登山NO.0070 仙丈ヶ岳( 仙丈ヶ岳:3,032.6m ) 1997.8.23登山


 小仙丈ヶ岳より見た仙丈ヶ岳方面( 1997.8.23 )

【仙丈ヶ岳登山記録】

【仙丈ヶ岳登山データ】

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再登山

再々登山


NO.70 仙丈ヶ岳登山記録

私にとって山登りの書き入れ時は夏なのであるが、今年の夏は台風のために計画を滅茶苦茶にされてしまった。
会社の夏休みは 7月26日から 8月3日までの 9日間で、その前半4日を光岳・聖岳の縦走に充てるつもりでいたのだが、 台風9号のために計画はやむなく中止とせざるを得ず、残りの5日間は家族との北海道旅行他で費やしたため、どこにも行けない結果となってしまったのである。
そしてその後の土日も、天候が芳しくなかったことや、お盆の交通ラッシュに巻き込まれることへの躊躇などで、結局、どの山にも登れず今日まで至ったという次第である。

こういう時はストレスが高じてくるもので、そうなると歳を考えず、結構思い切ったことをやってしまうことが多いのであるが、 今回も仙丈ヶ岳への日帰り登山を試みてしまった。
今回百名山を登ると 70番目の山となり記念すべき山行となることから、光岳にその栄誉を与えようと考えていたのであるが、 前述の通りそれが叶わぬこととなったため、それに匹敵する横綱級の山として選んだのが仙丈ヶ岳である。

日帰りにしたのは、夏の山小屋の混雑がどうも苦手で出来るなら避けたいと思ったからであり、車で広河原まで行き、 広河原9時発のバスで北沢峠まで行って、そのまま仙丈ヶ岳に登った後、15時10分北沢峠発のバスで帰ってこようと計画したものである (そのバスに乗れなかった場合は広河原まで歩く心づもりでいた)。

広河原発北沢峠行きのバスの時刻はJTBの時刻表で調べたのであるが、念のため出発前日に芦安村役場に問い合わせたところ、 8月の間は朝 6時50分の臨時バスを出しているとのことで、山は朝早いうちに登った方がガスも上がってこないし、 また遅くなって午後に夕立に合うことも避けられると思い、急遽 6時50分のバスを目指すべく計画を練り直した。

朝というより深夜 2時半に起床 (睡眠時間は3時間半) し、3時に横浜の自宅を出発。
国道16号線を八王子に向かい、八王子ICから中央高速に入って甲府昭和ICで降り、順調に広河原への道を進んで行き、 夜叉神峠登山口にて甲府からの定期バス2台を追い越したまでは良かったのであるが、長い夜叉神トンネルを抜けた頃から車のフロントグラスにポツリポツリと水滴がつき始め、 広河原に着いた頃には完全に傘を必要とする降りとなっていた。

広河原に着いたのは 6時5分位であったが、もう既に広河原付近の駐車場は満杯状態で、 人もかなり歩いていたのにはビックリである。橋を渡った向こう岸にある広場には空きスペースがあったが、 北沢峠へのバス発着所からは遠くなるので来た道を戻り、路肩の空きスペースを見つけて車を止めた。
北沢峠へのバス発着所には既に 40人くらいの人が並んでおり、これまたビックリさせられたが、最終的にはバス 6台を出すほど盛況で、 登山ブームは本物だと実感させられた。

アルペンプラザからは、天気予報は晴れとなっておりこの雨も止むものと思われる、との放送があり、 その通りに雨はやや小降りとなって、空の一角に青空も現れたりしたが、結局雨は止むことがなく、仙丈ヶ岳の登山基地である北沢峠を 7時25分に出発した時には、 雨具と傘が必要であった。

仙丈ヶ岳に登るのにどのコースをとろうか迷ったが、雨も降っていることから一番楽と言われる薮沢沿いのコースをとることにし、 車道を戸沢側に少し歩き、大平山荘入口の標識を見て山に入った。
道は下りになり、ジグザグに樹林の中を暫く行くと、目の前に駐車したトラックと車道が現れたのには少々ビックリしたが、これは戸沢への車道が再び現れただけであり、 そのそばには大平山荘があった。

山荘からすぐ樹林帯に入ると、最初は緩やかな登りが続き、やがて小さな沢を横切ると道はジグザグの急登に変わったが、 後で考えると雨もこの時が一番強く降っており、憂鬱な気分も加わって、傘を持ちながらの登りは結構辛いものがあった。
登り着いた尾根からは、本来ならば大滝が見えるとのことであるが、濃いガスのため何も見えず、またその先の平坦な道でも右側の谷から沢音が聞こえてくるものの、 ガスに包まれ全く何も見えない状況であった。

やがて道は緩やかに下り始めるとようやく右下に薮沢の流れが目に入るようになり、 さらに先に進むにつれて薮沢との高さが縮まって岸へと近づき、そのまま橋を渡って左岸へと移ることになった。
そこからは沢沿いの道がかなり続いたが、盛りを過ぎたとは言え、高山植物が道の周辺に咲いており、目を楽しませてくれた。
ありがたいことに、この頃には雨は止んでくれたが、ガスがかなり出てきており、見えるのは沢の周辺だけで、前も後ろも全く景色は見えない状況であった。

