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河原崎ゼミナール日程表2004年後期

2004年後期 テ−マ

01. 公務執行妨害罪 論点 02. 虚偽申告の罪/誣告罪 
03. 犯人蔵匿罪 04. 収賄罪 論点 職務関連性

賄賂罪

保護法益

a判例通説・・信頼保護説
公務の公正とそれに対する社会一般の信頼
抽象的危険犯?

b不可買収性説・・平野
職務に関する不正な報酬の授受を禁ずる。
a説に近い


c純粋性説・・曽根、町野
職務行為の公正
加重収賄(おう法収賄)・・侵害犯
受託収賄・・・・・・具体的危険犯
単純収賄・・・・抽象的危険犯
徹底したc説は現行法ではとれない。

ローマ法・・・不可買収性
ゲルマン法・・職務が不正に行われた場合


判例
公務員の抽象的職務権限の範囲内・・いつの時点?


職務関連性
職務行為
職務密接関連行為

最高裁:61.6.27,受託収賄

再選後の職務
職務権限・・現に市長として一般的職務権限
再選後の具体的に担当する職務の執行につき請託を受け、


最高裁:58.3.25,抽象的職務権限の変更、贈賄
県・・・宅建係長
↓
県住宅供給公社・・・開発課長

贈賄は、宅建係長の職務





あっせん収賄罪
公務員の地位利用公務員としての立場○
私人として

05. 放火罪 
放火罪
[1]概説
1】法益
公共危険罪
不特定または多数人の生命、身体、財産
副次的に、財産犯敵性格、生命、身体に対する罪としての性格
2】抽象的危険犯と具体的危険犯
1.	抽象的危険犯
 焼損すれば犯罪は成立し、具体的危険の発生を要件としない。
 108、109-1、116-1
2.	具体的危険犯
 公共の危険が発生して、初めて、犯罪が成立
 不特定多数人をして、目的物に延焼し、生命、身体、財産に危害を
 生じる危険を感じさせる状態
3】現住者などの同意の効果
   現住者、所有者の同意があると、別の構成要件となる。
   社会的法益に対する罪であるから、被害者の同意があったとはいえない。
4】罪数、他罪
1)罪数
公共の危険の数を基準
現住建造物を焼損する目的で非現住建造物を媒体として、火をつけ、焼損させた。
?	・・現住建造物放火の未遂
1.	他罪
保険金詐欺目的の放火・・・詐欺罪との併合罪
[2]放火および焼損の概念
1】放火行為
 公共の危険が生じないと、未遂
2】焼損
独立燃焼説・・火が媒介物を離れて独立に燃焼を継続する状態
効用喪失説・・目的物の重要部分が焼失し、その効用を失った。
耐火性建造物
最高裁1.7.7エレベーターのかごの化粧鋼板を燃焼させた場合:
[1]放火の客体の独立性
1】総説
複合建造物
1.	客体の一個性
 建造物の外観、構造、物理的接続性、延焼の可能性をも考慮し、社会通念上一個の建造物と認められるか
社殿
エレベーターと居住部分
医院専用の部屋と他の部屋は別
[1]現住建造物放火
1】意義
公共の安全のほか、居住する者、現在する者の生命、身体を保護
2】客体
現に人が住居に使用し、または現住する建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑
1.	現住、現在
人・・・犯人以外
住居に使用・・・起臥寝食。日常生活に使用
毀損せずに取り外せる物は、建造物の一部ではない。
居住者が留守でも住居
3】行為は放火、結果は焼損
4】故意
[5]非現住建造物放火
1】客体
1)1項
非住居、非現在の建造物、艦船、鉱
2)2項2】
1)抽象的危険犯
2)具体的危険犯
公共の危険の認識
判例:不要・・最高裁昭和60.3.28
多数説:必要・・・公共の危険は構成要件要素
続く

06. 住居侵入罪 論点 保護法益
07. 文書偽造罪

名義人
作成者
両者が一致する文書・・真正文書
両者が一致しない・・・不真正文書
作成者の意味
観念説・・文書を記載させた意思の主体を作成者
事実説・・実際に文書を記載した者を作成者

