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HP200LX のフラッシュメモリカードを有効活用
Jornada720 DOS遺産継承作戦 11

生まれ変ったPocketDOS

新PocketDOS、向かうところ敵なし

 2001/12/24、PocketDOSがヴァージョン1.04.0になりました(2003/11現在、最新版は1.08)。なんと、競合品であったXT-CEを併呑し、今後は事実上CEプラットホームの唯一無二のXTエミュレータとなります。さっそく使ってみると、確かにXT-CEの特徴をかなり引継いだまさにハイブリッド(合の子)になっており、XT-CEとしてもバージョンアップと看做せる改良も含んだ、以下のような仕様となりました。

 3つの起動法が選べる。
 内容は
  1. ROM-DOSによるエミュレータモード(バーチャルマシン…以降VM…とOSエミュレータを分離させた従来PocketDOSモード発展系)
  2. FD、あるいはHDDのディスクイメージ内の任意OSによるVMモード(XT-CE従来モード)
  3. PC-110やThinkPadやFIVAのように任意OSの「システムフラッシュカード」で起動するVM物理ドライブモード(XT-CE発展系)
です。
 フックされた多くのファンクションがショートカットで使える(PocketDOS由来)
 一方、画面上のソフトキーもPocketDOSのそれを踏襲しているので、こちらはXT-CE比では「F10までのファンクションしかなくなった」ということになります。
 スタートボタンが付きました。(XT-CE由来・発展)
 が、ここからはコンフィグレーションとシャットダウンしかできず(気がつくと切写貼のEditコマンドが増えてましたが)、ヘルプは現在作成中、プログラムランチャーやファインダーは搭載されていません。また、XT-CEのVMシェルにあった全項目を踏襲している訳ではなく、目立つところではパレット操作がまだ未統合のようです。

新PocketDOSのインストール

 PocketDOSのインストールは、母艦でインストーラを起動すればOKです。少なくとも1.04までは、日本語版では失敗するのが当たり前で、自爆書庫を手動でこじ開けてファイルを選び出してコピーする必要があったのですが、いつの間にか改善されたようです。上書きバージョンアップやレジスト者用のFullバージョンは、インストーラを起動するだけで旧版・デモ版の在り処をかぎつけて(レジストリを読む?)、一応上書き確認の後、成り代わります。

 初めてのインストールでは、規定のフォルダに入るに任せると、\Program Files\PocketDos\以下に全てが収まります。妙な色気を出してインストーラに「いいえ」と答えて、インストール場所を指定する場合、パーツはカテゴリごとに別のフォルダに分けられ、それぞれのフォルダをどこに置くのか訊いてきます。内訳は以下のとおり。

PocketDOSの各構成ファイル
種類マニュアルデフォルトのディレクトリとファイル解説
Vritual PC Environment(Rrquired)\PocketDOS Vritual PC Environment\PocketDOS.exeVMエミュレータ本体。
Datalight ROM-DOS6.22 DOS System files\PocketDOS DOS System files\PocketDOS.sysDatalight ROM-DOS6.22モード(従来PocketDOSモード)の際の仮想Bドライブ。デモ版は約300kBだが、レジスト者用のFullバージョンは、これを約800kBのものに換装。
\PocketDOS DOS System files\Config.sys
\PocketDOS DOS System files\AutoExec.BAT
Datalight ROM-DOS6.22モード(従来PocketDOSモード)の際のS(A)ドライブ内のユーザー設定ファイルの雛形。
Utility Disk Image (Non Datalight DOS users only)\PocketDOS Utility Disk Image\PocketDOS.DSKインストールはオプション。VMモード(従来XT-CEモード)の際に用いる特殊外部コマンドを格納した仮想FDファイル。Bドライブにマウントして利用。つまり、かつてのXtce_sys.dskからCEDOSデモを抜いたもの。
DOS File System Driver (Advanced users only)\windows\DOSFS.DLLインストール時にどこに指定しようと、本体の\windowsに入る(訊かなきゃいいのに)。インストールはオプション(上級者向けって何?)。用途不明(VM物理ドライブ?)。

