登山NO.0068 剱  岳( 剱岳:2,998m ) 1996.9.1登山


 剱御前直下より見た剱岳( 1996.8.31 )

【剱 岳 登山記録】

【剱 岳 登山データ】

フォト


NO.68 剱 岳 登 山 記 録

立 山の項から続く。

前日、剣山荘の前で休んでいると、若い男性が空身で剱岳から下りてきて、 彼を山荘で待っていた同僚が 3時間で頂上を往復してきたのでスゴイと盛んに誉めている光景に出くわしたが、 地図で見ると山荘から剱岳往復は 4時間20分となっており、確かにスゴイと思う一方で、 明日は私も頑張って見るぞという気力が沸いてきたのであった。
翌日は多人数のため食堂が混雑する中、かなり早い時間に朝食を食べることができ、幸運にも 6時に山荘を出発することができた。
荷物を山荘に置き、サブザックに水筒と雨具そして若干の菓子類を詰めて、カメラをぶら下げての出発であったが、 やはりこの位背中が軽いと足取りも快調である。

山荘からすぐに急な登りとなり、小さい岩がゴロゴロした道を登ってやがて稜線に出ると岩場に変わり、 それを登り切った所が一服剱であった。
一服剱の目の前には大きな岩山が立ちはだかっており、最初はそれが目指す剱岳と思ったが、 よく地図を見るとそれは前剱で、その大きく堂々とした姿は剱岳の前衛としての役目を立派に果たしていると思われた。
一服剱からは一旦武蔵のコルまで下り、またすぐにガレた岩場の登りとなったが、朝食も食べずに早く出発した団体がそのコルで休んでいたので、 これ幸いと抜かせてもらった (鎖場で渋滞となっては堪らない)

ガレ場の登りは前剱への登りで、朝の気だるさの中ではなかなか手強く感じられ、 山腹を喘ぎながらジグザグに登っていくと、やがて大きな岩を左側から越して岩稜帯を進み、 前剱の上に出ることになった。
前剱をトラバースするルートもあるようだったが、私が進んだ道はそのまま前剱の上に飛び出すもので、 細長いその頂上には小さな標識があり、その向こうにどっしりとした剱岳本峰を見ることができた。
前剱からまた下っていくと鎖場が現れ、いよいよだという感じにさせられたが、ここは垂直の岩を横にトラバースするもので、 足場となる岩のでっぱりはかなり大きく、また鎖もしっかり付けられているので、足の下は崖であったものの難なく通ることができた。

その後、門と呼ばれるコルへの下りにも鎖場があり、2本ある鎖のうち矢印に従って右側を使用して下ると、 門からはまた岩稜帯の登りとなった。
やがて東大谷側に入ることとなり、そこからまた鎖場を乗り越し、岩稜を越えてさらに進むと平蔵のコルであった。
いよいよ鎖場のクライマックスである カニのタテバイへの挑戦だが、やや薄暗い所にある垂直の岩に鎖が長くつけられており、 手強そうだなと思われたものの、前後に全く人がいないという幸運に恵まれ、自分のペースで登ることが出来た。
また 登ってみた感じは、随所にボルトが埋め込まれていることもあって足場がしっかり確保できることから、見た目ほど難しくはなく、 逆に登っている最中に爽快感さえ覚えた位であった。

登り切った後はガレた場所を登り、大きい岩の上を飛ぶように進んで行くと、やがて祠が見え、 剱岳山頂に着くことができた。
頂上の展望は素晴らしく、南には昨日登った別山、その後ろには立山、 そして立山の右奥には笠ヶ岳黒部五郎岳、 そして薬師岳など過去に登った懐かしい山々を見ることができた。
また立山の左手奥には槍ヶ岳が、 そしてその左、南東にはうっすらと富士山が認められ、 東には鹿島槍ヶ岳五竜岳などの山々が見えて、 その展望に暫し見とれるとともに、多くの山を同定できるようになった自分の成長を誇らしく思ったのであった。

下山は途中から往路と分かれ、カニのヨコバイを伝うことになったが、 タテバイよりもこちらの方がスリルがあり、途中鎖を持ったまま身を空中に放り出すようにしなければならないところがあって、 少々ゾクッとさせられた。
カニのヨコバイを下りきったところが平蔵谷のコルで、丁度往路と反対側を回ってきたことになる。
後は、勢いで往路をそのまま戻ればよく、一気に駆け下る感じで下山した。
剣山荘に着いたのは 9時5分過ぎで、約 3時間の往復時間であり、昨日の人とほぼ同じだったことに一人満足したのであった。

剣山荘からは剣沢を通るか、昨日と同じ剱御前直下を歩くか迷ったが、 剱岳の好展望が得られた昨日の岩場からもう一度剱岳を見たくて、結局往路と同じ道を辿ることにした。
そして、その岩場から剱岳の姿を暫し眺め、名残を惜しんだのであった。
剣御前小屋からはガラ場の下りで、雷鳥平目指して一気に下ることになったが、結構距離が長く、いい加減うんざりさせられた (いつもそうだが目的を果たすとその帰りは気が抜けて足が重たくなる)
みくりが池温泉に浸かって汗を流し、室堂からは観光客の群に混ざって美女平行きのバスに乗り、富山へと向かった。
この 2日間は大変充実した登山であった。満足、満足。


剱 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1996.9.1 天候:晴れ後曇り単独行前日泊
登山路:剣山荘()−一服剱−前剱−平蔵のコル−カニのタテバイ −早月尾根分岐−剱岳−早月尾根分岐−カニのヨコバイ−平蔵のコル−前剱−一服剱−剣山荘−別山乗越−浄土川 −雷鳥平−みくりが池温泉−室堂
交通往路立山の項参照
交通復路:室堂−(バス)−美女平−(ケーブル)−立山−(富山地鉄)−電鉄富山・富山 −(北陸本線・信越本線)−長岡−(上越新幹線)−東京−(京浜東北線)−横浜−(相鉄線)−瀬谷
その他:8月31日は剣山荘泊。翌9月1日剱岳登山。下山後帰宅。


山のメインページに戻る   ホームページに戻る