何回か沢を左右に移りながら進むと、やがて薮沢小屋からの道と合流し、そのままそこから沢を離れて右上へと登る道となり、 暫くして目の前に丸太造りの立派な馬ノ背ヒュッテが現れた。
ヒュッテに着いたのは丁度 9時で、ここまで 1時間半というペースであり、疲れもあまり感じなかったので、 水で喉を潤した後そのまままた樹林帯の中へと進んだ。
ここもお花畑ではあるが、さすがに季節はずれという感じは否めず、わずかに花が咲いているだけであった。

やがて馬ノ背と書いた立派な標識が現れて丹渓新道を分け、さらに少し先で今までのダケカンバからハイマツへと樹木が変わると、 一気にアルペンムードが高まったが、先程来のガスのために細い尾根道の両側に何があるか全く分からず、また尾根道も目の前 15m位を確認するのがやっとの状態であった。

道は尾根からはずれて左の方へと登るようになり、水場を過ぎるとガスの中に色鮮やかなテントがいくつか見え始め、 やがて三角の屋根をした仙丈小屋の前に出た。
仙丈ヶ岳の頂上に登った時、ガスが一瞬晴れてその地形に気がついたのであるが、ここは仙丈ヶ岳の有するカールの一つとなっており、 見上げれば仙丈ヶ岳がすぐ上に見えるはずなのであったが、この時はガスのために全く何も見えなかった。

仙丈小屋からは、右手に進み、小さな岩や岩屑でガラガラした道を登っていき、右からの地蔵尾根の道と合流したあと稜線に出て、 2つ程の小山を越えると仙丈ヶ岳山頂であった。
到着は 10時5分

頂上には赤く塗られた三角点の他、信仰を物語るいくつかの石碑があり、また仙丈ヶ岳を表す立派な標識の他、 赤石岳頂上で見たような丸太の輪切りをいくつか組み合わせ、そこに仙丈ヶ岳と書いた標識も置かれていた。

頂上は、吹き上げてくる強い風がガスを運んできて、視界ゼロの状態であったが、時としてガスが切れ、 先ほど通ってきた仙丈小屋を含む薮沢カールが一瞬の間見えることもあった。
頂上で 30分ほど粘ったが、ガスは途切れる気配を見せなかったので、下山にかかり、小仙丈ヶ岳の方へと向かった。
いくつかの小さなピークを越えていくと、薮沢のカールとは反対側の小仙丈沢カールが見える位置となったが、 不思議なことにこちら側はガスがほとんど発生しておらず、小仙丈沢カールの全貌がよく見えるとともに、はるか向こうには雲の切れ間に地蔵岳のオベリスクを確認することができた。

小仙丈ヶ岳へと進む間に、天候も急速に回復を見せ、小仙丈ヶ岳に着いた頃には、 すっかり夏山の気分を味わえる程に太陽が輝いていたが、心なしか太陽の光の中にも柔らかさが感じられ、秋の気配を少々漂わせていた。

小仙丈ヶ岳頂上からは小仙丈沢カールと仙丈ヶ岳方面を良く見ることができたが、 カール上部にほんの少し見える山が仙丈ヶ岳であったのだろうか、また反対側には雲の切れ間に摩利支天の一部をみることができた。

小仙丈ヶ岳からは、暫くアルペンムードの下りを楽しむことができ、本日のような天候の変化において、 このような絶好の場所でタイミング良い天候となったことを大変ラッキーに思った次第である。
やがて森林限界に近づいたが、付近の平坦地から後ろを振り返ると、山肌を覆うハイマツの見事な緑が青い空へと延びていて素晴らしい美しさであった。

森林限界を過ぎてからは樹林帯の急坂をひたすら下り、北沢峠には 12時10分に着き、 13時15分のバスにて広河原に向かった。


仙 丈 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1997.8.23 天候:雨後晴れ単独行日帰り
登山路:北沢峠−大平山荘−滝見台−薮沢−馬ノ背ヒュッテ−馬ノ背− 仙丈小屋−仙丈ヶ岳−小仙丈ヶ岳−五合目−二合目−北沢峠
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央自動車道)−甲府昭和IC−芦安村−広河原(ここまで車)、 広河原−(マイクロバス)−北沢峠
交通復路:北沢峠−(マイクロバス)−広河原、 広河原−芦安村−甲府昭和IC−(中央自動車道)−八王子IC− 瀬谷(広河原より車)
その他の
仙丈ヶ岳
登山
北沢峠−大平山荘−馬ノ背ヒュッテ−馬ノ背−仙丈小屋− 仙丈ヶ岳−小仙丈ヶ岳−大滝の頭(五合目)−二合目−北沢峠 ( 2006.10.09:快晴 )
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北沢峠−一合目〜四合目−大滝ノ頭(五合目)−六合目−小仙丈ヶ岳−仙丈小屋分岐−仙丈ヶ岳− 仙丈小屋−馬ノ背−馬ノ背ヒュッテ−仙丈藪沢小屋−大滝ノ頭−四合目〜一合目−北沢峠 ( 2013.7.16:曇り )
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