愛の泉 ★★☆
(Three Coins in the Fountain)

1954 US
監督:ジーン・ネグレスコ
出演:ドロシー・マクガイアジーン・ピータース、クリフトン・ウエッブ、ルイ・ジュールダン

左から:ドロシー・マクガイア、中:マギー・マクナマラ、右:ジーン・ピータース

ジーン・ネグレスコお得意の3人の女性を主人公とするロマンス映画であり(何故か必ず3人なのです)、陽光溢れるイタリアを舞台として、兎に角カラーが美しいのと、ビクター・ヤングの音楽が素晴らしい映画です。何せ、1954年度のベストカラーシネマトグラフィー賞と主題歌賞の2つのオスカーを獲得した映画でもあります。冒頭歌われる主題歌は映画そのものには出演していないフランク・シナトラが歌っていて、これだけで既に私目は魅了されてしまったほどです。「ナポリ湾」(1960)のレビューでも述べましたが、何かが不足するから需要が発生するという希少性のアイデアを旨とする経済原理を金科玉条とするアメリカ人(その点では日本人も同様でしょう)は、何やら心の奥底に、余剰に対する潜在的な憧憬を抱いているのではないかと思われるフシがあり、この作品が提示する色彩のゴージャスさはそのような心理に見事に訴えるのではないかとすら思えます。ネグレスコはルーマニア生まれであり、従ってこの映画は(元)ヨーロッパ人の手によるヨーロッパが舞台の作品であることになりますが、心理的傾向性から見れば極めてアメリカ的な映画であると見なせます。イタリア人の撮ったイタリアが舞台の映画は、決してこの作品のようにはならないのではないかと勝手に思っています。余計なことを言わせて貰うと、原題の「Three Coins in the Fountain」は、冒頭で3人の女性(ドロシー・マクガイア、ジーン・ピータース、マギー・マクナマラ)がそれぞれ願いを込めてトレビの泉にコインを投げ込むところからつけられているわけですが、ジーン・ピータースだけは「ローマには戻りたくない」などと言ってコインを投げないのでThreeではなくて実はTwoが正しいのですね。


2001/05/06 by 雷小僧
(2008/10/06 revised by Hiroshi Iruma)
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