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air_mail.gif (2009 バイト) ULFで会った人たち        
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bt_cube.gif (262 バイト) ロン・ブラジール

ron.jpg (3795 バイト)←Ron Brazeal氏と、とーちゃん。MLD HomePageを見せたらえらく喜ばれました。とーちゃんの着ているトレーナーにも注目。オレンジ色の名札はMLDの印。

 Ron Brazealと奥さんのPaula Brazealは1982年に白質ジストロフィー患者のための大会を組織しました。
このときの参加者は50人だったそうです。

 ULFの歴史については、ちゃんとした資料がないのですが、ともかく、この時以来白質ジストロフィーの患者とその家族のサポートと、関連した研究のサポートに多大な貢献をしてきたことは間違いありません。
 出発前に一応ロンにe-mailを入れて、これこれこういう者だが、是非よろしくとだけは伝えておいたのですが、どうも、ポーラの方が患者の家族向け大会の運営担当でロンが学術会議の運営を担当するという分担だったようで、なかなか現地で挨拶する機会がありませんでした。何回か見かけはしたんですが、すぐに誰かにつかまってしまうし。2日目の夕食をとっているとき、同席した医者がMLD HomePageを見せたら感心して、離れたテーブルにいたロンを呼んでくれました。
 ブラジール氏は、見た目こそギャング映画でマフィアのドンの役をやらせたら似合いそうな気もしますが、実は冗談好きの気さくなおっちゃんです。人なつっこくて、思い立ったことをストレートに口に出したり行動したりするので、周りの人もいつのまにかそのペースに巻き込まれて協力してしまう、という感じなのではないでしょうか。個人的に追いつめられた立場にいて、しかもその状況は千差万別の患者やその家族達と、一線の研究者達をまとめて、一つの方向をめざすのは想像を超えた難事業だと思うのですが、あんまりそういうことを感じさせないで、あたかも普通のことを積み重ねてきたらこうなったんだよ、というな雰囲気を感じさせるところが、またすごいところです。そういう意味じゃ映画「ロレンツォのオイル」で描かれるところのオドーン氏なんかとはだいぶタイプが違うのでしょうか。ともかく、これからもメールで連絡をとっていこう、という話になりました。
 このULFの大会にも、いままで何回か日本人の家族が参加したことがあるし、ULFの会員になっている人はもっといるそうです。おそらく大ALD患者の家族じゃないかと思うのですが、ロンもそれほど詳しい記憶はないようでした。MLD患者の家族がいるか、いた場合は連絡先を教えてもらえるかということは、あらためて書面で依頼することにしました。ちなみに、このあたりのプライバシーの管理は当然ですがかなりしっかりしているようで、大会の参加者についても特に名簿のようなものは配られません。名前と病気は名札でわかるので、あとはお互い声をかけて、必要なら連絡先を交換するという仕組みです。
 そういえば、これはロンではなく、研究者が話していたことですが、アジアではたとえば韓国にはALD患者の会があって、ときどき話題になが、相当数がいるはずの日本の患者の話は聞いたことがない、不思議だ、ということでした。そういえば、先日のリピドーシス学会でも、ALDに関する発表が少なく、しかもそのうち一つは韓国人の患者に関するものでした。日本のALDの患者の家族とは、1家族とだけ連絡がとれているのですが、このあたりどうねってるのでしょうかね。
 あと、ロンとは、具体的な話として、ULFニュースのバックナンバーの中で、まだ手元にあるものを後日まとめて送ってもらうようお願いしました。内容は元記事がULFニュースであることを一筆入れれば、自由に翻訳、掲載してよいといわれましたので、いずれMLD HomePageでも関連情報を公開していく予定です。あと、ULFが発行している小冊子も手に入れるつもりだったのですが、絶版になっているものが多く、あまり手に入りませんでした。

