酒の話

酒を飲まない人間は思慮分別を 期待されない    キケロ

 

グリーンウッド氏は醸造酒より蒸留酒を好んで飲む。むろん付き合いでは生ビール、日本酒であるが、自宅で一人でたしなむ のはもっぱら蒸留酒である。それもストレートが好きである。食道癌のおそれはあるがやめられない。醸造酒のワイン、ビール、日本酒を飲めば間違いなく睡魔 が襲ってきてその日は終わりになってしまうのも理由かもしれない。

現時点で手持ちの酒を棚卸すると下の表のようになる。

番号 種類 銘柄
1 ウイスキー Johnnie Walker、Grand Old Parr、Cutty Sark、White Horse、Talisker、Fort William、The Claymore
2 バーボン Jim Beam、Early Times
3 ブランデー Courvoisier、Idoniko(Tsipouro)、Barack
4 ジン Gilby's、 Bombey Sapphire
5 ウォッカ Stolichnaya、 Smirnoff
6 ラム Myers's Rum、Bacardi
7 テキーラ Camino Real
8
アクアビット
Linie
9
シェリー Comezs、Tio Pepe
10
リキュール アブサンはRicard、Pernod、ABSENTE、PIMM'S、Martini Roso, Grand Marnier、Cointreau、Campari、Baileys Irish Cream、Drambuie、Poire William G.E. Massenez、養命酒
11 ポートワイン Sandeman Ruby Porto
12 ワイン VoloRosso、Chianti Aretino、Kabinett Nahe Burg Layer Schlosskapelle、Cahors、 Castillo de Olleria、Apitiv of Sandeman、Soave(Ialian Dry White Wine)、Icewine Vidal(Canada)
13 ビール Kirin小ビン1ダース
14 シードル(リンゴ酒) Cidre Val de Rance Cru Breton Brut
15 日本酒

吟醸酒

 

蒸留酒

<ウイスキーとブランデー>

好きな蒸留酒といっても実は、ウイスキー、ブランデー特にコニャックはほとんど手をつけない。オークで作った樽からでるポリフェノールの味が好きでないためかもしれない。もっぱ らジン、ウォッカ、ラムとアブサン(英名アニゼット、アニス入りのリキュール)を順繰りにたしなんでいる。

というわけで、旅先で購入したオールド・パーもかなり長い期間棚にあった。1483年頃、トーマス・パーという人が居た。とても長寿でなんと152才まで生きたという。実に室町時代から江戸時代まで生きたことになる。チャールズ1世の手配により、1635年11月15 日、パーはウェストミンスター寺院に葬られた。長寿の効果をうたうため、パーにちなんで名づけられた。オールドパーの角瓶はパーがワインを飲む時愛用した 四角の容器を模したという。

Taliskerは娘の土産で柱状節理が有名なSkye島唯一のシングルモルト、1830年創業。小瓶と1liter大瓶あり。

最近はWhite Horse、The Claymoreなどの安いスコッチが出回っているので、専ら愛飲している。

<バーボン>

ウィスキーよりスモーキーなバーボンが好きである。この独特の香りは内側を焼き焦がしたホワイトオークの 新樽にコーン・ウィスキーを詰めて2年以上貯蔵・熟成させることによりつけられる。熟成の際に焦げた樽の色と匂いが移り、完成したバーボンは独特の芳香を 持つようになるのである。Jim Beamなどをたしなんでいるが、現在の手持ちはEarly Times。

Early Times

<ジン>

ジェネヴァとも呼ばれたジンの ジュニパーベリー(杜松(ねず)の実)のきつい香りが好きだ。杜松はヒノキ科の常緑小高木。山地に自生。よく分枝し、老木では小枝が垂れ下がる。葉は針形で質が硬い。雌雄異株。果実は肉質球形で、秋、紫黒色に熟し、杜松実としようじつの名で薬用にする。ネズミサシ、ムロ、ムロノキとも呼ばれる。

