シリアル番号 | 表題 | 日付 |
382 |
ロジスティック・モデル |
99/9/23 |
ロジスティック・モデルは1838年にベルギーの数学者Pierre Verhulst(フェルフルスト)によって考案された。
このモデルは生物の増殖速度は生物の人口密度に比例し、環境が与える有限の資源で養える数に近づくと増殖は減速し、ついに成長はゼロになることを簡単な数式で表記したものである。
r = r0(1-N/K)
dN/dt = r N = r0 N (1 - N/K)
この解は
Nt = N0 K / ((N0 + (K - N0) exp( - r0t))
ここで
Kは資源が養える最大人口(環境収容力、carrying capacity)
r0はN0がKより充分離れている時の増殖速度(平衡水準に近づく速さ)
tは時間
Ntは時間tでの人口
N0 は時間0での人口
N0 がKより小さい時はSカーブいてKに収斂するロジスティック曲線(シグモイド曲線、S字曲線)を描く
N0 がKより大きい時は指数関数的に漸近線を描いてKに収斂する
f=N/K、f0=N0/Kとすれば
dN/dt = r0 K f (1 - f)
df/dt = r0 f (1 - f)
差分式に変換すると
dN/dt=Nt+1-Nt
Nt+1=Nt + r0 Nt (1-ft)
ここで
ft+1=ft + r0 ft (1 - ft)
df/dt=ft+1-ft
バージニア工科大昆虫学科のシャロフ教授のサイトがおすすめ。
さて和算に鼠算というのがある。
1月に1対の鼠の夫婦が12匹の子を産むとする。鼠はほぼ20日で妊娠するので、その親子14匹がそれぞれ1対の夫婦になってそれぞれ12匹の子を生むことを毎月繰り返し、全員死なずに12月末になると27,682,574,402匹になる。
この鼠算の級数はマルサスの等比級数的人口増加論を記述した次の差分式のNt=2、r0=12/2の場合である。
Nt+1=Nt+r0 Nt
この式の右項に(1-Nt/K)を乗じるとロジスティック・モデルになる。
化学において自己触媒反応方程式でもある。
カオス関連の本は、007、053、054、055、056、131、299、308、442、710、1022、1062、1078、1081、1082
Rev. June 4, 2011