 


bt_cube.gif (262 バイト) 名札の秘密

name_holder.jpg (4464 バイト) 何回か断片的に書いてきましたが、会場では名札が非常に大きな役割を果たしてます。いろいろ聞いてみると、原因や医学的な分類がかなり違っていても、ここに集まっている疾患を抱えた患者や家族の悩みはかなり似てます。むしろ日常的に直面する問題という意味では、発症年齢による差の方が大きいかもしれません。考えてみると、医学書なんかは、「どこが特徴か」といったところを中心に書かれているわけですから、実状以上に相違点が強調されるのかもしれません。MLDの場合には、白質ジストロフィーに共通する脳神経障害だけで、それ以外の全身症状がない、というのも、そう感じさせる理由かもしれません。ともかく、いまのところ、いちばんのポイントである治療法について「現時点ではお手上げ」という点で横並びですから。将来、いずれかの疾患の治療法が確立されたら、ULFの方向性も大きく変わらざるをえないでしょうね。
 ちょっと脱線しましたが、そうは言ってもやはり同病の人の様子が気になるのが人情というものであり、また、違う病気については知識不足からうっかり相手を傷つけるような質問をしてしまうのではないかという潜在的な不安があるので、やっぱり同じ病気の人に話しかけたいわけです。このときに名札の色分けが絶大な威力を発揮します。色分けはこうなってます。

桃:
 ALD/AMNで、最大派閥です。それぞれ全体の20%以上を占める感じです。AMN(AdenoMyeloNeuropathy)は一応、成人型ALDと考えていいと思います。他の疾患の場合は、ほぼ確実に患者の親、ないし祖父母なのですが、ALDの場合は成人型の患者自身がかなり参加しているわけです。話す相手が患者か、患者の親なのかじゃやはりだいぶ内容が変わってきますから、区別がつかないと具合が悪いです。見たところAMNの患者は下肢の運動障害をかかえている人が多いようで、車椅子や杖を使っている人が多いです。

橙:
 MLDです。全体の2割以上いる感じです。ほとんどが若年型で、幼児型が数家族、成人型が1家族だけ参加しています。数的に、ちょうど同じ病気の家族全員と話ができるくらいであることもあって、わりと固まってます。診断されて以来、自分たちは「100万分の1の偶然に遭遇した珍しいケース」というような考え方が頭に染みついているわけですが、会場では右を向いても左を向いても、その「希な例」がいるだけでなく、さらに1ケタあるいは2ケタ出現率の低い疾患の患者もゴロゴロしているので、なんか急に「ふーたん」が、「フツーの病人」になったような変な気分です。

赤:
 Krabbe病。MLDよりは遙かに少ないですが、それでも第3グループです。孫のためにKrabbe病研究の基金を立ち上げたというニューヨークから来た夫婦と少し話をしました。おそらくその話はインターネットで読んだことがあると思います。Krabbe病の患者自体は多いはずなのに参加者が少ないのは発症年齢との関係だと思います。いろいろ聞いてみても、乳児の患者のいる家族で参加している人はほとんどいません。

緑:
 ペルオキシソーム病のグループで、NALD、Zellweger病Refsum病、CTX、PMDなどの患者がいます。患者の数が少ないので同じ病気の家族をみつけるのは難しくなります。

黄:
 Canavan病Alexander病Tay-Sach病のグループです。それぞれ1、2家族しか参加していないと思います。こういったグループ分けされている疾患では、どの病気かもちゃんと名札に書かれていますが、字が小さいから、結局自己紹介をするような距離まで近づかないと読めません。それほど稀少ではないはずのTay-Sach病の患者の家族が少ないのは、独立した患者団体があるからだと想像します。

金:
 その他の疾患、つまりCADASIL、CACH、Ovario Leukodystrophy、Aicardi-Goutiere病などです。このあたりの病気は、病名が決まったのも最近で、病気自体の仕組みや原因もよくわかっていないものが多くなり、世界で数例、数十例といった感じになります。