ジンにはレモンの皮を少々浮かべると丁度よいと米国人、エバンス氏に教わった。彼ももう無き人だ。これもストレー トでいただく。ご近所の レッドウィング氏が、Gilbey'sのジンを飲んで喜んでいるかわいそうなやつと思われたのかBombey Sapphireを差し入れてくださった。さっそくいただくとGilbey'sに比べ大変まろやかである。なにかいいあらわせない優雅さを感じる。ジンは なにせ粗野なアメリカ人に教わったのでこのようなものがあるとは今まで気がつかなかった。アルコールもGilbey'sの37.5% vol.に対し、Bombey Sapphireは47度である。このまろやかさはそれだけではなさそう。そこでラベルを詳細に読んでみると、Gilbey'sはジュニパー・ベリー、コ リアンダー、カラマンシー、オレンジ・ピールなど12種のボタニカル・レシピ(植物)を原酒とともに釜に入れてボイルする伝統製法であるのに対 し、Bombey Sapphireは10種のボタニカルを釜には投入せず、10種のボタニカルを混ぜることなく種毎の銅製の籠に入れ、釜から蒸発してくるスピリットの蒸気 が籠をゆっくり通過するように置き、ボタニカルの好ましい成分のみをベーパー・インフュージョンさせるため、美味いのだと効能書きがあった。蒸留釜に充填 物を入れるといわゆる蒸留段数が増えたことになり、分離・精製がより厳密になされアルコール濃度は高くなるだろう。でもBeefeatersも37% volはある。これでジンはGordonも含め、4種知ったことになる。人生の楽しみを深めてくれた レッドウィングさん、ありがとう!

Bombey Sapphire、Vodka

これを書いて15年後の2018年になり、沢山の地ビールならぬ地ジンがいま流行っているそうだ。サントリーなど英国に逆輸出しているという。

<ウォッカ>

ウォッカは氷、トマトジュース、ウースターソースで割って塩、胡椒をふってブラディーメアリーというカクテルにして楽し む。航空機での旅でいつもこれにしている。グラスを事前に冷やし、ふちを濡らして塩をつけておくと美味だ。

<ラム>

砂糖精製工程からでる副産物モラッセスから作るラムも好きだ。特にマイヤーズ・ラムは褐色の液体で独特の香りがあってよ い。これを水で割って砂糖をいれればグロッグとなる。帆船時代に船員に振舞われた飲み物だ。オレンジジュースで割っても合性がいい。

バカルディーは透明な液体だ。レーズンのラム酒漬けに使う。もともとはキューバ産なのだが、プエルトリコ産をドイツでビン詰めしたのが日本で売られてい る。

<テキーラ>

ときどき塩だけでテキーラを楽しむこともある。テキーラをリュウゼツランからどのように作るか疑問をもっていたのだ が、ある時テレビで観て合点がいった。

<アクアビット>

2011年、ロンドンでコンサルティングを終了して帰国するとき、ノルウェーの顧客から地元の酒としていただいた。ジャガイモを主原料とした蒸留 酒である。デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・ドイツで製造されているという。ジャガイモを酵素や麦芽で糖化した後に発酵させ、蒸留する。これにキャ ラウェイ、フェンネル(アニス、西洋ウイキョウ)などの香草で風味を付け、さらに蒸留する。この後、多くの銘柄は樽熟成をさせずに製品化されるため、無色透明のいわゆるホワ イトスピリッツに仕上がる。ただし、ノルウェーのリニエ (Linie) など、まれに樽熟成させる銘柄もあり、したがって、こちらには色が付いている。いただいたのはリニエでオスロとオーストラリア間を船に乗せて2往復させて熟成したものだという。

