Woman's World ★★☆

1954 US
監督:ジーン・ネグレスコ
出演:クリフトン・ウエッブ、ジューン・アリスン、バン・ヘフリン、ローレン・バコール

奥より:フレッド・マクマレー、ローレン・バコール、コーネル・ワイルド、ジューン・アリスン、
クリフトン・ウエッブ

ジーン・ネグレスコは、複数の女性、それも決まって3人の女性が登場するドラマ作品を監督するのが好きであったようで、「Woman's World」(ローレン・バコール、ジューン・アリスン、アーレン・ダール)の他にも、「百万長者と結婚する方法」(1953=ローレン・バコール、ベティ・グレーブル、マリリン・モンロー)、「愛の泉」(1954=ドロシー・マクガイアジーン・ピータース、マギー・マクナマラ)、「大都会の女たち」(1959=ホープ・ラングダイアン・ベイカースージー・パーカー)、それから「愛の泉」のリメイク作品「マドリードで乾杯」(1964=キャロル・リンレイアン=マーグレットパメラ・ティフィン)などが挙げられます。また「愛の泉」や「大都会の女たち」など働く女性を主人公とするストーリーを好んだようで、「Woman's World」もその例外ではありません。但し、「Woman's World」の場合は、彼女達自身が働いているわけではなく、それぞれの旦那(ジューン・アリスン=コーネル・ワイルド、ローレン・バコール=フレッド・マクマレー、アーレン・ダール=バン・ヘフリン)が、クリフトン・ウエッブ演ずる社長の経営する会社のジェネラル・マネージャーに昇進するのを手助けする役回りを演じています。ジューン・アリスンは、例によって少々おっちょこちょいの奥さんを(尤も、同年に公開された「重役室」ではウイリアム・ホールデン演ずる主人公の堅実な奥さんを演じていましたが)、ローレン・バコールは、いかにも賢そうに見えるにも関わらず旦那との間にギャップを抱える奥さんを、アーレン・ダールは、目的を達する為には手段を選ばない自己顕示欲の強い奥さんを演じており、各人各様の人物描写が作品の1つのウリにもなっています。また、大袈裟に言えば、雰囲気的にアガサ・クリスティのミステリーを連想させるような側面もあり、いったい誰がジェネラル・マネージャーに選ばれるかに関して、常にオーディエンスをサスペンス状態に置く工夫が凝らされています。殊に、関係者一同が集まり、クリフトン・ウエッブ演ずる社長によってジェネラル・マネージャーが指名されるラストの晩餐会のシーンには、まるでアガサ・クリスティのミステリーに基いた映画であるかのような錯覚すら覚える程です。監督のジーン・ネグレスコは、ソフィスティケートされた軽妙洒脱なドラマにシリアスさをほどよくミックスするのに長けた人であり、かくして「Woman's World」も、そのような彼の特徴が、見事に浮き彫りにされた作品であると見なせます。「大都会の女たち」同様、冒頭のニューヨークの空撮が実に素晴らしいことを最後に付け加えておきましょう。


2001/03/31 by 雷小僧
(2009/01/02 revised by Hiroshi Iruma)
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