相違・・承諾を得た者が作成した文書
観念説・・承諾を与えた者が作成者
事実説・・現実に文書を作成したもの

印刷、タイピストが作成した文書・・・印刷工、タイピストが作成者になる。


甲代理人乙、甲代表者乙
通説・判例・・有形偽造・・本人のため、法律効果は本人に及ぶ
代理資格、代表資格と一体となして、1つの作成名義
少数説・・無形偽造・・しかし、文書偽造とする説あり、


名義人の承諾と私文書偽造罪の成否

交通事件原票中の供述書欄末尾
反則切符
運転免許証申請書
一般旅券発給申請書
入学試験答案

文書の性質上名義人自身で作成されることが予定されている文書を名義人の
承諾の下に作成したら、・・文書偽造




補助公務員
公文書の作成名義人の文書

作成名義人イガのものが作成した場合
手続き違反だが、権限あり、
代決者
補助者


内容虚偽・・・虚偽公文書作成罪の間接正犯
作成権限ない・・文書偽造

虚偽公文書作成罪 論点 間接正犯
08. 名誉毀損罪 論点 事実の証明
名誉毀損罪
侮辱罪
保護法益2元説
名誉毀損罪・・・外部的名誉・・社会が与える評価
侮辱罪・・・・・名誉感情

1元説
両者とも外部的名誉

両者とも、公然性が要件
事実の摘示有無が異なる
幼児、法人に対しての侮辱罪


公然
意義・・・不特定または多数が知りえる状態
伝播可能性

事実の摘示
人の社会的評価を害するに足りる程度の事実の摘示


事実の証明
昭和44年6月25日 最高裁大法廷:
刑法二三〇条ノ二の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法二一条による
正当な言論の保障との調和をはかったものというべきであり、
これら両者間の調和と均衡を考慮するならば、
たとえ刑法二三〇条ノ二第一項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、
行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、
根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、
名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である

「その誤信について、確実な資料、根拠に照らし相当の理由がある」は、規範的事実か?


構成要件該当阻却
違法性阻却事由・・証明が可能な程度に真実・・公共の利害に関し、公共目的は、行為の違法性の         問題である。
 注                公共の利害に関し、公共目的は、違法性の問題である    
                  違法性は、上記2要素だけでは阻却されない。
         これとは、別に真実を言った場合は、違法性が阻却されるとするのか。
                 
         
処罰阻却・・・旧判例

230条の2は、違法性阻却事由であるが、その文言を、訴訟法的表現を実体法的表現に引きなおすと、
違法性阻却事由の証明対象は、証明可能な程度の真実性である。・・大塚

最高裁、44.8.26
「刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、
その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、
犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である」
注 誤信の外の要件が必要なので、この説明では、過失をも罰している。・・・政策の問題
  確実な資料の存在の誤信、相当の理由があると誤信した場合も罰せられる
  前者は事実の錯誤    後者は違法性の過失
  両者をまとめて、規範的事実と理解はできる。

真実性の証明

挙証責任の転換

同時傷害
刑訴法の争点p160
挙証責任の転換が許容される条件、立証の困難性の外

@検察官の挙証から、被告人の挙証事項が推認される。
A通常、資料が被告人側にあること
Bその事実を除いても犯罪性を持つ

Bは当てはまらない

証明の程度

被告人が挙証することが便宜な部分があり、合理的であること
田宮(平野を引用、多数)・・証明の程度は、証拠の優越
判例(最高裁はない)・・・・厳格な証明


 違法性阻却事由なら、通常の違法性阻却事由の証明と同じ・・・証拠提出責任

 最高裁昭和30.12.9職権調査義務を認める。


続く

09. 横領罪 論点 不法原因との関連、背任との区別

不法原因給付と横領
708条の横領行為所有権を主張して返還を拒むこと
新説
708条の給付とは、終局的利益を与える行為・・所有権付与

横領、背任
○権限濫用説
背信・・法律行為
横領・・事実行為
○背信説
横領・・個々の財物
背任・・財産上の利益
○背信的権限濫用説
横領・・権限逸脱
背任・・抽象的権限内の権限濫用