Storage Cardに逃がすにしろ、全部を同じ場所に置いたほうが混乱が少ないでしょう。好きなフォルダに行って、「(ここにセットアップする)」と指定する一般技が使えます。

 デフォルトでは1.03以前と同様のエミュレータモードで起動し、起動後のドライブ設定は以下のようになります。

Datalight ROM-DOS6.22(従来PocketDOS)モード(仮想Bドライブより起動)
実体解説
元A:PocketDOS.sysの存在するディレクトリ1.03系でのBドライブに相当。ROM-DOS6.22の起動中、ユーザーがいじれるa:\config.sys(後半)がある。但し、このドライブはb:\autoexec.bat実行中にa:としては抹消され、FSRを利用してs:ドライブにリダイレクトされる。
表A:(FDイメージ)デフォルト空き。ウィザードで2.88MBまでのディスクイメージが作成できるほか、XT-PCで作成したものも利用可能。
B:PocketDOS.sys(ROM-DOSイメージ)1.03系でのAドライブに相当。ROM-DOS6.22システムファイルと\DOSディレクトリに潤沢な外部コマンドを備える。リードオンリー。
C:(ディスクイメージ・物理ドライブ・)FSR仮想ドライブ手動割付を怠る(デフォルト)と、ファイルシステムリダイレクタ(以降FSRと略称)が自動的に「WinCEが"storage card"と認識しているディレクトリ」を割付ける。
D:FSR仮想ドライブデフォルトでは、FSRが自動的にWinCEのrootを割付ける。
S:PocketDOS.sysの存在するディレクトリ1.03系でのBドライブにほぼ相当。StartUpのS。ROM-DOS6.22から起動すると現れる。s:\autoexec.bat(後半)がある。つまりs:\autoexec.batが実行される時にはすでにここはa:ではなくFSRを利用したs:\ドライブになっている。

「メモリ カード問題」を解決しておらず、かつ仮想Cドライブも物理ドライブも用いないと、CEのrootがC:ドライブになります。1.03までではこの場合、dosで用いるアプリケーションとデータの全てを本体メモリに置く必要があったのですが、1.04では「メモリ カード問題」を解決しなくても、どの物理スロットでも直接Cドライブとして認識させることができます。 しかし2枚のストレージを認識させるにはもう片方を従来通り仮想ファイルシステムで割付けますので、「メモリ カード問題」から完全に自由になった訳ではありません。

 その他に「A優先」あるいは「C優先」のバーチャルマシンモード(XT-CE由来)を選択することができますが一度に説明すると繁雑に過ぎるので、この従来モードの使いこなしを一通り述べてから触れることにします。

ブートセレクト

起動ファイルのカスタマイズ

 PocketDOS1.04以降のROM-DOSは、以下に示すような複雑な機構で起動します。

Datalight ROM-DOS6.22(従来PocketDOS)モードの起動順序(仮想Bドライブより起動)
ファイル主な記述コマンド帰属動作解説利用可能ドライブ
b:\config.sysDEVICE=\DOS\UMBLINK.EXEROM-DOSUMBの設定
DEVICEHIGH=\DOS\PKTDOSFS.SYSPocketDOSFSR設定
DEVICEHIGH=\DOS\EMSMEM.SYSPocketDOSEMSの設定
NEWFILE=A:\CONFIG.SYSROM-DOSa:\config.sysにジャンプ
a:\config.sys
ユーザー設定。元a:,b:,c:(物理ドライブ、FSR),d:?(未検証)、s:は不可(謎)
b:\autoexec.batSETDRIVE DEL A: >NULPocketDOS元a:ドライブの抹消
MOUSEROM-DOSマウスドライバ組込
s:\autoexec.batSETDRIVE NOBANNERPocketDOSFSRドライブ設定表示
SETDRIVEPocketDOSFSRドライブ追加設定これ以降すべて
SETCOM NOBANNERPocketDOSCOMポート設定表示
SETCOMPocketDOSCOMポート設定
ユーザー設定。