Linie Aquavit

<バラック>

ハンガリーのお土産にもらったバラックは美味いとは思わなかったが、ビンとグラスがセットになったいてその独特なビンとグラスの形が印象的であった。飲み 干した後も捨てられず、ジンの容器に使っている。最近このバラックは杏(あんず)から造ると白洲正子の「自伝」に書いてあった。 ビン容器の包装箱になぜ杏が描いてあるのか謎であったのが氷解した。

Futyulo's Barack Palinka

<チプロ>

レッド・ウィング氏にはチプロという飲み物も教わった。発酵させた葡萄の皮を蒸留して造る一種のブランデーでギリシアで はポピュラーな酒であるらしい。イドニコというトレードマークのものがそれだ。

<ウーバ>

シャルドネからつくったワインを発酵中の果皮や種子といっしょに蒸留したウーバ1本を作家兼画家の玉村豊男氏が 経営する東御町のヴィラデストガーデンファームアンドワイナリーで購入したことがある。 ウーバは友人にあげてしまったので味は知らないが、ブランデーとグラッパの特徴を兼ね備えた飲み口の良い蒸留酒とのこと。

 

シェリー

ところでウィスキー、ブランデーの琥珀色は樽のヤニが溶け出したものだ、サントリーの醸造所を見学したときポットスチル から流れ出てくるモルトが透明でびっくりしたことを懐かしく思い出す。この樽はコナラ(オーク)などの落葉広葉樹の木材から作られている。ヨーロッパでは オークが枯渇しているので、実は北海道から輸出されているとどこかで読んだ覚えがある。新しい樽にはまずシェリー種を入れて樽にシェリー酒をタップリ滲み 込ませるのだという。そのためか英国人はパブでよくシェリーを楽しむ。1970年当時英国に滞在したとき、ウイスキーは日本で高く売れるから輸出に廻し、 安いシェリーで我慢しているのかと思ったものである。真偽の程は知らない。

Tio Pepe

ティオ・ペペはスペインのトップブランドのシェリーだ。鎌倉の紀伊国屋で購入したが、栓を抜くと冷蔵庫保管でも1ヶ月以内に飲み干さねばならぬのでまだ味 わってない。かなりのドライらしい。 横にしておけばよかったのに、栓を抜くと酸化していて味が落ちていた。

 

リキュール

まずアブサン。甘い酒にはポートワイン、コアントロ、グランマルニエール、ピムズ、養命酒などが好みだ。

<アブサン>

アブサンは どこでだったか忘れたが、旅先のレストランでたまたま試飲し、味を覚えてしまった。アニス(西洋ウイキョウ)とニガヨモギのきつい味がたまらなく、鎌倉の紀伊国屋にも置いてないので、銀 座の明治屋でリカールやペルノを手にいれて楽しんでいる。イギリスやドイツには甘草とアニス入りのリコリス菓子があるが、 あれと同じクセのある香りがたまらな い。水で割ると白濁するが、ストレートが好きだ。アニスとニガヨモギ(エルブ・アブサント)をリキュールに浸けて造る。ポール・リカールが1932年にマルセイユで造りはじめたというリカールが甘口で口当たりがよい。アニス とリコリス(甘草)およびニガヨモギに含まれるツジョンはメントール様の香気を持つ。2012年になり藤沢でもリカールやABSENTEが安価に手に入るようになったので愛飲している。


Ricard

<ベルモット>
赤と白がある。ニガヨモギに含まれるツジョンが含まれている。白ワインにニガヨモギを浸けたものをチンザノ、ベルモットという。赤ワインに浸けたものはマルティーニ・ロッソ。2009年の映画「チャーチル 第二次大戦の嵐」を見ていたら、チャーチルのスタッフが「ルーズベルトは酒といえばマルチ二しかないと思っているようだ。ウィスキーなど口にしたこともないのだろうか?」という会話がでてきた。


