安全・安心な個人旅行のためのヒント
旅行会社のツアーに参加する場合と個人旅行が最も異なるのは、個人旅行では安全で快適な旅行を各自が自分自身で確保しなければならないことです。
日常生活ではほとんど意識されることがない日本と違って、国外では、たとえそれが欧米の有名な都市でも、細心の注意を払って自分で確保しなければ、旅行にかかわる安全は保障されません。
国外では、旅慣れているビジネスマンでも「Aさんがパスポートとクレジットカード入りの財布を掏られた。」とか、「Bさんがカバンを置き引きされた。」など日常の話題として特別に珍しいことではありません。「米国では命に注意しろ。ヨーロッパでは持ち物に注意しろ。」とはよく言われることです。米国で警官に呼び止められてパスポートを出そうと胸ポケットに手をやったらピストルで撃たれたとは有名な話です。ローマではカピトリーノの丘などいろいろな名所にジプシーがたむろし旅行者の財布や持ち物を狙っています。幼児を抱いた物乞いに小銭をと思ったら財布ごと取られたなど日常茶飯事です。敵はローマ帝国時代から続く筋金入りのプロなのです。
アムステルダム中央駅で手さげカバンの置き引き一件、ローマのシスティーナ礼拝堂入口近くで腰巻ポーチから財布を抜かれること一件(共に、警察に届けて数時間後に無事に戻りました)を経験して以来、私が実践している、自己防衛のためのいくつかの安全・安心のヒントを紹介します。
持ち金は分散、パスポートは肌身離さず
持ち金は、その日の分は財布に入れて内ポケットに、持ち金の残りとクレジットカードとパスポートは下着の下に入る首さげ巾着に入れて肌身離さず。腹巻形の財布でもよい。高級な皮革製の腰巻型ポーチは外側からカミソリでカットして中身を抜き取られる危険性がある。夫婦で旅行する場合は持ち金の当日分は二人で分けて持つ。小銭とこずかい銭程度だけすぐに出せる外ポケットに。パスポートを大切だからとトランクや手さげカバンに入れる人を見かけるがこれは最も危険。市内に留まる日は宿泊しているホテルのセーフティー・デポジットに預けるのも良い。
行先は英語で書いたカードで
博物館や駅などの目的地名や、宿泊するホテルの名前と住所を英語で一枚ずつフラッシュカードに書いておく。タクシーの運転手に見せたり、行先を訪ねるときにこのカードと一緒に市街地図を示せば、会話なしでも行き方を教えてもらえる。
手を離すときはトランクや手さげカバンは紐で身体に繋げる
手を離すときは2メートル程度の長さの細紐、またはチェーンでトランクを腰ベルトに結ぶ。切符を買ったり、電話を掛けたり、トイレで小便をするために床に置いた隙に置き引きされることを防げる。特に、ドゴール空港とアムステルダム中央駅が置き引きで有名。そこまですることはあるまいと考えるのは日本人だけ。故に日本人は置き引きのカモ。
見ず知らずの他人から自分の距離を離す
日本人は満員電車で慣らされているため他人との身体の接触に異常に鈍感。欧米人は、他人の体に触れたり他人の体身に接近するのを嫌がる。エレベータなどが混んでいて他人に接触しそうな場合には乗らない。また、故意に接近して来る人は要注意。掏りの可能性が高い。
親切を押し売りする人の多くは詐欺師
日本人をカモにしようとする外国人や食い詰めた日本人が実にたくさん空港や有名な名所旧跡にたむろしている。あなたが身体不自由など特別に親切にされる理由があれば別だが、多くは言葉が不自由で不安な日本人を狙った詐欺師だ。海外で外人から親切な言葉をかけられると舞い上がってしまう日本人の娘さんが多いのも困ったものだ。