蓼科ビレッジの桜見山見晴しから見る雪をかぶった蓼科山

山荘生活を楽しむ

私が山荘生活の拠点にしているのは、長野県茅野市北山にある別荘地「蓼科ビレッジ」の一角、いわゆる蓼科地域の標高1600メートルにある、敷地1500平方メートル、建坪100平方メートル強の山荘です。2005年春に立地を決め、12月に完成しました。現在は八王子と蓼科を行ったり来たりの生活です。

普通の会社員だった私が山荘をと考えたのは、退職後の生活に変化を求めたことが最大の理由ですが、近年の夏の暑さが応えたことも後を押しました。その後、数年を経ましたが、夫婦で山荘生活を楽しむだけでなく、独立した子供たちも孫連れで折々にやってきては、家族のきずなを深めてくれています。今では「山荘を持ってよかった」と思うだけでなく、皆さんにも自信を持ってお勧めします。

山荘生活の四季折々の楽しみのいくつかを紹介しましょう。

クリスマス・正月は薪ストーブと雪遊び

孫たちの学校が冬休みになるのを待って蓼科へ。孫たちは山荘から車で5分のところにあるピラタススキー場へ、こちらは運転手を兼ねて、近くをスノーシューでトレッキング。外は氷点下も、山荘の中は薪ストーブの柔らかい暖かさに包まれる。妻は孫たちに手伝わせて「おせち料理」作り。付近で伐採した木を頂いて秋に薪を十分に備えたので薪ストーブでどんどん消費する。購入したら一束400円位、こうはいかない。

春は木々の芽吹きと咲き乱れる山野草を愛でる

春は遅い。山荘は3月半ばまではまだ雪の中。孫たちにつき合って春休みにまたスキーを楽しみに山荘へ。4月半ばには山荘周辺も日陰を除いて雪が消える。待っていたかのようにフキタンポポが黄色い花をつけ、フキノトウが芽を出す。山菜の季節の始まりだ。

5月に入ると白樺やカラマツが新芽を開き緑が美しい。この地方ではコナシと呼ぶズミの白い花が咲き始めると、フデリンドウニッコーキスゲニリンソウショウマクリンソウなどが別荘地内の散策を路傍で楽しませてくれる。

夏はハイキングとバーベキュー

天気が良ければ近くの山をハイキング。別荘地の裏山は北八ヶ岳。蓼科山車山など散歩気分で登れる。日本スズランの自生地で知られる南アルプスの入笠山、中央アルプスの木曽駒ケ岳、北アルプスの乗鞍まで日帰り圏内。

夕日を愛でながらのバーベキューも楽しい。長野県中部は驚くほど牛肉が少ない。「肉屋と言えば馬肉屋」というほど馬サシがポピュラーらしい。我が家の定番はスペアリブ。トマト、きゅうり、とうもろこしが驚くほど美味しい。この地の山荘は夕方のバーベキューを楽しむため西向きに建てる。

秋はキノコ採りと紅葉狩り

9月はキノコの季節。この地で最もポピュラーなのがハナイグチ(地元ではジゴボー)。オオツガタケ(地元ではサマツ)やクリタケも採れる。昔はマツタケも採れたというが、今は全く姿を見ない。ホンシメジが採れたときはキノコご飯にする。シイタケとナメコは伐採したミズナラに駒を打って自家栽培している。10月に入ると少しずつ紅葉が進む。10月下旬のカラマツの紅葉はまことに美しい。山ブドウの実が熟し、一年分のジャム作りが始まる。

冬に向けた薪作りもあってこの時期は一年で一番忙しい。近くで頂いて玉切りしておいたミズナラや山桜の木を割って薪を作る。薪だなが薪でいっぱいになると身体だけでなく心も温まる。

この時期は燻製つくりにも適している。蓼科は気温が盛夏でも20度をこえることはなく、また乾燥している。このため一年中、燻製ができるが、スモークサーモンだけは気温が5度を上回ることがない秋から冬が適期。ブリキの菓子缶を2段に重ねた手作りスモーカーで美味しい燻製ができる。出来た燻製を真空パックしてお土産にする。

山荘のメンテナンスも楽しみのうち

二年に一度のベランダのペンキ塗り。最近はキシラデコールも無臭のものができて仕事が楽になった。山荘周辺の草刈りには刈払機が、雑木を伐採したり、薪を作るためにチェーンソーが必須。このための安全具(安全靴、ヘルメット、安全チャップスなど)も大げさに揃える。冬は雪かき。春から夏は土止めの修理。夏は草刈りと薪の玉切り。秋は薪割り。最近の大仕事は鹿よけ。鹿が増えて木の幹を齧り、葉を食べ、枝を折る、やりたい放題だ。これらを楽しんでやるか、いやいややるかで山荘の生活は大きく変わる。

私たち夫婦の日常の小さな楽しみは山荘周辺の散策。蓼科の自然を愛でながら、時には、ツル梅もどきの小枝を頂いたり、果実酒用に落ちている山梨の実を拾ったり、道端の日本スズランやクリンソウを写真に収めたりして、小一時間を過ごす。都会で失われた自然がここにはある