Martini Rosso

<ポルトワイン>メントール様の香気を持ちメントール様の香気を持ちメントール様の香気を持ちメントール様の香気を持ち

養命酒を子供のころ飲まされた名残であろうか。甘いポートワインが好きだった。ポートワインは赤玉しか知らなかったが、 ポルトガルはポルトの町の サンデマン社(Sandeman)で本物の味を知ってからは、黒マント・マークのルビー・ポルトを鎌倉の紀伊国屋で補給して切らさないようにしている。こ れが切れると自転車に乗っていそいそと買いにでかける。 昔、酸化防止剤などなかった頃、ポルトガルからワインを英国に輸出しても途中で腐ってしまう。そこで蒸留酒を発酵の最終段階で添加して防腐処理したのでか なりアルコール度が高い。

<コアントロ>

コアントロは故玉置明善氏に教わった。

<グランマルニエール、ピムズ>

グランマルニエールはフランス人の夫人に教わった。 ミセス・グリーンウッドが菓子作りに利用している。

Grand Marnier

ピムズ(PIMM'S)の味は英国人のヌッタール氏に教わったものだが、日本では入手難で残り少なくなった。

<果実入りブランディー>

G.E. MassenezのPoire Wiliamは大きな西洋梨(poire)が一個透明なブランディー漬けになってビン詰めされている。ビンの口より大きいのでビンの中で大きく育てたもの だろう。フランス土産に持ち帰って30年以上、酒棚の中に鎮座している。友人のまえじま氏が このPoire Williamsを最近味わったと写真(下右)と共に送ってきた。ビンの型もラベルも大量消費時代に迎合したように変わってしまったようだ。「ブランディ と言うよりはウオッカのような無味のお酒に洋梨を漬けたリキュ−ルの感じでした」とのこと。やはり見る酒で飲む酒ではないらしい。

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30年前に買ったG.E. MassenezのPoire William

poise.jpg (2827 バイト)

最近のG.E. MassenezのPoire Williams

Eau-de-Vieと書いてある

 

 

ワイン

<フランス・ワイン>

ワインやシャンパンは日本で異常なブームになり目の色を変えてロマネ=コンティとかドン・ペリニョンとか、かしましい。 両方とも中本氏にご馳走に なった。たしかにすばらしいが、なにせ価格は100倍である。

ピノワール種と新大陸からやってきた害虫プロキセラの関係など興味深く学んだ。ワインは赤ときめている。

ブルゴーニュ地方のコート・ドールのクロ・ド・ ブージョ村までロマネ=コンティの畑を訪ねて旅したこともある。ブルゴーニュ地方にはカエサルとヴェルサンジェトリクスが戦ったアレシアの古戦場がある。そもそもぶどう酒はローマ人が ガリアに持ち込んだものだ。ローマ人は鉛の鍋で葡萄果汁を煮詰めて作った甘味料のサバをワインに添加したため、ローマ帝国はこの被毒で滅ん だともされているくらいである。

町内のレッド・ウィング氏からカオール(Cahors)の赤ワインを何本かいただいた。ながらくワインラックに寝かせておいたがまず2005年物の栓を抜 いた。私好みの重いワインである。シャトー・ピレネー製でラベルには「Appellation Cahors Contrôlée」の表示がついている。いわゆるAOC印である。調べるとAOCカオールは、カオールを含むロット県内の45か村で生産される赤ワイン で、マルベックというぶどうを70%以上使うことが義務づけられており、色合いは俗に「カオールの黒」と呼ばれるほど濃く、タンニンも豊富で超熟タイプの ワインという。 赤坂にあるラック・コーポレーションが畑毎買い上げて輸入し、レストラン・ホテルに降ろしているもので市販はされていないという。

ピレネー山脈の麓の元貴族でシャトーの当主がラゴスで振舞ってくれた赤ワインはこの親類で あったのかと思い出す。元貴族とはいえフランス革命で特権的な地位は失ってい るので土建現場の所長をしなくては生計がなりたたないのだ。

Kabinett Nahe、Cahors、VoloRosso

カオールはツールーズの北に位置しフランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が通過する町という。 Le Puyに発するルートが通過していたのかな。

