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21.街の灯 22.語り女たち 23.ミステリ十二か月 24.ニッポン硬貨の謎−エラリー・クィーン最後の事件− 25.北村薫のミステリー館 26.紙魚家崩壊 27.ひとがた流し 28.玻璃の天 29.1950年のバックトス |
【作家歴】、空飛ぶ馬、夜の蝉、秋の花、覆面作家は二人いる、六の宮の姫君、冬のオペラ、スキップ、覆面作家の愛の歌、覆面作家の夢の家、ターン |
朝霧、謎のギャラリー、謎のギャラリー特別室、謎のギャラリー特別室2、謎のギャラリー特別室3、謎のギャラリー最後の部屋、月の砂漠をさばさばと、盤上の敵、リセット、北村薫の本格ミステリ・ライブラリー、詩歌の待ち伏せ(上)、詩歌の待ち伏せ(下) |
北村薫の創作表現講義、野球の国のアリス、鷺と雪、元気でいてよR2-D2、いとま申して、飲めば都、八月の六日間、慶應本科と折口信夫 、太宰治の辞書、中野のお父さん |
遠い唇、ヴェネツィア便り、小萩のかんざし、中野のお父さんは謎を解くか、中野のお父さんと五つの謎 |
●「街の灯」● ★☆ |
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2006年05月
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昭和初期という時代設定が、まず珍しい。そのうえ、探偵役となるのは、士族の令嬢・花村英子と、そのお付き女性運転手・別宮みつ子、というコンビ。 現在にはない、士族、上流階級という舞台は、私にとって三島由紀夫作品以来のものという、懐かしさがあります。その上流社会を中心に据えたストーリィですから、雰囲気も穏やか、オブラートに包まれたような心地良さがあります。 虚栄の市/銀座八丁/街の灯 〔付録〕北村薫論/スペシャル・インタビュー |
●「語り女たち」● ★☆ |
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2007年04月
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海辺の街に小部屋を借りて、潮騒の響く窓辺の寝椅子に横になりながら、訪れた客の話を聞こうという。 語られる物語を耳で聞くことの心地良さ。−子供の頃寝る前に読んでもらった物語のことを私は思い出しますし、北村さんは小さい頃にラジオをよく聞いた、といいます。 本書を読んでみれば、北村さんの「物語の懐かしい故郷に帰り、その山裾や川べりや辻を歩くつもりで書いた」という言葉に納得がいきます。 緑の虫/文字/わたしではない/違う話/歩く駱駝/四角い世界/闇缶詰/笑顔/海の上のボサノヴァ/体/眠れる森/夏の日々/ラスク様/手品/Ambarvalia(あむばるわりあ)/水虎/梅の木 |
●「ミステリ十二か月」● ★☆ |
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本格推理ものを話題に喫茶店で友人と話し込む、というに似た楽しさを感じる一冊。 大学生の頃に黄金期の本格推理に熱中していたので、E・クィーン、ヴァン・ダイン、F・W・クロフツ、D・カーら海外の大物作家の名前は懐かしい。その反面初期の国内本格推理はまるで読んでいないので、ふむふむ。 ミステリ十二か月/絵解き謎解き対談(大野隆司)/本棚から出てきた話/「全身本格」対談(有栖川有栖) |
●「ニッポン硬貨の謎−エラリー・クィーン最後の事件−」● ★☆ |
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2009年04月
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本格推理小説の巨匠エラリー・クィーン生誕百年を記念しての出版の由。 EQファンにして北村薫ファンであってこそ楽しめるパスティーシュ(模倣作)でしょう。 事件とその解決自体はあまり納得できるものではないのですが、経過がEQらしいと言えばEQらしい。 ※外国人が誤解したまま日本を描いたというパロディの傑作は、小林信彦「ちはやふる奥の細道」。 |
●「北村薫のミステリー館」● ★ |
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本書は「謎のギャラリー」に続くアンソロジーということなのですが、もうひとつ興が涌きませんでした。 海外もののミステリー、SFとなると、どうもモード設定が必要であるようなのです。そのモード・スイッチが入っていないと、そもそも面白いかどうかを感じ取る感度が働いていないみたい。ただ、言い訳になるかもしれませんが、海外ものの古典的推理小説って、謎解きだけに主眼が絞られていて、ストーリィ運びがつまらないような気がしているのですが、どうでしょう。その点国内ものの「わたしの本」はストーリィ自体に面白味があるのですけれど、ミステリとしてはちょっと弱い。 (こちらからどうぞ)
きいろとピンク/夜枕合戦・枕の中の行軍 |
