「ともかくMLDのことを知りたかったらULFに連絡を」ということは、インターネットでMLDの情報を探し始めてすぐに気がつきました。米国の関連サイトにも必ずといっていいほどそう書かれているし、「家族がMLDと診断されたがどうしていいかわからない」といったインターネット上の会議室(newsgroup)への投稿にも、患者の家族や医者から「まずULFに連絡しなさい」というアドバイスが返ってくるわけです。ULFのホームページ自体にはそれほど情報量はなく、それは患者の家族のネットワークへの窓口に過ぎません。「まず電話を」というのは、米国人であればいちばん話が早いのはよくわかるのですが、こっちはULFがどんな団体かよくわからないし、そもそもMLDという病気のこともよくわからないという状況ではなかなかそうはいきません。手紙も何度も書こうと思ったけど、日常や、MLD
HomePageの制作にまぎれて、とうとう一年近く経ってしまいました。しかし、鴨下先生、衛藤先生に相次いでお会いして、お二人ともULFと昔からつながりがあるといった話を聞くにつれ、「これはともかく一度実際に行って会ってみないとしょうがない。会合に一度参加すれば、英語が不自由でもなんとなく感じもわかるし、その後はメールのやりとりでもコミュニケーションがとれるだろう」と、大会参加の気持ちが高まってきたわけです。
今回の大会はULFの本拠地であるイリノイ州のSycamoreという町で開かれます。シカゴから西に150kmほどの大平原の中の小さな町のようです。23日から25日までの3日間が会期で、参加者は市内のホテルに分宿し、会場への送迎はシャトルバスで行う、という話なので、けっこう大きなカンファレンスなのでしょう。ちなみに参加費は宿泊費を含めて$220〜450。私のようにシングルルームを必要とする参加者は$600です。宿泊施設を自分で手配できる人は$75ですから、ほとんど宿泊費ですね。これくらいならまぁなんとかなるのですが、日本からの交通費なんかも入れると結構な金額になってしまうので、今回無理矢理カナダでの取材の仕事を作り、航空券はその取引先に都合してもらえるように計らいましただから、ULFの大会のあとはすぐにバンクーバーに飛んで1週間ほど仕事をして帰ることになります。あんまり長期間家を空けるのはいろいろまずいのですが、しかたがありません。この仕事のやりくりがうまくいくかもぎりぎりまでわからなかったので、結局航空券の手配が確認できたのはリピドーシス学会の終わった後。ULFとは電子メールとFAXで参加申し込みの手続きを行いましたが、まだ、カナダでの宿泊先や仕事のスケジュールは決まっていないといういいかげんさです。もっとも、私は仕事がらこういうのには慣れているので、現場でなんとかなると楽観的に考えています。
大会は正式には“ULF 17th Annual National Conference”といい、“Love
and Science '98”というキャッチフレーズがついてます。いかにもアメリカ的ですね。「愛と科学」ですか。負けそう。プログラムは(送られてきてもいいんはずなんだけど)ないので、細かい内容は実はよくわかっていないのですが、手元の資料によると「最新情報」「他の家族とのネットワーキング」「専門家による個人懇談」「勉強兼一休み」だそうです。最新の研究についてはリピドーシス研究会でだいたい理解できたこともあり、個人的には米国の家族が介護にどんな工夫をしているかに興味をもっています。おそらく日本ではあまり知られていない便利な介護用品なんかがあるのではないかな。
ちなみに、日本からは慈恵会医科大の衛藤先生が招待されているということは知っているのですが、たぶん他には日本人はいないのではないかな。私もけっして英語は堪能というわけではなく、人と会うのも苦手なのですが、いざとなったら衛藤先生に泣きつくことができるというのが、参加決断の最後の一押しになりました。(※しかし実際には衛藤先生は研究者の会合だけで帰国されたので現地ではお会いできなかった)
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