青:
 病名の確定していない白質ジストロフィー患者で参加者全体の1割以上がそうです。成人型の人がかなりいます。空港からホテルまで同乗したカナダのエドモントンから来たカップルも奥さんの方がそうでした。彼らはこの大会のセカンド・オピニオンで世界最先端の専門医に診断してもらうことに期待をかけて参加しているわけですが、なかなか難しいようです。カナダ人夫婦も翌日会うと「また来年も青い名札で参加しなくちゃならないよ」と、しょげていました。未分類ということは、予後、つまり将来の見通しがたたないわけですから、特に成人型の場合、非常に辛いものがあるだろうと想像でき、なかなか声をかけにくいものがあります。MLDなんかだと、まず最悪の状況と直面して、それからできることをやっていこうと前向きに立ち上がる、という感じなのですが。

 いろいろな人と情報交換をする、というのが多くの参加者の目的ですから、夫婦だけで、あるいは仲の良いグループだけでいつもかたまって行動するということはあまりありません。セッションの休憩時間や食事などはだいたい4人から6人の小グループに自然に分かれ、しかもその組み合わせは毎回変わるという感じです。おかげで、私のような毛色の変わった、しかも単独参加(これはけっこうハンディ、特に男性の場合)の人間もそれなりに声をかけやすいわけですが、それでもなんとなく一緒にいることが多い人たちというのは出てきます。同じ病気だと、複数のセッションが同時に別室で開かれている場合に、同じセッションを選択する可能性が高く、また、その中でディスカッションを通じて互いについて理解しやすいので、やはりしだい関係が深くなってきます。同じ年齢層だと話も合いやすいし、子供の年齢層も近くなります。ただ、実際には、米国の場合、親の年齢で子供の年齢を想像するのはかなり困難です。インテリな人たちと、庶民的な人たちもなんとなくわかれるのですが、子供の話題、とくにお母さん同士の介護の話題とかになるとあまり関係なくなるので、これはそれほど重要じゃないみたいです。出身地についてもあまり関係なく、海外からの参加者も英語がネイティブな国ばかりですから、「外人グループ」というのもないです。

 


bt_cube.gif (262 バイト) 変わった人たち

 その中でちょっと変わったというか浮いているのはやっぱり私です。なんたって、男性の一人参加で英語が下手で、そのせいもあるけど休み時間もパソコンに向かっていたりして、ちょっと変です。しかも、唯一の東洋人(最終日には東洋系の研究者や患者の家族、黒人のカップルも参加しましたが、それまでは私以外は全員白人という米国では異例の状況)。一応、「患者の父」という錦の御旗があるので、それほど居心地が悪くはないんですけど、そうでなかったらかなり辛い立場です。私の場合、会話力の決定的な不足を、ノートパソコンとデジカメを男性陣との話題のきっかけにし、画面上のMLD HomePageを開いて見せる→今回特別に作った英語版、MLD HomePageの名刺を配る、という技で補ってます。こういう具体的な小道具がないと難しいです。ただ、そういうことをやってると、ますます浮いてしまう部分もあります。
rhuben.jpg (7281 バイト) 患者の家族ではないという決定的な理由で浮いてしまいがちなのがブラジルから参加しているルーベンスです。ブラジルの場合、MLDの3家族を含めた白質ジストロフィー患者の家族10家族が最近組織を立ち上げて、その代表としてルーベンスを送り込んできました。彼は実は医学とも福祉とも関係ない英語の先生なんですが、ともかく患者の家族は誰一人英語ができなかったんで、近所に住んでいた彼に行ってもらって、内容を報告してもらおうということらしいです。ブラジルは貧富の差の激しい国なので、金持ちの親がいて全部のスポンサーになっているのかと聞いたら、そういうことではなく、今回の渡航費も貧しい人が出し合って、それにルーベンスも自己負担してなんとか捻出したようです。というわけで、ルーベンスはいいやつで、私と違って英語にも不自由はないのですが、逆に医学的な知識がないから、英語は理解できても内容はなんのことかさっぱり、ということがよくあるようです。他の家族とも病状や介護のことを話題にしにくいので、なんとなく居心地悪そうです。そのせいか、なにかと私にも話しかけてきました。
 あと、東洋系は私一人と書きましたが、ケンタッキーから来たアパッチのおじさんというのがいました。彼の場合、孫がALDで、どうも娘がキャリアらしいということで勉強に来ていました。彼は非常に寡黙でしたね。

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03/11/18


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