●「紙魚家(しみけ)崩壊−九つの謎−」● ★☆ |
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2009年03月 2010年03月
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心して味わい深さを噛み締めないと楽しむことのできないミステリ短篇集。 読み出した最初のうちは、一篇一篇の趣きは異なるし、どこに面白味があるのか捉え難いし、何とまとまりのない短篇集かと思ったのです。 本書で圧巻なのは、最後の「注釈おとぎばなし」。 溶けていく/紙魚家崩壊/死と密室/白い朝/サイコロ、コロコロ/おにぎり、ぎりぎり/蝶/俺の席/注釈おとぎばなし |
●「ひとがた流し」● ★★ |
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2009年05月 2022年09月
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久々に北村作品の良さを満喫した作品。 本書は、3人の女性たちの友情を中心にした長篇小説です。 ストーリィは千波に癌が発見され、命残り少ないことを宣告されたことが主となります。牧子と美々は月並みな慰めの言葉など口にしないし、また千波も2人に嘆きを言うことなく凛ととした姿を保っています。儀礼的な言葉を挟む余地がない程、お互いをまるで自分のこととして考えることができるからでしょう。 ※なお、牧子の娘さきは「月の砂漠をさばさばと」のさきちゃんのようです。 |
●「玻璃(はり)の天」● ★☆ |
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2009年09月
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「街の灯」以来漸く刊行された、士族令嬢・花村英子&お付き女性運転手・別宮みつ子(ベッキーさん)のコンビによる日常ミステリシリーズ、第2巻! この第2巻まで長かったぁ〜。 シリーズものというとつい“私と円紫師匠”シリーズと比較してしまうのですが、面白さや主人公の成長物語という点では同シリーズに及ばないものの、本シリーズにはそれ以上に凝った仕掛けが幾つも施されています。その点が本シリーズの特徴、持ち味と言うべきでしょう。 さらに、戦前の昭和における帝国主義、戦争肯定論への批判が顔を覗かせます。「幻の橋」ではいみじくも英子の口を借りて、人が自然に抱いていただろう疑問とそれを圧殺するような時代の雰囲気が描かれます。 探偵役は前作同様、英子だったりベッキーさんだったりと交互。英子が主人公でベッキーさんがアドバイス役という構図も変わりません。 幻の橋/想夫恋/玻璃の天 |
●「1950年のバックトス Twenty-three Stories 」● ★★ |
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2010年06月
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1995年から2007年まで、様々な雑誌等に掲載された23篇を集めた短篇集。 最初は怖い話が多い。ただしホラーという程のことはなく、ちょっと怖い程度。その中にもどこか温かみがあって、さらりとした感じが、北村薫さんらしいところでしょう。 その後はコミカルな話が続きます。その中でもダジャレが加わった篇、私には大いに嬉しい。 最後はほんのりとした温かみある、好い話。 百物語/万華鏡/雁の便り/包丁/真夜中のダッフルコート/昔町/恐怖映画/洒落小町/凱旋/眼/秋/手を冷やす/かるかや/雪が降って来ました/百合子姫・怪奇毒吐き女/ふっくらと/大きなチョコレート/石段・大きな木の下で/アモンチラードの指輪/小正月/1950年のバックトス/林檎の香/ほたてステーキと鰻 |
●「北村薫のミステリびっくり箱」● ★★ |
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2010年09月
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めでたく60周年を迎えた<日本推理作家協会>、その前身である<探偵作家クラブ>、さらなる前身の江戸川乱歩主催<土曜会>時代の古い会報を見ると、当時の推理作家たちがいろいろな催しをやっていたことが判るのだそうです。 対談というのは楽しいものですが、テーマが自分に興味あることですとさらに楽しい。 なお、本書では鼎談も楽しいですが、付録のCDが貴重。 将棋(逢坂剛&高橋和)/忍者(馳星周&川上仁一)/嘘発見器(北方謙三&今村義正・萩原伸咲)/手品(綾辻行人&ヒロ・サカイ)/女探偵(加納朋子&大徳直美)/声(宮部みゆき&戸川安宣)/映画(山口雅也&小山正・濱中利信)/落語(逢坂剛&立川志の輔) |
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