どこの町にもインターネットカフェがあり、代書屋のタイプライターがパソコンに代わり、町の印刷屋がDTPを始め、駅には市民が自由に利用できるコンピュータ端末が設置され、書店にはパソコン雑誌はもちろんCGの専門雑誌まであり、学生はEメールに夢中になり、バスで相席した兄ちゃんがSolarisやJavaのプログラミングの話を始め……

 全部、ホントです。でも、ざっくばらんに言っちゃうと「物事には裏表がありますから、こういう言い方もできます」と添えるべきでしょうね。かといって、その筋で話題の中国の二足歩行ロボット先行者のように簡単にあなどれるものでもないでしょう。

 ま、あれもあります、これもありますと記しても実態と懸け離れたものになりそうです。何たって原爆や人工衛星から古代インダス時代そのまんまの牛車や水瓶まで、さらにはオリジナルの電動石臼やリモコンケースまである工業大国ですから。さりとて学生が百万円もするソフトを使ってデジタル人形のCG作っている日本と比較するのも何ですし……。

 そこで、あくまでもインド庶民の視点からピーピングしてみましょう。
 というわけで、最初はグラフィック系ソフトウェアのお値段です。

*1ルピーはおおよそ2.5円。
*瓶詰めのコーラが10ルピーしますから、感覚的には10円。
(定食の値段を基準にすると、さらに格差は広がります。)

ADOBE商品名 ルピー 2.5円換算 10円換算
Photoshop 6.0 32,000 8万円 32万円
Illustrator 9.0 22,000 5万5000円 22万円
Acrobat 5.0 12,000 3万円 12万円
GoLive 5.0 16,000 4万円 16万円
LiveMotion 8,000 2万円 8万円
PageMaker 6.5 26,500 6万6250円 26万5000円
InDesign 1.5 40,000 10万円 40万円
 主要なソフトはインドでも入手可能です。Design CollectionやWeb Collectionといったパッケージものも売られています。通常のレート換算ですと、ま、妥当なところでしょうか。しかし、いわゆる安売り店があるのかどうかはわかりません。大都市ではパソコンショップがありますが、これもいわゆる専門店。
 実際の現場で最新バージョンが使われているのはマレで、Photoshopで5.0あたりといったところ。なお、ソフトの広告にはMac対応、Win対応の記述がありません。その理由は次のハードのお値段で。