<ランドドック地方ミネルバ地区>

K氏夫妻からいただいたランドドック地方ミネルバ地区産のシャルドネやカルベネ・ソーヴィ二ヨンでから育てたDomaine du petit Plosは本格的なテースティで楽しんだ。

<ボジョレ・ヌボ>

ボジョレ・ヌボなどワインではないと無視していたが、2003年は高品質 と聞き、ホテルでの食事の時、いただいた。軽くスッキリしていてよかった。1ヶ月の命とか。もともとはフランス軍向けのワインであったのだが、一過性のお 祭り好きの日本人の気質にあい、一気に広がったようだ。ボジョレ・ヌボまたはボジョレ・ヴィラージ・ヌボは ボジョレ地方のワインメーカーがガメイ種から造り、すぐ飲むのが特徴のワインだ。

2007年に鎌倉を案内したお礼にと友人からJ.P.ルコンテのボジョレ=ヴィラージ=ヌボ一瓶をいただいた。ボトルにはコート・ドール地方のニュイ=サ ン=ジョルジュ村のJ.P.ルコンテがビン詰めしたとある。2年前の2005年、ルゴーニュ地方 コートドールのボーヌの市街地を抜け、クロ・ド・ブージョ村のシャトーに向けてただひたすら走ているとき、ニュイ=サン=ジョルジュを通過したことがあ る。ここは白ワインの高級銘柄コルトンの産地かと思っていたのにおかしいな?ボジョレ・ヌボはコートドールより南のリヨンの北に広がるボジョレ地方の産ではなかったのかと調べてみたがわからない。推察するところ、コートドールで産 する高級ワインは売れず、やむをえず、ボジョレ地方の許可を得て、ボジョレ=ヴィラージ=ヌボを生産しているということかもしれない。

2015年に町内の友人夫婦のための昼食会に用意した飲み物は

<キャンティー>

若い頃はキャンティーは安ワインと思っていたがトスカーナを旅してから認識を変えた。シエーナでワイン博物館を見学して1万種の銘柄に圧倒された。

今手元にあるのはヴィンチ村のVoloRossoとかアレッゾのAretinoである。

面白いのはどなたか忘れ たがお土産にもらったミニチュアビンでSoave(Ialian Dry White Wine)というものがある。Soaveとはイタリア・ヴェネト州のソアーヴェ村とその周辺などで生産される白ワインのはずである。30年ばかり酒棚に 眠っていたが、整理するために蓋を開けてびっくり。中身は水であった。ビンの底にcontain waterと書いてあった。

<ドイツ・ワイン>

ドイツ・ワインはうまいと思ったことはない。多分ブドウの栽培には適していない土地だからであろ。いつの頃かいただいた1994年もののKabinett Nahe Burg Layer Schlosskapelleという白も長年放置し22年後の2016年、コルク栓を抜いたが、酸化していて飲める代物ではなかった。

<その他>

自分で買い求めるものはチリワイン、カルフォルニア・ワイン、Castillo de Olleriaなどスペイン産のテーブルワインが多い。いちいち記録していないが、例えばカルフォルニアのRedwood Vinyardの2013年のCarbernet Sauvignonは価格にしては良品だった。

2018年に入りセブン・イレブンがこの安いカルフォルニア・ワインを売るようになった。ヨセミテ・ロードという銘柄で カルベネ・ソービニオンの赤は615円だ。価格にしては品質がよい。メルシャンがタンクで輸入して日本でボトリングしているようだ。だからコルクの栓はな く、ネジキャップだ。安くうまいのでこれが愛用。

自由貿易で不利な立場にたった人々を支援しようというフェアトレードに賛同して南アフリカ産の イサベロという銘柄を手に入れた。Pinotage Carbenet Sauvignon種のブドウからつくったと説明書きにあるので試飲するのを楽しみにしている。

