イタリアの魅力は、何と言っても都市そのものの美しさにあります。完成された広場空間、求心力の象徴としての塔、カテドラル、そうした都市を代表する建築物の美しさもさることながら、都市を埋め尽くしている個々の建物・・それらは正に民家なのですが、それらの存在によるところが非常に大きいと言えるでしょう。それら民家は自らを際だって主張することはなく、しかし決して画一的ではない、だから町並みが総体として個性を持っている。土地の風土を見事に表現しているのがイタリアの都市と言えます。
そんな中でもいわゆる山岳都市といわれる、山の上に築かれた都市がイタリアのあちこち、特に中央部のトスカーナ、ウンブリア地方とちょうど靴のかかとにあたるプーリア地方に素晴らしいものを見ることが出来ます。これは都市の形成期であった中世にその防衛上から、はてまたマラリアなどの疫病を避けるためなど、いろいろ言われてはいますが、山の上に凝縮して形成された都市というのは我々の風土の常識からはかけ離れているだけに、その都市空間に強く惹かれてきた私でした。
ここではイタリア山岳都市に惹かれるきっかけとなった、今は亡き建築家で真のエッセイストであったバーナードルドフスキーの著作、「人間のための街路」、「建築家なしの建築」からの引用も併せ、いくつかの都市をご紹介します。(地図の地名をクリックしても大丈夫です)
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