 つまり、ユーザーの書換えが許されているa(s):\config.sysやs:\autoexec.batはb:\config.sysやb:\autoexec.batの続きとして読みこまれて、一連の起動プロセスとなります。そして、s:\autoexec.batの冒頭でFSRを如何様にも設定できるので、s:\autoexec.batが参照するファイルはもう何処にあっても構いませんが、a(s):\config.sysが参照するドライバやファイルは

  1. b:ドライブにもともとあるもの
  2. a(s):ドライブに置いたもの
  3. c:ドライブに割付けた物理ドライブ、FSRドライブ、或はディスクイメージ上にあるもの
  4. d:ドライブ(=CEのroot)に置いたもの
の何れかでなければなりません。但し、驚いたことに、物理ドライブのみならず、起動後は不可視なのにもかかわらずFSRドライブでもVFATのロングファイルネーム(LFN)の8.3名(「hogeh~1」など。起動後も見えないだけでコマンドラインから指定すると開けるのかも)が利くので、「メモリ カード問題」が解決していれば、c:やd:から辿ってどこにあるファイルでも起動時に利用できます。逆にいえば、a(s):\config.sysが参照できないのはFDDイメージ上と、日本語名ファイル・フォルダ(物理ドライブに割り当て損ねた「メモリ カードn」を含む)です。

a(s):\config.sysのカスタマイズ

  1.  COUNTRY=は設定してはいけません。やはり081なんて国には真面目に対応してないようで、画面が出鱈目に崩れてしまいます。

 バージョン1.03では、b:\config.sys(1.04以降でのs:\config.sysに相当)で設定した

DEVICEHIGH=A:\DOS\EMSMEM.SYS

FILES=

はいずれもb:\config.sys(1.03でのa:\config.sysに相当)に既に書かれており、EMSの容量はVMシェルでのスライダ設定に変更されています。filesはデフォルト255でいじる必要はまったくありませんが(数十に減らしたいほど)EMSはデフォルトは0なので、こちらは使う前に気をつけてください。

メモリーコンフィグ

s:\autoexec.batのカスタマイズ

 たとえ"storage card2\PocketDOS\PocketDOS.exe"から起動したとしても、何らかのアサインをしてあげないとROM-DOSは"storage card2"にアクセスできません。アサインにはVMシェルでドライブレターウィザードを起動して物理ドライブあるいはFSRで割付けるか、従来通りs:\autoexec.batの出来るだけ冒頭に以下を追記してコマンドラインからFSRで割付けます。

setdrive e: "\storage card2"
SETDRIVE M: "\My Documents"

 この行の実行以降、storage card2がe:ドライブとしてPC Cardにアクセスできるようになります。二行目は、デフォルトのs:\autoexec.batで例文としてコメントアウトしてあるものですが、これは活かした方が便利です。つまり、FSRでアクセスできない8.3名逸脱ディレクトリもドライブとしてマウントすれば使えるようになります。

ドライブ割付け

 モデムやIRなど各シリアルポートをROM-DOSから用いるなら、VMシェルでcomウィザードを起動するか、従来通りSETCOMコマンドでアサインする必要があります。

comポート割付け

それ以外のカスタマイズ

 storage cardはデフォルトでもFSRでC:ドライブになりますが、FSRドライブではLFNが不可視です。しかしこれをウイザードで物理ドライブに設定するとLFNが8.3名で見えるようになります。ぜひやっとくべきです。

物理ドライブ割付け

 ここまでの設定で、PocketDOS1.03で出来ていたことはすべて出来るようになるはずです。PocketDOS1.03用日本語化の手口も設定ファイルのドライブレターを読替えて今回b:\config.sysに移動したコマンドを削除すればまんまつかえ、日本語入力も可能です。が、折角新モードが追加されたので、次回はそれを駆使してみましょうか(続く)。

先にいっとく 1.07時点(1.04当時)の人柱敗退録(不具合・できなかったこと一覧)

全般

Datalight ROM-DOS6.22(従来PocketDOS)モード

VMモード


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