南アフリカ産のイサベロ

<自家製ワイン>

2005年にクロアチアに旅したとき、ユリセッチ氏のカントリーハ ウスを訪れ、自家製の白ワインを1本いただいた。1999年製のsmokviska plavkaである。コルクも自分で打ったという。とても栓を抜く気になれない。大切に保管しておいた。2008年にビンを手に取ると、残念ながら酢酸に なっていた。 横にして保存すればコルクが濡れて空気が入ることはなかったのだが、縦に保管したのでコルクから空気が入ったのであろう。これでワインに酸化防止剤が入っ ている理由がわかった。 手造りの無添加ワインは長期保存できないのだと悟る。ワインを飲むと悪酔いするわけだ。ポルトワインがなぜワインに蒸留酒をブレンドしたか理解できる。コ ルクにはDarmaciavino split CROATIAと焼印が押してあった。

自家製の白ワイン

客人用にとコート=ド=ドールのシャトー・ド・ボーヌのBourgogne Ponot Noir 2013を買い求めたが軽ぎた。むしろたまにはボルドーの赤Bellerives Duboisが渋くてうまかった。このボルドーの赤はフルーツ・パンチに使った。

チーズ・フォンデュ用の白ワインはシシリー島のInzoliaを使ったがなかなかいけた。


シャンパン

グリーンウッド氏はシャンパンは好きではない。ROCA号の進水式につ かった片割れがまだ船にあるがもうほとんどバラスト同然になっている。

 

ビール

ワインはローマ人がヨーロッパにもたらしたものである。しかしドイツ、フランドル、ブリタニアではブドウ栽培の北限を越えていたので麦からビールを造っ た。

グリーンウッド氏はビールは普段たしなまない。それでもキリンビールの一番搾りを愛飲していたが、ビン詰めのラーガーを来客用に数本用意してあって古くなると、シ ブシブ味の劣化した古ビールを消費するだけであったがそれもしなくなった。缶詰はうまくないので買うことはなかったが、最近2月に1度位サントリーのプレミアム・モルツを1缶だけ買うことはある。ラーガーはコクのあるキリンとかエビスが好みだ。アサヒスーパードライのよ うなアルコールが入った炭酸飲料のようなものはビールではない。困ったことにアサヒビールしか置いてない店が増えて当惑している。

地ビールで上手いと思ったのは信州東御市振興公社の「オラホビール」だけで、「鎌倉ビール」という地ビールを散歩中、ラッパ飲みする程度である。。生は好物で、外で友人と飲むときはかならずこれである。家庭用のセットまで持っているが来客でもなければとても一人で消費できる量ではな い。

英国で毎日飲んだビターは好きだが日本では手に入らない。渡英時に楽しむしかない。

 

シードル(リンゴ酒)

リンゴジュースを発酵させてつくった醸造酒である。ノルマンディー地方の特産らしい。佐久のヴィラデストガーデンファームアンドワイナリーで製造販売しているの を購入して飲んだり土産にしたことがある。

鎌倉の紀伊国屋でCidre Val de Rance Cru Breton Brutというフランス製のシードルを買ってみたが、ビールに似た味で好きにはなれなかった。

2017年には長野駅の久世福商店でサン・クゼールのApple Cidreを購入。一応コルク栓し、針金で抑えている。栓を抜くとシャンペンのようにガスが抜ける。味は甘く、結構アルコール分はつよい。小ビンなのに心地よくなる。


サン・クゼールのApple Cidre

 

日本酒

日本にも樽酒はあるが、日本の樽はヒノキ材を使う。広葉樹はハードウッドと呼ばれ、確かに硬く、成長も遅い。ヒノキは柔 らかく、成長も早い、従ってヤニ成分も少なく、酒に色がつくこともない。ここら辺は西と東の文化の違いでもある。

