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アンティコリ コラード
(Anticoli Corrado)

42 00 34.99N,12 59 19.59E

 ローマの近郊は、ウンブリアやトスカーナとはひと味違い、ちょっと行くだけでかなり山深い感じになります。その山の中、1時間半位電車に乗り、わざわざ訪ねた街がアンティコリコラードという実に小さな集落でした。ルドフスキーの「建築家なしの建築」にその写真が掲載されていたのを見、是非とも訪ねてみようと思ったのですが、どのガイドブックにも出てこないし、建築関係の本でも触れられていない。ようやくイタリアの20万分の1の地図に小さく載っていたのを見つけ、イタリアに行く機会に訪ねることにしました。テルミニを出た電車は(ここは電化区間でした)、噴水で有名な観光地のチボリを通り過ぎどんどん山の中に入っていきます。ロヴィアーニという小さな駅に到着、そこで見たものは対岸の山の上にあるアンティコリコラードの姿でした。そして、そこから歩いて谷を越え・・変な表現ですが、谷を大きく下りまた登るというのは正に谷を越えなのです・・はるばると訪ねたのです。

 しかしよくぞまあこんな所に集落が、と周辺を見渡すと、遠くの山の上にも集落があちこちに見えるではないですか。ここいらはすべて山の上に集落があるのです。日本では決して考えられないロケーション。多分あちこち訪ねだすと切りがない程、珠玉の集落が点在していることでしょう。

 そしてこのアンティコリコラードですが、ルドフスキーの写真の地を目の当たりにして、人間の作るものの土着性、地域のアイデンティティに改めて感服させられたのでした。
 ここはグーグルアースで鮮明に見ることが出来ますが、ロヴィアーニからの下り道のつづら折りがたっぷりあるのも凄い(42 01 23.13N,12 59 32.45E)。それだけの高低差があるのです。

周辺の地図。Roviano523mから川沿いが327m、そして508mのアンティコリコラードまで200m以上のアップダウンでした。西隣のSarasimescoという町なぞ908mに位置しているではないですか。

ロヴィアーノの町を外れたところから対岸のアンティコリコラードを望む。昼の釜戸の煙に煙っていた町でした。

町の下から見上げる。集落は南になる右側の斜面にへばりついていました。

遠くの山の上に集落が見えています。またこちらの斜面はどう見ても30度以上になっています。凄い!!

同じアングルを探してみたのですが、今ひとつ樹が邪魔をして、この写真になってしまいました。右側に新しい建物が出来ているのが分かります。

「建築家なしの建築」に載っていた写真。白黒がその凄さを増幅させています。

全部登りきると、別なところからの車道と合流し、広場と噴水、そしてピッツェリアが現れます。そしてここでも子供達が元気に遊んでいました。

斜面を克服するための工夫。左は公衆の道路、真ん中と右は入り口です。道路はこちら側で建物をくぐって続いていきます。