ジュンウォン(ハン・ソッキュ)が追う北朝鮮の女スパイ、液体爆弾CTXの強奪、ジョンウォンの婚約者ミョンヒョン(キム・ユンジン)に及ぶ危険、そして韓国と北朝鮮両国首脳が出席するサッカー南北交流試合が開かれる…。
 南北朝鮮の政治問題、ラブ・ロマンス、アクション、もう盛り沢山のサービス精神に脱帽。面白かった。韓国での大ヒットも当然と言える。

→ 「シュリ」 Official Website


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