金沢出身の義兄が2010/3/9のNHKの番組プロフェエショナル「仕事の流儀」を見ていたら「魂の酒」(発行/ポプラ社)を書いた「能登杜氏」の農口 尚彦杜氏の話しであった。酒造り61年の熟達者として輝かしい実績を残し、他の追随を許さない酒造りの名人ということであった。農口杜氏の得意技である山 廃仕込は青年期に老丹波杜氏より伝授された技術で無形文化財に値する秘伝であるという。米を洗う時間を秒単位で細かく調整するという。

なんと農口氏が働いているのは鹿野酒造とのこと。従兄弟が経営している蔵元だ。早速注文して内2本を贈ってくれた。銘柄は「常きげん」ラベルに中汲み斗び ん囲い、「白水の井戸」名水仕込みとある。山田錦という原料米100%という。斗壜囲いとは「斗瓶取」(とびんとり)さ れた雫酒を斗瓶で一定期間保存、滓引き及び熟成させる事を「斗瓶囲い」と呼ぶ。 雫酒とは昔ながらに酒袋に醪(もろみ)を 詰め、そこからしたたり落ちる酒の雫だけをあつめたもの。現在、大概のお酒は自動圧搾機で搾られる。「斗瓶囲い」は極端に数が少なく、その殆どが鑑評会用 出品酒として用いられる貴重な酒とのこと。

大吟醸 常きげん

義兄によると能登は貧しいところで、冬になれば能登の能登杜氏は全国の蔵元に散って酒作りをしてきたので腕はたしかだろ うという。

NHKで放映された直後から鹿野酒造の電話は鳴りっぱなしだという。 今JALの破産管財人をしている弁護士も知人だ。世の中狭いようだが付き合っている親類・友人が平均100人なら「四次の隔たり」で日本人全部の1億人に繋がるから全く不思 議ではないのだ。

この再放送を夜中の2:45に起きて見た。山田錦を体積が1/3になるまで精米する。これを秒単位で時間を計測して水に浸漬する時間を計測して含水率 32%程度になるように調整する。年によりこの時間は変わるので試行錯誤で浸漬時間を割り出す。これを蒸かしてから40oCに維持 するムロのなかに設置する台の上に広げ、麹の胞子を50cm位の高さで振り掛ける。米一粒に胞子が2個付着する程度であるという。米の外側が少し乾燥し、 内部に水が多いように維持すると 胞子から発芽した菌糸が枝分かれして米粒の中に広がり、水分を求めて米の中心部まで達して、アミラーゼ群により全粒がくまなく糖化される。

当然この過程でデンプン以外のタンパク質などは麹菌が分泌するプロテアーゼ群によりアミノ酸に分解されるし、油脂分はプロテアーゼ群によって分解されるの で微妙な旨さが生じるのだろう。四六時中 、麹を口に入れて噛み潰し、糖化の進み具合を監視するのが杜氏の役目だ。職業病として60才にして総入歯となる。麹ができれば殆ど酒作りは終わる。あとは 出来上がった麹を酵母と一緒にタンクに仕込んでアルコール発酵を待つだけとなる。以後は葡萄酒と同じ過程である。

エリオ・シャクターの「キ ノコの不思議な世界」には麹菌の話は出てこないが、胞子から発芽して菌糸がでるところは陰花植物の特徴を備えている。

番組をみながらいただいた大吟醸「常きげん」の栓を抜く。思った以上にこくのある酒であった。

 

酒の肴

グリーンウッド氏の好物はピスタチオとブルー・チーズ特に羊のミルクと青カビを使って洞窟で作ったソシエテ・ロック フォール(Cociete Roquefort)という銘柄品だ。お値段もいいが、この高貴な香りがたまらない。 ロックフォールはイタリアのゴルゴンゾーラと英国のスティルトンとともに世界三大チーズといわれるそうだが、これは格別。

Castelloというデンマーク産のブルーチーズは中級品だ。

March 12, 2003

Rev. January 21, 2021


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