&nbsp登山NO.0039 塩 見 岳( 塩見岳:3,047m ) 1992.7.31登山


 三峰岳から見た塩見岳( 1992.7.30 )
【塩見岳登山記録】

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再登山


NO.39 塩見岳登山記録

間ノ岳の項から続く。

本日も晴天。昨日の縦走でかなり日に焼けたらしく、腕や首周りがヒリヒリする。
目を上に向ければ、本日登る塩見岳が朝日を浴びてそのズングリした姿を輝かせ、縦走最終日を飾るにふさわしい山容を見せてくれている。
テントをたたみ、隣のテントの人にお礼を言ってロープを返してから出発したが、さすがに今日は昨日ほどのエネルギーがないのが自分でも分かる。
しかし、本日は塩見岳まで登り切れば、後は下り一本であろうし、順調に進めば家でメシが食えるということで、 頑張ろうと気力を出して重い荷を担いだ。

登山道は、崩壊が凄まじい北荒川岳西側斜面を避けるようにして付けられていて、 ガイドブックによれば、かつての登山道は今や崩壊・浸食されてしまって、フワフワ揺れるハイマツの橋だけになっているとのことである。
まさにその通りで、本当に浸食・崩壊は凄まじく、今の道とて浸食されてしまわないとも限らないと思われる状況であった。
樹林の中を暫く進むと、やがて稜線に出て、正面に塩見岳へと続く道がはっきり確認できるようになった。

砂礫とハイマツの道を進み、左下に雪投沢 (ユキナデサワ) 源頭にあるキャンプ地を見て、 緩やかな登りから徐々に勾配がキツくなってくると、やがて北俣岳分岐となり、 左に北俣岳の小さなピークとその右横に富士山が顔を出しているのが見えた。
右手にガレ場、左にハイマツといった馬ノ背状の尾根を進み、そこからチングルマなどが咲き乱れる稜線の左急斜面を息を切らせながら登っていくと、 やがて塩見岳東峰頂上に着くことができた。
そこには立派な標柱があり、「南アルプス塩見岳 (東峰) 標高 3,052m」 と書かれていたが、 塩見岳の標高は 3,047m (西峰) のはずで、それより高い標高であるのに何と不遇な峰だと思わずにはいられなかった。
剱岳のように 2mの差で 3,000mに届かずに涙を飲んでいる (地元も悔しがっている) 山もあれば、 このように 5mも高いのに三角点が置かれた場所が西峰だったがために、 地図上では 3,047m になっていて、それが問題視されない山もあるのであり (本当に問題視されていないのかどうかは知らないのだが・・・)、 なかなか世の中ままならないものである。

東峰から見る景色は素晴らしく、北側の仙丈岳から始まって右へ、 私の知っている主な山でも、甲斐駒ヶ岳北岳間ノ岳、 西農鳥岳、農鳥岳、広河内岳そして富士山と続き、 南には悪沢岳、荒川中岳、茶臼山から 中央アルプスへと続いていて、 南アルプスの展望台そのものであった。

また、中央アルプスの右手には北アルプスが見えてもおかしくないのであるが、 この日は残念ながら遠くが霞んでいて、一つ一つの山を確認できなかったのが残念であった。
一方、三角点のある西峰には、標柱ではなく壊れかけた立派な標識があり、そこには 3,046.9m と書かれていた。
この西峰も当然のごとく展望は素晴らしく、この塩見岳を南アルプスの 「へそ」 と呼ばれた方がおられたようであるが、 まさに的を得た表現であると言える。

昨日の間ノ岳と同じように、 いつまでいても見飽きない光景が目の前に広がっていたが、最終バスの時間は午後 1番と早く、もっと眺めていたいという思いを断ち切っての下山となった。
塩見岳からはガラ場を下って一旦コルに下りてから天狗岩に登り返し、そこからまたガラガラした岩場を下っていくとハイマツ帯に入ることになり、 やがて塩見小屋に下り着いた。
塩見小屋でポカリスエットを買って喉を潤したが、見上げれば今までよりも尖った形の塩見岳が逆光の中で黒々とした姿を見せており、 これで縦走も終わったんだという気がフツフツと沸いてきた。
しかし、そう思ったのは間違いで、塩見小屋からはシラベの樹林帯を進むと、そこから三伏峠まで本谷山を初めとしたいくつかのピークがあって、 下り一本などとんでもない状況であった。
そして、塩見岳を登り終えてこの縦走は終わりだと思ってしまった自分の心とはかなりギャップがあったため、 結構この登り下りがきつく感じられた。

三伏峠に着いたのが 11時ちょうどで、塩川土場のバス発車時間が午後 1時半、 間に 2時間半しかないので三伏峠からの下りは重い荷物を背負っての駆け足下山となった。
冷静に考えれば、地図上で三伏峠から塩川土場まで 3時間となっており、足に自信のある自分としては 2時間半で降りることは十分に可能であると思ったのだが、 重い荷物を背負っていたため何となく自信がなく、慌てて駆け下りることになったものである。
先を行っていた下山者や、これから登ろうとする人にはかなり迷惑をかけた形となったが、お陰でバスの発車時間 20分前に塩川小屋に着くことができた。

小屋で、水道水で冷やされたリンゴを買って空腹を満たし、汗に濡れた上着を着替えるまでの余裕が生まれたのだが、 三伏峠から塩川土場までの行程がどのようなものだったかほとんど覚えておらず、唯一水無川あるいは塩川の水を飲んで喉を潤したことだけを覚えているといった慌てた下山であった。

それにしてもこの 3日間は、天候に恵まれ本当に楽しい (けれど苦しい) 縦走をすることができて大変幸せを感じ、 また宮崎ではなかなか山に登れなかった鬱憤がいっぺんに吹き飛ぶなど、私とって心に残る素晴らしい山行であった。


塩 見 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ 登山日:1992.7.31 天候:快晴 単独行 前日泊
登山路:北荒川岳(テント泊)−雪投沢分岐−北俣岳−塩見岳− 塩見小屋−本谷山−三伏峠−塩川土場(塩川小屋)
交通往路北岳の項参照
交通復路:塩川土場−(バス)−伊那大島−(飯田線)−岡谷−(中央本線)− 八王子−(横浜線)−橋本−(相模線)−海老名−(相鉄線)−瀬谷
その他:7月30日は北荒川岳キャンプ場泊。翌31日塩見岳登山。
その後帰宅。
その他の
塩見岳
登山
鳥倉林道駐車場−登山口−三伏峠−三伏山−本谷山−塩見小屋−塩見岳(西峰・東峰)(往路を戻る) ( 2011.7.14:快晴後曇り )
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