10. 詐欺罪欺もう
一般人を錯誤に陥れる行為、 縁由の錯誤でよい、取引における信義誠実の原則に反しないものは違法性を阻却される。
処分行為 
論点 キセル乗車
処分行為
乗車駅基準説。処分行為は乗車駅の改札係り,列車乗務員
下車駅基準説
出改札札係り 、無意識の処分行為
事実的処分行為
つり銭詐欺
無銭飲食
電子計算機使用詐欺罪
「虚偽の情報」
電子計算機を使用する当該事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、 その内容が真実に反する情報ー他人のキャッシュカード使用ーー窃盗
準詐欺罪11. 恐喝罪 論点 権利の行使との関連
12. 窃盗罪

W 財産に対する罪
1.	財産犯総説
[1]概説
1】	財産犯
2】	財産犯の分類
1)	毀棄罪と領得罪
2)	直接領得罪と間接領得罪
3)	個別財産に対する罪と全体財産に対する罪
[2]財産犯の客体1】	財物
1)	有体物と無体物
物理的可能性説
情報――物に化体
2)	不動産
2】財産の他人性
1)所有権の対象としての財物
ロストボール
2)禁制品:覚醒剤
保護法益は「事実上の占有」
3)	他人性
民法と異なる。不法原因給付
3】財産上の利益
強盗、詐欺、恐喝

[1]財産犯の保護法益
1】刑法上の財産
2】	奪取罪の保護法益
本権、242条は権原による占有・・・不可罰的事後行為の説明可能
占有
平穏なる占有
[4]不法領得の意思

1】意義
権利者を排除し、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い、
使用、収益、処分する意思
2】効果
保護法益との関係
一時使用の不処罰
価値の高い場合は窃盗
毀棄罪との区別、刑の均衡

2.	窃盗罪
[1]概説
意義
[2]占有の意義
1】	刑法上の占有の意義
財物に対する事実上の支配
2】	占有の要素
1)	占有の意思
2)	占有の事実
肯定:一定の場所に帰ってくる動物
否定:河川の砂利・・事実上の支配がない
3)	占有の存否に関する問題
a)占有の意思と占有の事実の関係
占有の意思により、占有が認められた判例
地震に際し、道路に荷物を置いた場合、
海中に落としたが、場所を特定できた場合
第3者の事実支払い
一般の公衆が出入りできる場所・・・占有離脱物
電話ボックス内に忘れられた硬貨・・・電話局長の占有
客が旅館内の便所に遺失した財布・・・旅館の主人の占有
b)死者の占有
当初から物を奪う積もりで殺した場合・・・強盗殺人の既遂
殺害した後に、財物奪取の意思が生じた場合・・・窃盗:
理由:生前有していた占有を死後奪う、時間的、場所的に近接している場合
  :全体的観察
殺害後9時間経過した後は、占有離脱物
殺害された後代三者が奪う場合・・・占有離脱物横領
4)	占有の帰属
共同占有
上下関係
封緘委託物
鍵がかけていない現金の入った鞄の持ち逃げ
委託者に事実上の支配あり、
受託者に排他的な支配はない
[1]窃取行為
1】	窃取とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、
       自己又は第三者の占有に移すこと
2】	着手時期
   占有侵害の現実的危険を含む行為を開始したとき
   物色のためたんすに近づいた
    物色行為
    土蔵、倉庫の場合
    アタリ行為
3】	既遂時期
   取得説
他人の占有を排除し、財物を自己又は第三者の占有に移した時点
他人の家の浴室内の隙間に指輪を隠した場合・・既遂
4】	罪数、他罪
(1)罪数
窃取行為(占有侵害行為)の数
数人の所有物を一人が占有しているのを全部窃取・・・1罪
(2)他罪
違法状態続く状態犯・・その後の処分は不可罰的事後行為
[4]不動産侵奪罪
1】	意義
2】	客体
他人の占有する不動産
立木の場合は、窃盗罪となる
3】	行為他人の占有を排除し、自己又は第三者の占有を設定すること
例
土地上に建築する。
土砂の搬出、搬入
境界をずらして隣地を取り込む
4】	主観的要件
不法領得の意思
5】	財数、多罪との関係
不動産侵奪のため、住居進入・・・観念的競合
暴行、脅迫を用いて不動産侵奪・・2項強盗
[親族相盗]
1】	意義2】	趣旨・・・一身的処罰阻却事由
    法は家庭内に入らない
3】	要件
親族
民法の規定で親族を決める
  行為者と、目的物の所有者および占有者双方との関係


登録 2004/7/24